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罪人達の終わり

ライディン王太子はなかなかの強さだった。


テオドールは時々飛んでくる蹴りや拳を避けながら流れ回った。

「くそっ!踊ってんじゃねぇ!」

イライラしながらライディンが怒鳴る。


けれどテオドールはその持久力と身軽さを活かし、巧みな刀捌きでライディンの攻撃を受け流した。


息があがるライディンの動きがどんどん鈍くなっていく。


「お兄さんよぉ‥体力ねーんじゃねぇの?」

テオドールは、峰でライディンの胴を叩いた。

「ぐっっ‥」

その衝撃が鎧に響いて身体が痺れる。


鎧を身に付けているライディンの身体はテオドールの打つ刀の衝撃に辛うじて耐えていた。


「なんなんだっ‥てめぇ‥‥!!」


かれこれ10分以上撃ち合いをしている。

それなのにテオドールの動きは止まらない。

その動きに付いて剣を振るう腕が重くなっていく。



早い刀捌きで小手や胴を打ち、頭を避けて最早遊んでいるも同然だった。


「ハァァァァーーー!」

テオドールの威嚇の声にまで圧倒されかけていた。


手は痺れ、肩も打たれ続けて剣を持っているのが辛くなる。


「くっ‥そがぁぁ‥!!!!」


振り回す剣は、どこを狙っているわけでもなかった。

その剣を避けてテオドールの刀に休みなく打たれ続ける。



ガシャャーーー‥‥



音を立ててライディンの剣が床に落ち滑り流れて遠く離れていった。



「ハァ‥‥ハァ‥‥‥ハァ‥‥‥」

肩で息をしたライディンが、ガクンと両膝をつく。


そして、テオドールの刃はライディンの首に当てられた。


「‥‥‥‥てめぇの負けだ。もうその手は動かねぇだろ。」

冷たいテオドールの目が、ライディンを見下ろす。



「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥」


もはや声も出なかった。


こんなに、体力も剣捌きも時間が経つにつれてついていけない‥‥。



「最後はな、持久力がものを言うんだぜ?」


ライディンは大量の汗を流し息が上がるのに‥‥

静かに息を吐きながら汗を流しただけで、

むしろスッキリした顔をしているテオドール。


ライディンの目の前は眩んでいた。




このままじゃ‥‥やられる‥‥‥




その気持ちに支配されていた。


その時、テオドールの後方から剣が向けられる。

「‥‥‥‥‥」


その気配を既に察していたテオドールは、刀を翻し振り返りもせず弾き飛ばした。


剣を向けてきた相手は、レベッカだった。


「なんなのよ‥‥‥ここで負けたら!!!殺されちゃうじゃない!!!私を妻にしなさいよ!!!手を結ぶって言ってるでしょ!!!!」


死の恐怖から叫ぶレベッカの目は正気ではなかった。


「あり得ないと書状を出している‥。

帝国に手を出した時点で、不可能だ。」


「暗殺者に狙われてる女より、国益を考えなさいよ!!

帝国の貴族が!!殺そうとしてるでしょ!!!」


「はっ‥‥知ってるんだな?」


「当たり前よ!!!その女を殺すためにいくら出したと思ってんのよ!!!!」


ニヤリとテオドールは笑みを浮かべた。


「ロスウェル、この女と王太子を縛っておけ‥‥


帝国に連れて帰るぞ。いい証言も聞けそうだ。」


「サーーーーー!!!!」

「‥‥‥‥頼んだぞ。」


もう口を出すのもうんざりした。



こうして、ライディン王太子とレベッカ王女の身柄を拘束し、

イシニス城にアレキサンドライトの国旗を掲げた。


地下室には、国王と王妃の死体が安置されていた。

イシニスの騎士達は、第二騎士団の手によってその身柄を拘束された。



イシニス王族のバルコニーに立ち、テオドールはその声を張った。


「イシニス王太子と王女は、帝国アレキサンドライトを奇襲し、警告に対し不誠実であった。よって‥アレキサンドライトの皇帝陛下より宣戦布告を受けた。


帝国を敵に回し、愚かにも自国を危険に晒した王族を拘束した!!すでに王族は存在しない!!!!


