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眩しいんです

ロスウェルとハリーは、ロスウェルの癖で姿を消していった。

消える瞬間。ハリーは俺を凝視していた。


「・・・・?」


その眼に俺は首を傾げた。


部屋にはお父様と俺の二人きり。

お父様と並んでソファーに座った。


「ひどいじゃないかテオドール、父が嫌いか?」

「そんな訳ありませんお父様!」

「ロスウェルに抱き着くなんてあんまりだ…」

「お父様が悪いです…ハリーを僕の前でかわいがるから…」


この嫉妬心はテオドールの幼さが顔を出したからだ。


「ははっ…そうかテオドール。すまなかったな。ほらおいで。」

俺にも向かって、両手を広げた。


その姿に俺は嬉しくなって勢いよくお父様に抱き着いた。



離れ離れだったお父様、月日は流れたが、ずっと会えないものだと思っていた実の父親。

テオドールは皇太子を心から慕っていた。


穏やかな笑みを浮かべてお父様は俺の髪を撫でた。


「テオ、お前は私の大事な息子だ。何にも変えられない…大事な息子。愛している。」

「はい…お父様…」


心は喜びに満ちていた。


「私はお前が産まれた事を知った時、どんなに会いたいと思っていたか…。

会えないことがとても苦しかった。だが、今はこうして私の目の前にいる。


必ず、お前を近くで守ってやる。どんな悪からも…もちろんマーガレットも…


この気持ちは決して揺るがない。いつかお前にも、皇太子という重圧がのしかかってくるであろう。」


「お父様も、皇太子になって…苦しかったですか?」



その言葉にお父様はすっと目を細め、物悲し気に笑った。


「私は、この国の第一皇子として生を受け、小さな頃から様々を学んだ。だがな‥思い通りにはなかなかいかないものだ‥国をまとめる頭脳、貴族達を納得させること。両陛下の期待…。異母兄弟にこの地位を取られてはならないこと。


まるで鎖の様だと、思っていた時もあった‥


産まれた時から、私は皇子だった‥。だから、お前の気持ちを一番理解してやれる。


苦しい事もあるだろう。まだ若かった俺は年配の貴族に見下されてはならない。

民たちの見本となり、力を示し、同盟国にももちろんそうだ。


だが‥私が力を持てば持つほど、見えてくる世界があるのだ。この国を背負う覚悟と自信が

民たちの笑顔を見るたびに思うのだ。私が生きているうちは、貧しい者が産まれぬ様に…。

一人でも多くを救えるように、幸せだと思える民が一人でも多くあってほしい。

私が望めば叶えられる力だ。テオ、お前もそうだ。お前にもその力はいずれ訪れる。


人は人の欲は止められん‥だが、この力は悪に染めてはならない。

どんなに、悪魔が囁こうと、私たちが正義を貫かねば、何も守れないのだ。

一度守れなかった者を悔やんでも、帰ってこない。」


「・・・・そうですね・・・・・」


「だから、お前は多くを学び、力をつけろ・・・。誰にも反論されぬように・・・。


困った時は私のところへおいで。私はいつでもお前の味方だ。忘れるな。」



「はい・・・お父様。」




俺はお父様に抱き着いた手を離せなかった。


あぁ、俺はこの父の子でよかった。俺を理解し、味方になってくれる。

同じ王子として生を受けた事を分かりあえる存在。


時に我儘があったとしても、お父様は、俺とお母様と、アリアナとロイドの命を救った。

心無い噂を言われながらも、信念を貫き、愛を信じて歩みを止めないそんな人だ。


さっきまでハリーに当たっていた心が澄んでいく。

王子としての自分にイライラしていた。自由に生きていたから。


俺はきっと、怖かったんだ・・・。


こんな強い父と母を見て、立派な人間になれるのかと…。


「お前はずっと城下で何も知らずに暮らしていたんだ。簡単に王子になる事は難しいだろう。

さっきの口調だって、俺にも理解できるぞ?ロスウェルを見るとつい反論してやりたくなるのだ。」


にっこりとお父様は笑った。

そんなお父様の笑顔に、俺はちゃんと親子の血筋を感じたのだった。


「あぁ言ってロスウェルは怒っていたがな?あいつもあれぐらいの年の頃、私の前に現れた。

俺の本に紅茶をぶちまけてな?殴り合いをした。あの頃、まだあいつの魔術も未熟だったからな。

当時の筆頭魔術師に謹慎を食らっていた。ハリーはきっと、ロスウェルの様に強い魔術師になるかもしれないな。いつかきっとお前の力になってくれる。魔術師は言った通り、皇族に属する者だ。

