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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての驚き

初めて下界の現在の情報について触れます。

あと、ゴッドワールド・オンラインというゲームそのものについても情報にいくつか訂正を加えさせてもらいましたが、できるだけ自然な形かつ今後の展開に問題及び矛盾を生じないようにしたつもりです。

 それから私たちは冒険者ギルドの2階の歓談スペースに上がると、またテーブルを囲んで4つの椅子にそれぞれ座って最後に話をした。

 パーティ登録を解除した後で、ナポリさんがもう知らない仲ではないのだしせっかくだからフレンド登録しようと言ってくれて、ペペさんとパス太の2人もそれに乗ってきた。


「はい。いいですよ」


 私はもちろんそれを快諾し、フレンドが一気に3人増えた。

 コルトさん、東也とローズ達のパーティ4人と合わせてこれで私のフレンドは9人になった。

 あと1人でフレンド2桁になるな。ふふふ。

 そしてフレンド登録が終わった後でペペさんが1つ聞いてきた。


「ところで、その仮面はいつまでつけているんだ?」

「え?…………あ!!」


 やばい。もう街に帰ってきてたのに蝶々の仮面装備したままじゃん!

 私はそれに気づいてすぐに仮面を外すと3人はそれを見て苦笑いしていた。

 正直それもちょっと恥ずかしさがこみあげてくるわけであって、せめて何か言ってくれたら良かったのにとか思ったけど、というかもっと早く言ってほしかった。

 街に帰ってきてから割と長い時間蝶々の仮面装備してたし、そういえばなんか途中街中ですれ違う他のプレイヤーがくすくす笑ってたような気もしないでもないけど、まさかあれって私の仮面見て笑ってた?

 ……あ、やばい。そう考えたら本当に恥ずかしさMAXだ。


「そういえば皆さんはリアルの食品会社の宣伝のためにゲームプレイしているんですよね?」


 私がそう尋ねたらナポリさんが答えた。


「ええ、そうよ。といってもそれは建前で、本当は単にゲーム楽しんでいるだけな部分もあるけど」

「そういうのって、宣伝費用とか取られないんですか?」


 そう、私は地味にそこが気になっていた。

 というか、ゴッドワールド・オンラインは無料でダウンロードできるゲームだ。

 さらにはゴッドワールド・オンラインにはスマホのアプリゲームにあるような課金制度、つまりリアルマネーを払って有料アイテムを手に入れるという仕組みもないと聞く。

 そしてスマホアプリの無料ゲームでは、よく広告などが何度もでてくるけどこのゲームをやっていて私はその手の類のものを一度も見たことはなかった。


 では、このゲームの開発・運営元はどのように利益を得ているのだろうか?


「私たちのように、単にプレイヤーとしてゲーム世界で他のプレイヤーに触れて回る分には取られないわね。私たち以外でも宣伝活動している会社や企業はいくつもあるけど」

「そうなんですか」

「だけど大手企業とかで、ゲーム開発元の会社にスポンサーとしてついていたりするところはこのゲーム内でも大きくリアルの宣伝活動とかしているところもあるぞ?」

「え?」


 それってどう違うの?


「たとえば先の階層で近代的な建物が並ぶ街とかだと、その街の看板とか、大きな画面にリアルの会社の宣伝広告やCMを流したりとかな」


 ああ、なるほど。つまりはリアルの広報活動と同じ感じか。


「でも、それだとその街やその階層にいるプレイヤーの目には止まりますけど、それ以外のプレイヤーの目には入らないんじゃ……」

「ふふふ。宣伝なんてそんなものよ。広告チラシもCMも看板も、見てくれる人は見るし、見ない人は一生見ない。玲愛ちゃんは街を歩いていて建物の看板とか、テレビのCMとか全部ちゃんと見てる?」

「あ……」

「そういうことよ。ようは少しでも人の目に触れさせようとしているってだけ。実際にそれでどれだけ効果があるのかはわからないし」


 それは、そうなんだろうけども。


「あの、じゃあこのゴッドワールド・オンラインの開発元の会社って、どういう風に利益を上げているんですかね。だってこのゲーム無料ですよね?」


 私はもう直接3人に聞いた。3人はもう下界で会社に勤めている社会人だから知っているはず。


「そうなのよね。そこがちょっと不思議なのよね」


 あれ?、何その反応?


