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038_スーラ、飛躍する

35話から39話まではスーラの過去です。

読み飛ばしても大丈夫です。

 


 なんとか滝つぼから抜け出して再び川をぷかぷかと漂う。

 本当に死ぬかと思ったが、俺は運が強いようだ。


 腹は減らないし睡眠もいらない。そんな俺だけど、ハードな1日だったので精神的に疲れた。

 このまま川を下ると、海に出るのかな? それとも岸に辿りつけるか?


 ぷかぷかと流れて流されて、俺は岸に辿りついた。

 ふー、これでやっと水上生活も終わりだ。


 ドッカーーーンッ!


 ……どうやら俺は何かにとり憑かれているようだ。

 なんでこうもイベントが起きるのだろうか?


 俺の目の前の河原では、Tレックスとライオンの戦いが繰り広げられている。

 Tレックスは体高四メートルほどで、尻尾まで入れたら全長一〇メートルくらいはあると思う。

 それに対してライオンは大きさで一回り負けているが、ネコ科特有の身軽さを武器に一歩も退く気はない。


 俺はその戦いを岩の陰から覗き見る。

 もちろん、あんな戦いにわざわざ入っていく気はない。いったが最後、俺はあの世いきだ。


「………」


 Tレックスとライオンの戦いは二昼夜続いた。

 強さが拮抗していると得てしてこのような長丁場の戦いになるようだが、本当に長い間戦っている。よく飽きないものだ。

 だが、そんな強者たちの戦いもついに終焉を迎える時がやってきた。

 Tレックスが喉を噛み切られて盛大に倒れたのだ。正直言ってこの戦いを見続けるのも飽き飽きしてきたところだから助かる。

 勝ったライオンも体中が傷だらけで満身創痍。今攻撃したら俺でも倒せるんじゃないかとおもうほど足がふらついている。


 よし、攻撃するか! 狐火をスロットにセットだ!


『(ピコン)水中適応を廃棄し、狐火をスロットにセットしました』


 よし、いくぞ! って、ライオンが倒れた!?


 ……俺が手を出すまでもなくライオンは息絶えた。狐火の立場は?


 まあいい、よっこらしょっと。

 俺はライオンを取り込むべくライオンの上に乗った。準備OK! ライオンを喰ってスキルをゲットしてやるぜ!

 じわじわとライオンを喰っていく。俺が最後にここに立っているのだから、俺が勝者である! わーっははは!


 って、おい、お前ら! これは俺の獲物なんだから、喰うなよ!

 ライオンとTレックスの死体の周囲に小型のモンスターが集まってきて、肉を貪り始めた。


 だから、これは俺のだって言っているだろ! ほしければ、お前たちが倒せってんだ!

 俺は取り込み速度を上げた。速くなっているかは分からないが、気持ちは超速取り込みだ。

 こんな化け物のスキルだから、絶対にいいものを持っていると思うんだ。それをこんなぽっと出の奴らに喰われてたまるか。


 急げ、俺! がんばれ、俺! 喰ってしまえ、俺!


『(ピコン)ライオンキングを取り込みました。気配感知、立体起動、王者の牙、覇王の威圧のどれかをスロットにセットしますか?』


 ふぁ? はい? ライオンキングという種族名にもびっくりだが、スキルを四つも持っていることに驚いた。とりあえず、ストックだ。


『(ピコン)気配感知、立体起動、王者の牙、覇王の威圧をストックしました』

『(ピコン)能力がFからEへ上がりました』

『(ピコン)スロットの数が1つ増えました』


 なんだと!? てか、能力なんてあったんだ!?

 明らかに低そうなFやEだが、能力があって上げることができるという情報は大事だ。


『(ピコン)能力の開示システムが解放されました』


 おお、ステータスが見えるのか? 俺のステータスを見せろ!


『(ピコン)能力の開示システムへのアクセスを確認しました。能力画面を表示します』



 スーラ(E)

 種族:グラビティスライム

 種族スキル:重力魔法 吸収

 天与スキル:創造魔法

 スロット1:狐火

 スロット2:

 ストック:気配感知 立体起動 王者の牙 覇王の威圧



 こんな風に見えるのか。名前の横のローマ字が能力だよな。

 うーん、簡単すぎるし、HPやMPはないのか。まあ、これだけでも見えただけいいか。

 しかし、忘れていたが創造魔法あったんだな。

 それに種族スキルに重力魔法……か、これは種族がグラビティスライムだからか?


 おっといけない! 能力が見れたことに感動している暇はない!

 まだTレックスの取り込みがある! こいつら、食い意地がはっていて、邪魔くさいったらありゃしない。これは俺の獲物だと言っているだろ!


 俺はTレックスも取り込もうとしたが、雑魚モンスターが俺を阻んできた。

 この野郎、俺の獲物を横取りする気だな!

 おめーら全員、ぶちのめしてやる!

 狐火! ボフン。ドンッ。え?


 ……狐火だよな?

 狐火というのは野球のボールくらいの大きさの青白い火だろ?

 なんでサッカーボールくらいの大きさになっているんだよ?

 雑魚モンスター数匹を一度に焼いているんだけど?

