049_サイドス国王、公共事業始めました
聖騎士の犬と言われた僕はガチャに目覚めて最強を歩む ~最強になりたいわけじゃない。ただ、誰かに引け目を感じたくないだけなんだ~
もよろしくお願いします。
バーラス・ゾーンランドを絞首刑、その郎党は奴隷に落として鉱山や重労働の刑に処した。
その後、違法奴隷を購入していた商人も捕縛して、四股引き裂きの刑に処した。
たった1日で、しかも100人の近衛騎士だけでゾーンランド侯爵家を滅ぼした話は瞬く間に国中に広がり、逃げ切れないと思った貴族が自首してきた。
「陛下、概ね貴族たちの処罰が完了しました」
「ご苦労であった、法務大臣」
「はっ、ありがたきお言葉」
空席だった法務大臣の座には、ミリアム・ボドルザークを就けている。
赤毛碧眼のミリアム・ボドルザークは、三十歳だけど見た目は二十代前半でも十分通用する若々しさを持っている。
このミリアム・ボドルザークは法務省の下級役人だったが、公明正大な裁きをするとスーラの推薦もあって法務大臣にした。
元々平民出身だったので、今は途絶えていたボドルザーク家を継がせて男爵に叙したが、このまま法務大臣として辣腕を振るってくれれば、そのうち子爵へ昇爵させるつもりだ。
ミリアム・ボドルザークには、今後も厳しく取り締まるように命じ、視線をゼルダに移す。
「それに軍務大臣もよくやってくれた」
サイドスの町のことはカルモンの近衛騎士団に任せるが、それ以外の国内のことは軍務大臣に討伐をしてもらった。
本当は僕が全部回って貴族たちを粛清しようと思ったが、国王には色々とやることがあると大臣たちが引き留めてきたので、仕方なく軍務大臣のゼルダに任せることにした。
その甲斐もあって、スーラから報告を受けていたほぼ全ての貴族を討伐できた。
貴族家がかなり減ってしまったので、優秀な法衣貴族や優秀な平民に領地を与えることにした。貴族ということを鼻にかけた人物はまだのこっているけど、大きな過失もないのに粛清するわけにはいかないのが歯がゆい。
だけど、ミリアム・ボドルザークのように、能力があれば平民でも大臣になれると思わせることができたと思う。
「ケンドレー男爵を子爵に昇爵し、ケンドレー領の南に隣接するバルバンナ領を与える」
「ありがたき幸せにございます。末代まで王家への忠誠をお誓いいたします」
叔父を子爵に昇爵させる絶好のタイミングだったので、昇爵させて領地も加増した。
「ドリアス・ブロンズシュタインを男爵に昇爵し、アードン領を与える。以後、ドリアス・アードンと名乗るがよい」
「ありがたき幸せにございます! 陛下のご期待に沿えますよう、領地を治めていきます」
元々はケンドレー家配下の騎士爵だったドリアスに、姉のサマンサを嫁がせることになった。
よい男だと叔父が太鼓判を押し、サマンサもまんざらでもなさそうなので僕からの祝いということでドリアスに男爵位と領地を与えることにしたんだ。
えこひいきという声もあるが、それがどうした! これは僕が立てた戦功をドリアスに与えるのだから、文句を言われる筋合いはないと突っぱねた。こじつけなんだけどね。
他に叔父の配下の3人の平民を騎士爵に叙した。
その中には、長くケンドレー家の家宰を務めてくれていたカリアウスの名もある。
「ザバル・シルバーホックに褒美として大金貨1000枚を下賜し、子爵に昇爵させるものなり」
このザバル・シルバーホックには、僕の姉である長女ルイーザが嫁いでいる。
僕が家を出る時にはすでに嫁いでいたが、クソオヤジのヘンドリック・ケンドレーが処刑された時、ルイーザを離縁せず保護していた。
僕の不興を買うかもしれないのに、それでもルイーザを保護したその気概が気に入っている。以前から昇爵を考えていた人物だ。
今回の粛清において、王国軍に協力的だったこともあるので、誰からも異存は出なかった。
「身に余る光栄。陛下にさらなる忠誠をお誓い申します」
シルバーホック領は狭いが銅の鉱山があるため、それなりに財力がある。
クソオヤジもそういった財力をあてにしてルイーザを嫁に出したんだと思う。
僕より6歳年上のルイーザは、祖父が他界してクソオヤジが当主になるとすぐに嫁に出されてしまった。だから、あまり接点がなかったので、僕はルイーザに悪感情は持っていない。
「財務大臣」
「はい」
貴族たちへ褒美を与えるセレモニーが終わると、僕はアンジェリーナに声をかけた。
「経済を立て直す。公共事業について触れを出すように」
「承知いたしました」
コロッセオ周辺の開発、このサイドスから旧王都へ続く道の整備、同じくサイドスからロジスタへの道の整備を大々的に行う。
動員数20万人、その副次的効果は100万人規模になる財政出動の公共事業。
特にコロッセオ周辺の開発は、武術大会までにいろいろな施設を整備しなければならない。当初は僕の創造魔法で整備するつもりだったけど、人を大量に動員して経済を活性化させることにした。
さっそく国中に触れが出され、サイドスに人が集まってきた。
サイドス王は犯罪者を許さない。犯罪を見過ごす役人も許さない。その事実があるので公共事業に関連する不正は、一般的な公共事業よりも少ないようだ。
少しのことは大目に見る。それで多くが上手く回るなら。だけど、度が過ぎる者は容赦なく罰する。
そういう奴は誰もがやっていると言うが、誰もがやっているわけではない。それが分からない奴は容赦なく断罪する。
そのうち僕の二つ名に断罪王が追加されるかな?
<<お願い>>
評価してくださると創作意欲もわきますので、評価してやってください。