「あ、もしかして玲愛ちゃん無料のVRゲームはこれが初めて?」

「え、あ、はい」

「そう。なら今度他のVRゲームもやってみたらわかるんだけど、ゴッドワールド・オンライン以外のゲームってだいたい課金システムとか、あとゲームプレイ中に普通に広告画面が表示されたりするの」

「え、そうなんですか?」

「ええ。だからこのゲームのプレイヤーの中でもこのゲームの運営費用とかどうやってやってるんだろうとか気にしてる人は多いというか、もうリアルでも1つの都市伝説よね」


 都市伝説……いや、でもたしかにそうか。


「噂だとこのゲームはまだテスト版で、これから先有料の製品版が発売されるだとか、後はどこかの大富豪が金と権力をフルに使って作らせたただの道楽ゲームって話もあったが、どれも確証はない」


 ペペさんはそう言ったけど、前者ならまだわからなくもないが後者の理由は、それはそれですごそうな話だなと思った。いや、前者でもちょっとありえないか。

 このゲームは、まあ私がここまでプレイして来た分にはほぼ完成していると思った。

 それでも些細なバグとかは日々起きては修正とかしてると思うんだけど、でもゲーム自体はきっとこれで完成しているんだと思う。


 それとも、ゴッドワールド・オンラインとは別の感じのVRゲームを作るためのテストとして、このゲームを作ったというのだろうか?


 いや、というよりもそもそも私ってこのゴッドワールド・オンラインについて、ゲーム自体のことについてほとんど何も知らないな。リアルに戻ったらちょっとスマホで調べてみるか。


「ぶっとんだ人だとこのゲームは実は宇宙人が作ったんだ、とか、後は実はこのゲーム世界はゲーム世界じゃなくて本物の異世界なんだとか言ってる人もいるな」

「課長、それはさすがにないですよー」

「いや、僕が言ってるんじゃないよ」


 うん。それはさすがにないだろう。

 あ、でも。この世界のあまりの完成度の高さに私はパス太が言った実はここはゲーム世界じゃなくて本当にリアルとは違う異世界なんじゃないかとか思ったことはあったな。

 なんていうか、特にNPC1人1人に搭載されているだろうAI(人工知能)とかがすごい賢いというか、もう普通に他のプレイヤーと話している時と違和感がないから。

 NPCそれぞれに名前があって、設定が盛りだくさんで感情表現も豊かで。それ故に私はこのゲームを開発している人間たちの執念というか、リアリティーの追求の精神を高く評価していたのだけど。


 それからもパス太たちからはリアルの話についていくつか面白い話が聞けた。

 そうして、気がつけば時刻はもう午後8時を過ぎていた。


「あ、もうこんな時間」

「じゃあそろそろ俺たちはログアウトするか」


 麺類トリオの3人はどうやらこれからリアルに戻って仕事があるらしく、今日はここでログアウトするということだった。

 3人に改めて今日のクエスト攻略のお礼を言われたけど、クエストに誘ったのは私の方なので私もそれでお礼を返した。


「私たちも迷宮ボスを倒したらすぐに第3階層に行くから、そしたらそこでまた会いましょう」


 ナポリさんがそう言って来たので私ははいと返事をすると、それを最後に3人はログアウトして私の視界から消えていった。

 プレイヤーがログアウトする時って、こう体がパッと光って一瞬で消えるからな。

 街の祭壇でプレイヤーがログインしてきた時も、光と共にパッと出てくるし。


「さて、じゃあ私も今日はここでログアウトするか」


 そして明日はいよいよこの第2階層とも別れを告げて第3階層へ向かう。

 そうだな、迷宮のボス部屋。第3階層につながる青色のワープゲートに入る前に私は私の恩恵の効果を確認することにしよう。

 私の、つまりこのゲーム内における女神アストレアの恩恵の効果について。


「ああー、それを考えたらなんか今から緊張してきた~」


 まあもう何度も言うが私はすでに私の恩恵の効果についてだいたいのところを知っているし、たぶん確認したらしたでやっぱりそうだったのかって言うだけで終わりそうな気もするんだけど。

