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今夜、寂しいの....

—太刀さんの証言


相良さんが最近ずーっとメール気にしてるんだよ。あんなにアナログな相良さんがメール見てるもんだから『どうしたんですか?』って声かけたんだよ。そしたらさ...


「なぁ、太刀、男の甲斐性っていうのは女の悩みをどれだけ聞いてあげられるかだろ? そうおもわねーか? 」


なんて昭和丸出しのこと言うわけよ。

面白そうだから『かもしれませんね。どうしたんですか?』って聞いたらさ..


「いやな、この前、飲み屋に行ってさ、歳の頃28歳くらいのお店のお姉ちゃんが『LINEやりましょう』なんていうもんでよ。よくわからねぇから、メールアドレスを教えたんだよ。そしたら俺を頼って悩みを打ち明けてくるんだよな。なんでも女手ひとつで幼い娘を育てていてよ。一生懸命なんだよ。そんでよ、俺がいると寂しさを忘れて元気になれるんだってよ」


とか言うもんだから教えてあげたんだよね。


「相良さん、それ、キャバクラとかの常とう手段ですよ。『今日、暇で寂しいの。会いたいな』なんてLINEやメールで来るのは基本ですよ。」


て言ったら、ムキになって..


「馬鹿野郎! 彼女はそうじゃないんだよ。一生懸命に生きてるんだから、そんなのと一緒にするな」


とか言って聞く耳持たないんだよね——


「ふーん、で、太刀さんはキャバクラ行くんだ....」


「 ....あのさ、スマホの管理は、相良さんは全然できないから奥さんがしてると思うんだ。たぶん、あのスマホのメールってPCにも転送してるんじゃないかな..」


「えー? じゃあ全部読まれているってことじゃない? エグ.... 」


「そういうこと。たぶん、今日もお誘いメールが届いて、相良さん鼻の下伸ばしたに違いないんだよ」

「それで堪忍袋の緒が切れた??」


「そ。 桃ちゃん、こりゃ嵐になるよ。近づかないほうがいい」

「そうね。でも自業自得だわ」


そんなエキサイトする相良夫婦の喧嘩についにお父さんが動いた。


「あ~あ、社長が割って入っちゃったよ。大変だなぁ。また 面倒な仲裁にならなきゃいいけどね」

「また?」


「あ、いや、昔の話だよ。さて、オートマオイルぬかなきゃ.. お仕事、お仕事」


その時、私は何かを隠してる。って直感した。


その後、お父さんは、相良さんを厳しく叱りつけ、奥さんの前で『二度と飲み屋には行かない。二度と女とメールをしない。』と誓約書を書かせていた。



****


伊豆は黄金崎公園


「今日は盛り上がっていこう!!」

「イエェーイ!!」


私が一番苦手なノリだ。

それは峰岸さんと萌恵ちゃんに誘われて参加したSNSサークル企画のダイビングだった....

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