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いつかの景色を明日の車窓から。

ちょい胸糞悪いところもあるかもしれないです。

まあ、でも楽しんでください。


この列車に乗って私は旅に出た。

住んでいた街を捨て、目的地のない旅に出た。


ーーーーーーーーーー

私が実家を出てすでに5年が経っていた。

私は16の頃、恐ろしい程の不良行為をしていた。

夜遊び、飲酒、喫煙、万引き。

法に引っかかろうが引っ掛からなかろうがいろんなことをした。挙げ句の果てには誰が親か分からない子供を身ごもり、故郷を後にした。

ーーーーーーーーーー


列車の窓から外を見る。

雪が降り一寸先も見えなかった。

実家を出た時もこんな大雪だった気がする。

まるで私の未来を表しているように見える。


私はすべてを置いてきた。

と言っても実家を出て行く時にほとんど何も持っていなかったので置いてくものはほとんどない。

私が持っているのは財布と終点までの切符と一つのフィルムカメラ。


ーーーーーーーーーー

実家を出てすぐに、お腹の子は堕した。当然、罪悪感を感じていたが父親の分からない子供を産むのはむしろかわいそうではないか。

そして、私に残ったのは雀の涙ほどの金とフィルムカメラだった。実家から出る時に持ってきたものだが正直、何に使うつもりかは決めていなかった。

ついさっき捨てた街では生活費を得るために娼婦をやっていたが、警察の摘発を受けて店が経営不可になってしまったので目をつけられないうちに逃げ出したのだ。

ーーーーーーーーーー


さあ、これからどこに行こうか。

行き先もない、居場所もない。

それでも私は旅に出たんだ。

目的地のない旅に。


ーーーーーーーーーー

フィルムカメラの扱いは昔、今は亡き父親に教えてもらっていた。

父はカメラマンで素晴らしい景色を写真に収めては私や母に自慢した。

そんな父は私が12の時に死んでしまった。

考えてみれば、私は父が死んでからグレ始めていた。

ーーーーーーーーーー


どうやら眠っていたみたいだ。

終点まであとたった6駅しかない。

列車を降りたらどこへ行こうか私は悩んでいた。


列車には家族連れの旅行者がいる。

それを見て私は罪悪感を感じていた。

家族を身勝手な理由で5年間も心配させ続けたからだ。


私は、これからどこに行くのか。

行き先もない、居場所もない。

だからどこかに留まるつもりはない。

でも目的地を探している。



私は何のために旅に出たのだろう。


終点が近づくとアナウンスが知らせる。


私はどこに行くのか。

そう自分に問いかける。


行き先も居場所も決めた。

家に帰ろう。そう決めたんだ。


自分で自分を笑い飛ばす。

今更帰って何をするというのか、と。

私は手元のカメラを見て決心した。

父の仕事を継ごう。


帰ったら母に何を言われるかは分からない。

でも私の人生はまだ始まったばかりだ。

焦らずゆっくり打ち解けていけば良い。


乗ったのは終電なので明日の朝一番の列車で帰ろう。


列車についたテレビが明日の天気予報を流していた。

明日は晴れるらしい。


きっと明日はいい日だ。


そうに決まっている。


そうだ、実家を出た日に見れなかった景色を


明日の列車で見よう。


写真に残すのもいいかもしれない。


私はあの日見れなかった景色に期待を膨らませながら列車が終点に着くのを待った。






いつかの景色を明日の車窓から。

次の小説をいつ出すかは不明です。

気長に待っててね。

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