大瀬崎に生まれ大瀬崎に終わる。
先日、私のスマホに一通のメールが届いた。
「その後、ダイビングLIFEはエンジョイしてますか? 当店では随時ファンダイビングを実施してますよ! 今度の日曜日にも西伊豆の大瀬崎に行くのですが、柿沢さんも参加いたしませんか? 予約メンバーは今年の夏ダイバーになったフレッシュな仲間です。一緒に講習を受けた峰岸さんも参加しますよ。どうですか? それとOW講習時、品切れだった講習特典マスク&シュノーケルも届いています! 今なら好きな色を選べますよ。一度当店に来てみてください <*」) >=< Visit 詩織」
というわけでお店にいきました。
「詩織さん。マスクの周りのゴムって透明と黒、どちらがいいんですか?」
「そうねぇ。私は初心者の人なら透明もいいと思うよ。透明だと開放感あるから緊張しないし、水の中が明るい感じになると思う」
「じゃ、黒はどういう感じですか? 」
「黒は余計な光が入らないから眩しくなくて、カメラをやる人が好んで選ぶかな。あと黒はゴムの変色を気にしなくていいから選ぶ人もいるよ。かっこいいしね」
「う~ん。じゃあ、マスクのゴムは透明で枠はピンク、シュノーケルは白に先端がピンクので、お願いします」
(OW講習特典で貰えるマスク&シュノーケルは、かなり得した気分。でも実際、結構お金使ったなぁ.... )
とはいうものの、私は日曜日に初めてのファンダイビングツアーに参加することにした。
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集合場所に集まったのは芹沢洋一さん、清水萌恵さん、峰岸歩さんと私。
引率は真島オーナー
オーナーの話によるとこうだ。
『伊豆ダイバーは大瀬崎に生まれて大瀬崎に終わるのだ! 』
そんな大層なダイビングポイントらしい。
だが、大瀬崎に着くと確かにすごいダイバーの数だ。
さすが大きなこと言うだけの事はありました。
大瀬崎は岬を隔てて外海と内海に分れている。外海は、長い岬に沿って7カ所ものポイントが並んでいて、季節によってはマンボウなども出現するとか! 今回、私たちが潜るのは内海(湾内)で、300m以上の長いビーチとなっている。湾内は、一年を通して潜ることが可能な穏やかな砂地ポイントだ。
「桃ちゃん、マスクは歯磨き粉でゴシゴシしてきた? 」
「はい、抜かりなしです!! 」
新品のマスクはゴムから発せられるガスがガラス面に付着していて、歯磨き粉でそれを取り除いておかないと、水中ですぐに曇ってしまう。海の中で鍋前の眼鏡なんてまっぴらごめんだ!
・・・・・・
・・
私は講習を思いだしながら重器材をセットする。
「ああ、桃ちゃん、それ、シリンダーの向きが反対じゃない? 」
『私を『桃ちゃん』呼ばわりするのは、いったい誰!? 』、後ろを振り向くと、そこに居たのは峰岸氏!!
(なぜ私を『桃ちゃん』呼びするか!!)
『あ、間違えちゃった~。ありがとう峰岸さ~ん』と、今後の為にも一応愛想よくしておく。
愛想よくしておくと、いろいろ助けてもらえる事を私は知っているのだ!
ブリーフィングが始まり、ポイントの見どころ、注意事項、サインの確認などの説明がされると、バディの組合せが発表された。
「バディは、芹沢さん&清水さん、峰岸さん&桃ちゃんでOK?」
やっぱりそうなるよね。
『NO!!』という理由もなく、いよいよ私たちは海の中へ解き放たれる。
湾内は水深5mくらいが続く遠浅の海。
白っぽいゴロタ上には、小さく可愛いクサフグがいっぱい。いよいよ、ゴロタの駆け上がりに到着するとコバルトブルーのソラスズメダイの群れが陽の光に輝いていた。
ゆっくりとゴロタから砂地へ降りていくと、背びれが美しいキンギョハナダイの群れやメジナの群れが目の前を通り過ぎる。そして耳抜きをしながら砂地に着底する。
私のバディ峰岸さんは.. そうだった。耳抜きが不得意だったのを忘れていた。
ほったらかしにしていた.... ごめんなさい。
砂地で一度集まり、異常なしのOKサインを出し合う。
そして、砂地散歩の始まりだ!
私は中性浮力を意識しながら砂を巻き上げないように泳ぐ。
大瀬崎の砂地の景色は、砂が黒っぽいせいか富戸のように明るい感じはしなかった。
でも、生物はすごくいっぱいだ。
アジの群れに混ざって、レモン色のラインが鮮やかなシマアジが通り過ぎていく。
オーナーが指を擦ると大きなマダイが近づいてきた。
凄く人懐っこいマダイだ。
どうやら、マダイが餌をもらえる事を覚えてしまっているらしいのだ。
きっと、過去にエサを与えた人がいるのだろう。
砂地でピラピラっと何かが動いた。
なんと、ちっちゃいカレイ?..いやヒラメかな?
『左ヒラメ右カレイ』ということで、この子はカレイに決定!
オーナーがみんなに『おいで』と手招き。
指さす場所を覗くと、それはまるでゼンマイおもちゃ!?
砂上をウミテングという生物がクルクル、カチャカチャと動きまわっている。
ほんとに不思議な魚。
(あっ、峰岸さんのマスクが鍋前の眼鏡に!! 大丈夫かな..)
私の近くに一匹の白くて小さな魚が泳ぐ。
実は、海に潜ってからずっと一緒にいるのだ、ふふふ。
私から離れることなく身体や腕の周りをウロチョロしている。
この子はイシダイの子供。
イシダイは好奇心旺盛で、時にこのようにずっとダイバーに寄り添う事もあるらしい。
本当に可愛いな。
それは中層を移動している時だった。
ふと、マスク越しに入る光がゆらめき、私は海とひとつになる瞬間を覚えた。
これは病みつきになる心地よさだ。
もしかして、多くのダイバーはこの瞬間が忘れられなくて潜っているのではないだろうか。
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駐車場から大瀬崎の海を見ながら、車は出発する。
向かう場所は.. 沼津港!!
真島オーナーお勧めの『どんむす』というお店に向かった。
みんなが海鮮丼を頼むところ、生ものが不得意な私は天丼。
だが、この天丼が大当たり!
大きな海老にサクサクコロモ、中の海老はフワフワぷりぷり、人生で一番おいしい天丼だ!
いつも食べるスーパーLIKEの海老天兵隊が束になってもここの海老天魔王には適わない!
『ダイビングとはおいしいものなり』と海老天を口に頬張りながら思った。
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帰りの車の中、七海からLINEが届いた。
『そろそろ「いろいろな制約から身も心も解放しようぜ旅行in山形」の計画すっぺ』




