表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第1階層―始まりの街―
8/171

ニートな女神と初めてのレアアイテム

<魔法について>

ゴッドワールド・オンラインの魔法にはいくつかの種類分けがあります。

まずは魔法の属性についてですが、これは以降の話で本編内にて説明します。


魔法には、階梯があり初級、中級、上級、超級の順で後に行くほど魔法の効果も大きく、その分消費MPなども多くなります。


魔法は、攻撃魔法、防御魔法、支援魔法、回復魔法、その他など用途と効果によってもわかれていますが、それも以降の話のどこかで説明することになるかと思います。


それでは前書きが長くなりましたが、本編の方をどうぞ。

 レッドウルフとの戦闘が終わり少しだけ休憩した私は、レッドウルフのいた場所に見慣れないものが落ちていることに気がついた。

 まあそれはドロップアイテムだったのだけど今回はなんと3つも落ちていた。

 そのうちのひとつは通常のウルフと同じ獣の爪だったけれども。

 もう1つは魔獣の皮というアイテムで、これも素材アイテムだろう。

 そして最後の1つが驚きで……


「ん、なんだろうこの……小さなストラップみたいなやつ」


 それは白い石を狼の形にくりぬいて作ったような小さなストラップだった。

 拾ってみるなり私はすぐにアイテムボックスを開き詳細を確認した。


 〇狼のストラップ

 STR+5%


「おお、これは装備アイテムだ。しかも装飾品。ふふふ、いいアイテム落とすじゃあないか」


 私はすぐにそのアイテムをつけると狼のストラップは私の腰に巻いたベルトの横につけられた。

 ストラップなので小さくて軽いし戦闘の邪魔にもならないし何よりも可愛い。完璧だな。


「今の戦闘でMPが大幅に減ったけどまだ行けるな。それにもうすぐレベルアップだし」


 レベルアップするとHPとMPは全回復されるのでわざわざ街に戻る必要はない。

 私は狩りを続行することにした。

 そして私はその夜のうちに劇的に強くなったとだけ言っておこう。


 ――それから約4時間後――


「お、そろそろ夜が明けそうだな。でも良かったよ。今のでちょうど10体目だったし」


 そう、私はその時ちょうど10体目となるレッドウルフを始末し終えたところだった。

 4、5回目くらいの時から割と簡単に倒せるようになってきたな。動きが読めて来たから。

 それで今の私のステータスはこんな感じになっている。


 レベル10 

 HP:123/145 MP:65/86

 STR:28

 VIT:28

 AGI:24

 ING:22

 DEX:17

 LUX:18


(※装備補正は非表示)


 レベル9からレベル10に上がるまでには必要な経験値の量も1000を超えてきたのだけど、もうこのフィールドに出るモンスターはレッドウルフ以外は文字通り瞬殺できるし、夜の平原はゴブリントーチがよく出るのだがあいつ1体で経験値6ポイントだからな。本当はたいまつの火を消してから倒して銅貨袋をドロップさせた方がお金もたくさん手に入るからいいんだろうけど。


「まあ、もう面倒だしね」


 それで今夜、ゴブリントーチだけでも軽く200体くらい倒したと思ったら図鑑で確認したところによると286体も倒していた。もうあちこちにたいまつが落ちまくっていて夜なのにフィールドが明るくなっちゃったよ……いや、それは冗談だけども。ドロップして一定時間経ったら拾わなかったドロップアイテムは消滅しちゃうからね。

 で、他のゴブリンメイスやらウルフやらもたくさん倒していったらすごいスピードで経験値が加算されていった、と。そりゃレベルも上がるわ。

 それに全体的に昼よりも夜の方がモンスターの出現率や遭遇率が高いから経験値稼ぎしたいなら夜の方がおすすめということか。まあその分危険ってことなんだろうけど。


 私は、さらにつけくわえるならばまだレベルアップでもらったスキルポイントを割り振っていない。

 なのでスキルポイントも今ではなんと24ポイント分もあった。

 でも、もうここまで来たら割り振らなくてもいいかなとさえ思えてくる。

 事実として何にも割り振っていないのにも関わらずこれまで比較的楽にゲーム攻略できていることなんだし。


 さて、ここらで私が今現在持っているスキルについて話すことにしよう。


『水魔法無効』

『俊敏Ⅹ』

『突進』

『火魔法最強』


 まずは俊敏についてだが、あれからもウルフを狩り続けていたら300体目を倒した時に数字が最大のⅩ(10)まで上がった。

 ウルフを240体倒したところでスキルレベルはⅨ(9)に上がって、そこからⅩに上げる時だけそれまでの倍の60体倒す必要があったのだけど、それまでは30体倒すごとにレベルが上がって行った。

