十章文壇
まずは、彼女等が何者なのかを話そう。
……え、私?私は、何者か…?
私は、そうだなあ、語り部だと思っておいてくれ。今はそれより、彼女等についてだ。
一言で言うとすれば、彼女等は「十章文壇の一員」だ。
とある青年の元に集まった、実験機関の一員となる人間。実験を執り行う者。青年の手足。それが、現在の彼女等のいわば肩書きだ。
え、合法の実験機関なのかって?そんなはずないだろう、そのぐらい察しがつかないのかい?彼等彼女等の行い、その一部をしっかりと観たのでは?
……話を続けよう。
十章文壇の一員である彼女等にとっての「十章文壇」の意味。その数。字義としての意味の数。分かるかな?「己の属している集団」としての意味ともうひとつの意味、合計して二つの意味が「十章文壇」には含まれているのだ。
もう1つの意味、分かるかい?
正解は、「実験施設」の名前だ。
彼女等が実験を行っているビルの名前。それも、十章文壇だ。
……え、色々回りくどいって?癖のようなものなのだ、気にしないでくれ。
これから、十章文壇の少し詳しいところを話すつもりなのだから。
十章文壇は、定員が決まっているのだ。
一壇目から、十壇目まで。
現在は六壇目までしか存在しない上、きちんと集まるかは不明。それでも一応、十壇目まである。
現在の構成員はそれぞれ、
一壇目、悪夢使い、宵の宮宴夢。
二壇目、青の進行役、宵闇亜未。
三壇目、児戯遊戯、イゲル。
四壇目、児戯遊戯、リゲル。
五壇目、完全忘却、明の宮現。
六壇目、幻想の花、居待月幻花。
……この五人だ。
名前の前にあるのは、通り名である。一応、示しておいた。え、イゲルとリゲルが一緒の通り名?気にするな、双子なのだからこうなったのだ。彼等二人は服でかろうじて区別がつく、とまあおかしいほどにそっくりだ。それを利用するのが、双子の実験時のスタンスになっているぐらいに。
勿論、通り名は観測する側がいないと出来ないものだ。此方側でも、彼等二人は一人の人と思われており、双子だとは知られていない。同一人物とされているのだ。通り名が同じなのも、仕方ないだろう?同じ人物に幾つも通り名がつけられることなど、余程有名人でもなければ有り得ないから。
……話が脱線したな。続けるか?これだけ話せば十分に思えるのだが…………嗚呼。
1つだけ、忘れていたな。
彼等彼女等は、都市伝説になっている。
正夢になってしまう悪夢の噂は、彼等彼女等のうちの一人が元なのだが、連れ去られる人が多いので、連れさられた人の話と悪夢の噂が融合したのだ。
よくあることだろう、噂の肥大化は。噂に尾ひれがつくのは。
……これだけ知っていればいいだろう。
彼女等を、見届けるといい。
……世界の終わりの、目撃者に、なれるかもしれないよ。
「クシュン」
「風邪でも引いたのか、珍しいな。」
「なわけないデショ、噂されたんじゃナイ?」
「そうか」
「じゃ、僕様ちゃんはこれで。」
「ちょっと待て」
「ナニ?」
「実験体の確保は、現が行ったのか?」
「そうだヨ?」
「……現のやつ、実験体の記憶を消し過ぎて赤ん坊に戻してないだろうな……?」
「大丈夫でショ」
「前科持ちだぞ?」
「信用してないノ、ボスの方から部下にしたの二。」
「やりすぎるのは、明の宮学園家の共通の性質だからな……。」
「……ソウ。」
「……現、やらかすなよ?」
……短いですね((
このぐらいの長さでやっていきます。
たまに長いかも。