この事は決して外部に漏れてはならない。私たちは魔術師たちも守っているのだ。悪しき者たちに渡らぬようにな。だから、理解してやってくれ。」


「ここから・・・出られないのですよね。」

「まぁ、ロスウェルは論外だがな。お前達を迎えに行っただろ?そんな事は

ロスウェルだからできた事だが、いつか、自由に世の中を歩けるようにしてやりたいものだ・・・」

「私が皇帝となって、お前が皇太子となった時、いずれわかることだ。ゆっくりでもいい。

お前はお前が信じる正義を貫いてくれ・・・。そして皆を守る者となるのだ。」


「いつかお父様の様に…立派な皇太子となれるように頑張ります。」


「あぁ…私の息子…信じている。」


そう言って、お父様はまた強く抱きしめ返してくれた。



「さぁ、そろそろ夕食だ。マーガレットが支度をしているだろうな。一緒に行こう。」

差し出された手を強く握った。


「はい、お父様!」



その日も、その次の時も、俺たちは食事を共にしたり、暇が出来れば3人で過ごした。


そう、皇太子家族はとても、仲睦まじく過ごしていると民たちが口にするほど。





城にきてもうすぐ1年になる。それは俺の誕生日を迎える時が近づいているという事だった。


城の中は、俺の誕生祭の準備で慌ただしく賑わっていた。



そんなある日、一人で部屋にいる俺のところへ

「よぉ…王子様。」


ムスっとした顔で、彼はやってきた。


「久しぶりだな。ハリー」

俺は笑顔で迎えた。お父様と話したあの日、俺はハリーと向き合う事を誓っていた。


読んでいた本を閉じて、ハリーと向き合った。

びくっと身構えたハリーだったが、俺は距離を少し詰めて手を差し出した。


「こないだはすまなかった。許してくれ。」


差し出された手を見ながら、ハリーはポカンとしていた。


「テオドール王子様俺は謝られることなど…」

「あぁ、だからお相子にしよう。俺もお前の胸倉掴んだんだ。水に流そう。な?」



そんな俺の手を見て、ハリーは呟いた。


「やっぱりそうだ。間違ってなかった。」


「なんだ?」



ハリーは顔を上げて、俺の眼をまっすぐに見つめた。


「テオドール様、どうやって星の力で守られているんですか?」


「・・・・へ・・・・・?」


情けない返事だった。いや理解が少しできなかったんだ。



「テオドール様は、なぜ、こんなにアレクシス様の加護に守られているのですか?」


「あ・・・アレクシス・・・様?」


俺の額に汗が浮かんだ。


「はい、アレクシス様・・・いや、アレクシス様だけじゃない‥ですね。

何か、別の、星の力で守られています。」


「・・・・なん・・・・」


「今だって、テオドール様、星の輝きで眩しいんです。


見えてます。喜びと悲しみに包まれてて儚いんですけど‥


すごい星がキラキラしてて‥


テオドール様は、知っていましたか?」



「・・・・・・・・」


声が詰まって出てこなかった。


「あ、こんな事いうから。ロスウェル様に怒られるんだった・・・・


でも気になって仕方がなかったんです。」


俺の感情を置き去りにハリーはふむふむと興味津々で俺の手を見ていた。


「だって、テオドール様の月は欠けているのに、星が照らして眩しいんです。」



書いていくうちに紐付けられてしまった。

そんな気はなかったのですが、

何も考えていなかったのに

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