表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
72/171

ニートな女神と初めての覚悟

 私はそれからもしばらくは沼地の夜で戦闘を続けていた。

 そしてキリのいいところで1回街まで帰ってきた。沼地は夜でも昼間と同じモンスターがゴーストを除けばそろっているし、むしろゴーストも出現する分ギルドクエストを片付けるのは夜の方が都合がいいということに気づいたからだ。それから私は特に問題なく、沼地で受けられる9件のギルドクエストはエリアボスであるマッドゴーレムの討伐も含めてすべて片づけたのだけど。まずさっき受けていた5件のクエストを達成して報告し、残りの4件をまた受けて沼地に戻り、それを達成したらまた街へ戻る。

 ギルドクエストをやる時はもう毎回のようにフィールドと街にあるギルドを往復することになるのは仕方ないとは思うんだけど、でも疲れるよね。


「どうせなら1度に5件と言わずに10件くらいまとめて受けさせてくれればいいのに」


 と、私はつぶやいた。

 けれどもそれだと、例えば住人クエストを1人のプレイヤーが10個同時に受けたりしてた場合に他のプレイヤーが受けられる住人クエストがそれだけでぐっと減ってしまうことにもなるし、まあそんなことまずないとは思うけど。

 そもそも住人クエストって大半はしょうもない内容のものが多くて、報酬はいいものもあるけど多くのプレイヤーは受けないものも多いし。

 その分誰でも、いつでも、何度でも受けられるギルドクエストの方が受けてるプレイヤーは多いんじゃないだろうか。ちょっとした小遣い稼ぎにもなるしね。


「うーん。今日はもう残った4つ片づけたら現実に戻って寝ようかな。あ、でもどうせだし沼地でもちょっとレベル上げしておこうかな」


 ソロプレイヤーのレベルは高すぎて悪いということはない。

 これがパーティを組むとそうでもないんだけど。メンバー間にレベル差がありすぎると連携が取りにくくなるというのはどんなMMORPGでも共通して言えることだという話だ。


 プレイヤーがフィールドを探索するときに、出現するモンスターのレベルはプレイヤーとそのモンスターが戦闘になった瞬間に決定される。

 そしてモンスターのレベルは相対するプレイヤーのレベルが高いほど高くなる傾向があるのだという。


 どういうことかと言うとだ。

 例えばあるフィールドにはレベルが5から10のモンスターが出現するとしよう。

 そのフィールドをレベル5のプレイヤーが探索していた場合、遭遇して戦闘になるモンスターのレベルは主にレベル5から7のモンスターになる。

 しかし、同じフィールドをレベル10のプレイヤーが探索していた場合、遭遇し戦闘になるモンスターのレベルは8から10のものが多くなる。

 そしてパーティを組んでいた場合は、遭遇し戦闘になるモンスターのレベルはそのパーティ内で最も高レベルのプレイヤーを基準に設定される。


 だからとくにパーティ内で1人だけが飛びぬけてレベルが高いとなると、出現するモンスターのレベルも高くなるため、他の低レベルのパーティメンバーは苦戦することになるという。


「まあ、まだ第2階層。序盤も序盤ならそんなに気にはならないけど。これが先の階層になってくると意外とそれも無視できないって聞くからな」


 だからこそソロプレイヤーはパーティを組んでいない以上自由きままにフィールドを探索し、レベル上げに邁進することができるのだ。


 これは私の推察だけど、おそらくパーティプレイをしているプレイヤーの多くは、頑張れば私のように個人でレベル上げすることもできるはずなのだ。

 それなのにあえてそれをせず、低レベルに留まっているのはやっぱりパーティ全体のことを考えてそうしているのだろう。

 ならパーティ全員で頑張ってレベル上げすればいいという話なのだが、人数が多いとやっぱりログイン時間や、あるいはそれぞれのプレイスタイルも異なってくるし意見の対立も起こるだろうからなかなか難しいところだろう。


 まあ、それでもこのゲームはソロよりもパーティプレイの方が攻略しやすいであろうことは言うまでもないのだけど。


「私が言っても信憑性しんぴょうせいはないか」


 あるいはこのゲームを始めた当初の頃に、最初から誰か他の新規プレイヤーを誘ってパーティを組んだりしていたらまた違っていたのかもしれないな。

 そう言えば私が一番最初にパーティを組んだあの大剣使いの東也は、あれから1度も会ってないけどあの後どうしたんだろうか。やっぱりどこかのパーティに入ったか自分でパーティを作ったんだろうか。

 あるいは、もう飽きてこのゲームを辞めていたりとか?

