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桜の葉

「おおい、こっちだ」

「おねぇちゃん、こっちー! 」


「おはようございます。優佳(ゆうか)ちゃん、おっはよーっ! 」


3月、寒い中、ときどき木漏れ日の温かさを感じ始める季節。


もうここは桜満開です!!


****


「お前、目黒川の桜、見たことないって言ってたからな、どうだ? 凄いだろう?」


「はい。凄く綺麗ですね。でもいいんですか? 優佳ちゃんと親子水入らずのところ、私がおじゃまして」


「なに今さら言ってんだ。何回も夕飯いっしょに食ってるだろう。それに俺は今、結構会うことができるしな。あの子も今日おまえが来るの楽しみにしていたんだからいいんだよ」


「おねーちゃん、こっちこっち! 橋のあっち側すごいよ。行こう! 」


宮野さんには別れた奥さんと8歳になる優佳ちゃんがいた。

別れた理由を私は宮野さんから聞いていた。

でも、別れた後も仲が良い夫婦ってあるんだなって。

そんな関係の家族だった。


「うわーっ、すっごく綺麗だね、優佳ちゃん」

「ねー。パパと毎年くるんだ。ここで写真も撮ったよ。いつもここの道を通るんだ」


桜は川が見えないくらいに咲き誇っていた。

宮野さんはうれしそうな優佳ちゃんを少し後ろから眺めていた。


「おねーちゃん、パパ好き? 」

「うん。すごーく仕事で助けてもらってるし、やさしいよね、パパ」


「うん。優佳も今のパパ好きなんだ。ママともすごく仲がいいし。でも昔のパパは少しお酒の匂いしてママとケンカしてた」


「でも今のパパは大好きなんだよね? パパも優佳ちゃんの事、大好きだよ」


「うん! パパーっ! こっちー! 」


宮野さんは笑顔で大きく手を振っている。


****


「俺はあいつが笑顔でいるとほっとするんだ。あいつはどこかで俺たち夫婦が別れたのを自分のせいだと思ってんじゃないかってな」


「 ....宮野さん、この辺は咲くのが早かったんですかね。だいぶ桜が散って葉っぱがでてますね」


「柿沢、こんな桜も綺麗だと思わないか。みんなが注目する桜の裏で静かに芽吹くこの葉桜が俺は好きなんだ」


そう言われてかわからないけど

    春の陽に照らされた小さな葉は

周りの花に負けないくらい力強くきれいに見えた。

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