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暗闇のぼくと水晶の誰か




 

 …ここは、どこ?

 

 ふわふわと浮かぶ意識の中、ふと、自分が居ることに気がつく…

 なんだろう、ここ… なんだか、凄く心地いい…

 

 少しでも、何か分からないかと、

周囲に意識を向けて、辺りに目を向けようとする。

 

 

 辺りは真っ暗な空間で、

 ここには、足場も、天井も、空も、大地も無い…

 ただ、上から降ってくる、深い青色の粉みたいな物が、砂時計の砂のようにあちこちで降り注いでいて、

 その粉のお陰で、辛うじて上か、下か、それだけが認識出来た。

 

 


 本当に、ここは一体どこなんだろう…

 

 考えることは出来ても、今の僕には、動く手段も、

頼れるものも何もない。

 ただ、ふよふよと浮かぶだけ…

 

 


 

 

 …それから少し経った。

 

 ぼくはまだ、何も出来ていない、

 ふよふよ、ふよふよ…

 でも、ここは本当に心地いい…

 満たされていく、空っぽだったことも知らなかった何かが、

何故、空っぽだったのか考えられないけれど、ようやく満たされていく…

 




 …『君は、誰?』

 

 

 声が聞こえた、

 ぼくは、その声の方に意識を変えて、

 降り注ぐ青色の粉と同じ色の水晶の中に居る、青年の方へと意識を向けた。

 

 ぼく? 僕はユウキ、天野 祐紀

 

 


 『あまの、ゆうき?』

 

 そう、それがぼくの名前だよ


 

 

 『そう、それが君なんだね』

 

 そうだよ?

 


 

 『ゆうきは、ここでゆっくりしていくの?』

 

 ううん、動けないだけで、

 本当は、すぐにでも行かなきゃいけないんだ。

 

 

 


 『そうなんだ… 僕は、ゆうきには、ここに居て欲しいんだけどね…』

 

 ごめんなさい… でも、ぼくは行きたい…

 行かなきゃいけないの

 


 


 『仕方ない子だね、ゆうきは、

 …分かったよ、少しだけ、手伝ってあげる

 僕が力を、少し背中を押してあげる、

 だから、立ち上がって、思うようにやってみなよ。』

 



 水晶の中の青年が、ピクッと動いた気がする。

 

 次の瞬間、周囲に落ちる砂の一部が流れを変え、ぼくと彼の間に流れ込む。

 

 砂は入り交じり、ぶつかり、合わさって

 

 1つの結晶になった、

 

 

 そして、結晶はゆっくりと、僕のゲーム機に近付き、まるで水滴が水面に吸い込まれるように、ぽちゃんという音と共に、混じり合った。

 


 『ゆうきは特別だからね?

 それを持ってる、君だったから、僕は背中を押してあげれたんだ』

 



 力が流れ込む… 指に、足に、全身に…


 目を開けると、水晶の中の青年が、少し笑った気がした。

 


 

 「ありがとう、  、行ってきます。」

 

 

 『いってらっしゃい、頑張るんだよ。』

 



 

 水晶の青年に別れを言い、鍵の閉まった2つの大きな扉を無視して、ぼくのために開いていた、

歪んだ戸口をくぐって、この部屋から移動した。

 

 

 

 

 

 

 -----------

 

 

 

 「いやいや、しかし… これどうなってるの?」

 

 何が何か、よく分からないまま、

 気が付けば、整えられた洞窟のような場所をさ迷っていた。

 

 しかもゲーム機には、いつの間にか羽根のようなモチーフの駒が刺さっており、

自分の服装や姿が、Tシャツ1枚に、七分丈ぐらいの長さのズボンだったはずなのに、

 いつの間にか背中に、羽根のような物が生えてたり、白色の巫女服調の神官みたいな服に変わっている…

 

 こう、袖少し広めの感じで、袖口には凄く綺麗な模様の刺繍がされてて


、肩には袖口と同じような刺繍がされたマントみたいな上着?が、動くのには差し障りの無さそうなサイズで付いている服だ。


 

 うーむ…

 

 羽をパサパサしながら腕を組み、悩むように首を傾げながら、右手で支える。

 

