表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/75

辛いときには。

『東京高円寺阿波踊り』を午後7時に切り上げて、七海と近くの焼肉チェーン店『たらふく』に入ると、その店名の通り、肉をたらふく頬張って帰宅した。


部屋に着いた時間は午後9時半頃。

いつもは既に帰宅している哲夫さんの部屋にあかりが灯っていた。


(消し忘れかな? それともまだ居るのかな? )


部屋に入り、窓をあけ、そして満腹のお腹にやさしく、ベッドにドッカリと寝転ぶ。

ふと、隣から『カタカタ』と物音がした。


(あれ、やっぱり哲夫さん居るみたい?? )



『桃、まぁ大丈夫だと思うけど、夜、明かりが付けっぱなしでも放っておいていいからな』

そんなお父さんの言葉を思い出す。


(一応、お父さんの言いつけを守っておこうかな.. )


ベッドの上で、いつのまにか眠りについてしまった。

目が覚め、時計を見ると11:05だ。


(う~ん.. そういえば隣は帰ったのかな? )


私がこっそり哲夫さんの部屋からもれる明かりを見にいくと、前触れなくドアが開いた。


—カチャ


「あっ、ども、こんばんは」

「ああ、桃さん、すいません、長居して。今、帰ります」


「あ、はい。今日は遅いですね」


哲夫さんからはお酒の匂いがした。

そして片手に持つビニール袋には日本酒の瓶が入っていた。


(目が赤いのは酔ってるから? もしかして泣いてた? )


「瓶捨てに行くんですか? 」

「はい、外の回収箱に入れて帰ろうと思いまして」


「そうなんですね」

「はい」


( ....)


「それじゃあ、おやすみなさい」


(んーっ.... )


「哲夫さん、ちょっと待って」


私は急いで自分の部屋に戻り、冷蔵庫の中を覗き込んだ。

(えっと、まだ、あったと思うけど.. あった! あった! それと.... )

  



「哲夫さん、これ! これでHPとMPを回復してください! 」


私は哲夫さんの胸に押し当てるように渡した。


袋の中身を確認すると哲夫さんは目を丸くする。

「これは、 ソルマック? それとイブ? 」


「はい。日本酒だから.. 明日、元気に過ごせるように.. 」


「はははははは。ありがとうございます。そうだ、桃さんの缶とペットボトル一緒に回収箱に入れていきますよ」


そう言うと、クスクスと笑いが止まらない哲夫さんは、私の缶とペットボトルを回収箱にいれて帰っていった。


(よかった。ちょっぴり元気になったみたい♪ )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