表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/37

奇妙な機械2

 


 

  皆がペタペタと機械を触るなか、ナオさんは説明を続ける。

 


「これの説明には、プレイして貰う事が、一番分かりやすいんだけれど、ここで始めてしまうとお店の邪魔になるかもしれないからね。

 申し訳無いけれど、帰ってから各自チュートリアルに従って覚えてもらおうかな。

 ゲーム自体の起動は、横になれる場所に移動して、手首に機械を巻いて画面にタッチすれば起動するから、

 誤って起動しないように、使う時だけ、腕に付けているのが良いよ。」 


 早足に説明しながら、ナオさんはアタッシュケースから最後の一個を取り出し、僕に投げる。



「あっぶないです!」


 落とさないように胸で受け止め、抱き寄せるようにしっかりキャッチ…


「コーヒーだけ、俺の奢りで人数分注文してるから、それを飲みながら、皆でこの後どうするかとか、話し合うと良いよ、

 それじゃ、また会う日まで。」


 機械に下ろしていた目を、ナオさんに向けると、

 もう既に身支度を済ませ、両手に荷物を持って立ち上がり、部屋から出ていくところまで行っていた。

  皆が呆然と見守る中、手を振りながらドアノブに手に握る。

「えっ、はやっ」


 僕の一言すら待たずに、ナオさんは部屋から出て行き、

 それと入れ替わるように、お店の人がコーヒーを持って入り、僕らの前に1つづつ並べて、すっと退出していった。 



「……」


 あ、コーヒー美味しい。



「さて、皆はどうする?

 俺はさっき言ったみたいに、ゲームをするって奴に付いてやっていきたいと思っているから、誰かと同時に始めたいんだが…」


 シルバさんが機械を鞄にしまいながら、僕らに確認をするように話してくる。


「ランランはまず皆と、連絡先を交換したいなぁ…」


「あ、僕もそれには賛成です。」


 ランランさんが提案して、レッドスター君もそれに賛同する。


「Rational…

 ランランにしてはいい案ね、でも、わざわざ、メアドじゃなくて、TEL'rのアプリでいいんじゃない?」


 TEL'rって無料通話アプリだっけ?

 多機能で軽くて、音質も良いって絶賛して、カズが僕の携帯に入れてくれたっけ…

 まだ使ったことないけど。

 あ、電源… 


 慌ててポケットから携帯を取り出し、電源を入れる。


「うわ」


 電源を入れると大量の不在着信とメールで、とんでもないことになってる… 


 メンバーを見ると、突然声を上げて、何事かと僕の方を見てる。

 …カズだけ理由が分かるからか、にやにやしてる…


「どれだけ心配したか、分かっただろう?

 さて、それじゃ、連絡先交換しようぜ。」


 そう言いながら、カズもスマホを取り出し、机に置く。


 僕はガラケー、カズはショップで買ったカバーを付けたスマホ、

 ランランさんは、赤色の、ちょっと装飾の付いたカバーを付けたスマホを、やけにニヤニヤしながら出してる。


 そのスマホを見て、カズとチルさんが表情を変える。


「ちょっと…あんたそれ…」


「すっげぇ、あの主人公と同じスマホカバーじゃん!

 公式の意向で、グッズ販売なんて無かったのに…」


 あぁ、そういうことね。

 チルさんも、反応してたってことは知ってるのかな… 


 そう思いながら、チルさんの方を見ると、口を開けっぱなしでスマホの方を見てる…

 ちょっと間の抜けた顔、でも、この顔の方が年相応の表情って感じ… 


 

 チルが何か言おうと、開いた口を一旦噤んだ瞬間に、ランランさんが横槍を入れる。


「ほらほら、チル殿の番ですぞ。」


 あ、分かってて言ってる、勝ち誇った顔だ、

 昔、カズがこんな勝ち誇った顔していた事あったような気がする。



 あの顔を思い出して、少し顔を顰めていると、

 チルから暖かな視線が送られてきた。


 あ、違います、仲間にしないで?


 てかいつの間にスマホの発表会みたいになってるの?



 そんな中、チルが取り出したのは、真っ白なプラスチックカバーが付いたスマホだった


 あれ、さっきの反応からこれは意外…

 スマホを取り出したチルの顔を見ても、いつの間にか、最初に会った時見たような、威厳のある顔に戻っていて、なにも読めない…


 ランランさんがさっきからニヤニヤしてるから、あの二人はほっとこう、うん。


 その次は…っと、レッドスターさんの方を見ると、見た事のある人の写真のシールを、大量にベタァッと貼ってあるスマホを前に置いていた。


 確か、あの写真の人は【赤咲 始】だ! 


