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運命とは

『お誕生日おめでとう、嬉しいだろぉ?』

ニヤリと笑ったアレクシス。世界は一転し、またいつものアレクシスと俺の空間だった。


「今会場入るところだったんだけど?」

『はははっ扉を開けると別世界なのだ。面白いだろう?』

「おもしろくねーよ…俺のワクワクを返せ」

『なんだ?お誕生日会で浮かれていたのか?テオドール』

「そこまでじゃねぇけどっ…今じゃねー事は確かだ」

『ほぉ?では夜そなたのバルコニーに眩く飛んで参ろうか?さぞ絵になるな、私が。』


自信たっぷりに胸に手を当てた。その指先までもが優雅だったのが異様にムカついた。


「いいよもう…お前が来るの、待ってたし…」

『そうだろう?だから来てやったのだ。』


ふふんっとニヤリと笑ったアレクシス。俺は気が抜けた顔を前面に出していた。


「じゃあ…いつもの頼んでいいっすか?」

『ははっ、プレゼントだぞ?…探せ。』


「は?」


今度こそめんどくせぇ…。


『だからお宝探しだ。宴には余興だろう?ヒントはやる』

「へいへい…もう反論するのもめんどくせぇ…」


落ちた肩はそう簡単には戻らなかった。



『なんだ、いらないのか?来年を待つか?』

「やぁぁるよ!!!!!!くそがっ!!!!」

『はっ…生意気な奴だ。』

「で!?ヒントは?!」


手を出して早く出せと態度で示した。

アレクシスはニヤリと笑った。



『蘭の花びらが彫られた指輪を探せ』



「どこからだよ」

『さぁ?どこかなぁ?お前の部屋には山ほどプレゼントが積みあがっていたじゃないか。』

「いつくあると思ってんだよ!!1日かかるわそんなもん!!」


『おや?そんな根性もないのか?』

「くそっ…やるよ!!!!探せばいいんだろ!!!」

『あぁ、さぞ、いい夢が見られるぞ?楽しみにしておけ。』


そう言ってアレクシスは消えた。


突然現実世界に放り出される。


「皆、よく来てくれた。今日は我が皇孫であるテオドールの誕生を祝ってくれ。

アレキサンドライトの輝きが続くように。」


グラスを掲げた皇帝陛下。それに続き皆がグラスを上げる。


「「「「「テオドール王子殿下に栄光の幸福を!!」」」」


わぁぁぁっと歓声と拍手が響く。


「皆、我が息子テオドールの誕生を祝ってくれて感謝する!今宵は楽しんでくれ!」


皇太子が笑顔でグラスを掲げた。


歓声はさらに続いた。皇太子妃が満面の笑みを浮かべている。

「テオ、皆に手を振ってあげなさい?」

ニコっと笑ったお母様。


俺は少し赤く染まった頬で、皆を見下ろし手を振った。


わぁぁぁっとまだ歓声があがる。




芸能人にでもなった気分だ…。くそはずい…。

顔に出すな…負けるな俺…。これが毎年あるんだ!慣れろっ!!!


和やかな雰囲気を装い、皆に手を振り続けた。


ホールの階段を降り、俺たちは上段の皇族の席についた。


そして、爵位順に貴族たちがあいさつにやってくる。

「テオドール王子殿下!おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」


この人たちは・・・・そうだ!皇后陛下の生家、そんでもって陛下の弟!公爵家!


