あ、恋奈とるなぴよ発見〜
恋奈の宣言と共にチャイムが鳴った。
「っとと、じゃあ恋奈教室戻るね。じゃあ、また!ルナち、クアムん!」
足早に駆けてく恋奈を見送った後、月とクアムも自分達の教室に戻った。午後の陽気をカーテン越しに感じる。カーテンの隙間から漏れ出る光が月の机を掠めていた。席に座った月は目を伏せて言う。
「恋奈…ね、悪い子じゃないんだ。でもクアムがちょっと嫌なら無理しなくていいから。アタシと恋奈は友達だけど、だからってクアムにそれを強制したい訳じゃないし、クアムが距離置くのは悪いことじゃないからね」
月が言い終わって、少ししてからクアムが口を開く。
「ルーナ、ワタし、コイナ嫌けど、友達もほんとウ。エと……大丈夫。コイナきらいじゃない。…これから、ともだっちなる。……なりタい。」
カーテンからの光の筋が2人の腕を同時に照らし、濃度の違う2つの黒を映した。
「……うん………うん!ともだっち、いっぱい作ろ!」
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その頃、1人教室に戻った恋奈は両手を固く握りしめながら呟いた
「くあむん…………クアム……っはは、外人じゃん。…ルナち、なんであんな子と…恋奈だって、恋奈の方がっ……」
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──翌日、お昼休憩。アタシとクアムがいる2組に恋奈が加わった3人でご飯を食べていると、クアムが信じられないことを言う、
「え!?日本語勉強したの去年からなの!?」
アタシはクアムの口元に卵焼きを運ぶ。
「ウん、センせえが教えてくレた」
「天才っ子だ〜」
恋奈がクアムのほっぺをつつく。されるがままのクアムはつつかれながら卵焼きを頬張る。黙々と食べるのがリスみたいで癒やしだ。
「コイナにもあげる、これ、おいシい」
恋奈は卵焼きを差し出されたと同時に食いついた。「ふんっ」と拗ねたような表情は咀嚼する毎にみるみる明るくなる。
「うわっ、何これ本当に美味しい〜」
「マニ…おかあサんに作ってもらった、これ」
「え、恋奈くあむんのお母さんに弟子入りしよっかな…」
恋奈がそう言うと3人の笑い声が響く。
「えーなになに〜。何食べてんの〜」
月の肩に抱きついたのは高身長で黒髪ロング、小麦肌の女子だった。スカートはギリギリまで上げていて、胸元のボタンもしっかりと閉じていない。
校則違反が服着て歩いているような彼女をみて、恋奈が立ち上がって声を荒らげる。
「あー!もうセイカ、ボタン開けすぎ!」
「お洒落だよおしゃれ〜」
セイカは首にかけた紫色のリボンをぱたぱたと揺らす
「お洒落ったって、こぼれそうになってたら世話ないでしょ」
「別にいいじゃ〜ん」
「まー恋奈も落ち着いて。それで、セイカはどしたの?いつもの食堂いると思ってたんだけど」
恋奈をなだめたアタシは上にあるセイカの顔を覗き込む。するとセイカは抱きついていた腕を離して、空いている隣の席の椅子を引っ張り出して座った。
「どうしたのはこっちのセリフだよぉ〜ここんとこ食堂行ってもるなぴよ達居ないんだもん〜」
セイカは机に腕をのばして溶けるように文句を言った。
「ごめんごめん!でもグルラにスタンプ送ってたじゃん!」
「ルナちのスタンプ分かりにくいもんねー」
「えっちょ、恋奈まで!」
「だからこの前おそろで買ったさー……………」
3人でしばらくスタンプの善し悪しについて語った後、セイカの目にもくもくとご飯を食べ進めるクアムが映る。
「てか〜この子が噂の転校生ちゃん?」
「そうそう!クアムです!アタシの友達ー!」
月がクアムに抱きつくと、セイカはクアムの頭を撫でた。
「ごめんねクアムちゃん、わかんない話ばっかしちゃって」
「えト、だいジょぶ。きいてるのたのしい」
クアムは弁当箱の蓋を閉じながら少し考え、セイカが言葉を発する前に切り込んだ。
「セイカは、わたし嫌じゃナい?」
「ん〜私はね〜」
セイカを頬ずえをついて、クアムに優しく笑って言った。
「仲良くしたいかな」




