神が語る伝説の魔法使い
無理
神が語る伝説の魔法使い
「おい、返事をしろ!」
かんながヘリコプターの方を振り向くと、そこには――ボス・バーク。
(どうして……? 私、透明魔法を使ってるのに……)
周囲には誰もいない。
つまり、見破られたのは――私。
「お前、ミオルドのメンバーじゃないよな?」
(どう答えれば……)
メンバーじゃないと言えば、グランファリーさんの言っていた通り、手下にされるかもしれない。
メンバーですと嘘をついても、透明魔法を使っていることを突っ込まれるだろう。
選択肢は二つ……そう思ったその時。
「そうだ……!」
かんなは閃いた。
選択肢は、二つだけじゃない。
逃げる、隠れる、そして――戦う。
かんなは、迷いなく魔法を発動した。
「夢魔法《紅景奏塔》!」
「なっ……防御魔法……!」
バークが防御魔法を唱えようとするが、間に合わない。
かんなの魔法が直撃。
バークの周囲が一変する。
草原、山、そして美しい音楽が響く幻想空間。
ヘリコプターも、仲間も、すべてが消えた。
「くそ……どうなってるんだ!? おい! ボスのバークだ! 応答しろ! ハラヤ! ミツキ! 返事しろ!」
通信機に叫ぶが、応答はない。
「例のもの……いらないのか!?」
沈黙。
(ここは……違う世界?)
バークは混乱する。
神殿も見えない。仲間もいない。
まるで、別の空間に閉じ込められたようだった。
その時――背後から声が響いた。
「バーク」
振り向くと、そこには人影。
誰かは分からない。だが、ただ者ではない気配。
「おい、お前は誰だ!」
「あぁ、僕のこと? まぁまぁ、落ち着け。すぐに分かるさ」
そして、姿がはっきりと見えた。
「お、お前……まさか……!」
「そのまさかさ。お前を癒しに来てやった、優しい優しい神だよ」
「優しい神なわけないだろ! お前は……世界一凶暴と言われる悪の存在――ガイルド・ディモンリルド! 略してリルド!」
「正解! おめでとう。今回はその僕が、優しくお前を癒しに来てやったのさ」
「おい! 一体何のつもりだ! 俺たちも悪だぜ? まさか、神がミオルドと協力してくれるのか? それならありがた……」
「いやいや、そんなわけないだろ。こんな弱いチームと組んだら、僕の名が汚れるww」
「くっ……じゃあ何なんだ! なぜここにいる!」
リルドは、にやりと笑って言った。
「お前を倒さないと――伝説の魔法使いが消えてしまう」
「は……?」
伝説の魔法使いとは――?
そして、リルドの目的とは?
物語は、さらに深い謎へと進んでいく――。
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