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その街で何をおもう  作者: 夜空ノ蛍
1/1

いや、急すぎません?



「……ほら腕を出して」

 

「うぅ…。」

 

「怖くないよ…ほら…ちょっとチクッとするよ。」

 

「あっ……」

 

 注射器の針が少年の腕に刺さった。その時少年は案の定大号泣していた。

そして今注射器を少年に打ったインズリー・アライドは

「はぁい終わりです♡」

といつもの満面の笑みでねっとりと言う

「痛かっ゛たあ゛あ゛あ゛あ゛おかあ゛あ゛さぁ゛ぁ゛ん゛ん゛」

 少年は注射を打たれ絆創膏を貼られたあと真っ先に母親の元にてけてけと走って抱きつきに行った。

「ははは、まったく子供は本当に可愛いなぁ……腕がもちもちで」

「はぁ…インズリーさんいずれか通報されますよ。」

「ノンノン…安心したまえ通報されるならばその通報する人もめっちゃぐちゃにしてやればいいだけなのだよ」

「もうやだなんでこんな所に居るんだろう俺…」


ここはインズリー病院。先程少年に注射を打っていた先生が経営している病院なんだが…すべては家でゴロゴロしてはいつもパッとしない日々を送っていて、ベッドの上でいつものように死んでいたら父親に

「おい、フィル(フィリックスの愛称)医者になる気はないのか?」

と急に言われて、他人の命なんぞ知ったこっちゃないタイプの僕は全力拒否したものの目が覚めたら知らない人達に四肢を掴まれ身動きが取れない状況にいてそのまま黒い車に乗せられて、しかもあとなんか怪しい船に乗せられて数日間くらい連行されて着いた先は孤島でまた車に乗せられてやっと着いた先はインズリー病院だったんだ。自分が拒否しようがなんだろうが親父は僕を此処に送るつもりだったんだ。勿論、最初は夜な夜な窓からそして裏口の森から逃げようとしたが変な薄ピンク髪の医者(インズリー)に毎度のように捕まってしまい医療知識を叩き込まれる日々を送らされていた。だけど悪いことばかりではなかった。病院なのでかわいいナースさんを見て癒されるのも日常だ。


「ねぇフィリックス、君はなんでここに来たの?」


「僕が一番知りたいですよ!!!」


「あっはっははっは冗談だよ。この街は君達の住んでいた人達とは全く違う価値観を持った人が沢山居るから生きずらい事多いかもだけど早く慣れるといいね〜」


「はあ…。」


軽い立ち話をした後インズリーはルンルンでどこかへ行ってしまった。


(父親に島流しされてからはや一週間…か…。一週間立ったのにここがなんの街なのか全くわかんねぇ…いや外出してないだけだけど…。

でも看護師さんや患者さんは凄く優しい人がいっぱいで、正直なところインズリーが言っている全く違う価値観ってのが分かっていない。誰もが普通の人なんだがな…。)


そう先程の少年に打った注射器などをフィルが拭いたりなどして片付けていると、肩をポンッと叩かれた

フィリックスはびっくりした様子でパッと後ろを振り向くとそこには腐るほど見たインズリーが居た。インズリーはいつも行動が読めない奴だ。

「なんですかインズリーさん今注射器拭いてるんですけど…危ないですよ…。」

「ごーめんごめん!あともうお昼だしご飯食べ行かない?この後もう仕事ないし。それと、僕からのお話とフィルパパからの伝言が少々あってね〜!」


父親からの伝言、それに反応したフィリックスは即座に

「行きます」

そう答えた。


「よし決まりだ。何食べたいとかある?」


「そうですね…。あ、看護師さんが言ってた近くに新しく出来たファミレスでもどうです?」


「お、いいねぇ、なら一緒に連れて行きたい子も居るんだけどいいかな?会ってなかったよね?」


「え?会ってない?病院の関係者さんですか?」


「ん〜まぁそうだね〜。多分時間かかるから公園とかで暇つぶしでもして待っててよ」


「へぇ…。わかりました」


そうしてフィリックスは財布とハンカチ、絆創膏と消毒液と痛み止めが入ったポーチをカバンに入れてそれらを持って言われた通り公園でブランコにでも乗りながらボーッとその辺を走り回る子供達を眺めていると。ズゴーッと何かが擦れる音がした。

「あ」

 目の前の砂場で少女が転んだ。だいぶ派手に転けたから泣いている。フィリックスは早く近くによろうとすると既に薄い金髪の少年が近くに駆け寄っていて転んだ少女に大丈夫?と声をかけていた。直ぐに少女を起き上がらせて膝見てもいい?と聞いて少女は頷いた。パッと見た感じ金髪の少年は何も持っていない。ちょうどフィリックスは絆創膏を持っていたので少女達の近くに寄った。

