バカにしか感染らないウイルス
博士「ついにバカにしか感染らないウイルスを開発したぞ! これで日本中のバカたちを弱らせて、この国をもっとよくできるはずだ!」
助手「やりましたね、博士! 困難続きの開発でしたが、私たちならできるはずだと信じてました!」
博士「バカばかりのこの国では、我々のような天才はずっと蔑ろにされてきた。このウイルスでやつらに復讐できると思うと心が躍るわ!」
助手「では、博士。早速学術論文の執筆に取り掛かりましょう」
博士「何を言っているんだ君。論文なんて書いて我々の業績が知れ渡ったら、バカどもがどんな手段を使ってでも阻止してくるに決まってるだろ」
助手「すると、博士。私たちの手でこのウイルスをばらまくということですか?」
博士「その通りだ。では、早速実行に移そう」
助手「はい!」
一ヶ月後
博士「ウイルスをばらまいてから一ヶ月が経つが、状況はどうだ?」
助手「はい、私は天才なので特に体調に異常はないです。むしろいつもよりも元気です」
博士「馬鹿者! お前の体調を聞いているのではない! まあ、私も天才だから、体調には全く異常はないがな! そうではなく、ウイルスによってこの国のバカどもは計画通り弱っているのかということを聞いているんだ」
助手「それがですね、博士。ウイルスのばらまきには確かに成功しているんですが、思っていたよりも効果がなくて」
博士「そんなバカな。ウイルスの感染力はとんでもなく強く、一度ばら撒かれたらあっという間に国中に広がるはずだぞ。そもそもばらまきに失敗しているんじゃないか?」
助手「いや、それがですね。まったく効果が出てないわけではないんです。例えばなんですが、以前博士がバカだと言っていた、ノーベル物理学賞候補と言われている飯沼教授やフィールズ賞を受賞した平本教授が三週間前からずっと体調を崩されているらしくて……。とある伝手から詳しい症状を聞く限りでは、このウイルスが原因である可能性が非常に高いんです。他にもちらほらとこのウイルスが原因ではないかと思われる話が聞こえてきています」
博士「うーん。確かにそいつらは政治ができるだけのバカではあるんだが、どうしてそいつら以外の馬鹿どもにウイルスが効かないのか謎だな。もう一度確認してくれないか?」
助手「はい、実験室に行って確認してきます」
博士「私は天才なのだから、ウイルスの開発自体は成功しているはずだ。一体何が起きているんだ?」
助手「博士! 原因がわかりました!」
博士「なんだ!?」
助手「大変申し訳ありません、私のミスです! バカにしか感染しないウイルスをばらまいたはずが、実際に私がばらまいたのは、開発途中で偶然出来上がった、天才にしか感染しないウイルスでした!」
博士「……ということはつまり?」
助手「はい、今この国に広がっているのは、天才にしか感染らないウイルスということになります」
博士「……」
助手「……」
博士「そういえばなんだが」
助手「ええ、博士。私もそういえばなんですが」
博士&助手「「なんだかさっきから、体調が悪い気がするなー」」