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見えてるぞ

「うぅっ…王子様なんてっ…くそっ・・・・」

胸倉を掴まれて苦しそうに少年は呟いた。


「あ?今くそって言ったか?誰に向かって言ってんだ。」

「王子がそんな口きいてていいのかよっ!」

「当たり前だ。俺が敬意を示すのはお父様とお母様、そして皇帝陛下と皇后陛下だ!」

「このくそっ…こんな事言っていいと思ってるのか?」

「あ?思ってるさ、当たり前だろ?」

「このっ…性悪お前みたいなのが王子だなんて…っ」

「なんだと?俺に言ったのか?俺は王子だぞ?不敬だな?重罪だな。お前は火炙りだ。」

「それは陛下の権限なんだぞっ!」

「あぁ?俺は未来の皇太子だ。文句あんのかこら」


ギリギリっと胸元を詰めてやった。


悔しそうに俺を睨む少年。

しかし、そのうちその顔は、ニヤリと口角をあげた。


「俺は知っているぞ…?」



びくっと背筋が凍った。俺には秘密がある…。


まさか…


少年の怪しげな笑みは続く


「あぁ…お前だ…俺には見えている…」


「あぁっ!?」


俺は少し焦りながらさらに少年を威嚇した。


「うしろだ…。お前のうしろに…」



冷汗がでた。うしろに…なにが…


ホラーのような口調で少年は囁いた。









「皇太子殿下だ‥‥」


「・・・・・・・」


扉の方を見るとお父様が苦笑いしながらこちらを見ていた。

だが、俺は冷めた心を取り戻した。


「・・・・あぁ、ロスウェルと一緒にな。」


「いぃぃやぁぁぁぁーーーーーーー」


悲痛な少年の叫び声が響く。




またジタバタと騒ぎだす少年。俺はそいつをびくりとも動かずに掴んだまま。

お父様がゆっくりと近付いてきた。


「ははっ…テオドールにこんな一面があるとは、意外だな?お前、隠していたな?」

ニヤリと笑ったお父様。どことなく恥ずかしくて赤面した。

「いやぁ、皇太子殿下そっくりですねぇ!まるで再現映像を見ているようだ!素晴らしい血筋だ!」

拍手しながらロスウェルは笑っていた。


そしてロスウェルは指をパチンと鳴らした。

「ふふっ癖です。」

「それはもういい…さっさと遮断も防音もしておけ、戯け。」

「あぁ、もうマーガレット様に見せちゃいたい!!」

「そしたらお前は火炙りだ。永遠にな。」

「ほんとっ、糞野郎ですね!よっ鬼畜殿下!」

「もう黙れ。耳が腐る」

「もう耳も口も溶けてしまえー」

「うるさいっ!」


呆れ顔のお父様とニコニコ笑顔のロスウェル。

「テオドールそろそろその手を離してやれ。」

そう言ってお父様は笑みを浮かべた。

渋々、俺は少年から手を離した。


解放された少年はローブをパンパンとほろった。まるで汚れを落とすように。


「ロスウェル様っ!王子は鬼畜です!!!」


わあっ少年は泣きそうに叫んだ。

その少年にロスウェルは真顔になった。


「ハリー」



え、ポッター?



真顔のロスウェルから冷ややかな冷気が漂ってくる。

「お前はここで何をしているんだ?テオドール王子様に何を言ったのだ。

一生魔塔の仕置き部屋で暮らす気か?私は構わないが?」


「うっ・・・」

ハリーな泣きそうな顔で俯いた。


「私は今日、お前達に城の中なら出歩いていいと言った。だが、遮断も防音もせず、

まして姿も隠さずに歩いていいとは言っていない。理解できなかったか?」


しょんぼりするハリーを俺はじっと見た。


そうか、魔塔に属する者は…。



「ましてや、テオドール王子様の前に現れるとは…。本来皇帝陛下と皇太子様に仕える私たちだ。

知っているだろう。私は長年の計画の元、私の独断でマーガレット様とテオドール様に姿を見せた。

私はお前と同等であったか?いつからそんなに偉くなったのだ?規則を破ったお前に1か月の謹慎と

魔術封じを行う。よいな。」


ロスウェルが初めてまともな言葉発してる。


俺はひそかにその貴重な場面を楽しんでいた。


「ハイ・・・ロスウェル様・・・」


悲しげなハリーを見て、お父様はハリーの目線に合わせ腰をおろした。


「ハリー?お前はテオドールと同じ年くらいか?」

「…はい殿下…7歳です。」


「そうか、そなた達はこの城から出られないものな…お前が皇帝陛下と私に属する者だと理解しているだろう?そなたらは公に出られない。」

「はい…」

「幸い、テオドールはすでに魔術師を理解している。謹慎が明けたらまた遊びに来てやってくれ。」


えっ?お父様?


ぽかんと俺は開いた口が塞がらなかった。

「だが、次からはちゃんと遮断も防音もするのだぞ?もちろん姿も変えて。それなら規則違反ではないからな?」


俺の意見は余所に勝手に話が進んでいる。


お父様、俺はこんな子供の遊び相手などしたくありません…!!!!


「皇太子殿下…殿下はとても優しいのですね!今度、僕の術で高速移動してみませんか!?

楽しいですよっ!?」


眼をきらきらさせながらハリーは言った。


「はははっ、頼もしいな。そんな術が出来るのか?ロスウェルとは違って優秀だな?

これからも私達の力となってくれるな。お前の将来が楽しみだ。」


穏やかな笑顔を浮かべてハリーの頭を撫でた。


「ロスウェルだって高速移動くらいさせれますぅー。なんなら瞬間移動ですぅー。」


口を尖らせて抗議していた。


お父様はハリーの頭を撫でている。侮辱されたのは俺の方なのに…。


なんだかムカムカした。


バッっと俺はロスウェルしがみ付いた。

「!?テオドール様?」

ドキッとしたロスウェルだった。


「ろっロスウェル!僕も瞬間移動したい!ロスウェルにしてもらいたい!」

悔しかった。お父様がハリーを撫でているのが。俺が悪いみたいじゃないか。


そんな俺の心中を察したロスウェルはにっこり笑って俺を高く抱き上げた。


「テオドール王子ぃ~可愛いなぁぁ~いいですよぉ?なんでもして差し上げます~!

瞬間移動でも、殿下を嫌いになったならロスウェルと一緒に謀反を起こしましょうね~」


ロスウェルは結婚式を根に持っていた。


「本当?ロスウェル!いっぱい魔術見せてね!!」


高い高いしながらロスウェルくるくると回った。


「おっおいテオドール!なぜロスウェルなんかにっ…父を差し置いてロスウェルなんぞに

そんな事されよって!私もまだしていないのに…」


オロオロとしたお父様の顔、勝手にハリーと妙な約束した仕返しだ。


「ははは~親権交代~♪」

「こらロスウェル!お前にそんな権利はない!」

「王子が望めばいつでも息子としてお迎えします~」

「馬鹿な事を言うな!!テオドールは私の大事な息子だ!この国の王子だぞ!」

「王子ー謀反賛成ー♡」



本当に望んでいるかもしれない。


その光景をハリーじっと見つめていた。


「・・・・あぁやっぱり・・・・」


小さく呟いた。



ハリーの眼には見えていた。


テオドールを包む星の輝き・・・・。



《テオドール王子は星に守れている・・・》


当たり前だが、ポッターではない。

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