第4話
扉の先は円形の小広場みたいな空間だった。幾何学模様を描いた少しゴツゴツとしたタイルが敷き詰められ、渦巻く中心点には一人の少女が俺と同じ裾の長い白のロングTシャツを一枚だけ着て立っていた。
その右肩には早苗ちゃんのピンクのピクシーと同じくらいの小さな天使が座り、少女の人間離れした薄紫色の髪を掴みながらジッとこちらを見つめていた。
「……ジロウ君?」
そして、中心点に立つ少女が俺の名前を呟き、まっすぐにこちらへ駆け寄って——急停止した。
「——そのアバター……完全にハズレ、じゃない?」
その勢いから俺の豊満な胸部に飛び込んでくるのかと一瞬焦ったが、少し——どころか、その少女はかなり引き気味に一歩後ずさり、薄紫色の髪を揺らして顔を逸らした。
「アバターの体重はメビウス最初の関門ですからッ! 誰しもが会長みたいに理想の体型を手に入れられるわけではないんですよッ!」
「とはいえ、この容姿は完全に私の射程外です。むしろオタク臭くてキモイです」
早苗ちゃんが即座に豚アバターになったことを弁明してくれたが、少女の肩に座っていた天使が立ち上がり、背中の二枚羽から光の粉を振りまきながら浮遊し、俺のそばまで近寄ってきた。
「顔は面影を残しているようですが、この膨らみ方なら同一人物だと言われない限り、バレることはないでしょう」
何か酷い言われようだが、この天使はまさか——。
「まさか、一瀬副会長ですか?」
「ここでは“リン”と呼んでください」
やはり、この小悪魔みたいな小天使は一瀬副会長が操作する外部オペレーターなのか。早苗ちゃんとは違い、手にはオモチャにしか見えない棒付きカメラを持っている。
となれば、目の前で緊張した面持ちで薄紫色の髪を撫でたり、ロングTシャツの裾を延ばしたりしているのが、俺の幼馴染であり、二田万高校の生徒会長、紫乃倉鵺耶ということだろう。
「プレイヤーネームは何にしたの?」
「“角煮先輩”にしたよ、そっちは?」
メビウスの中では本名で呼ばないほうがいいようなので、まずは鵺耶ちゃんのプレイヤーネームを確認しなければならない。
「……オクト」
オクト——数字の8ってことか、鵺耶ちゃんの名前をもじってつけたわけか、シンプルにエイトって名付けるよりかは、名前の響きが女性的で綺麗——って何言ってんだ。
俺にとって鵺耶ちゃんは妹のように可愛がってきた存在だ。彼女なし歴一八年の俺が卑屈になることなく過ごせてきたのも、鵺耶ちゃんという存在があったればこそ、その立ち位置は年下であっても高嶺の花であり、お世話になっている泰造おじさんとのことも考えれば、不躾な発言は控えたほうがいい。
「い、いいネームだね」
「ジ——角煮先輩も……」
「いいえ、オクト。さすがに角煮先輩はないと思いますが?」
どこか手探りで進む会話をぶった切る一瀬先輩の一言に、場の空気が凍り付くのを感じた。
「ま、まぁ、リンさん。煮卵TVにはお似合いのネームじゃないですか?」
言葉が続かない俺と鵺耶ちゃんに代わり、早苗ちゃんが間を飛び回って何とかフォローをしてくれた。
というか——。
「——煮卵TV?」
まるでテレビ番組みたいな題名が付いたそれはなんだろうか?
