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いらねーし

「では、私はこれで‥‥」

ダニエルが城を下がる。

「‥お父様‥」

リリィベルは少し悲しげに、その胸に抱き付いた。

「リリィ、これからは皇太子殿下のおそばで、しっかり学び、皇后陛下を見習って過ごしなさい。」

「っお父様‥‥‥」


リリィベルの瞳から涙がこぼれ落ちる。


「お前の荷物を送るからな。それに、会えない訳じゃない。

北部へ戻る前に、顔を見にくるよ?」


「はい‥‥お父様‥‥」

抱きしめ合う親子を、皇帝家族が見守っていた。


正面の門から馬車が出て行く。りりィベルはその姿をしばらく見送った。



オリヴァーはリリィベルの肩に手を置いた。

「すまないな、リリィ‥父とこんなに早く離してしまった‥」


そのオリヴァーの言葉に涙を拭って、笑って見せた。

「とんでもございません。陛下‥‥私は皇太子殿下の手を取ったのです‥‥。これは私の人生‥‥父と2度と会えないわけじゃありません。ですが、皇太子殿下の側には、望まなければいられません。どうか、これからも宜しくお願い致します。」


「リリィ、本当にいい子ね。大丈夫よ。私達がいるわ?」

マーガレットはリリィベルを抱きしめた。

「はいお義母様‥。」

「さぁ、部屋はそろそろ整っているはずだ。案内しよう。その後4人で夕食だ。」

オリヴァーの言葉で、3人は歩き出す。


その三人の背中をテオドールは少し眺めていた。



これからは、一緒に居られる‥‥


そばで守ることが出来る‥


愛する父と母、



そして、愛する人‥


愛するリリィ。




皇太子の自室の隣の皇太子妃の部屋。

これは、オリヴァーがマーガレットが来た際に施したのだ。


皇太子宮を夫婦の宮とした。自由に行き来出来る様に。

もちろん、続き部屋である。


「私が使ってた家具ばかりだけれど、自由に使って、

そして、そのうちにリリィの好きな家具を置きましょう?」

「お義母様!とっても素敵なお部屋です。」

「ふふっ嬉しいわぁ。」


女達は楽しそうに話している。

それを見る男達は、幸せそうな表情を浮かべていた。


「見ろ、テオドール‥これが幸せだ。」

「はい父上‥‥リリィが楽しそうで幸せです。」

「そうだろう?私も今とても幸せだ。マーガレットがあんなに喜んでいる。」

「同じくです父上、リリィが可愛くて死にそうです。」

「あぁ、わかるぞ。2人共可愛くてたまらないな‥」


ベタ惚れとは、まさにこの事か。


だが、父はスッと、鍵を差し出した。

それを横目にして、息子は父を見た。


「そんなもの必要ありません。」

「いや、まだダメだ。」

「何かあったらその鍵をガチャガチャするだけで、遅れを取ります。」

「なんの、蹴破れば良い」

「父上、私の邪魔をするんですか?」

「違う、これはダニエルの為だ。」

「‥‥‥卑怯です。」

「結婚までは1年、妃教育に入るんだ。

あのか細い腹を膨らませてウェディングドレスを着せるか?

帝国の皇太子妃が」

「ははっ‥父上。」

「なんだ?」

「父上に言われたくありません。」

「お前、言ってくれるな‥‥」

「これから私は戦いになるんです。どうぞ、私を信じてください?」

「男の欲は信じられないんだ。特に、その若さ故にな。」

「それは経験談ですかー?父上?」

「ははははは、悪いか。事実だ。私の子だ。どうだ、よく分かっているだろう?その血に流れる私の血がな!」

「マジいらねーし!」

「その口調はやめろ」

「やめねーし、しつけーし。」

「いいから言うこと聞けバカ息子」

「バカじゃねーし」

「くそが俺に歯向かう気か?」


親子はよく皇族の仮面を床に叩き捨てる。


鍵を差し出し、押し戻すと親子は繰り返していた。

荒い口調になりながら。


しかし、テオドールはふとその鍵を受け取った。


「あぁ、理解したか?テオ?」

にっこり笑った父。

「‥‥‥‥‥」

父ににっこり笑顔を返した息子。



パキンッ!!!



笑顔でその鍵をへし折った。鍵穴もグッと力を込めて曲げた。


「‥‥‥‥‥‥‥」


双方ニコニコ笑顔を崩さない。


「‥‥やったな?」

「えぇ。不毛なので」

「そうか」

「はい。父上の子ですので」

「そうか、私の子であったな。わかっている。」


父は、スッと同じ物をポケットから取り出した。

息子はそれを察した。


「安心しろ?スペアは腐るほど作っておいた。

壊れるのが鍵が先か、お前の手が先か、賭けようか?」


「はははっ、分かりましたよ。持っておけばいいのでしょう?」

ようやく、テオドールは鍵を受け取った。


「持てばよいのでしょう。」

諦めた表情を浮かべた。


「鍵をかけるかどうかは別です。」

去り際に真顔でそう言い放った。

「おいこらクソガキ」




帝国の高貴な皇族の男は、よくその仮面を破り捨てる。

テオが最近礼儀正しい口調ばかりだったので、

書いているうちに部屋の話だけで‥。こんな事に。

荒っぽいオリヴァーとテオが好きです。


読んで下さりありがとうございました!

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