初めまして、ポリセイオ王国
三国の王子、王女、公子を迎えたテオドールとリリィベルは疲労が溜まっていた。
主な理由は、サーテリアとアルセポネが占めているが、ここからは気を引き締めなくてはならない。
残るは得体の知れないポリセイオ王国の使者だった。
「リリィ・・・疲れただろう。」
「あ・・・はい・・。でも最後のお客様ですから、大丈夫です。」
朝から始まった出迎え。まだ1時間だというのに、この疲労感だった。
「リリィベル様、少しの間こちらの椅子に・・・。」
カタリナが気を利かせて椅子を用意してくれた。
「ありがとうカタリナ・・・。少しだけ・・・。」
控え目に腰を下ろしてリリィベルはふぅっと息をついた。
「リリィ・・・もう少し我慢してくれ、ポリセイオ王国は俺も会うのは初めてなんだ。」
「えぇ・・・存じています・・・。皇帝陛下からも気を付けるようにと・・・。」
「ああ・・・。少し気を引き締めないとな・・・。」
テオドールはリリィベルの頭を一撫でして目線を合わせた。
「お前が側にいてくれるだけで、俺は頑張れる・・・。」
「嬉しいです・・・。」
テオドールの手を取り、自身の頬に添えた。
「私もテオをがいるだけで頑張れます・・・。」
癒しの時間はさほど長くはなかった。外にいる城門番の兵士から声がかかった。
「どうやら・・・おつきのようだな・・・。」
「はい・・・。わかりました。」
テオドールの手を取り椅子から立ち上がり、ドレスの裾を払った。
「テオ・・・。きっと大丈夫よ・・・。案外良い方かもしれません。わざわざ建国祭にいらしてくださるのですから・・。」
リリィベルの笑顔にテオドールも微笑んだ。
「だと良いな・・・。」
2人は腕を組み、穏やかな表情を浮かべて、扉が開かれるのを見ていた。
扉の向こうから現れた。一人の小綺麗な中年男性、赤茶色の髪に灰色の瞳を持った逞しい身体。
「初めまして、テオドール皇太子殿下、ポリセイオ王国から参りました。ライカンス・モンターリュで御座います。」
丁寧な礼をしたライカンス・モンターリュ。
「我が帝国の建国祭を祝いに遠い所から来てくれた事を感謝する。モンターリュ公爵。陛下から話は聴いている。そして、紹介しよう。私の婚約者、リリィベル・ブラックウォール嬢だ。」
「初めまして、モンターリュ公爵。ようこそお越しくださいました。」
リリィベルは美しく微笑んだ。そんなリリィベルに公爵はニコリと笑顔を返した。
「ご婚約おめでとうございます。お二人で出迎えて頂けて光栄で御座います。なにより突然の申し出に応じて頂き、こうして招待して下さった事。誠に光栄で御座います。」
「わざわざ祝いにやってきてくれるのだ。断る理由はない。感謝する。」
ライカンスはニコッと笑った。
「手紙には私の訪問をお伝えしましたが、殿下にご紹介したい方がいるのです。
我が王国には国王と王妃がいるのですが、子宝に恵まれず、最近になり後継者となる方を迎えました。
今回は、その件もあり参上致しました。ご紹介します。」
ライカンスの大きな身体の後ろに控えていた者が前に出た。
「初めまして、アレキサンドライト帝国、テオドール皇太子殿下にご挨拶申し上げます。
私は、レリアーナ・ポリセイオと申します。以後お見知りおきを・・・。」
現れたのは、深く青いマジョリカブルー色の髪の長い女性だった。小柄でリリィベルと同じような体系をしている。
庇護欲をそそる優し気な目元と涙ぼくろが印象的な女性だった。
「ポリセイオの後継者は女性なのか?」
「はい、この度王女となられました。レリアーナ王女です。」
「左様か・・・。どのような経緯であろうが、こうして我が帝国に来てくれた事に感謝する。
レリアーナ王女。在城中はどうかごゆっくり、モンターリュ公爵も。何かあれば言ってくれ。」
「ありがとう御座います。テオドール皇太子殿下。」
綺麗なカーテシーをしたレリアーナ王女。そしてモンターリュ公爵も頭を下げた。
スッと頭を上げたレリアーナ王女はリリィベルを見てにこりと笑った。
「お噂はポリセリオまで届いておりましたわ。テオドール皇太子殿下の婚約者はとてもお美しい方ですのね。お会い出来るのをとても、楽しみにしておりましたわ。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。レリアーナ王女。」
リリィベルは美しい笑顔でそう答えた。
「是非とも仲良くして頂きたいわ。私は最近王女となりました。至らぬ点もあるかと思いますが、どうか宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、何かあれば遠慮なくおっしゃって下さいね。」
そう言うとリリィベルはテオドールを見上げて微笑んだ。
どうやらリリィベルはレリアーナを気に入った様だった。
ジュエル王女の後だ、大層印象が良かっただろう。
「では、滞在してもらう部屋へ案内させよう。レリアーナ王女、モンターリュ公爵。従者がご案内致します。
では、後程‥。」
テオドールの完璧な皇太子の面が此処へきてやっと正常運転になった。
「では、参りましょう。モンターリュ公爵。」
「はい、王女様‥。」
テオドールとリリィベルから去る2人を見送って、安堵の息をついた。
「ポリセリオ王国は礼儀正しいな‥これまでが変だったのか?」
「ふふふっ、これで一仕事終えましたね。お疲れ様です。テオ‥。」
「お前もご苦労だった。」
リリィベルの頭を撫でてテオドールは笑った。
「少し休憩して、次はランチタイムだ。気が滅入るだろうが、女性客はお前と母上に頼らざる終えない。」
「はい。」
「お前は大丈夫だ。もし何かあればすぐ俺に言うんだぞ?」
「ふふっはい。テオ。‥部屋で少し休みましょ?」
そう言ったリリィベルの頬は少し赤かった。
まるで何かをせがむ様で言いにくい一言だった。
そんな表情を察したテオドールはニヤリと笑った。
「唆るなぁ、その言葉。」
「‥言わないでください‥‥半分は休みたいのと‥
半分は‥‥先程の続きです‥‥。」
「ああ‥‥俺も同じ事考えてたよ。」
2人は寄り添い、皇太子宮へと足を進めた。
出迎える客はこれで終わりだ。舞踏会の為ランチは軽食だが、皇族と同盟国の要人が集まる。
初めて迎えたポリセリオ王国が混ざるランチタイム。
とは言え国同士が集まれば、どんな言葉が火種になるかわからない場だ。友好は紙一重である。
これから訪れるランチの時間まで2人は自室で、疲れを癒し慰め合うのだった。
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