「はぁー、それも含めて先に進みながら話すわ」
鵺耶ちゃんがため息交じりに一息吐き、気を取り直したように顔を上げて俺のことをまっすぐ見据えた。
「角煮先輩、あなたには私と一緒にこのメビウスの完全攻略を目指して欲しいの」
「それが、オクトちゃ——オクトの言っていた手伝いってこと?」
「そう、この先に進めばメビウスの本編は直ちにスタートするわ」
そう言って鵺耶ちゃんはロングTシャツの裾を翻して前を向き、背中で俺に付いてこいと言わんばかりに語り、前へ進み出した。
VRH&S——『メビウス』は、日米共同制作で作り上げられた最先端の大型ゲーム筐体で、正式サービスを迎えた今年の春から爆発的な人気を誇り、設置されたアミューズメントパークでは連日長蛇の列ができる人気ゲームとなっていた。
数多くのファンを獲得した最大の要因は、既存のVRゲームとは一線を画した業界初の仮想世界転移(Virtual World Transition)とも呼ばれた新技術により、まさにゲームの中に入り込む新体験が人々の注目を集めたことだ。
さらに何よりも人々を——ゲーマーたちを虜にしたのは、自分の意思通りに動かすことができるアバター、完全スキル制を謳い、やり込むほどに強くなるゲームシステム、自動生成ダンジョンと死亡すれば全てを失うハードコアスタイル、そして——競売所とRMTにより現実世界のお金を稼ぐことが可能であり、多くのスポンサー企業の協力によって、最初にメビウスを完全踏破したプレイヤーには賞金10億ドルが送られるという謳い文句が人々を熱狂させた。
だが、メビウスをプレイするための大型筐体は一般家庭が所有するにはあまりにも大きく、そして高価な遊具であり、VWT——転移中の安全性も考えると個人というよりかはグループで踏破を目指すことが現実的な最短ルートとされてきた。
同時に、メビウスを作り出した日米共同チームはその宣伝効果をさらに高めるために、最速踏破を争うグループを世界各国の大学・私立高校から募った。
これは仮想世界でアバターを操作するという感覚を最も柔軟に受け入れ、操作することができる年齢が一六〜二二歳だと、開発者たちが膨大なデータから算出したこと。
そして、プロゲーマーという若い世代の職種が大きなうねりとなって広まり始め、新時代の幕開けを様々な業界関係者が如実に感じていたからだ。
ここ私立二田万高校もその最速踏破レースに手を挙げ、見事に三グループ分——計六台の大型筐体を借り受けることができた。
これは早苗ちゃんから後でこっそり聞いた話なのだが、二田万高校の理事長である紫乃倉厳三郎はこの共同事業に資金提供を行なっており、多数の応募があった中から優先的に大型筐体の提供を受けていたそうだ。
まったく、俺が事故で昏睡状態の間に、随分とゲーム業界を取り巻く環境は変わったようだ。
さて、始まりの祭壇から門を越え、鵺耶ちゃんたちと合流してさらに先に進みながら、このメビウスというゲームの成り立ちについて話しを聞いてきた。
今は薄暗い岩穴の中を進み、最下層エリアって場所を目指している。ここからは実際にゲームチュートリアルを行い、一層上がったところから本格的にゲームがスタートするらしい。
メビウスの完全踏破とは——地下深くからスタートしたプレイヤーたちが、地上に出ることを意味している。
地上まで何層あるのかは明示されていない。鵺耶ちゃんはこれまで同じ二学年の生徒をパートナーにして完全踏破を目指していたが、その生徒は二田万高の別グループに引き抜かれてしまったそうだ。
そこで新たなパートナーが必要になるわけだが、ゲーム内で取得したアイテムを売買し、現金を手に入れることができるメビウスに、そう易々と生徒を参加させるわけにもいかない。
ゲームをしながら現金を稼ぐことができるだけでなく、新技術によるゲーム体験を望む生徒はとても多い。
だが、二田万高校にメビウスの大型筐体が提供されていることを知っている生徒は多いが、プレイヤーが誰なのかは基本的には知らされていない。
六台のうち二台が生徒会預かり、もう二台は運動部系が集まる連絡協議会——体育連に、そして最後の二台が文化部系の連絡協議会である文化連が預かり、各々が内部で協力し合いながら、ライバル関係を築きながらメビウスの最速踏破を目指してプレイしている。
「それで、なんで俺をメビウスのプレイヤーに誘ったわけ?」
これは単純な疑問だった。俺がお金に困っていると知っていたとしても、プレイしたこともないメビウスに誘うには、少し無謀すぎるのではないか?
