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旅立ちのとき

 右手に持っていた木の棒の先でメアリーの頭をパンパン叩く。


「勇者様からもらったお前の治療費なコイツで無くなったから」


 持っている酒瓶を見ずとも臭いでわかった。


「あとお前、あのワシの大事な2人を酷い目に合わせたらしいなぁ!」


 村長は木の棒を投げ捨て、右手で握りこぶしを作ってメアリーに向けて思いっきり振り下ろす。

 何度も何度も右の拳を下からえぐってみぞおちに入れられ何の抵抗も出来ず、必死で痛みをこらえようと歯を食いしばっているメアリーを見てアタシは頭にきてぶっ飛ばしてやろうと思い、透明化したまま近付いたその時、村長はメアリーの髪の毛を引っ張り上げ、耳元で小さく呟いた。


「いいことを教えてやろう。お前の家に火を放ったのはワシらじゃよ。この村で村長になり好き勝手にするのにお前の父は目障りじゃったからのうグフフッ、だがお前だけしぶとく生き残りおって、死ぬ迄こき使ってやるわい!

 たとえお前がこの事を他の者に言いふらしたところでこの村でお前の言う事など誰も聞かんわいガハハハハッ!!」


 メアリーは事実を聞かされ愕然としていた。誰が見ても彼女が強いショックを受けたのは明らかだった。唇は開いたまま硬直し、眼を盛んにしばたたかせて、喜怒哀楽のどれにも属さない表情を見せた。


「そんな …… どうして、あんなに優しかったお父さん…お母さんを…よ…くも!」


 メアリーはギロリと怒りのあまりに睨み潰そうとでもしているかのように、忌ま忌ましげな表情で村長を見た。


「お前…このワシに向かってなんだその顔は!!」


 村長が木の棒を振り下ろした。…がメアリーの怒りの感情にペンダントが喜びに打ち震えているかの様な強い光りを放ち力強く輝き出し、木の棒とメアリーの間に半透明な盾の様な形の何かが展開されていた。


「ちょっと?何なのよコレは?」


【 村人 メアリーの装備しているペンダントの特別な力によりEXエクストラスキル『エアクイックシールドLv1』を覚醒させた事を確認しました 】


「ま…眩しいっ…なっ何じゃこりゃ??」



「絶対に許さない…」


 あまりの眩しさに距離を取った村長を睨みつつ

 先程投げ捨てられた木の棒を拾い、メアリーは怒りに満ちた表情でジリジリと村長に近づいていたが透明化していた魚が彼女の前に突然現れ足を止めさせた。


「メアリーちゃん!こんなバーコード頭の為にわざわざ貴方が手を汚す必要無いわよ。」


 ピシッと村長は自分の意思とは別の力で気をつけの姿勢 を取らされた。


「うわっ?何じゃどうなっとる体が動かんぞ?」


 念力サイコキネシスで村長を木の板へ貼り付けてクルクル回転してやったわ。人間ルーレットの刑よ!


「バッチリ聞いたわよ〜!アンタがこのの両親の仇って事を!!

 アンタの家も村も同じ様に跡形無く燃やしてあげるわ」


 炎念力パイロキネシスLv3で納屋を燃やすと

 炎は直ぐに燃え広がり、村長の服にもジワジワと煙がついて一気に燃えた。


「服が燃える!あちーっ!! あちーっ!!誰か水持って来い!」


「アンタ馬鹿なの?ここにそんな物あるわけないでしょ!

 でもホラホラ、ちょっとくさいかもしれないけど火を消すのにいい所あるわよね?火を消したければあそこに飛び込んだらどうかしらん♪」


「ク……クッソー!」


 念力サイコキネシスを解くと、村長は自ら肥溜めに飛び込んで行った。


 いいわね彼、クッソーとか言いながら肥溜めに飛び込んで行ったわね

 彼こそがまさに真のウンコマンね!


 村々を燃やし尽くしてやろうと思ったのだけどメアリーがそれは駄目だというので納屋だけ燃やして村を後にしたの

 本当にこれでよかったのかしらね〜?


浮遊レビテーション


 アタシは念力サイコキネシスでメアリーを背中に乗せて満月が美しく輝く夜空を飛んでいった。


「さてメアリーちゃんロッペンハイマーの町へ行くわよ♪」


「隣り町ですか? 私まだ行った事無いんですよーっ! でもどうして急に?」


「元勇者のイ・ミンジュン君と一緒にいた

 彼は何君だったっか覚えてる?」


「えっと確か貴族の方でカイラ・フォン・ヒンデンブルク様だったと思います。もしかして会いに行くんですか?」


「彼等なら貴方が証言すれば信じてくれるんじゃないかしら?頼めば協力も得られるだろうし、あと店の事も気になるしね!」


「わぁっ いいですね!ミンジュンさんの作った料理どんなのかスゴく楽しみです。」


 それにしてもさっきの覚醒、ペンダントの特殊な力がメアリーの感情を読み取ったのかしら?

 まぁいいわ、それも後でミンジュン君達に聞いてみるか

 この世界で最初に行く町ロッペンハイマーは一体どんな所なのかちょっと楽しみね。

 …でもちょっとその前に、今日出会ってからまだ何も口にしていないのでメアリーがお腹空いてるだろうから先程焚火をした場所へ戻るわよ


「えっ先生、どうしたんですか」


「メアリーちゃんがお腹空いてると思ってお魚を取りに来たのよん♪」


 焚火に火をつけて彼女が暖を取ってるうちに


「メアリーちゃん、アタシちょっとお魚を取ってくるからここで待っててくれるかしら?」


「ハイっ先生」


 メアリーは嬉しかった。

 今まで村から出た事も無かった彼女を出してくれた先生に感謝とこれから起きる事に期待と不安、そしてワクワクが止まらない


「あーあったかい最高〜♪

 それにしてもお魚なんて何年ぶりだろうかな?」


 メアリーが物思いにふけっていると

 いつのまにやら3匹の緑色の肌の醜い魔物が

 彼女の周りを囲む様にゆっくりと近づいて来た。

 その醜悪なる姿を目の前にしてメアリーは恐怖のあまりに足がすくんでペタっと座り込んでしまった。


「ギャギャッ!」


「ヒィ…先生助けて?」


「ワン!ワン!!」


 その時、1匹の犬がどこからともなく駆け寄り、怪物供を追っ払おうと吠え出した。すると、離れた所から氷の矢が飛んで来て怪物供に命中すると、敵わないと感じたのかゴブリン供はサッサと逃げ出して行った。

 犬は近づいて来る2つの人影の元へ走り去って行き、その人影が夜空の光に照らされて

 ハッキリと顔が見えた。


 1人は年配の男性で鉄の兜を被り、赤い十字の付いた白いマントを羽織っている

 もう1人は魔法師の格好をした猫人で右手に持っている星の形をした杖が印象的だった。


「大丈夫ニャ、ゴブリン供に何かされたかニャ?」


「ハイ…あのえっと私はメアリーといいます

 助けていただきありがとうございます。」


「ははっ礼には及ばんよ。儂はヨハンと申す、

 こやつが猫魔法師のボミエ、それと儂の愛犬のチューリップじゃよ

 ところでお前さん1人でこんな所におるのかえ?」


「いえ、先生がいます。お魚を取りに行ってまして、そろそろ戻って来る頃だとおもうのですが?」


「やったーオイラ魚は大好物ニャ」


「先生じゃと?」


「ハイっ私の知らない色々な事を教えてくれる私にとってはお母さんの様な方です」


「おっほー!それは会うのが楽しみじゃな?」


「ヨハン爺にも春が来たニャ」


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