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初めまして、アルセポネ王国

 メテオラ王国、サーテリア王国を出迎えただけで、既に2人のHPは半分削られた。互いの存在が回復ポーションの様に次の出迎えまでに甘く口付けを交わす。


 それはリリィベルのヤキモチがきっかけだった。

 リリィベルのヤキモチはテオドールには甘い誘惑だ。

 控えめに膨らませた頬に、今日は形のいい耳まで見える。

 その耳たぶに甘噛みした瞬間からそれは始まった。

 従者達が皆その姿から目を背けて待機している。

 耳を噛んだ後は、唇に食らいつくだけだった。


「テオっ‥‥口紅が‥‥っ。」

 リリィベルの艶っぽい声で制止された。

「俺の口までお前の色だな。ははっ‥‥。」

「笑ってる場合ではっ‥‥。」


 唇を舐めて紅をとるとテオドールは悪い男の顔で笑っていた。

「化粧直しをしないとな?」

「そう‥です‥‥。」

 テオドールの唇から、リリィベルの口紅の色がはみ出てついて色気が見える。テオドールが出す色気は日を増すごとに強くなる。


 つい渇望してしまうこの愛だった。


「誰か、リリィの化粧直しをしてやれ。」

 手袋を外して、テオドールは親指で自身の口を拭った。

「‥‥‥もおっ‥‥‥。」


 側にいるメイドが急いでメイク道具を取りに行く。

 その間もテオドールはリリィベルの身体を抱き寄せていた。


「胸糞悪い思いはさっさと上書きしねぇとな‥‥。」

「うっ‥‥‥もおっ‥‥。」


 抱き寄せる手が熱くてリリィベルの頬が染まる。

 前髪を撫でるテオドールの息までもが、全身を刺激する様だった。

 全身が心臓みたいになったみたいにドクドクと高鳴りクラクラしそうになる。


 メイドが駆けつけた頃、ようやくリリィベルはテオドールの腕から解放されるところだった。



「あぁ、惜しいな‥‥もっと続けて?良いところだから‥。」



「バカ言え‥これからアルセポネを‥‥‥。」

 どこからか聞こえてきた声にテオドールとリリィベルは顔を向けた。


 一見白髪にも見えるが、その髪は薄いピンク色の長い髪。

 体格と顔を見なければ女の様な美しい容姿の男性がそこにいた。


「あれぇ?やめちゃうのぉ?皇太子と婚約者は何処でも口付ける口付け魔だって聞いてたのに、いいから続けてヨォ。


 僕此処で見てるから‥‥。」


 顎に手を当てて観察するかの様に2人を見ている。


「あ‥‥アルセポネの‥‥」


「ああ僕?そう、アルセポネ王国の王子なんだけど、宜しくね。女神様?」


 そう言って微笑んだ綺麗な男。

「アルセポネ王国、ミカエル王太子‥‥。」

 テオドールがげーっと嫌なものでも見た様に名を呼んだ。


「やあ、テオドール皇太子殿下。久しぶりだね。君の14歳の誕生祭以来かなぁ?2年しか経ってないのに、23歳の僕より早く婚約者ができたのぉ?冗談じゃないよぉ〜。おかげで僕にまで飛び火がくるじゃないかぁ〜。」


 やれやれとミカエル王太子は長い髪をサラッとかきあげた。


「23歳のあなたがまだ独身なのが問題では?」

「いやぁ〜王妃になりたいって言う子がたくさんいて選べないんだよ〜。みんな身体の相性はいいんだけど、僕の愛を求められても困るんだよぉ〜。僕は平等だから〜。

 取っ組み合いしてる女の子って可愛くないよねぇ?」


「それはミカエル王太子のせいでは?」

「皇太子ぃ‥‥僕のせいなのぉ?つれないなぁ〜‥

 君が毎年踊らないから、僕は君に群がる女の子達をどれだけ相手にしてあげたと思ってるのぉ?」


「頼んでないが‥‥。」

「それなのに急に婚約だなんて〜驚いちゃうよねぇ?