俺自身はとても楽しみではあるし、これで生活費が稼げるなら申し分ないのだが、現実的に放課後のアルバイトより稼げるのか? といった疑問もある。
まぁ、これはまだ口にするわけにはいかないだろうが……。
「もちろん、ジ——角煮先輩を信じているから、それに……昔から目が良かったでしょ? このゲーム、動体視力がいい人ほど強いって噂があるの。あまり数値化できない能力だから人と比べるのも難しいのだけれど、新しいパートナーを探すなら、まずは貴方にって……」
「動体視力かぁ……」
「それに、きっと目が醒めるほどに楽しいわよ」
動体視力には確かに自信がある。昔から反応がいいとはよく言われたし、リズム系のゲームは曲をしならない初見でも好成績を出すことが出来たし、バッティングセンターでは一七〇キロを超えるストレートや高速変化球にも、難なくバットを当てることができた。
それがメビウスだとどうなるかは、やってみないことには正直わからないが——今とてもワクワクしているのも確かだ。
「ここでチュートリアル戦闘と初期装備の選択を行います」
岩穴を通り抜けて辿り着いた円形の広場は、バスケットコートが二面取れる二田万高の体育館と同じくらいの広さがあった。
円の外周壁には一二個の小扉がついており、その上にはメビウスのメイン武器種と思われる様々な武器の彫刻が彫られていた。
鵺耶ちゃんのアバターであるオクトの後ろに付いて行きながら、メビウスに用意されたメイン武器一二種の特徴を聞かされた。
まずはその一二種だが、剣、格闘、棍、槍、斧、弓、銃、杖、槌、太刀、機械、特殊に別れ、そこからさらに細かく細分化されている。
完全スキル制のメビウスでは、死亡しても上げたスキル熟練度はリセットされない。スキル熟練度の数値に限界や上限なども設定されておらず、時間をかければ全てのスキルを無限に上昇させることが可能だと言われている。
しかし、1stシーズンとも呼ばれる最速完全踏破を争うメビウスでは、悠長に時間をかけてスキル値を上げていては、他のグループに先を越されて賞金一〇億ドルもの大金を得るチャンスを失ってしまう。
二位以下には賞金はなく、死に戻りギリギリのスキル値で上層を目指すか、それとも安全マージンを取りながらゆっくりと攻め上がるか、そのバランスが重要となっていた。
一二種のメイン武器に関しても、一人のプレイヤーが扱う武器は多くても三種——遠距離・近距離の攻撃バランスを考え、パートナーとのシナジーも考慮した二種が最適だと言われている。
すでに第七階層まで上がった経験を持つ鵺耶ちゃんは、太刀と弓のスキル値がかなり上がっており、死に戻りしてリスタートする今回も、その二種を選ぶ予定らしい。
もちろんパートナー同士で上昇させるスキルが被っても問題はないのだが、取得武器の分配などで揉める可能性もあり、できれば避けるべきだろう。
それに——。
「この特殊って奴は実に俺向きな響きをしているんだけど、実際のところは何が出るのかな?」
「……特殊は基本十一種に分類しにくい、特殊形状の武器が多いカテゴリーよ」
「特殊形状?」
「そう——例えばブーメランやチャクラムなどの投擲武器、ロープやチェーンなどの鞭系、中にはクマのぬいぐるみとか、丸太とか、一見では武器に見えないものも含まれるわ」
「ク、クマ……?」
「ふわふわのモコモコよ。お鼻を押し込むとプーッって音が出るの」
そ、それは果たして武器なのだろうか? それに妙に詳しいところを見ると、さては前に選択して引き当てたな……。
「特殊でもいいわよ。中には強力な武器もあるし、レーザーブレードとか、双剣とか、それに大鎌とか——」
「——特殊にする!」
双剣! 大鎌! まさに俺が大好きな武器ばかりじゃないか!
