整理整頓は大切です!
宮野さん一家と水族館に行ってから、私はなるべく近場でダイビングを習える場所をさがした。
そしてみつけたのがダイビングサービスVisitだった。
お店は小さかったけど、丸い木の机と裸電球にあとは数個のダイビング器材が置いてあるシンプルな感じがとても落ち着いて気に入った。
「ダイビングのライセンス取りたいんです」
そういうとオーナーの真島さんが自己紹介とこれから取得するライセンスが『オープンウォーター』という認定資格だということを教えてくれた。
学科講習とプール・海洋講習の最終試験2つをパスすると、オープンウォーターCカードというものが与えられるという。
講習料金は決して安くなかった。
学科と海洋講習、宿泊代、器材レンタル料など加算されると目の前に¥マークがチカチカした。
学科はeラーニングを勧められたけど、私は普通のテキストを選択した。
それは私の目標を形あるもので残しておきたい気持ちがあったから。
学科は私の頭には難しくて何回もお店に顔をだすことになった。
行くと必ず真島さんの奥さん詩織さんがハーブティを入れてくれる。
「柿沢桃さん、可愛らしい名前ね。桃ちゃんでいいかしら? 」
「はい。あの.. 私、あまり頭良くないから物理とか苦手で.. 教えてもらえないですか? 」
「いいわよ」
「ここなんですが、気圧とか深度とかこれの関係性って——」
週3日、スポーツジムにも通った。
100mやっと泳げるくらしかできない。
なんとか200m泳げるようにしなければいけない。
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そんなある土曜日
—コンコン
「桃、いるかー? 」
「ちょ、ちょっと待って。お父さん? 」
シャワーを浴びようと脱ごうとしたシャツを着なおす。
「なに? 朝早いね」
「髪、ボサボサだな。『早い』って、もう9:00になるぞ。ところで今日どうせ暇だろ?」
決めつけた『暇』に反感を覚えた
「な、なに.. 暇じゃないよ。でもどうしたの? 一応、聞いてあげる」
「いや、となりの倉庫部屋ちょっと整理するんで午前中だけ手伝ってくれないかな? 」
「なんで急に整理なんかするの? 」
「まぁ、ちょっとな.. 」
「じゃ、報酬要求する。それ次第! 何くれる? 」
「よしっ、じゃあ、五兵衛の特上とんかつでどうだ!? 」
「まっ、仕方がないなぁ。それでいいよ。用意するから、ちょっと待ってて」
心の中では五兵衛の特上とんかつ(2,500円)に『よしっ!』と喜んでいた。
「じゃ、先に始めてるから、来てくれよ 」
(でも、なんで急に? いったいなんだろう?)
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「よし、あと、この辺の重いのは太刀くんと下に持っていくかな」
「じゃあ、私はここの掃除機がけをしておこうか? 」
「ああ、頼むよ! 」
「ところで急に何で整理しだしたの?」
「いや、この部屋しばらく使わせてもらうからさ」
「何に?」
「何にって、人が住むんだよ」
「えー!(なんなの?ぜったい反対!)」
「おまえ、いま心で反対したろ? 反対してもダメだからな、もう相手からは貰うもの貰ってるからな。へへ」




