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記憶の試練

無理

記憶の試練

――決戦まで、あと五日。


水晶の光が、ふわりと揺れた。


空間の空気が、少しだけ重くなる。

そして、再び声が響いた。


――あなたたちは、力を手に入れたいですか?


その声は、先ほどとは違っていた。

少し低く、静かな問いかけだった。


精霊たちは、顔を見合わせる。

風の精霊が、そっと口を開いた。


「……力がなければ、守れない。でも……それだけじゃ、足りない気もする」


雷の精霊が、腕を組んだまま言った。


「力を持つことは、責任を持つことだ。それを忘れたら、また同じことになる」


水の精霊が、静かに頷く。


「でも、今のままじゃ、何も守れない。あの結晶も、世界も……」


炎の精霊は、少しだけ笑って言った。


「だったら、手に入れるしかないでしょ。ちゃんと、みんなで使えばいい」


グランファリーさんは、仲間の言葉を聞きながら、ゆっくりと台座に近づいた。


「……はい。私たちは、力を手に入れたいです」


その言葉に、水晶が再び光を放つ。

今度は、空間の四方から、異なる声が響いた。


――では、試練を受けなさい。


一つ目の声は、風のように軽やかだった。


――第一の試練は「記憶の道」。過去に向き合う力を試す。忘れたいものも、見なければならない。


二つ目の声は、水のように澄んでいた。


――第二の試練は「共鳴の間」。仲間との絆を試す。心が離れれば、道は閉ざされる。


三つ目の声は、雷のように鋭かった。


――第三の試練は「影の鏡」。自分自身の弱さと向き合う。逃げれば、力は得られない。


四つ目の声は、炎のように揺れていた。


――第四の試練は「未来の扉」。選ぶ力を試す。何を守り、何を捨てるか――その答えが、力の形を決める。


空間は、再び静寂に包まれた。

水晶の光はゆっくりと収まり、台座の上で静かに脈打ち続けている。


そして、最後の声が響いた。


――試練を受けますか?


その声は、今までのどれとも違っていた。

深く、静かで、どこか優しい響きだった。


精霊たちは、誰もすぐには答えなかった。

けれど、誰も目をそらさなかった。


風の精霊が、そっと前に出る。


「……はい。受けます。悪の精霊に勝つために……!」

 

無理

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