「そ、そう——ならその扉を開いて、初期装備を生み出すガチャ(・・・)を引いて」
そう言って鵺耶ちゃんが指さすのは、複数の武器が重なりあった彫刻の小扉。ガチャ(・・・)と言う響きに少し心配になるが、チュートリアルを前にしてのガチャならそう大したものは出ないだろう。
「角煮先輩頑張ってくださいッ! いかに最下層付近を短時間で踏破できるかは、新人プレイヤーのガチャ運にかかっているんですッ!」
小扉に手を触れようとした瞬間、俺の周囲を飛び回る早苗ちゃんの一言に手が止まった。
「何も臆することはありません。初心者がURを引き当てたとしても、その能力を発揮させることはまずできません。宝の持ち腐れ、むしろ競売所に流して分相応なC武器や防具を揃えた方が有益というものです」
今度は一瀬先輩が俺の正面で対空し、両腕を組んで何度も頷きながら言い聞かせるように一刺ししてきた。
なるほど——ガチャに競売所、アバターを作った直後には触れなかったが、やはりMMOやMOにとって目玉コンテンツとも言える要素の使い道は、いつの世も手っ取り早く装備を揃える場所というわけだな。
「ふぅ〜」
一つゆっくりと息を吐いた。
何が出ようと初心者からすれば関係ない。武器のレアリティーが何段階なのかは知らないが——一番上らしきURでも、一番下らしきCでもどちらでもいい。
メビウスでの最初の相棒——それが俺の好きな武器種であれば、この初体験をさらに楽しめるというものだ。
そう思いがなら小扉を開けると、中には情緒もへったくれもない、カジノにおいてあるようなスロットマシーンが納まっていた。
「さぁ、レバーを引くのよ!」
「おぉっと——」
鵺耶ちゃんに勢いよく背を叩かれ、それに押されてレバーを思わず支えに掴んでしまった。
ガチャン! と古めかしい音と共に三リールのスロットがスピンし始めた。
リールの上に引かれたペイラインは横三本と交差する斜めの二本、計五本のペイラインがあるわけだ。
リールに描かれているのは、C、UC、R、SR、URの五種類。これがレアリティーを示しているならば、メビウスは基本五段階のレアリティーアイテムで構成されているってわけだ。
三リールの周囲が必要以上に点滅し、右のリールが止まる——上からUC・C・UR、次に左のリールが止まる——上からUR・C・UC。
これで絵柄が揃う可能性があるのはUCかCか、それともURか——。
そして、中央のリールが止まった——上からR・C・C。
当たり前のようにCランクが中央横ペイラインに揃い、ファンファーレが鳴り響く派手なBGMと共に、スロット下部のメダル吐き出し口から光の玉が飛び出てくると、吸い込まれるように俺の体の中に入って行った。
「お、惜しかったわね……」
「しょ、初回のガチャはみんなこんなものです……気に病まないでくださいッ!」
「このデブゥは無能ね」
俺の背後で三者三様の励まし? が呟かれた。確かにレアリティー最下位のCランクなのは残念だったが、それほど落胆もしていなかった。
俺の視界には、ガチャで入手した武器の獲得ログが表示されていたからだ。
【ブロンズサイスを入手しました】
「大鎌ッ!」
武器名称を見れば、特殊カテゴリーの中で何が出たのかは一目瞭然だった。
すぐに視界のアイコンをタッチし、浮かび上がったステータス画面から入手したばかりのブロンズサイスをドラッグ&ドロップし、メインウエポンとして装備登録する——。
——次の瞬間には俺の右手から光の粒子が溢れ出し、それが細く長く列をなして長柄を形作っていく。
右手一本で持つには少々重い——まだハッキリと形になっていない光の長柄を左手で握り込むと、しっくりとくる重量バランスだと感じた。