 でも自分自身の話だからね、私の場合は。もしかしたら私が気づいてないだけの効果とかまだありそう。


「にしてもチートなんだよな。これ本当にバグじゃないのかな」


 いまだに修正もされず、ゲーム運営から何の通知もこないのだけど、もしかすると本当に運営側は私の異常性能について気づいていないのだろうか。

 それとも気づいた上で対応策を考え中なのか。


「最悪恩恵の効果が弱くなったり、別の物に変わっても文句は言うつもりないけど。でも今まで覚えたスキルとか魔法とかはそのままにしてほしいな」


 私は1人そう呟くとメニュー画面からログアウトボタンを押した。


 ――神界の私の部屋――


 私は現実世界に戻ってくるなり、まずは普通の服に着替えて近所のコンビニへと出かけた。

 今日の夕食は新発売のチキン南蛮弁当にして、あと明日の朝食用にヨーグルト1個買っておくか。

 それだけ買うとすぐにまたアパートの部屋に帰ってきてヨーグルトを冷蔵庫に入れるとチキン南蛮弁当を食べた。

 食べ終わり、ごみを片付けてから私は風呂のお湯を入れた。今日はボスクエスト攻略で疲れたんで湯船にゆっくり浸かることにする。


 で、お風呂のお湯がたまるまでの間に私はスマホを充電器から引き抜くとまずはメールなどが来ていないかをチェック。メールもSNSも電話も何も来ていないことを確認した。いや、いつものことだ。


「えーっと、まずVRゲームについて調べるか」


 私はスマホの検索サイトアプリ、YAHHOを起動するとVRゲームの歴史について少し調べてみた。

 下界の暦は今は西暦せいれき何年とあらわされていることは知っていたけど、実際に今は西暦何年なのかということは知らなかった私。


「ふーん、下界は今西暦2037年なのか」


 私はそれを確認した上でVRゲームと下界のコンピューター技術の歴史について少し調べて学んだ。


 そもそもVR、つまり仮想現実という言葉自体はかなり昔からSF小説の中に登場はしていたようだが、残念なことにその当時のコンピューター技術では再現不可能なものだったらしい。

 まあSFなんて言っちゃえば未来の世界はここまで科学が進歩しているんじゃないかという人間の想像でしかないわけだから、それはわかるんだけど。


 VRという技術の元が現実味を帯びてきたのは2010年代後半になってから。

 当初、VRというのは医療目的で作られた技術だったらしい。

 生まれつき目が見えない人間の脳に直接映像を送り込んで光と色を、耳の聞こえない人間に音を、そして体が動かない人間に体を動かすことを教えようということがどうやら発端だったらしい。


 最初期に完成したVRというのは頭にヘルメットを装着して、視覚情報と聴覚情報の一部を再現し、ヘルメットを装着した人間にVR世界というのを見せるだけで限界だったらしい。

 今私がやっているようなゴッドワールド・オンラインのようにプレイヤーの意識と感覚をVR世界で完全に再現し、実際に体を動かしたりできるフルダイブ型と呼ばれるVR技術が完成したのがそれからすぐの2020年代になってからの話。


 でも2020年代に完成した初期のフルダイブ型のゲームでも、視覚情報と聴覚情報、つまり光と音を再現するのがやっとでしばらくしてからようやくそこに触覚情報が加えられた。

 だからこそ今、五感を完全再現したゲームであるゴッドワールド・オンラインなどは下界の人間たちに高評価を得るのだろう。


「でもどうしてそんなに急激にVR技術が進歩したんだ?」


 その疑問の答えも調べたらすぐにわかった。


 2022年、下界の日本という国のあるコンピューター制作会社が開発した従来型のスーパーコンピューターの性能を遥かに超えたコンピューター、通称ハイパーコンピューターの登場によって、下界の科学技術は一気に進んだ。


「ああ、ハイコンってここで出来たのか」


 もちろん、下界にすでにそれがあるということは神界にもハイパーコンピューターはあるし、私もそれについては知っている。ハイパーコンピューター、略してハイコン。

 それは下界において今世紀最大のブレイクスルー、つまり技術革新とまで呼ばれたそうだ。

 ハイコンがたった一台あれば、どれだけ複雑な演算処理もほぼタイムラグなしに一瞬で終了するらしく、さらにそのことで下界では様々な変化があったそうだが、そういうのは別にいいか。

 ようはハイコンが完成したことによってVR技術もそれで一気に進歩したというわけだ。


「それで2030年代に入ってからはVR技術も安定的にフルダイブ型で五感完全再現のゲームとかも作れるようになってきた、と」


 ここまでが下界のVRとコンピューター技術の歴史、と。

 そしてここからゴッドワールド・オンラインについての話を交ぜていく。


 まず、ゴッドワールド・オンラインの開発元はAWCという会社らしい。

 AWCは一応は下界の日本という国にある会社のようだが、他の国の中小企業やゲーム会社もゲーム開発に援助しているようで一概に日本の会社とも言えないらしい。

 AWCはアナザーワールドカンパニーの略で、VRゲーム開発をメインに、他のスマホやネットなどで遊べるゲームもいくつか作っていてそのどれもが売れているらしい。

 ただ、ゴッドワールド・オンラインについてはどのように収益を得ているのかは謎に包まれているらしく、検索したら都市伝説のまとめサイトにつながった時には普通に笑っちゃったよ。