 一番の問題は、女の子になってることなんだよねー…

 

 どうなってるの?これ…

 


 

 …再確認のため、自分の胸の上に手を当てる。

 

 うん、十中八九、あるね

 

 流石にこんな場所でしっかり確認は出来ないから、十中八九だけど、確実に。

 


 

 そして…

 

 ゲーム機に付いている、羽根のような駒を引き抜くと、光が発散するように光り、衣服や格好が元に戻る。

 

 うん、男だ、

 シャツ1枚に七分丈ぐらいの長さのズボンだ…

 

 同時に体が凄くダルくなる…

 んんー…

 

 羽根のような駒を、再びゲーム機に差し直し、女の子に戻る。

 

 んんんんんん、なんだこれ…

 

 

 


 

 …うん、とりあえず、

 今の体より、今後のご飯とかの方が大事だね、ここがどこなのか…

 止めていた足を再び動かし、しばらく、整えられた洞窟の奥へと向かって進んだ。




 通路自体は、4メートルくらいの高さ、3メートルくらいの幅があり、


両手を広げても余裕があるし、ジャンプしても余裕がある、羽を広げるとちょっと狭い感じだ。


 壁は、岩を削ったというより、切り出した、といった感じで切り口が整っており、

壁には、ランタン?のような物が等間隔に置かれており、通路自体は一定の明るさに満ちている、

 そんな道を、途中、分かれ道とかもあったけど、とりあえず真っ直ぐ進む、進んでいく…


 

 

 あ、扉…

 

 2~30分ほどふらふらと色々試しつつ歩いていると、進む先に扉が見えた。

 

 ようやく変化が…

 一人でずーっと歩いていると、寂しくなってきて気が滅入るんだよねぇ

 今日起きてから、何も気分が上がるような出来事もないし、

 あ、お味噌汁やご飯、せっかく作ったのに食べてないや…

 

 

 

 


 …あれこれ、でかくない?

 

 遠目からだったから、扉あるなぁ、としか思わなかったけど、

近付くにつれて、道幅も徐々に広くなっていき、

 扉の前にたどり着いた時には、家のような大きさの扉の前に立っていた。

 


 これさ、道中の道幅を着てる考えると確実に、扉このサイズ要らないよね?

 この大きさの物が通ろうとしても、僕が歩いてきた道通れないじゃん、

 


 色々言いたいけれど、ひょっとしたらこの先に誰か居るかも、

 とりあえず、扉に触れ、力を込める。

 

 

 「…うん、まぁ、開かないよね。

 大きすぎるのに、小門?って言うのかな、小さな扉が付いてないし…」

 


 うーん… 気になるけど、入れないなら仕方ないかな…

 またあの道を戻るのか、憂鬱な気分になるね…

 

 足元の石ころを蹴って、踵を返そうと後ろを向いたと同時に、

 重いものが動く鈍い擦れる音が聞こえた。

 

 慌てて振り返ると、大き過ぎて自分ではびくともしなかった扉が、

ゆっくりと独りでに動き始めていた。

 

 「わわ…」

 

 慌てて、扉が開く分の距離を取り、開く門を見守る。

 

 

 扉が開かれ、少しずつ、少しずつ奥が見えてくる…

 

 扉の先は、まるで、どこかの王城の謁見の間の様な、とても豪華で広々とした大きな一室が広がっており、

 まず、最初に目に入ったのは、刺繍の豪華な赤カーペットで、最奥までの長い距離を、一本で敷かれており、

 その道の両サイドには、等間隔に彫刻の凝った柱が並んで、その柱には灯りと、これまた豪華なタペストリーが柱ごとに掲げられている。

 そのまま視界を上に向ければ、お約束のような大きく綺麗なシャンデリア、その上にはステンドグラスを用いた、装飾の凝った天井が見受けられた。

 

 

 ほぁー、と、余りの凄さに息を飲み、

 再び、視界を前に向け、その豪華な部屋の所有者、その人が要るだろう、最奥の大きな椅子に視界を定める、


 誰か、居る…

僕は、確かな視線と人気を感じつつ、その部屋へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

1月3日 微調整、多分最終

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