星の記憶 5.5 〜星が降る夜〜
「おーい如月!こっちも5番テーブルに持ってってー」
「うーい」
俺が決意してから、3ヶ月経った。
礼蘭と初めてを迎える為に、策を練った。
高校生になってから、礼蘭は益々綺麗になったし、
キスする度に、抑えきれない想いが溢れてきて
言葉の通り、足りなかったのだ。
礼蘭が、喜ぶように、忘れられないように
その一心で、溢れる想いをバイトに向けた。
礼蘭に悟られぬ様に、居酒屋でバイトして3ヶ月。
鬼シフトを耐えられたのは、鍛えたおかげか。時折くる礼蘭のメールはこっそりトイレで礼蘭に返し、何食わぬ顔で働いた。バレちゃいけない。
雑誌を読み漁ったり、友達に聞いてみたり、記念に残ることが出来る様に、金を貯めて損はない。
そして見つけた。高校生の俺が精一杯の背伸びをして
この部屋を取ってやる!
取ると決めたら取る!試合に挑む気持ちだった。
礼蘭が最近、焦れているのを知ってた。
礼蘭とキスの後の。その顔は、すごく‥可愛かった。
俺は、狼だったかも知れない。
俺と同じ想いを、礼蘭にも思わせたくて‥‥
その踏み留まる気持ちを、超えてほしくて‥
そんな決意に導かれる様に礼蘭はある日言った。
花火大会に行きたいと。
そして礼司おじさんに言ったんだ。正々堂々と。
「礼司おじさん」
「なんだ?」
礼蘭が友達と出掛けていない時間を狙って、カフェに行き
いつもの席で、俺は背筋を伸ばした。
俺達がホテルに泊まるには、同意を貰わなければならない。
「ここ、すごくよくね?」
雑誌を広げて見せた。
「あぁ〜ここね!すごい綺麗なホテルだよね!
よくテレビとかでも泊まると言ったらここ使われるよね?」
「うん。そう、めっさいいとこ。」
「暁どうしたの?」
「ここ、礼蘭と泊まりたい。」
笑ってた礼司が笑顔のまま固まった。
「‥みんなで?」
「いや、2人で」
「‥‥いつ?」
「花火大会に合わせて‥‥早めに抑えなきゃだから、今から予約しときたい。今まだ空いてんだ。だから、いい?」
そう言って、印刷しておいた同意書をススっと差し出した。
そして、一気に決める。
「書いて。」
礼司は、そのまま同意書を見た。
「‥‥‥挑戦状?」
「ある意味?」
「‥‥‥まだ早くない?」
「俺、もう17年も礼蘭と一緒、このままじゃじじぃになる」
「‥‥‥‥‥」
言葉に詰まった礼司をこのまま攻め落とす。
「この家でされるの嫌でしょ?」
「‥‥‥‥‥」
「かと言って、残るは俺の部屋だよ?いいの?」
「‥‥‥‥」
「礼蘭には、良い思い出にして欲しいでしょ?」
「‥‥‥‥」
「一生大事にするから、書いて。」
「‥‥‥暁‥‥‥俺に同意しろと?・・・・俺を殺す気か?」
「いや生きて?素敵でしょ?この部屋。」
「‥‥‥‥あき」
「急に朝帰りさせる前に書いて。」
「‥‥‥‥くっ‥‥‥‥」
「俺じゃダメですか?」
「あきっ」
「俺じゃダメですか!!」
「‥‥‥‥‥」
礼司はしょんぼり肩を落とした。
そして、不本意ながら同意書にサインをしたのだった。
勝った。
「言っておくけどな、暁。」
「ん?」
「礼蘭の気持ちを尊重してくれよ?」
「わかってるよ。」
きょとんと暁は礼司に言った。
「もちろん、礼蘭が嫌だって言ったら、俺は指一本触れないよ。」
「・・・・・礼蘭がいいって言うまで、我慢する。」
「俺の嫌は尊重しないの?」
「・・・・おじさん、自分の青春、思い出して?」
「っ・・・・お前なぁっ・・・・」
「心当たりあるでしょ?俺も礼蘭も一緒だよ?」
「俺は、悪い事してる気ないよ。俺、礼蘭大事にしたいから。でも好きだから。
産まれた時から一緒で、今更、礼蘭と離れられるわけないじゃん。」
「それは・・・人知れずやるもんだ・・・・。」
「でも、ここ泊まりたいもん。」
「はぁ・・・・・・。まさか、娘の初めてを宣告されるとは・・・・。」
「赤飯でも炊いて?」
「調子に乗るなぁっ。」
「へへへっ!!」
次は如月家にて。、
「今なんて言った?暁‥‥」
正座をして真剣な暁に、父、忠が聞き直した。
「バイトして、金貯めてるから、このホテル予約してほしい」
ピンと雑誌を開いて見せた。
「違う、その前だ‥‥」
「礼蘭を抱きたいから、同意書書いてホテル予約して。」
「暁‥‥‥お前、親に向かって宣言しなくてもいいだろ」
「どっちみち、泊まって帰ってきたら思うだろ?