 私はようやくかと嘆息したものの、そのスキルの効果は絶大だった。

 俊敏Ⅹになると、AGIが50%もあがるのだ。つまりは元の数値の1.5倍である。

 そのおかげで今の私にはレッドウルフでさえ普通のウルフと同じ速度。普通のウルフにいたってはもうはや止まって見えるようにさえなった。見えるだけで実際に止まっているわけではないのだけど。


 火魔法最強というスキルは今まさに10体目のレッドウルフを倒したことで成長したスキルだ。

 火魔法強化(微小)というスキルだったものが化けたものである。

 効果もすさまじいもので火属性の魔法攻撃によって与えるダメージが100%上昇するというものでありつまりはダメージ2倍。

 レッドウルフを1体倒すごとにダメージ上昇率が10%ずつ上がっていったことと、それが50%で止まらずに100%まで上がったことにはやっぱり驚いたけど、まあこのスキルは水魔法無効と同じ感じのスキルだったということなのだろう。

 ただ、ここから先しばらくはどんな敵もファイアーボール1発で倒せるんじゃないだろうか。

 狼のストラップも合計10個も手に入れたけどこれは売るか、それとも他に欲しいっていうプレイヤーの人がいたならあげてもいいだろう。プレイヤー同士のアイテムの譲渡は自由にできるから。


 そして私にはあと2つほど実は最初から持っていたスキルがある。

 それがなにかわかるって人はいるかな?


 答えは……『片手剣術Ⅱ』と『盾術Ⅱ』である。

 そう、つまりは単純な話だが私の初期武器を装備するためのスキルである。

 そしてそのスキルレベルがⅡということは上がったのである。今回のレッドウルフ狩りの中で。


「ふふふ、それだけでめちゃくちゃ強くなったし」


 まず片手剣術とは、その名の通り片手剣を装備するために必要なスキルであると同時に、成長することで片手剣の技を覚える。技っていうのは、まあアクティヴスキルのことね。

 ただ、普段から常に使い続けているようなものなのでスキルの成長は非常に遅いのだがその分成長したことで覚える技は普通に剣で斬ったり突いたりするだけの通常攻撃よりも当然のごとく強い。

 盾術は、盾を装備するために必要なスキルであり敵の攻撃を盾で防いだ時に成長していく。


 もちろんゲーム開始時、片手剣術と盾術のスキルレベルはⅠだった。

 そこから片手剣術は片手剣の攻撃で敵にダメージを与えるたびに、盾の方は敵の攻撃を盾で防ぐたびにプレイヤーと同じように経験値を得て、その経験値が一定に達するとスキルレベルが上がるというような仕組みらしい。

 ただし、この武器系のスキルのスキルの経験値の溜まり具合は、プレイヤーは確認することができないので具体的にあとどのくらいその武器を使えばスキルレベルが上がるのかはわからない。

 でもまあ、普通に戦闘の中で使っていれば順当に上がっていくらしいけど。


 片手剣術のレベルがあがると片手剣を装備している時に片手剣での物理攻撃で与えるダメージが上昇し、盾術も同様にレベルが上がると盾で攻撃を受け止めた時のより大きくダメージを減らしてくれる。


