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お見舞い

「よう、柿沢」

「(うわ~.. 小早川さん.. )あっ、小早川さん、こんにちは。今日は? 」


「ま、別に俺の用事は無いんだけどよ、近く寄ったもんだから、一応知らせておこうかと思ってさ」

「はぁ、何でしょうか?(また飲み会の誘いだったら嫌だなぁ.. )」


「顔に出てんぞ。飲みとかじゃねーよ。てか、お前はもう誘わないから。それよりもお前の大切な宮野さんが入院したぞ」

「え? 何ですか!? 病気ですか? 」


「いやな、数日前から休み始めてさ、今日の朝礼で知ったばかりなんだ」

「そうなんですね.. 病状は? どこの病院ですか? 」


「まぁ落ち着けよ。詳しくは知らないけど、東京女子医科大学病院に運ばれたっていう話だ」

「ありがとうございます」


「ああ! ..行ったら、まぁ.. 『待ってる』と伝えてくれ」


厳しい代理店研修生制度。そこに身を置くものとしての、正直な言葉なのだとわかった。


****


私は涼子さんに連絡をとった。

すると数日前から自宅療養していたが高熱が治まらないため、昨日入院したそうだ。

現在、点滴で熱は下がった状態らしい。

私は病室を聞くと、午後にお見舞いに行くことにした。


・・・・・・

・・


「なんだ、なんだ! 大げさだな。会社に午後休でももらったのか? 」

「そんなのいいんですよ。それよりも.. 宮野さん! 」


「はは、そんな顔するな! 今は、ほれ、この通り! だいぶスッキリしたよ。ただ高熱が続いたもんで、体力の回復をしているだけだ! 」



「そうなんですね、よかった.... 」


「まったくだよ。家族でやりなおしてまだ間もないのに、こんなんじゃ、ダメだな」

「仕事での無理が祟ったんじゃないですか? ゆっくり休んでください」


「ああ、なんか腎臓にウィルスが入り込んで、熱がでたってことらしい」

「じゃ、ウィルスを退治すれば治るんですね」


「ま、そういうことだ! でも最初、町医者で症状が白血病に近いと言われた時は、さすがに焦ったな。改めて家族の事、自分の健康について考えたよ」


「宮野さん、私、今週末にちょっと山形まで旅行行ってきます。お土産楽しみにしていてくださいね。優佳ちゃんのも買ってくるから」


「おお、いいな。楽しんで来いよ。帰ったら話聞かせてくれ! 気をつけろよ」

「宮野さん、暇だからと言って看護師さんに手出ししたらだめですよ。優佳ちゃんに言いつけちゃいますよ。」


「おまえーっ! 」


でもよかった。ホッとした。


病室を出る間際に、小早川さんの言葉を伝えると、一瞬、驚いた顔した後にやさしい顔になった宮野さんを見た。


****


会社に戻った私に、突然、社長命令が下った!


「桃、おまえ自動車教習所に通え! 免許を取るのだ! 」


それは、とりあえず旅行の後に考えよう..

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