 まあ、それは私には関係ないことだし別にどうでもいいけど。


<第2階層:沼地>


 沼地のエリアボスのマッドゴーレムもやっぱり今の私のレベルだと、あと装備やスキル等で強化されたステータスだともう簡単に倒せてしまうんだ。

 いや、そのマッドゴーレムからいただいた剛腕Ⅹのスキル効果で力の値が大幅に上昇したおかげでただの剣の通常攻撃であっても一撃で体力の1割を削れるほどに物理攻撃力が上がっていたし。


 それに進化したアスト、予知フクロウのスキル、予知の効果はエリアボスにもちゃんと適応された。

 だから1度倒したことのあるモンスターであるマッドゴーレムの攻撃についても、仮に食らっても30%の確率で自動でノーダメージにしてくれるのだ。やはり予知のスキルはすごい。


 私の今着けてるドラゴンシリーズの装備の効果で、私は物理攻撃によって受けるダメージが半分になっているし、それでさらに頑丈Ⅹとハードアーマーのスキル効果で耐久を75%も上げている。

 その上でさらに物理攻撃でこちらにダメージを通してくるウェアウルフやフォレストベア、マッドゴーレムの攻撃力には驚かされたけど。


 もしかすると、そう言った一部のモンスターについては通常よりも相当スターテスが上回っていなければダメージを0にはできないのかもしれない。

 ウェアウルフとマッドゴーレムに関しては仮にもエリアボスなわけだし。


「それかそういうモンスターとの戦闘では私の一部スキルが無効になっていたりして……いや、それはないかな。でも今の時点でこんなにたくさんのスキルや魔法を覚えているプレイヤーって多分私くらいなんだし。完全にイレギュラーだよな」


 そもそもこのゲームの運営側は今の私のキャラクターの性能についてちゃんと把握してるのだろうか。

 さすがに把握はしているだろうけど、でもそれならちょっとくらい弱体化というか、そういった1プレイヤーとして本来あるべき普通の状態に戻す程度の介入があってもおかしくはない。

 このゲームにももちろん時折バグ(故障や設定の著しい矛盾等)が発生することもあって、それはゲーム運営側がすぐに対処して修正していると聞くけど。


 今の私って、客観的に見ても存在自体がバグみたいなものだしな。主にチートの度合いで。


「かと言って私から運営側に弱くしてくれなんて言えないし……まあ、気づいた上で直してこないってことは私はまだこのゲームのシステム的には正常って扱いなのかね」


 ただ、最悪の場合はまだ気づかれていないという可能性もあって。

 そうなればこの先、どこかのタイミングでゲームの運営側から私個人宛に何らかの通知というか、ちょっと強すぎるんで弱くしてもいいですかと言ってくるのかわからないしな。

 そんなことしてくるようなら私はもうこのゲームに見切りをつけて辞めてやろうかとも思う。

 それならもっと速い段階で気づけよって言いたいし。


「ああ、くそ。でも元はと言うと私がゲーム始めた日に自分の神様の恩恵の効果を確認しなかったからこうなったんだよな」


 私は今でも自分自身の、ゲーム内での女神アストレアの恩恵の効果を確認していない。


「よし決めた!、第3階層に行く前までに私は確認するぞ。自分の恩恵を!」


 正直もう限界だった。

 私ももう気になって仕方なかったしこれ以上それを抱えたままゲームプレイをするのはキツイ。

 今この場で確認しないのは、もしも確認した恩恵の効果を知って私がショックを受けるような内容だった場合、あまりにも中途半端なところで確認するよりは階層突破というゲーム内でキリがいいであろう部分で確認した方が仮にゲームを辞める時にも後腐れがなさそうだったから。