なら知ってろよ。俺はこの日に礼蘭とセ」
「わわわわわわっっ‥‥明け透けに言うなっ!」
「恥ずかしがるなよ。親父だって経験あんだろ」
「自分と子供は違うんだ!礼司が知ったら‥」
「礼司おじさんにも言った。泊まって帰るからって、
ちゃんと礼蘭の同意書も貰った。勝った。」
「えっ‥‥お前‥‥言ったの?勝ったってなにっ‥」
「急に朝帰りさせたら心配すんだろうが!」
「そうじゃない‥‥そうだけどそうじゃない‥」
「ごちゃごちゃうるせぇ、俺と礼蘭の初めてを無駄にしたくなかったら、同意書書いて?予約して?お父さん?」
暁はにっこり笑って、トン、トン、と雑誌を指差した。
「お前、それで‥夜ずっとバイトしてたのか?
礼蘭ちゃんに内緒で‥しかもこんな高い部屋‥」
「当たり前だろ。礼蘭以外にどこに金使うんだよ。
それに記念日も近いし‥‥プレゼント買わなきゃなんねーんだよ。」
「お前‥‥‥すごいね‥‥‥」
スマホで忠はホテルの予約し始めた。
「初めてだから、雰囲気で誤魔化しとかねぇと恥ずかしいだろうが!」
「そこは恥ずかしいのな?」
「礼蘭がだよ。俺は恥ずかしくねぇよ。」
「あ、そっちなの?まぁ、親に堂々と宣言するんだから、そうだよね‥‥、はい、予約したよ。俺の名前で、泊まるのはちゃんと2人にしといたから。‥それより、礼司大丈夫だったの?」
「あー‥まぁ、俺を殺す気かって言われた。」
「それで‥?」
「赤飯でも炊いてって言っておいた。」
忠は、その場で謝った。
「礼司‥‥‥すまん‥‥‥」
「なに、ダメなの?18じゃなきゃダメ?禁?R18?」
「いやっ‥‥ダメじゃないけど‥普通親に宣言しないって‥‥」
呆れた忠に、暁はどんどん大砲を撃ってくる。
「自分達を産んでくれた親に言ってなにが悪いんだよ。
親父達が同じぐらいに仕込んでくれたから、俺と礼蘭が居るのに。」
「やめないか!!!!もぉ!!!!」
親父たちの同意も得たし、あとは当日ホテルにたどり着いて、礼蘭に花火を見せてやるんだ。
俺のこの邪な計画が、ダメになってもそれでいい。
嫌がる事、したくないし・・・俺だって少し怖かった。
ちゃんと、大事に愛せるか・・・。
でも、もう、このままじゃ嫌なんだ。
これが大人になる階段なら、俺は礼蘭と踏み出したい。
俺たちはいつも一緒だから・・・・。
花火大会、部屋で花火を見た礼蘭は、俺の手を握ってくれた。
礼蘭からキスをしてくれた。女の顔をした礼蘭を抱き寄せて、俺の心臓は思った以上に破裂しそうで。
俺が礼蘭を欲しいと思うように、礼蘭も俺を欲しがってるって伝わったから・・・。
ベッドに押し倒した時、礼蘭しか見えなくて。
いつも触れたいと思うところを、全部触れた。
礼蘭が必死にしがみ付くのが愛しくて、瞳を濡らしているのにそそられて。触れ合う身体が熱くて、心地いい。
こんなに、余裕がなくなるなんて、思わなかった。
俺の下で、俺が好きだと、愛してると言葉にする礼蘭が、
丸ごと、俺のものになったような気がして・・・
身体は勝手に動いた。礼蘭の欲しがる所全部、導かれるように。
痺れるような感覚が心地よくて、目の前に礼蘭が居て、気が狂いそうな程だった。何度こんな想像をしていたか‥
夢じゃない。。。
ゆっくりと、エンディングはやってくる・・・。
もっと、長く・・・お前に溺れたい・・・・。
礼蘭の愛しい声が、頭に響いて離れない。
掴んだ細い身体を離したくない‥‥
時々俺の名を呼んでくれるから、それが、嬉しくて、愛しくて・・・・・。
愛しか見当たらない。
初めてのお前との夜を、俺は忘れない。
お前しか見えない。お前のすべてになりたい・・・。
暁編でした。
読んで下さりありがとう御座いました!




