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奇妙な機械

 


 -----------




「………」



「………」



 土下座だ、

 日本古来から伝わり、自分の過ちを深く反省し、許しを乞うための全身全霊の謝罪!


 地面に!

 頭を!

 擦り付ける!!



 「…あのさぁ、俺、割と心配したんだぜ?」

 「本当にすみませんでした。」



 あの後いろいろあって、結果的に、僕はカズよりも先に、お店に着いていた。



 …簡潔にまとめると、アタッシュケース事件の後、

 色々あって、男の人が開催する、お店で開かれる会議に参加することになって、

 僕を探し歩きながら、店まで来ていたカズより、結果的に先に着くことになったのだ。



 …というか、それ以前に、元々カズは僕連れて、ここの会議に参加する予定を立てていたらしい。

 


 この会議が、実は極秘内容?らしくて、カズは僕に知らせずに連れてこようとしたみたいだ。

 本当に、なにも聞いてないよ…





 今居る場所は、元々、カズと来る予定だった、喫茶店の奥の個室だ。

 その個室で、テーブルを囲むように、僕とカズを会わせて7人が席に座っている。



「まぁまぁ、三日月さん。

 そのくらいにしておきましょうよ、

 友達も見つかりましたし、結果的に良かったじゃないですか。

 皆さんも待っていますし…」


 僕を助けてくれたお兄さんの一言を聞いて、空気が変わるのを感じ、土下座から顔を上げる。

 え、三日月さんって誰?


「さて、多分全員揃いましたし、自己紹介としましょう!

 まずは、私からですね、

 残念ですが、私の自身の事は話せない事になっていますので、ご了承下さい。

 君達に、今極秘裏で行っているゲームの、テストプレイヤーをやって貰いたいと思う、ただのゲーム会社の人、そういう認識でお願いします。

 とりあえず名前を呼べないと困りますでしょうし、私の事はナオと呼んでください。」 



 僕を助けてくれた人、改めて“ナオさん”は、すらすらと自己紹介する、

 ゲーム会社の人だったんだ、と言うかテストプレイヤー?




「それじゃ、時計回りで、自己紹介をしていきましょう。

 全員、顔を会わせるのは始めてのことですからね。

 私は自己紹介をしたから…

 次は三日月君、それに、そのお友達君も合わせて行こうか。」


 …多分、三日月ってカズの事だよね、

 ハンドルネームとかペンネームみたいな名前?


「はい、俺が三日月です、カズって呼ばれると思うんで、他の人もそう呼んで貰えればと思います、こっちは、ユウです。

 今日の事を説明すると、ベラベラ喋りそうなので、あえて教えずに連れてきました。

 基本一緒にやっていくと思うので、他に迷惑はかけないと思います。

 ほら、ユウ?」


「え?あ、よろしくお願いします」


 凄く失礼な紹介をされ、不満げに…

 不満げにと言うか、不満しかないんだけど、カズを睨みつつ返事を返す、

 僕らの挨拶が終わった事を見計らって、ナオさんが、僕らの隣の人に目配せをし、順番に自己紹介を始めた。



「俺はランランです

 気軽にランランって呼んでくださいな。

 仲良くまったりやっていきましょうよ。」


 短髪オールバックの、いかにもなサラリーマンさんの見た目から、思いもよらないような軽い話し方で自己紹介をする。

 大体、三十路ちょいだと思うんだけど…



「マチルダシュナイダーよ、他からはチルって良く呼ばれるわ。

 やるからには、徹底してtopを目指すから、そこの豚みたいな事を言うようなら、今後顔を合わせることはないと思って?」  

「そんなぁー」


 この人は金髪で青い目をした人だ、外国の人っぽい?

 でも日本語の発音が完璧だから生まれは日本なのかな?

 ガシッと掴んで纏めただけのポニーテールが特徴的だね。

 後、僕より多分小さい。


「…俺、ですよね?

 俺はレッドスターってネットで名乗ってます。

 よろしく。」


 あぁ、あんまり癖がなさそうな人が来た、一番仲良くなれそう…

 鼻先にかかりそうな長さの、全体的にモサッとした黒髪に、全体的にだぼっとした服を身に付けている、話し方や態度は一歩引いた感じの人だね。



「俺で最後だな、silverだ、

 シルバってのが言いやすいと思うから、そう呼んでくれ

 ゲームに関してはそこまで詳しくない、

 方向性や方針は、一緒にやる奴に任せるが、やるからにはちゃんとやるつもりだ、宜しく頼む。」


 この人は三十路手前二十歳後半くらいかな、服装はスーツだけれど、ナオさんよりかなり着崩していて、サラリーマン、と言うよりは、もっと自由そうな職業に勤めてそうな雰囲気がする。

らんらんさん>ナオさん>シルバさんの順番でしっかりとスーツを着てるね。

言動はらんらんさんが一番変だけど…

 …髪色髪型は黒のショートカット、ぴっちりした感じじゃなくて少し遊ばせた感じの髪型だね。 



 えっと… 

 三日月の“カズ”に

 “ランラン”さんに

 マチルダの“チル”さん、

 “レッドスター”さんに、

 silverの“シルバ”さんね、



 …うん、覚えたよ


「…で、何の集まりなんですか?」 


 多分、凄く空気を読んでない発言だと思う、でもそろそろ聞かないと、テストプレイヤーだけじゃ、何が何だかわからない。


 僕のその問いかけに、ナオさんは苦笑いする。



「それじゃ、折角だし、一から説明しようか?