「AWCはゴッドワールド・オンライン以外にもいくつか有料のVRゲームソフトを作って提供してるけど、無料なのはゴッドワールド・オンラインだけなのか」


 あるいは、ゴッドワールド・オンラインはVRMMO初心者でも安心して遊べるから、それで遊んで気に入ったのならうちの会社の他のゲームも有料だけど買って遊んでみてね、みたいなことなのか。

 会社の技術力をわかりやすく伝えるための宣伝か。


「いや、それともゴッドワールド・オンラインは大赤字だけど他のゲームの収益や、会社全体としては儲かってるから別にいいじゃん的な?」


 ありえる話だけど、実際のところどうなのかは知りようもないしな。

 ただ、面白いゲームをできるだけ多くの人に無料で遊んでもらいたい、そのためには何だってやってやるという精神の持ち主が集まってできた会社ならあるいは……いや、それは飛躍しすぎか。


 さらに調べてみたら下界でハイコンを開発したコンピューター制作会社も、AWCに技術協力しているとあったから、きっとAWCの持つハイコンは他のよりもより高性能なんだろう。

 今、下界でのVRMMOゲームは全部ハイコンの処理能力によってなりたってるということか。

 何台あればどこまでのことができるのかは具体的にはわからないけど。


「あ、やばい。お風呂止めなきゃ!」


 私はそこでお風呂のお湯を入れっぱなしだったことを思い出し慌てて浴室の扉を開けたら案の定浴槽は一杯になっていた。ああ、水道代が……まあもうどうしようもないけど。

 私は蛇口を捻ってお湯を止めると、お湯の温度が熱かったので少し冷ましてから入ろうと思ってまた部屋に戻ってきてスマホで続きを調べ始めた。


 ゴッドワールド・オンラインが無料ソフトとしてVRハード機器いつものヘルメットのことでダウンロードができるようになったのは5年前の2032年。

 最初はゴッドワールド・オンラインもいくつかの大きな問題点やバグなどが見つかって、プレイヤーたちからの不満も多かったそうだが幸いにもそれらは早い段階で改善されたためすぐに不満はなりをひそめ、むしろ五感完全再現なのに無料で遊べるVRMMOとしてすぐに人気を博した。


「プレイヤー人口は、と……え!?」


 私はそこで目を見張った。

 たしか前に一度調べた時は、プレイヤー人口は3万人だったはずだ。

 なのに今改めて調べてみたらゲーム人口は現在8億人を超えていたからだ。


「え、え、ちょっと待って。じゃあ3万人っていうのはなんだったわけ?」


 と、私が調べたところによるとどうやら3万人というのはゴッドワールド・オンラインが配信された直後の日本という国でのプレイヤー人口で、私が前に見たネット記事は古いものだったらしい。

 たった5年でプレイヤー人口が世界で8億人突破っていうのも驚きだけど。

 まあダウンロードだけしてすぐに飽きて辞めた人間や、まだアカウントは残っているけど最近はもうほとんどログインしていないプレイヤーもいるとは思うけど。


「でも待てよ。プレイヤーが全部で8億人もいたら、第1階層とかももっと人が……ああ、そうか」


 そう、プレイヤー人口が100万もいたなら第1階層や第2階層にももっとプレイヤーの姿があってもおかしくはないなと思っていたら、私はそこでようやく気がついた。


 まず、ゴッドワールド・オンラインは下界の多くの国で配信されている。

 私がニートをやっている間にどうやら下界の人口も増えていたようで下界全体の人口はすでに80億を超えていた。ちょっと前まで70億くらいだったはずなのにな。

 そして、ゴッドワールド・オンラインに限らずVRMMOのゲーム世界のプレイヤー情報は各地域のサーバー毎に管理されているらしい。


 どういうことかと言うと、だ。


 つまり私がいつもログインしているのは下界のある国の、ある地域のサーバーの中にあるゴッドワールド・オンラインということだ。


 え、それじゃあまだわからない?