 それにしても本当に可愛いねぇ?さすがに狙われちゃうよねぇ?こんなに可愛いんだもん。僕の恋人達がブスに思えちゃうなぁ〜。」


 はーあ、とミカエル王太子のペースは止まらなかった。

 ある意味テオドールはミカエル王太子は苦手だった。軟派であるし、歳上で扱いにも少々困る。


 長くなりそうだったので、テオドールの背の裏でリリィベルはメイド達の化粧直しをひっそりと受けていた。綺麗に整った後で、テオドールの服をクンッと引っ張った。


「あ、ミカエル王太子。仕方がないから紹介するが‥‥。」

「知ってるよぉ〜。リリィベル・ブラックウォール嬢だろぉ?暗殺者まで向けられる高額な女性の話は何処にいたって聞こえるよぉ。正に女神が嫉妬すると言うのは嘘じゃなかったねぇ。」


「あっ‥‥ミカエル王太子。その‥‥以後お見知り置きを‥。」

「えぇ?僕の恋人になりたいってぇ?いいよぉ?君なら大歓迎。正妻は君が1番」

 リリィベルの手を取ったミカエル王太子に、テオドールは素早く反応して、リリィベルの身体を自身に引き寄せた。


「悪いが、その手の挨拶は不要だ。誰1人許す気はないんだ。」


 手の甲への口付けは紳士から送られる礼としては一般的だった。だが、テオドールは絶対に許さない。


「へぇ〜君はそういう感じなんだねぇ。その男の割に小さい頭には石でも詰まってるのかと思ってたのになぁ〜。こんなに独占欲が強いなんて。おもしろいねぇ〜。そうだよねぇ、それが10代だよねぇ?


 いいなぁ〜僕も10代もどりたぁ〜い。」


 テオドールは呆れてため息をついた。

 このアルセポネは、以前訪れた現フォルトナー伯爵領地で言った通り1番最後の同盟国だ。鉱山で原料が豊富であり鎧や武器を取引にこちらからは宝石と加工の優れた技術が提供されている。そのおかげか、鎧などの加工も技術が上がった。


 その割に、このミカエル王太子はまるで神官を思わせる聖人君子の様な顔つきで真っ白な絹と金の刺繍が施された服を身に纏っている。それなのに、中身はこれまでの会話で分かる通りだが、アルセポネは神に信仰心が強い国だ。ミカエルも、口癖は《神様がそう言ってるみたい》などと何でもかんでもそれで済まそうとするところがある。


 ミカエルも歳の差はあれど城に入ってから親交ある1人だ。


「まぁ、僕は人生謳歌してるんだけどね〜。女の子に囲まれて楽しいよぉ。君も1人に絞る前にもっと世界を知るべきだよぉ。」

「勝手な事を言わないで欲しい。婚約者の前で。」

「いやぁ〜また硬い事言ってえ〜。本当に石で出来てるのぉ?その身体。」


 そう言ってミカエルはテオドールの腕を摘んだ。

「ちょっ‥ミカエル王太子っ‥控えてくれ‥貴方と一緒にいると一部の女達が湧くんです。そういうところですよ?」


「えぇ〜そうなのぉ〜それはあれかなぁ?僕が攻め?君が受け?高貴な皇太子に王太子の僕が攻める構図が萌えるのかなぁ〜。まぁ、君をこんな風に扱えるのは年の功だよぉ。」

「そんなお年ではないでしょう!」


「殿下みたいな顔なら僕イケそうだよぉ〜。」

「そう言う発言はやめてくれ!」

 バシッと手を払い除けてテオドールはそっぽを向いた。


「照れてるのぉ?」

「さっさと部屋に行ってください!後ろがつっかえてるんで!!」


「えぇ?一緒に部屋に入ろうってぇ?ベッドの上で愛を交わそうかぁ?‥‥‥‥」


「そんな事言ってないだろ!!」


 声を荒げたテオドールにミカエル王太子はその美しい顔を近づけて目を細めた。飛び切り色気のある一言が添えられた。

「俺の指で鳴いてみる?」


「バッカじゃねぇの!!!!!」

 テオドールはくわっ!!っと顔を青くして怒鳴った。


「あっははははっ!冗談じゃないかぁ〜どうせやるならリリィベル嬢がいいよぉ〜。」

「おいこらぁ‥‥お前はリリィに近付くなよぉ‥‥。」

 ミカエルの胸板を押してテオドールは言った。


「くくくくっ、おもしろぉい‥‥舞踏会楽しみ〜。」


 そう言ってミカエル王太子は2人の元を去っていった。



「くそがっ‥‥‥。」


「‥‥‥‥‥。」


 リリィベルはテオドールの隣で青ざめていた。

「たくっ‥‥‥掴めない奴だよ本当に!こんなだから油断ならな‥‥‥おい?」

 テオドールがリリィベルに目を向けた。


 心配そうな顔をしてリリィベルはテオドールを見上げた。

「なっ‥‥なんだ‥‥‥。」


「テオはっ‥‥男性からも言い寄られるのですかっ‥‥‥」

「ちげーし!!!!」



読んで下さりありがとうございました!

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