「レッドウルフにも普通に剣で攻撃しても1回で2割くらい削れるようになったしね」


 だけども私はそんな非効率的な戦い方はもうしない。

 どういうことかというと先ほどもいったが私の片手剣術はⅡになったことでいくつか技を覚えたのである。その技を使えばレッドウルフでさえ簡単に倒すことができるのだ。

 片手剣術Ⅱで私が覚えた技は4つある。


 〇2段斬り

 無属性の物理攻撃。剣で素早く2回斬りつける。連続攻撃。2回目の攻撃は与えるダメージが1.2倍になる。

 消費MP:3 再使用可能までの時間:5秒


 〇疾風斬り

 風属性の物理攻撃。風をまとった剣で斬りつける。

 消費MP:3 再使用可能までの時間:5秒


 〇火炎斬り

 火属性の物理攻撃。火をまとった剣で斬りつける。

 消費MP:3 再使用可能までの時間:5秒


 〇氷結斬り

 氷属性の物理攻撃。冷気をまとった剣で斬りつける。

 消費MP:3 再使用可能までの時間:5秒


 このうちの4番目、氷結斬りについて、これがレッドウルフによく効いたのだ。

 どれくらい効いたのかというと一撃で体力の半分ほどを削るくらいに。

 いや、水が弱点っぽかったから氷はどうなのかなとその場の思いつきで試してみたらこれがまた大成功だったようで。レッドウルフに大ダメージを与えられたんだよ。


「よし、これでこの南の平原フィールドは攻略終わったな。次回は別のフィールドに移動しよう」


 と、思ったのだが私が街についた時にはもう完全に夜明けだった。

 兵士のひとたちもたいまつを持っていなかったし実際にはもう朝の扱いなんだろう。

 私はそこで1度ログアウトすることにした。なぜかといえばそれは現実世界の私も睡眠を取るためだ。

 さすがにずっと寝ないでプレイし続けるほどのゲーム廃人にはなるつもりはないので。


 ――神界の私の部屋――


「……ふう。それにしても、今さらだけどたった2日でとんでもないくらいに育ったな、私のキャラ。まあそれもこれもトトおじさんのアドバイスのおかげだけど。……でもやっぱりおかしいよな」


 私は部屋のベッドの上であぐらをかいて少しの間考えていた。

 ドロップアイテムが100%落ちることといいモンスターからスキルを入手してどんどん成長させていくことといい、おそらく他のプレイヤーは違うのだろうし。

 他のプレイヤー……今度聞いてみようかな。あ、でもそれを聞くと私が異常だってことに気づかれるかもしれないか。


「うーん、わからんけどとりあえず昼まで寝よう」


 私は考えても答えなど出ない問いについては考えないようにしている。

 なのでベッドの中に潜り込むとまぶたを閉じた。なぜだか久しぶりに何かをやりとげた達成感のようなものが広がっていたけど私はそれにも気づかずにすぐに眠りについた。


 それで7時間後、私はぐっすりと眠ったことで体調を回復させると部屋の時計を見た。

 午後1時過ぎだ。いい時間だな。

 私は体を起こすとお昼ごはんを食べようと台所にやってきた。

 お昼ごはんはなにかって?、そりゃあもちろん決まってるだろう。パンの耳だよ。


 私はパンの耳を水道水で流し込むとパンの袋を片づけてそしてまたベッドの方へ。

 今日はきゅうじt……今日も休日だから目いっぱいゲームが出来るのだよ、私の場合は。


 <第1階層:始まりの街>


 私は祭壇の上から飛び降りると着地にちょっと失敗して転んだ。うーむ、やっぱり飛び降りはよくない。(ちなみにダメージはない。)