 じゃあもっと詳しく説明するけど、日本という国がわかりやすいので例にすると。


 日本という国にはサーバーが8か所存在する。

 北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の8つだ。

 そしてこの8つは日本の地域の区分でもあるらしい。

 たとえば誰かが新しくゴッドワールド・オンラインをダウンロードして始めた場合、日本国内でダウンロードしたらダウンロードした場所の地域(たいていは自分が住んでいる場所でダウンロードするだろうから住んでいる地域)にあるサーバー内の第1階層:始まりの街にログインするのだ。


 つまりゴッドワールド・オンラインの世界は日本国内だけで8つ存在する。


 北海道サーバーのゴッドワールド・オンラインの世界にログインしたプレイヤーはもちろん同じ時間帯同じ場所の関東サーバーのゴッドワールド・オンラインの世界にはいない。その逆もまたしかり。

 つまり1つの世界にゲームプレイヤーが全員がログインしているわけではない。同じゲームの世界が地域ごとに存在しているのだ。


 まあ、それだと人口の多い地域はやっぱりプレイヤー人口も多くなりそうでサーバー毎のプレイヤー総人口に差が出てしまうかもしれないけどそこはどうしようもない。

 もしかするとこの先、関東Aと関東Bみたいにプレイヤー人口が多いところはさらに新たなサーバーで分けられたりするのかもしれない。


「あれ?、じゃあ私っていったいどこのサーバーに接続してんだ?」


 もちろん神界には神界サーバーなんてないからね。あったらたぶんプレイヤーは私と、他に何人もいないはずだし。きっと下界のどこかのサーバーに接続されたんだろうけどそれがどこかはわからない。


 そういわけで今、下界全体でゴッドワールド・オンラインをプレイしている人間は全部合わせると8億人いるそうだけど、上手い具合に国や地域ごとにサーバーがわかれていて同じゲーム世界がサーバー毎に存在し、プレイヤーが割り振られているのでゲーム世界がプレイヤーで埋め尽くされたりするということは今のところない。ダウンロードした8億人すべてが今現在も定期的にログインしてゲームをプレイしているわけでもないんだろうし。


「っていうか今の下界の人間って、案外暇なやつ多いんだな~」


 私はそう締めくくるとスマホをテーブルの上に置いてまた浴室の方へ。

 浴槽に入れた湯船に手を入れたらお湯の温度はちょうどいい感じに冷めていた。


本編内で書ききれなかった情報をちょっと。

ゴッドワールド・オンラインの世界はサーバーの数だけ存在していますが、自分の最初にログインしたサーバーから別のサーバーの世界へ行くことは可能です。ゴッドワールド・オンラインは世界中のあらゆる言語の同時翻訳機能もあるので外国サーバーに行ってもプレイヤーはゲーム世界内で外国人プレイヤーと普通に会話もできます。

ただし、サーバーを移動した場合はゲーム内でのいくつかの情報は引き継がれないので注意。


<引き継がれない情報の例>

・サーバー移動の際に引き受けている途中だったクエストの進捗状況。これはクエスト自体引き受けていなかったことになりクエストの依頼書等のアイテムは消滅し、途中まで進めていたクエストはすべてリセットされます。

……その他


<引き継がれる情報の例>

・プレイヤーの装備、所持金、所持アイテム、その他プレイヤー情報。

・ゲーム内の銀行に預けているゴールドの残高

・ゲーム内の各階層の冒険者ギルドですでにクリア済みのクエストについての情報。

・ゲームの進捗状況。

……その他


サーバー移動は基本自由ですが、あるサーバー内のゲーム世界に存在するプレイヤーの数が著しく減少したりした場合にはゲーム運営側からサーバー移動に制限がかかることもしばしば。

特に地域の人口そのものが少なく、プレイヤー人口の少ないサーバーのゲーム世界からプレイヤー人口の多いサーバー世界へ移動するプレイヤーが多いので、それを防ぐためにサーバー毎のゲーム世界のプレイヤー人口ができるだけ均等に近づくように常に調整を図っているらしい。


日本を例にするとどうしても関東サーバーのプレイヤーは多くなりそうなのですが。

やっぱり関東Aと関東Bの2つくらいに分けた方が良かったのかどうか。


※なおこの後書きで書いた情報は今後の本編内でほぼ関係はしてこないものであり、玲愛がこの先サーバー移動をすることは100%ありませんのでご安心下さい。


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