 「あの、これ良かったら。」

 そう言いフィリックスは絆創膏を金髪くんに渡した。

「お兄さんありがとう。それと水あるかな?最悪お茶でもいいんだけど。泥を落とさなきゃ…」

「あ!僕お水もってるよ!」

 そう一緒にかけっこをしていた少年が水を渡してくれた。

「ありがとう」

「へへへ!」

 少年は無邪気な笑顔で笑った。

 そして金髪の少年は慣れた手つきでテキパキと水を膝にかけて持ってきたハンカチで軽く膝を拭いて絆創膏を貼ると少女はまだちょっと泣いて顔が腫れてはいるが笑顔でお礼を言ってくれたあとは次はかくれんぼしよ!と周りのみんなをべつの遊びに誘っていた。

 肩を急にトンっと叩かれた。振り向くとそこにはインズリーが居た。お待たせと言ってきたが近くに連れはいなかった。

「あれ…お連れの人は…」

「ん?連れはそいつだよ。」

 指を刺した先には先程の金髪くんがいた。

「え、あれが連れ…?」

「うん。可愛いでしょ♡俺の息子なんだ♡義理だけどね!」

「えちょっとまって隠し子?聞いてない」

「ここで立ち話も嫌だしさっさとカフェ行こ!」



そうして石造りの街並みを少しだけ歩いてファミレスについて店員さんに席を案内されて座る。


「さ!では自己紹介だよ。ほらアンデル。自己紹介。」

すると金髪の少年は慣れてない様子で

「あ…えっとケニー・アンデルです。歳は十六歳でインズリーは義父です。最近までちょっと別の病院の応援に行ってました。基本的手術とか手伝うことが多いです。」

「あ、よ、よろしくお願いします。僕はフィリックス・ハウシュカです。」

「ハウシュカ…さん?」

ハウシュカと聞いた時、アンデルはどこかで聞いたことのあるような顔をした。

「……?はい。そうですが…」


「……あっすみません続けてください」


「ああ、えーと、歳は十八歳でアンデルさんとは二歳差ですね。えっと…アンデルさんがよければですが全然呼びタメでも…」


「あ、わ、分かりました!ありがとうございます!」


そうして自己紹介が終わったのをインズリーは確認すると


「じゃ、本題に入りますか。


早速だけど。フィルのパパ、ビアリクと色々と相談した結果だけどね、二人一緒に旅に出てもらう事にするよ」


「まってくれこいつ今なんて言った?」


「インズリー、もう一回言って。」


「二人に、旅に、出てもらうよ。」


「「は?」」


「ほらほらそんな怖い顔しないで!二人とも引きこもり陰キャだし可愛い子には旅をさせよって言うじゃない!そんな感じになったの!」


「いや急に言われても…」


「てか今更なんですけどインズリーさん僕のお父さんとどういう関係なんですか…」


「普通に古い友人だよ。それと直ぐにとは流石に言わないよ。一日あげるからゆっくり考えたらいいさ。


あと、フェリックスにお父さんからの伝言ね


『帰っても何も無くなっているぞ』


らしいよ。なんだっけ、ビアリクのやってたお店閉めたんだっけ?」


「は?え?ちょっとまって聞いてないです。」


「お店?」

不思議そうな顔でアンデルは呟く


「俺の親父オカマバーやってたんだよ。」


「「え」」


急に空気が凍りついた。


「あれインズリーさんバーのこと知ってたんじゃ」


「いやいやオカマは聞いてないよフィリックスくーん!?初耳だよびっくりだよお兄さん。


はぁ…ほんとビアリクには驚かされるなぁ毎度毎度…昔っから…」

そうブツブツ言い始めたインズリーにはお構い無しにアンデルは

「あの、旅の話なんですけど…俺は全然いいよ。」


「アンデル…。」


「どうします?フェリックス。」


「……。」

今まで何もやってこなくてベッドの上で死んでる日々でこの病院に来てもまだどこか、何かが足りない日々で。嫌な事は目を背けて逃げてきたフェリックスにとってこれは最大な分岐点だったがフェリックスは昔見たある光景が頭に浮かび「そういえば…」という感じの様子ですぐ顔をあげて

「俺も行く」

そう言った。

「あれ?フェリックス決断早いねぇどうしたのー?」


「いや…昔赤ん坊の頃見た光景ちょっと思い出して…気になるふしがあったのでそれ探せたらなと…。」

それを聞いたインズリーは

「あー…。」

と、ちょっと言葉を無くした返事をした。

そして少し無言が続くとインズリーは


「もしその場所の手掛かりを掴んだとして行くってなったのなら、そこに行く前に争いを楽しんでる街の女王様に声かけてみるといい。」


「……女王様?」


「ああ、結構簡単に話せるよ?その、フィルの行きたい場所の光景は覚えてるんだよね?そこの特徴を言えばすぐに分かってくれるさ。」


「は…はぁ…わかりました…。ってごめんねアンデル…。行先にこっちの都合突っ込んじゃって…」


「全然大丈夫ですよ!」


アンデルは笑顔でそう答えてくれた。


でもなんだろう、このアンデルって子の笑顔に、どこか違和感がある。

初めて小説書きます。

至らぬ所沢山あると思います。

それと、ボーイズラブと入っておりますが、直接的なものはございません。

ちらーっと雰囲気が入る程度です。

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