 

「うわぁ、マジモンのアカサキストだ、初めて見たや」


 アカサキスト…


「cra…

 んーーと、Fever pitch?

 と言うのが、彼の前で良いかしら…

 最近やけに良く見るわね…」


 あー、駅前の事かな… 多分、あの身長なら揉みくちゃにされたんだろうなぁ、

 良く見ると、服にシワが寄ってたり、髪を直したんだろうけど、直しきれなかった乱れがあるのが分かる。 


「メンバーには、あんまり赤咲始ファンは居ないんですね…

 チルさんは、女性だから好きなのかなぁって思ったけど…」


「私は、チャラチャラした方は苦手ですので…」


 あ、今までで一番すらすら喋ってる、常套句なのかな?



「もういいか?早く始めよう、


 親睦を深める必要がある、と感じていたから口は出さなかったが、スマホを出して連絡先を交換するだけでこれだけかかるのか。

 しばらく、苦労しそうだな…」


 あー、精神年齢的に一番上っぽそうだもんね… この空気は大変そう…

 年齢的にはランランさんが上そうだけど、火種はノーカウントで。



「仕事用…ですか?」

「個人用だ、…仕事用も同じ型だけどな。」


 シルバさんのスマホ、凄くシンプルです…

 使用感重視なんだろうなぁ。


 カズのもシンプルだけど、実はここに置いてある中でも一番最新型だと思う。

 ここに誘われる前に、明日発売のスマホを今日手に入れたとか言ってたし、


 それが良い事なのか分からなくて、スルーしたんだけどね。


 

「それじゃ、集団フルフルでいいな?

 …こんな機能、使うとは思わなかったな…」


 集団フルフルは、TEL'r独特の機能で、

 その機能を発動して揺らしていると、そのすぐ近くの同じ機能が発動している、TEL'rと連絡先希望を出し合えるものらしい、

 公開初日、効果範囲が広すぎて即日修正が入ったのは良い思い出だと、カズが呟きながら僕の分も起動してくれる。


 うん、そんな使い方や機能、僕が知るわけが無いからね、

 すーっと近寄って携帯を差し出して、カズに任せてる。



 どこかで…

 てか、ランランさんから小声で、「だが男だ」と聞こえたけど、合ってるから気にしない… 


「それじゃ、いくぞ」


 シルバさんの掛け声に合わせて、皆でスマホをフルフルする。


 カズは持ってるから来なくて、


 “マチルダ シュタイナー”

 “蘭乱”

 “赤く輝くレッドスター”

 “早河 裕作”


 …


「あ、あの…約二名、分からない人と、本名の人が居るんですけど…」


 

 …


「あ、ランランは“蘭乱”だよ」


「あら、豚の癖に贅沢な名前ね」

「そんなー」


 

「…あ、早河は俺だ、“silver”に変えといてくれ。」


 

 …全員の絶妙な目線が、シルバさんに向かうけど、等の本人は澄まし顔… 気にしないみたいだね… 



 その後は、シルバさんが用事があるとコーヒーを飲みきって、退出。

 レッドスターさんも、それに続けて出ていって、

 その次には、そわそわした僕を見かねて、カズが一言入れて退出した。


 

 …でもその後は散々で、カズなのに道を間違えたり、何をしていても上の空だったので、早い目に解散して帰ることにした。 


 …絶対ゲームの事で頭一杯だったね、間違いない…




-----------

 

 電車から降りて、駅でカズと別れた後、チャリに乗って帰路につく。


 帰っている途中で、聞いたことのない音が携帯から鳴り響いた。



「あ、TEL'rか」



 一旦自転車から降りてから、携帯を開いて、待ち受けに上がってきた一件チャット有りの通知を見て、そのまま確認する。  

 


『早河祐作:

 こっちの用事が終わるのが六時だ、それ以降で頼む』


「あ、名前直してない

 でも直し方分からないしそのままでいっか」


 

 そのまま、他の人がチャットを返し合うのを眺め、気がつけば7時にゲーム開始にすると決まったらしい。


 えっと、『僕もそれで大丈夫です』っと…


 

 『カズ:

 見てたなら会話に入れよ』


 

 いや、特に希望なかったし、


 


 

6月7日 らんらんの名前が蘭々になっていたのを蘭乱に修正

1月3日 微調整、多分最終

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