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魔法の終わりと、生死の始まり

無理

魔法の終わりと、生死の始まり

「もしかして……森の精霊だから……」


「そ、そんなことないですよ!」


そう言いながらも、グランファリーさんの頬はほんのり赤く染まっていた。


「森の精霊だから……炎、苦手なんじゃないですか?」


「うぅ……そうです……」


グランファリーさんは、恥ずかしそうに目を伏せた。

そんなに照れることじゃないと思う。

だって、森の精霊なら炎に弱いのは当然だ。

炎が森を焼けば、木々は失われ、森そのものが消えてしまう。

どうして私は、こんな当たり前のことに気づけなかったんだろう。


「森の精霊なんだから、仕方ないですよ……」


「このせいで……暑い場所には、あまり行けないんです……」


たとえば、夏の昼間は外に出るだけでつらいらしい。

サウナなんてもってのほか。

私は入ったことがないからピンとこないけど、友達と行けないのは、きっと寂しい。

精霊も、いろいろ大変なんだな……。


「あ、そういえばグランファリーさん! 途中で魔法が使えなくなったんですが……もしかして……」


「本当にごめんなさい! あの魔法は一日しか持たないんです。私の魔力が切れると、効果も消えてしまって……」


「やっぱり……」


あの時は本当に驚いた。

ずっと使えるものだと思っていたから。


すると、りゅうとがぽつりと言った。


「早く帰ろうぜ。なんか……ここ、すごくイヤな感じがする」


「そうですね」


そして、四人は神殿へと戻った。


「久しぶりの神殿です!」


「まだ一日しか経ってませんけど?」


「いえ、久しぶりです! 実は……」


神殿の外では、時間の流れが違うらしい。

一時間が、三時間に感じられる。

つまり、一日なら七十二時間――確かに、それは久しぶりかもしれない。


「ごめんなさい……助けるの、遅くなってしまって……」


「いえ、大丈夫です。そういえば、ミオルドたちはどうなりましたか?」


「ちゃんとロープでぐるぐる巻きにしたクロ!」


グランファリーさんは、ほっとしたように微笑んだ。

そして、少しだけ声の調子を変えて言った。


「そうですか……。あの、実は――かんなさんたちにお願いしたいことがあるんです」


「なんですか……?」


「……生死チャレンジです」


「……え?」

 

無理

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