遊びの名を持つ罠
無理
遊びの名を持つ罠
あの本。表紙には「遊びの図鑑」と書かれていた。
だから、ただ遊びたくて開いただけだった。
かんなと一緒に、何か楽しいことができたらいいなって――それだけだった。
でも、ページをめくった瞬間、そこに書かれていたのはまったく違う内容だった。
---
これを読んでいるあなたへ。
どうしてこの図鑑を開いたかは知りませんが、あなたはすごいです。
この本は、遊びの図鑑ではなく、私からのヒントの本です。
なぜヒントを渡すかって?
今、私は上機嫌だからですよ。それだけです。
では、ヒントを教えましょう。
別の世界へ繋がるゲート――上にあり。
---
別の世界へ繋がるゲート……上にある?
じゃあ、真ん中のフロアじゃないってこと?
でも、さっきの気配は真ん中から感じた。
なのに、ゲートは上にある……?
2階のどこかの本棚に隠されているってこと?
そう思った瞬間、続きが目に入った。
---
また、上とは、本当の上のことです。
---
本当の上……?
でも、神殿は2階までしかない。
それ以上の上なんて、存在しないはず。
じゃあ、このヒントは何を言ってるの?
かんなに図鑑を読んでいるのがバレて、怒られた。
「いいところだったのに」って言ったのは、まだ続きがあったから。
かんなが去った後、続きを読んだ。
---
このヒントをよーく見るんだ。
これは引っ掛け問題だ。
ちゃんと意味を理解しないと、ゲートの場所は分からない。
これを見つけたあなたなら、きっと分かるはずだ。
---
引っ掛け問題……?
どこが?
上って言われたら、普通は2階だと思う。
でも、本当の上って言葉が引っかかる。
本当の上があるなら、嘘の上もあるってこと?
でも、他に上なんて見当たらない。
かんなにも、まだ何も伝えられていない。
かんなは焦ってる。
呪いにかかったやヤバい、グランファリーさんを……って、必死になってる。
だから、クロの話を聞いてくれない。
こうなったら――最終手段。
不安だけど、もう黙っていられない。
クロは、そっとりゅうとの方を向いた。
「りゅうと、ちょっと話があるクロ」
「お、なんだ? 俺に話って」
クロは、少しだけ目を伏せて、静かに言った。
「実は……」
無理