そして光が収まっていくと同時に長柄の先端が湾曲し、鈍色に光る死神の鎌が出現した。
「かっけぇ!」
Cランクとはいえ、大鎌であることには変わりはない。ブロンズサイスの長柄は俺の身長より少し長く、一九〇cmほどだろうか、そこから伸びる曲線刃の刃渡りは一〇〇cmほどか、長柄の石突から曲線刃の先端までが鈍色一色で統一されていた。
「大鎌の刃は小回りが利きませんけど攻撃力が高い切断属性持ちですッ。刃と反対側の石突は打撃属性ですので、切断属性に耐性を持つエネミーでもそれほど苦戦せずに運用できますッ」
ちょこんっと、曲線刃の腹に座った早苗ちゃんがブロンズサイスをツンツンしながら大鎌の特徴を教えてくれた。
「……ところで、俺は大鎌の基本的な扱い方すら知らないわけだけど、その辺は何とかなっちゃうの?」
これは大鎌に限ったことではない。剣術や体術、棍棒術や弓術など、凶器である武器を効率よく運用するには、それ相応の技術が必要になるはずだ。
ゲームの中の仮想世界とはいえ、俺の感覚は現実世界と何ら変わっていない。この薄暗い洞窟の中で現実に立って歩き、話し、大鎌を握っていると感じている。
「プレイヤーのほとんどが大鎌に関する技術はおろか、剣の振り方だってよく知りませんよ。ですが、メビウスは古今東西の基本的な武器技術モーションを取り込んでいて、プレイヤーは特に意識することなくそれを扱うことができるんですッ!」
「つまり、剣を持てば剣術の達人に、弓を持てば弓術の達人になれるわけか……」
「そうなんですッ! そしてスキル熟練度が高ければ高いほど、取り込まれたモーションの再現度や精度が高くなるんですッ!」
これは期待せざるを得ないし、多くのユーザーが熱狂するのも頷ける。両手に握るブロンズメイスを軽く腰付近で往復させるように動かすと、俺が考える最もカッコイイモーションでブロンズメイスを旋回させ、カツンッ——といい音を鳴らして石突を石畳の上に落とした。
「おおぉ……」
「初プレイではみんなそれに感動するの——でも、いつまでもここで遊んでいる時間はないわ。リン、あと何分くらい?」
「あと三分です」
何の時間だろうか? 鵺耶ちゃんとその肩に座る一瀬副会長が手早く弓の彫刻が掘られた小扉を開け、スロットを回して易々とRランクの弓を引き当てた。
「オクトは最初は弓で行くの?」
「いいえ、メビウスは死亡すると所持品を全て失ってしまうのだけれど、希少な消失保護薬を使えば失わずに持ち越せて、私はURの太刀、ムラマサに毎回それを使っているの」
鵺耶ちゃんはそう言うと、ガチャで引き当てたばかりの弓を背負い、腰には紫色の鞘が光る一本の刀を佩いた。
「あと一分です」
「しょうがない、ここで始めましょ。角煮先輩は私の横に立って、そうそこに——」
何が始まるのか判らないが、鵺耶ちゃんの指示に従って立ち位置を広場の中心に変更し、オモチャのマイクを握る早苗ちゃんとカメラを構える一瀬副会長と向かい合う形で立ち位置を変更した。
これって——。
「——まさか配信するの?」
「そうよ……というか、仕様上ダイブ開始から一五分で自動的にカメラが回り始めるの、マイクのオン・オフは切り替えられるけど、配信スタートだけはどうしようもないわ」
「メビウスには多くの企業がスポンサーとして協賛しています。それに賞金10億ドルを争う攻略競争ですから、それを一般ユーザーに向けて配信しないわけにはいきません」
な、なるほど……。
「配信がスタートしましたッ!」
一瀬副会長の冷静な説明に納得できたような、まだ疑問点が山積みのような感覚を覚えながらも、早苗ちゃんの一言に体が硬直するほどの緊張感が湧き上がってきた。