 祭壇は階段でいうと8段分くらいの高さだったからそれほど痛くもなかったけど。


「あ、あの。大丈夫ですか?」

「んお。あ、はい大丈夫……あれ?」

「え?」


 そこで地面に倒れこんだ私に気づいた1人のプレイヤーが駆け寄ってきてくれたのだが私はそのプレイヤーに見覚えがあった。

 たしか昨日武器屋ですれ違った男の子だ。重そうな鎧とばかでかい剣を背負っているので間違いない。


「あの、もしかして昨日武器屋で……」

「え、武器屋?……ああ、もしかしてあの裏路地のお店の中で会った人ですか?」

「あ、うん。そうだけど」

「あの時は本当にすみませんでした。装備を買い替えようと思ってたのですが……」

「あの、その前に。敬語、やめてくれないかな。なんかむず痒くて」

「え?、でも……ああ、うん。わかりま……えと、わかったよ」


 男の子は小柄で、人間でいうと中学生くらいに見えた。

 だけどゲームの中のキャラクターであり必ずしも見た目と中身が一致しない以上は初対面の相手には敬語で話すというのもわかる。

 それに私のキャラは15歳の女の子に設定してあったからもしも男の子が見た目通りの年齢のプレイヤーだとしても普通であれば敬語を使うだろうか。

 そのあたりのあれやこれは正直わからなかったけどとにかく私は敬語で話されるのは苦手なのだ。

 自分が話す分は別に問題ないのだけど他人から私に向かって言われるのは苦手だ。

 たとえ相手が自分より格下の相手であっても。


「えっと。あ、僕は東也(とうや)っていうんだ。レベルはまだ低くて5なんだけど早く強くなりたくて。それで装備を買おうと思ったら意外と高くて」

「ああ、うん。そうだよね。あ、私は玲愛っていうの。レベルは10。このゲームは一昨日始めたばかりでまだわからないことも多くて」


 私がそう言うと東也はちょっとだけ驚いたような顔をした。


「ええ、2日でもうレベル10まで行ったんだ。僕なんて5日でまだ君の半分なのに」

「え、そうなの?」


 あ、今の発言はちょっと墓穴掘ったっぽいな、まずいまずい。


「うん。凄いと思うよ。それってもしかして君の恩恵の効果?」

「え?」

「ああ、ごめんね。これは聞いたらダメなんだった」

「いや、別にいいけど。レベルが上がったのは多分恩恵の効果じゃないと思うよ。がんばってモンスターを倒しまくっていたら、いつの間にか」

「ははは。うん、そうなんだろうね」


 私はそう言った東也の顔をまじまじと見つめるとそこであることを思いついた。

 そうだ、今日は2人でフィールドに出てみよう。


「あ、あのさ。東也もこれからフィールドに出るつもりなの?」

「え、うん。レベルも5になったところだしそろそろ平原から次のフィールドに行こうかなって思ってたところだけど」

「本当に?、良かったそれじゃあ私と一緒だ」

「え、一緒って。玲愛も次のフィールドに行く予定だったの?」

「うん。……あー、私ってほら臆病だから。レベルを十分に上げてから次に行こうかなって」

「そうなんだ。じゃあ、一緒に行く?」

「え、いいの?」

「うん。僕も誰かと一緒に冒険に行きたいなって思ってたし」

「うん。私もそう思ってた。じゃあ、一緒に行こうか」


 今のやりとりでわかったことが2つある。

 まず平原のフィールドは、レベルが5に上がったらもうそこで狩りをやめて次のフィールドに行ってもいいのだというくらいの場所だったということ。

 これはレベルが5になると出てくるゴブリンとかワイルドボアに慣れたらもういいのだということなのだろうけど。

 そしてその平原でレベル10までレベル上げする私はおそらくは少数派ということ。

 うん、なんていうかね。東也の顔つきと声の感じでわかったよ、私は。

 ついついスキルを成長させるのが楽しくて長居してしまった結果だったけど、今後は気をつけなければいけないな。

 まあ、しばらくはレベルは上がらないと思うけど。


「あ、でも私その前にちょっと用事というか。アイテムとか売りに行きたいなって思ってるんだけど」

「わかった。僕もポーションとか買いに行こうと思ってたし。じゃあ、30分後に西の門の前で待ち合わせしよう」

「うん」


 ということで私はそこで一旦東也と別れた。

 そしてまずは武器と防具の店に行って夜の戦闘でゴブリンメイスたちから巻きあげた木のこん棒をまとめて売り払うと、装備を買い替えた。

 うん、夜にめちゃくちゃ張り切ってモンスターを倒してたらいつの間にか所持金が大変なことになってたから使うことにしたんだ。そして私の最終的な装備はこうなった。


 頭:羽根付き帽子

 体:銀の鎧

 右手:銀の剣

 左手:丸い盾

 足:銀の靴

 装飾品1:狼のストラップ

 装飾品2:なし


 頭は銀の兜という装備が、盾も銀の盾という装備の方が性能はいいのだ。

 だけどそれだとまるっきり頭から足まで銀の装備で固めてしまうことになり完全に西洋の甲冑になってしまうのだ。それは避けたいというかぶっちゃけ見た目が可愛くない。

 なので盾と頭を別の物にすることで少しだけ見た目をやわらかくした。

 とくに羽根付き帽子はオススメで、見た目も可愛いけど特殊効果もついている。


 羽根付き帽子の特殊効果は風属性の魔法攻撃のダメージが3%アップ。

 まあ私はまだ風属性の魔法は持っていないけどそれはこれから買いに行く。

 それと、まだ一番最初の街だからかこのお店には装飾品が売られていない。時間がある時に他の店も見て回ろうかと思っているけど多分見つからないだろう。

 同じ装飾品は複数つけられないので私は狼のストラップを1つだけつけているけど。


「あれでも、もしかしてこの狼のストラップって割とレアなアイテムなんじゃないか?」


 なにせ平原に出現する中ボスクラスのモンスターからドロップした装備品なわけだし。

 私のありえないドロップ率でもなければなかなか手に入らない代物だったり……する?