顎鬚を綺麗に整えた気品のよい男性、皇后陛下に、どことなく似ていた。

「来てくださって嬉しいです。ブリントン公爵。」

「なんと喜ばしい事でしょう。どうかこれからも健やかに、皇后陛下がテオドール王子殿下の事を

とても可愛がっておられるのは存じておりましたが、こんなに皇太子殿下に似ていらして…。

まるで小さい頃の皇太子殿下を見ているようです。」


「あ・・・はは・・・」


公爵のあいさつは長かった。そりゃあ俺にとって大叔父様だから…



公爵に続き、侯爵家の者が挨拶へやってきた。ヘイデン侯爵、夫人と、そして同じ年くらいの女の子。

「テオドール王子殿下、お誕生日おめでとうございます。」

「あぁ、ありがとう。」


処刑された側室のエレナの侯爵家とは別に、皇太子派だったヘイドン侯爵家。

「ささやかながら、プレゼントをお送りしております。気に入って頂けたら幸いでございます。」

「ありがとう。楽しみにしているよ。」

にこりと王子的スマイルを浮かべた。


すると、ヘイドン侯爵の後ろに控えていた女の子と目が合った。


「あぁ、この子は私の娘のライリーです。陛下と同じ年でございます。お見知りおきを…」


「そう…よろしくね。ライリー嬢‥」

「よっよろしくお願いいたします。テオドール王子殿下」

可愛らしいドレスに身を包んだ。ブラウンの髪の少女だった、頬を赤く染めて俯いたと思えば、

チラリとこちらを見ておずおずとしている。



ふーん・・・・。



じっと、ヘイドン侯爵を見た。皇太子派の人間だが、その顔は少し欲が顔を出していた。

となると、侯爵家のこの女の子を、皇太子妃にしたいという事か…。


くだらないな…。




挨拶は次々と続いた。お父様やお母様に媚びうる者、好意がある者、表情を見ればどことなく感じることが出来た。


そして、俺と同じ年ごろの女の子を連れている貴族たちは皆、俺に鬱陶しい視線を送る。


俺、まだ8歳だぞ…。


お父様は…お母様と恋人で、恋愛結婚したけれど。。。。


こういうの、お父様にはあったのかな・・・・。


お母様も伯爵令嬢だったから、2人はこうやって出会ったのかな。


どんなふうに恋に落ちたんだろうな‥‥。




恋って‥どんなのだったっけ‥




誕生祭は続き、ホールの中心でお父様とお母様が仲睦ましくダンスしている。キラキラしていた。互いを見つめ、

息があった素晴らしいダンスだった。


まるでハートが飛んできそうだった‥




‥ビール飲みてぇな…



飲んでいるのはぶどうのジュースだった。


これが赤ワインだったらな‥




俺もダンスは習ったが、踊る気はなかった。

本当は誰かと踊らなければならない。


けれど、その気もないのに踊る事は気が引けた。


どこからともなく、視線はやってくる。

だが、位の上の俺に踊ってほしいと声を掛ける事は出来ない。


だから、俺は席を立たなかった。



「テオドール、お前も誰か誘っておいで?」


「嫌です‥お父様‥」


「なに?」


お父様は眼を丸くしていた。


「だって‥みんな眼が怖い」


俺の心を知ってか、お父様はははっと笑った。


「なるほど、だが、いずれ誰かと踊らなければならない日が来るぞ、今はまだかわせるがな‥」


気持ちはわかると、言いたげに息をついたお父様だった。



「お父様は、お母様といつ知り合ったのですか?」

「へ?」

「お父様も、こんな風に見られていたのでしょう?」

「あ‥そ、うだな‥‥あれは恐ろしかった。」


そう、女達は皇太子の目に留まろうと必死だった。

お父様は地位も魅力だったが、その顔やスラッとした体格、立ち振る舞いも絵に描いたような皇子様だった。


「マーガレットとは、私の誕生祭で出会ったのだ。」

「そうなんですか?」

「あぁ、私が8歳の時だった。挨拶に来てくれた時の綺麗なカーテシーをして、顔を上げたら、とても可愛いかった‥

幼心ながら、その後も髪を靡かせて歩くその姿が可憐で私を一瞬で惚れさせた。眼が離せなくなって‥私はダンスに誘った。


マーガレットはびっくりしていたな。だが、笑顔で私の手をとってくれた。それからはもう‥こういう機会が待ち遠しくて、会えば必ず声を掛けた。そしてダンスに誘った。私の気持ちに気付いてくれたのは、もっと大きくなってからだったな、マーガレットは少し抜けていて、私が皆と踊っているもだと勘違いしていたようだ。ふふっ、だから一言言ってやったのだ」


「なんて?」


「ただ、君が好きだ。と‥」


「一瞬眼を丸くしていたが、すぐ答えてくれた。


皇太子様、やっと、言ってくれたのですね?とな‥」


「え?」


「私の想いが、身体から溢れていたのをマーガレットは気付きながら、ずっと私が言うのを待っていた様だ。

気付いていないと思ってヤキモキしていたのは、どうやら私だけだったのだ‥


ふっ、小悪魔の様な台詞だが、マーガレットは私に媚びてもいない、自分から寄ってもこない。ただ、踊ったらさっさと行ってしまったしな‥

グランディール伯爵も欲のある人でもなかったし、ただ、挨拶しに来てくれるのを待っていたよ。そして、マーガレットをずっと見ていた。ダンスの時もこの眼に焼き付けるように見ていた。デビッドもいたし。過剰な反応を表に出す事が出来なかったな‥だから、マーガレットがそう言った時、私はもう彼女には敵わないと思ったよ。そして、後日言ってくれたのだ。〝私も皇太子殿下と同じ気持ちです〟とな‥

今思い出しても、胸が弾む‥あれは忘れられない‥」


ホールの中で貴族の夫人達と笑顔で会話してるお母様を愛しそうに見つめた。



「お父様は運命を、信じていますか?」


「運命か‥‥そうだな。マーガレットは私の運命の人だ。心を掴んで離さない‥私がそう思っているのだ。誰にも運命じゃないとは言わせないさ。それで答えにはならないか?」


「いいえ‥とても、素敵です‥。」


読んで下さりありがとうございます。


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