帝国アレキサンドライトの皇太子である私が、

そなたらの生活を脅かす事は断じてないことをここに宣言する!!!!


イシニスは我が帝国の一部となる!!!!


決してそなたらを見捨てる事なく、この国を我がアレキサンドライトが責任を持って収めよう!!!!


これは決定であり、そなたらの生きる道である!!


我々を信じ、帝国に従うのだ!!!!


追って沙汰を出す故、今まで通りに住まわれよ!!!」




アレキサンドライト皇太子の告示により、


イシニスとアレキサンドライトの紛争は幕を閉じた。





テオドールが戦っている間の事、オリヴァーは第一騎士団を率いて皇太后の前に立っていた。


騎士団を連れてきた皇帝に、皇太后は目を見開いた。


「何事かしら‥オリヴァー?」

「皇帝です。あなたを、前皇帝の側室エレナがあなたを毒殺しようとしたと言う偽装と、皇太子の婚約者並びにその父ダニエル・ブラックウォール辺境伯殺害未遂、マーガレット皇后の毒殺未遂で拘束する。」


そう告げると、皇太后はキッと目を釣り上げてオリヴァーを睨んだ。


「この母を捕らえると申すか?」

「あなたは既に罪人です。私の母は、毒を手にした日に死にました。」


オリヴァーの冷たい目が皇太后に向けられた。


「っ‥誰のためにっ‥‥‥誰のためにこの母がここまでやったと思っているのだ‥」



「ご自分の為でしょう?‥‥アドルフ・ブラックウォールの件も私は知っています。あなたのその身勝手な振る舞いで何人もの人が傷を負い、死んだ者がいます。


逃れることは出来ません。」


「くっ‥‥証拠などあるものか!!!!」

「証拠はあります。悪を働けば、必ずその痕跡が残るのです。早く拘束せよ。遠慮は無用だ。」



そう言ってオリヴァーは指示した後に、その部屋を出て行った。


「‥‥‥っ‥‥‥」

悔しげに息子の背中を睨みつけながら、皇太后はその身柄を拘束された。




同時刻、ブリントン公爵家、ハイドン公爵家、オリバンダー侯爵家の者達が、第一騎士団の手で拘束され、城に連れて来られる。


ただ1人‥‥ヘイドン侯爵家のライリーのみ、行方が分からなくなっていた。



オリヴァーは、次々と玉座の間に連れて来られる罪人達を

玉座に座り冷ややかに見下ろした。


「陛下!!!これはどういう事ですか!!!

私達が一体なにを!!!!」


ブリントン公爵が声を上げた。

だが、そんな声ももはやなんの役にも立たない。


ヘイドン侯爵は、悔しげに俯いていた。


そして、1番暴れていたのはオリバンダー侯爵と息子2人だった。



「私が何をしたと言うのです!!!」


その言葉に、オリヴァーは返事をした。


「イシニスの奇襲について、お前が手引きをした疑いがある故、拘束した。」


「まっ‥まさか、貴族議会での事で私をお疑いに?!


あんまりです陛下!!私は国益のために!!」


「黙れ!!!‥‥お前達一家は‥‥愚かにも皇太子の婚約者に穢らわしい思いを抱き、女達を強姦していた。


すでに別邸も調べてある。このクズが‥‥‥


浅ましくも皇太子の婚約者に!!!!

そして、暗殺者を向けるためにイシニスと取引をしたであろう!!!言い逃れなど出来ると思うな!!!!!」


オリヴァーの怒号が響く。


オリバンダーの横でモリスとレイブは、まるで禁断症状の様に身体を震わせてリリィベルの名を呟いていた。


それを横目に腹を立てたオリヴァーは、2人の口を塞がせる。


「イシニスに帝国の情報を売り暗殺者をリリィベルに向けた。奇襲にも加担しているかどうか徹底的に尋問する。



生きていられるなどと思うな?


私を怒らせた罪は重いぞ‥‥‥?



来世は人に生まれてくるな。穢らわしい者どもよ‥‥」



吹雪が舞いそうな程、オリヴァーの瞳でその場は凍り付いた。




読んで下さりありがとうございました!

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