 たとえばそう、アイテムドロップ率が0.1%もなかったりとか?


「あの、おじいさん。このストラップもここで買い取ってもらえますか?」

「おお!、お前さんこいつは狼のストラップじゃないか。あのレッドウルフから物凄く低確率で手に入るという」

「あ、やっぱりそうなんですね」

「これを、本当に売ってくれるのか?」

「ええ、たくさんありますから。とりあえずは8つほど」


 私は手元に2つだけ残すと残りの8つを全部売った。

 まあ、また欲しかったら取りに行けばいいんだしね、私なら。


「こんなにたくさん……1つ500G、8つだから4000Gになるがいいかい?」

「500G!!、ええもちろん。それでお願いします」


 そうして私は一気に4000Gものお金を手に入れた。

 さらに古くなった方の装備も売ったお金も入ったし、今回はこれでいいだろう。


「おじいさん、ありがとう」

「いやいや。わしも実物は初めて見たよ。また何か手に入れたら持ってきなさい。わしが買い取ってやるから」

「うん、それじゃあまた来るね」


 どうやらまだしばらくはこのお店に来ることがあるようだ。

 そして私は武器屋を出ると急いで魔法屋さんに向かった。

 魔法屋さんのお婆さんにまた巻物を買いたいと言ったらお婆さんも驚いていた。


「ひっひっひ。お前さんは金持ちなんじゃなぁ」

「ええ、ついさっきものすごい大金を手にしたもので」

「そうかい。じゃあたくさん買って行きなさい」

「はい!」


 そして私はこの前来た時に買えなかった巻物を全部買った。

 ウィンド、サンダー、ソイル、アイス、ライト、ダークのボールの巻物全部である。

 そのお値段の合計金額はなんと7000G。でも今の私には払える。

 そして買った巻物を全部使うと私はこの店で買える巻物は全部買ったことになる。


「おやおやまあまあ。お前さん、まさか本当にそれ全部使う気なのかい?」

「ええ、これでどんな敵が来てもバッチリですよ」

「ふひゃひゃひゃひゃ。たしかにな」


 私がそう言うとなぜかお婆さんは大笑いしてたけど私何かおかしなこと言ったのだろうか。


「あ、そうだ。お婆さん、MPを回復するアイテムってどこで買えますか。この街の道具屋さんには置いてなかったんです」

「ああ、それなら薬屋に行ってみな。あそこなら売ってるはずさ」

「わかりました。ありがとうございます」

「ひっひっひ。また来なよ~」


 私は魔法屋を出ると時間を確認した。

 待ち合わせの時間まであと7分。これでは薬屋は無理かも。

 あ、でも道具屋さんでものを売るだけなら出来るかな。

 私は急いで街を歩いていき前行ったのと同じ道具屋さんに入った。


「いらっしゃい。ああ、お客さんまた来たんだね。今日は何のご用?」

「す、すみません。アイテムを、買い取ってもらいたくて」


 珍しく走ったせいで私は息があがっていた。

 いやいや、最近のゲームっていうのは本当にどうでもいいことまで再現してくれるな。

 むしろこの息切れとかいらないだろ、絶対に。どこまでリアリティー追求したんだよ。


「いいけどお客さん。大丈夫?」

「は、はい。あの、銅貨袋を、これ全部で」

「わーお、こんなにたくさん。ちょっと待っててね。……はい、合計で4600Gね」

「あ、ありがとうございます」


 私はちゃんと売却がすんだことを確認すると売却完了の画面を閉じて道具屋を出た。

 そして今度はゆっくりとした足取りで東也との待ち合わせ場所へと向かったのだった。



<用語集>

〇ゴッドワールド・オンライン

下界での通称はGWO。のべ3万人ほどのプレイヤーを有するVRMMOゲームである。

ジャンルは一応RPGということになってはいるがプレイヤー同士の戦闘なども出来るようになっているためそれを楽しんでプレイしている人間もいる。

プレイヤー1人につき1柱の神様が恩恵を授けてくれるのだがもちろん重複することもある。

なのでアストレアの恩恵を授かっているプレイヤーがアストレアの他にもいる可能性があるのだが本人はまだそのことに気づいていない。

……神様の数って三万もいないからね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