秘密のお祝い
海あけの月曜日
身体がボワーっとする.. 油断すると口元からよだれと共にZzzとなってしまいそう。
『ちょっと銀行に保険料入れてくる! 』と言いつつコンビニにダッシュ!
高校時代のテスト勉強の奥の手『眠眠打破』を手に取ると、哲夫さんとばったり出会った。
「哲夫さん、おはよう」
「おはようございます。あ、それ 」
「はは.. ちょっと今日こんな風になりそうだから」
そう言って目をつぶって見せる。
「僕もそれ時々飲むことありますよ。けっこう眼が冴えるけど胃が荒れてしまうことがあります」
「そうそう、口内炎とかもできちゃうの」
・・・・・・
・・
コンビニの帰り少し公園で哲夫さんと話をした。
「ところで、桃さん、ライセンス取れたんですか? 」
「ノン ノン、ライセンスじゃなくて認定証です。ほら、 ジャーン! 」
「すごい」
「本当のCカードは郵送されるらしいの」
「海の中はどうでした? 」
「『伊豆の海ってどうなんだろう』って正直おもっていたけど、すごく綺麗でしたよ。こんな魚がいっぱいいて、ハゼとかクマノミとか小さな魚もいっぱい。特にブリの群れが小魚を追い回しているのがドキュメンタリー映像のようで凄かったですよ」
私は身振り手振りで説明して見せた。
「ははは。それはよかったですね。桃さんは行動力があっていいですね! 」
「ふふ、そーでしょ。なーんてね 」
「僕はそういう行動力ある人って す、す、すごく..素敵だなって思います」
「うん。ありがとうございます」
「僕も試験の結果次第で行動しなきゃって思っているんです。もしも、今度.... 」
「合格したら弁護士になるんですよね? 」
「は、はい」
「応援してます! 」
「ありがとうございます」
その時、哲夫さんが本当に言おうとした事を封じてしまっていたなんて、気が付かなかった。
****
夕方、仕事が終わり自分の部屋の前に行くと、ドアノブに小さな袋がぶら下がっていた。
中には皮でできた可愛いヒラメのキーホルダーとメッセージカードが入っていた。
『ダイバーになれてよかったですね。おめでとうございます。これ、この前のお薬のお礼です。 哲夫』




