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ちょいとそのへんを散歩してみちゃお〜っと

「さあ、楽しい冒険の始まりだ〜!レッツ・ゴーよ〜!」



意気揚々と泳ぎ出したその矢先、突然、視界が紫色の霧に覆われた。


「えっ?何よこれ!ちっとも前が見えないじゃない!」



海の底で霧なんて、ありえない。そう思った瞬間、横から巨大な水竜が大きな口を開けて現れた。

ガブリッ!

鋭く尖った歯が、私の胴体を一瞬で食いちぎる。あまりにも突然の出来事で、状況を理解する前に意識は途切れた。



「そ…そんな…。せっかく手に入れた第二の人生、いや、魚生なのに、エンジョイする前に終わっちゃったじゃないの。ああ、もし事前に察知できてたら…」



朦朧とする意識の中、私の脳内に声が響いた。



《確認しました。新たな能力**【探知ディテクション】** Lv1を獲得しました》


「ん…?」


ハッと目が覚める。どうやら私は、また生き返ったらしい。いや、違う!どうにか生き残れたんだ!


「なるほど!自動回復セルフリカバリー Lv2が発動して、食いちぎられた部分を少しずつ修復していったわけね。おかげでSPがほとんど残ってないわ。これはマズイ。今魔物に襲われたら、ひとたまりもないわね」


何とかしてSPを回復する手段を見つけなければ。前世の私、柔道三段の腕自慢だった頃なら「かかってこいやー!」と、どんな喧嘩でも買って出ただろう。でも、残念ながら今の私は魚。手も足も出ない状況では、戦いようがない。

さっきの水竜とか、巨大な人喰いザメとか、放射能を浴びて変異した生物とか…。正直、あんな巨大な魔物と戦って勝てる確率はゼロに等しい。


「よし、まずはこの念話テレパス Lv2で友好関係を築いてみようかしら」


とりあえず挨拶から、と近くを漂っていたアンコウのような生き物に話しかけてみた。すると、アンコウはビクッと反応し、猛スピードで逃げていく。気を取り直して他の生物にも声をかけるが、みんなすごい勢いで私から離れていく。


「ええ〜っ?みんな、そういう反応なのね。ちょっと誰かー!もしもーし!」


カチャ!カチャ!


「ん?なんだか音が聞こえるけど、どこから?」


突然、海底から骸骨がムクっと起き上がり、こちらを見ている。気になった私は、鑑定アプレイズ Lv2でステータスを開いてみた。

名称:なし

種族:スケルトン

Lv:1

HP:30

MP:20

SP:10

攻撃:20

防御:9

速さ:7

装備:錆びた剣

スキル:念話Lv1、剣技Lv1、再生Lv1

進化:条件を満たしていません



「ふーん。ついでに、その錆びた剣も鑑定してみるかな」



【鑑定結果:錆びた鉄の剣:300年程前にヴァールシュタット王国の騎士アーヴァインが愛用していた剣】


「アーヴァインってのがこの骸骨の名前なのかな?」


(先ほどから頭の中に響いてくる声は、お前か?)


「うわ!骸骨が念話してきた!?って、いやいや、私も人のこと言えないわね。だってお魚だし…」


(そ、そうよ。ええと、あなたはどちら様かしら?)

(分からないのだ。何故か思い出せぬのだ)


「え?記憶喪失?」


(あなたはここで何をしているのかしら?)

(うむ、昔の記憶を取り戻す手がかりを探しておるのだよ。お前は?)

(私は…そうね、旅をしているのよ。あと、一人じゃ寂しいから仲間を探しているところかな)

(それは何故?)

(あなただって、一人じゃ大変な探し物でも、仲間がいれば協力し合ってなんとかなるかもしれないでしょ?)

(おお、確かにそうだな!私も協力してくれる仲間が欲しいぞ!よし、今から仲間を見つけてくるので、さらばだ!)


「えっ!?」


骸骨は、海の底をまるでスプリンターのように猛スピードで走り去っていった。そのありえない光景に、思わず笑いがこみ上げてくる。


「なんだか面白いヤツだったわね。次に見かけたら、名前を教えてあげようかしら」


それにしても、あの骸骨のおかげで、ここが間違いなく異世界だと分かった。

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