 一度皆で、認識の確認もしてから話を始めたかったし、

 それじゃ、まず最初に、

 ここに集まっている人は、ゲームのテストプレイヤーとして集合していて、僕がゲーム会社の社員だというのはさっき言ったよね?」


 うん、それは聞いた。

「はい、それは理解しました。」 


 他の人の顔を見回しても、縦に頷いている


「それじゃ、次、これまでの経緯ね。

 君達…ユウ君以外の人の事だけれど、

 ここに居る皆は、ある掲示板で、わが社の極秘裏でテストプレイをしていたゲームについて、チャットで会話をしており、取引現場の場所も把握している事が確認されたメンバーなんだ。

 だからどう、とか、それをとやかく言うつもりはないよ。

 ただ、極秘で動きたい我々は、そのサイトを消し、情報がそれ以上多人数に流れないように掲示板自体を規制したんだ。」



 そんな事があったんだ…

 …ん?


「あれ? でもそれなら、」

「そそ、本当ならそこでバイバイーだったんだよねぇ、

 危ない話に乗りすぎてドナドナされたくないからねぇ。」


「けど、その後、各個人にメールが届いたんだ。

 テストプレイヤーの人数が足りないから、わざわざ情報を他に公開して募集をかけるより、ゲームに興味があってこの事を知っている、俺らをテストプレイヤーとして招待したいってな。」


「it Unlikely.

 どうやってメアドを手に入れたのよ、って話なんだけれどね。」 


 チルさんの悪態にナオさんは「企業秘密です」と受け流し、話を続ける。


「上司命令でして…

 今は、ゲームに興味があるプレイヤーが欲しくて、ですが、情報は広めたくないらしいんです。」


 うわぁ、かなり難しい要求…

 けど、大体分かってきたね、 


「そして、集まったのが、カズやこの場所に居る人達ってことですね。

 他の人は、僕みたいに一緒に誰かに着いてきたって人は居るんですか?」






「「…」」


 あれ…無意識に仲間を探しちゃったんだけど、空気が凍った?



「あ、足手まといは要らないから。」

「ら…ランランは情報を広めたくないって事を一番に考えて…」

「お、俺は、ランランさんと同じく…」

「ゲームあんまりやらないからな、誘う人が居なかった。」



 …





「さ、さて、このくらいにしようか!

 それじゃ、本題に入ろう!」



 ナオさんが少し気まずそうな表情で、床に置いていたトランクケースを、机の上に持ち上げる。

 僕が振り回したアタッシュケースとは違うし、サイズも割と大きい。



「ユウ君は見た事あるよね? あのアタッシュケースに入っていた機械、

 あれが、今わが社で開発している新型のゲーム機なんだ。」


 そう言いながら、ナオさんは、トランクケースのロックを外し、蓋を上げる。


 中には、メタリックな光沢を放つ、メカトロニクス?な、機械が収納されていた、

 手の平大の大きさで、ディスプレイがついてて、そこに繋がるようになんか…いろいろな管みたいたのが付いている。



 あれ?僕が見たのは若干スケルトンだったんだけどな…デザインも若干違うし…


「とりあえず、皆、一個ずつ手に取ってみて?」


 その言葉を、待ってましたと言わんばかりに、先ほどまで大人しく座っていた皆が、我先にと手を伸ばす。


 そして、全員がほぼ同時に、機械に手を付けた瞬間、機械が光を放ち、前が見えなくなる!


「ぁあ…目がぁ、目がぁぁ」


「はいはい、given.

 光ったらすぐそれ言うわね。」


「って、これ…色が変わってる?」



 !!

 確かに先ほどまで目の前にあった、機械の色が全く別色に変わってる!!


「え、なにこれ! カラフル!」



「お、皆ほとんどバラバラの属性みたいだね。」


 何やらウキウキした表情で、ナオさんが覗き込む。


「これで所有者登録出来たから、それは君達個人の物になったからね。

 しっかりと無くさないようにね?

 代わりはないから。」


 え、各個人の物って、これサンプルとかじゃないの? 貰って良いんだ…

 皆、突然の出来事に、機械に手を付けたまま目を白黒させて固まってる…


 えっと、

 カズが赤、チルさんが灰色…でもちょっと茶色っぽい?、ランランさんはくすんだ紫?、レッドスターさんはカズより濃い赤かな

 シルバさんは…白?


 んん…?でもこれ、一個余ってる?


「…これはユウ君の分だね

 でもユウ君は、僕が運んでた物を、所有者登録したからなぁ…」


 あう…ごめんなさい、

 でも、ぶっ飛ばしたアタッシュケースの中の確認の為にって、ナオさんがアタッシュケースを開けた瞬間に機械が光って、

さっきみたいに触ってとかじゃなくて、所有者登録勝手に終わったんだから、不可抗力だよ…


「…そうだ、ユウ君、

 そのもう一つの分に触ってみてくれないか?

 一応、この説明しとかないとね。

 実はこれ、一つの機械を所有者登録したら、他の機械を所有者登録出来なくなっているから。」


 …おそるおそる触るも、ホントだ。 光らない…

 だから無くしても代わりがないって事なんだね。



「後それ、持って帰ると怒られるから、ユウ君が持ってかえって、

 元々ユウ君の分だし。」


 え、要らないです。

 


「おい、良いのか?

 そんな簡単に所有者登録してない機械を渡してしまっても?」


 う、うん、そうだよ、シルバさんの言うとおりじゃない?


「大丈夫、大丈夫

 俺の勘がそれで良いって言ってる。」


 …いや、なにそれ、要らないですけど…


 



5月22日 ちょっと修正

1月3日 微調整、多分最終

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