クロ、救出大作戦成功?
読んでー!
かんなは――まだクロが危険だということを知らない。
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クロは、怪我をした腕を震わせながら呟いた。
「痛いクロ……」
しかし――その声は届かない。
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かんなの声も、クロには届いていなかった。
かんなは、クロからの返事がないことに首をかしげる。
「クロ、もしかして……かくれんぼしてるのかな?」
「緊急事態なのに……まあ、探すか」
そう言って、かんなはクロを探し出す。
しかし霧のせいで、クロの姿がよく見えない。
「霧が濃すぎて、これじゃあ全然わからない……」
しかし――
かんなは、ある魔法のことを思い出した。
透視魔法――!
普段はそんなに役に立たないと思っていたけど、今なら使えるはず!
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かんなは、すぐに透視魔法を唱えた。
その瞬間――
「コールドカース!」
かんなが無意識に唱えた魔法――
それは、氷で敵を封印する魔法だった。
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だからモンスターは――足元から順にどんどん氷に包まれていく。
しかし、この魔法は完璧ではない。
かんなの魔法は弱いため、10分しか持たない――!
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だから、かんなはクロに叫ぶ。
「クロ、上だよ!」
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クロはかんなの声を聞き、涙ぐむように叫んだ。
「か、かんな!こわかったクロ……!」
かんなは、クロの声を聞いて安心する。
しかし――時間がない。
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「大丈夫だよ、クロ!」
「もう動かない!でも、私の魔法は10分しか持たない!」
「だからクロ、早く捕まって!」
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かんなはクロの方に手を伸ばす。
そして――クロの手をキャッチ!
そのまま、霧のない方向へ飛んでいった。
霧を抜けると、ティアムの姿が見えた。
かんなは急いで報告する。
「ティアムさん!無事、クロの救出に成功しました!」
しかし――
なぜか、ティアムの表情は険しい。
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「おい!!」
「なんで転移魔法を使わなかったんだよ!!!」
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かんなは一瞬、ポカンとする。
そして――思い出した。
「あ……」
そういえば、転移魔法でクロをティアムさんのところへ送る作戦だった。
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ティアムさんはため息をつく。
「もし、帰れなかったらどうするんだよ!!」
「まぁ……無事でよかったが……」
かんなは焦る。
「ごめんなさい!」
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すると――クロもかんなに続いた。
「クロも、ごめんなさいクロ……」
「ティアムさんの話、ちゃんと聞いてなかったクロ……」
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ティアムは二人をじっと見つめたあと、少し柔らかい声で言った。
「まぁ……いいさ」
「でも、次からはやめといた方がいいぞ」
「クロも、人の話はちゃんと聞くんだぞ」
「分かりました」
「はーいクロ!」
こうして――クロ救出大作戦は終わった。
しかし――
ティアムの作戦は、結局意味がなかった。
面白いですか?