 いくら能力やワンランク上がったからって、ちょっと威力が高くない?

 俺は常識人なんだから、せめてソフトボールの大きさくらいにしてくれよ。


 何はともあれ、サッカーボールくらいの大きさの狐火はモンスターを焼き尽くした。

 それでもまだ雑魚モンスターが群がっている。

 邪魔だ、どけよ! それは俺のだ! 狐火! ボフン。ドンッ。


 俺は次から次に狐火を撃って雑魚モンスターを焼いていく。

 だが、それがいけなかった……。現在、俺は、雑魚モンスター連合に囲まれている。これはマズい!

 襲いくる雑魚モンスターの攻撃を体の変形で躱しながら、俺は狐火を撃ちまくった。

 しかし、いかんせん数が多すぎる。おれは次第に被弾が増え、満身創痍となっていく。

 クソ、何か手はないか? ……およ? そう言えば、俺には重力魔法があるじゃないか!


 俺の前にひれ伏せ!

 重力30倍だ!


 雑魚モンスターの動きが止まった。それどころか地面にめり込んでいたり、目や鼻などから体液を噴き出している奴もいる。

 どちらかと言うと死んだ奴のほうが多そうだし、生きていても体中の骨が折れていそうだ。

  しかし、重力30倍はかなり疲れる。今まで疲れを感じたことはないが、かなり倦怠感を覚えている。

 多分、重力魔法はめちゃくちゃ魔力を使うんじゃないだろうか?

 そして、魔力が残り少なくなると、疲れのような倦怠感を覚える。そう考えれば今回の倦怠感の理由に説明がつく。

 問題は、魔力が底をついたらどうなるかということだ。気絶するのか? それとも死ぬのか?

 俺自身がモンスターということを考えれば、死ぬ可能性も十分にあると考えておくべきだな。

 今後は30倍重力ではなく、5倍とか10倍くらいにとどめておこう。


 しかし、重力魔法マジつえー!


 よっしゃー、やったるでーっ!

 唸れ、狐火! 狐火、狐火、狐火、狐火、狐火、狐火、狐火、狐火、狐火! ひゃっはーーーっ!


「………」


 っしゃーーーっ! 皆殺しだぜ!

 俺のものを盗もうとするからだ!

 あの世にいって悔い改めるがいい!


 だが、お前たちの死は無駄にせぬ。俺の糧になるがいい。ひっひっひっひ。


 雑魚モンスターは後回しにして、Tレックスから取り込む。


『(ピコン)テラーダイナソーを取り込みました。恐怖、熱感知、頑丈、破壊の牙のどれかをスロットにセットしますか?』


 熱感知か。しかし、牙系のスキルはライオンキングからもあるし、被っているな。ストックで。


『(ピコン)恐怖、熱感知、頑丈、破壊の牙をストックしました』

『(ピコン)能力がEからDへ上がりました』

『(ピコン)スロットの数が1つ増えました』


 よし、能力がDに上がったぞ! それにスロットも増えた! いい調子だぜ!

 それからも俺は雑魚モンスターを取り込み、スキルをゲットしていった。しかし、思わぬところで落とし穴があった。


『(ピコン)ストック数が上限を越えました。ストックしているスキルを廃棄しますか?』


 スキルのストック数が18個になって、19個目のスキルをストックしようとしたらこの声が聞こえたのだ。

 スロットの数が3つということを考えると、スロット1つにストック6つなのかもしれない。

 俺は取捨選択してスキルを18個ストックした。


「………」


 ふー、満腹だぜ。まあ、どれだけ食べても腹が膨れた感じがしないんだけどな。だけど、大物二匹と雑魚を数十匹も喰ったから、普通は腹がいっぱいどころの話ではないだろう。



 スーラ(D)

 種族:グラビティスライム

 種族スキル:重力魔法 吸収

 天与スキル:創造魔法

 スロット1:狐火

 スロット2:

 スロット3:

 ストック:気配感知 立体起動 王者の牙 覇王の威圧 恐怖 熱感知 頑丈 破壊の牙 スラッシュ 捕食 エレキカッター 酸弾 血の契約 硬化 エネルギーチャージ 縮地 ガード 回避



 うむ、ストックが多くて、見づらいな。おーい、システムさーん。これ、もっと見やすくならない?


『(ピコン)能力開示画面を最適化します』


 できるんかい!?


『(ピコン)能力開示画面の最適化が完了しました。表示しますか?』


 イエス、マム!



 スーラ(D)

 種族:グラビティスライム

 種族スキル:重力魔法 吸収

 天与スキル:創造魔法

 スロット1:狐火

 スロット2:

 スロット3:

 感知系ストック:気配感知 熱感知

 攻撃系ストック:王者の牙 破壊の牙 スラッシュ エレキカッター 酸弾

 防御系ストック:頑丈 硬化 ガード 回避

 補助系ストック:立体起動 覇王の威圧 恐怖 エネルギーチャージ 縮地

 その他ストック:捕食 血の契約



 おお、ストックされているスキルを系統別にしたわけか。うん、見やすくなった。ありがとう、システムさん。


 

<<お願い>>

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