 わざわざ言葉にして言ったのは決心の固さを自分で再認識するためだ。


「まあ、もう効果はだいたいわかってはいるけど」


 ➀モンスターを倒した時のアイテムドロップ率が100%になる効果。

 ②モンスターを倒した時に倒したモンスターからスキルや魔法をいただく効果。

 ③アイテム作成スキルでアイテムを作った時に、100%の確率で最高品質のものになるという効果。


 今あげた3つが私の恩恵の効果だろう。

 それにしてもこれ、どれか1つでも十分強力な効果なんじゃないのと改めて思う。

 というか、私は2番目の効果さえあれば1番と3番の効果についてはなくてもいいとさえ思えるし。


 ドロップアイテムは、たしかにエリアボスからもらえるようなレアアイテムが手に入らなくなることになって、それを大量に売って金に変えることも出来なくなるけどそもそも私、今までそこまでゲーム内でお金に困ったことないしな。


 作成するアイテムも、☆付きの最高品質のアイテムが作れなくなったところで、本来はそっちが普通なんだし今さら文句もないんだけど。


 やっぱり2番の効果だな。これがあったからこそ私は今でもこうしてソロプレイヤーをやれていることなんだし。間違ってもこの効果だけはなくさないでもらいたい。

 というかこの効果が私の1番のチート効果だということはもう一目瞭然なんだけど。


「あ、それと……ヤタガラス戦の時のあの光をまとって能力値が上昇するあれも、恩恵の効果だよな」


 あれからまだ1度も出ていないし、それにヤタガラス戦の時は最後私もHPが0になったことで私は気を失っていたから具体的に何がどうなったのかわからないんだよね。

 ローズ達にも聞いたけどあんまり要領得なかったし。

 あれも私の恩恵の効果だとして、でもいまだに発動条件さえわかってないからな。


「まあいいか」


 私はそう言うとそれから今夜も沼地でモンスターたちを見つけ次第片っ端から倒していくことでレベルを上げていった。

 やっぱりレベルが上がると次のレベルになるまで必要な経験値も増えて行くし、私はもう相当モンスターを倒していかないとなかなか上がらないようなんだけど。

 ブルースライムだけ倒してレベル100を目指そうと思ったらブルースライムを億レベルで倒さないといけないように、私はもうこの階層のモンスターを倒していくことでレベルを上げることが困難になってきていた。


 だから必然と1体でかなりたくさんの経験値がもらえるマッドゴーレムのようなモンスターを集中的に倒すようになって、私は早く下界で有名なあのRPGに登場するメタルなんたらみたいな経験値がたくさん詰まったモンスターの登場を心待ちにしているのだけども。


 やっぱり、そんなに都合よくは出てきてはくれないよね。

 もうすでに十分すぎるくらい都合のいい展開ばかりな気もするけど、私の場合は。


 こうしてこの夜、私のレベルはなんとか頑張ってさらに2つ上げて25になった。

 けれどももう私はこの階層ではレベル上げはしないだろう。後は迷宮を突破するだけだし。

 ボスクエストについては……あー、じゃあ明日の午前中に残った2つのうちまだ簡単な方に挑戦してみようかな。ヤタガラスと同等レベルのボスモンスターが登場しない方のやつね。


 レベル25


 HP:220/220 MP:142/142


 STR:58

 VIT:58

 AGI:52

 ING:48

 DEX:28

 LUX:26


(まだ使っていないスキルポイント:63ポイント)


 私が聞いた話によると、どうやら運の値というのはどんな種族でも上がりにくいらしい。

 いっそのことスキルポイントを全部運の値につぎ込んでみるというのもおもしろいのかもしれない。

 ……いや、もちろん冗談だけどさ。


 おそらく、私のレベルはこの階層だともうここら辺が打ち止めだろう。まだ迷宮の攻略が残っているけど、それでボスまで倒してもう1つ上がるかどうかというところだ。

 もうすでに次のレベルまでに必要な経験値は2万を超えているし。


 私は街まで戻ってきてログアウトした。

 今夜もまた結構な数のマッドゴーレムを倒したんで私はまた力の腕輪を大量に手に入れたんだけど。

 うーん、これは明日また武器屋に売りに行こうかな。


 ――翌日の朝――


 ヤヌスの家に行ってから2日経った。

 ということは明日はもう神界の夏祭りが始まり、そして明後日には私もヤヌスと夏祭りを見て回ると言うことだ。

 なんか流れでオーケーしちゃったけど良く考えるとヤヌスと、男神と女神である私が2人きりで夏祭りを見て回るというのは、周囲の神たちからはカップルみたいな目で見られないだろうか。

 いや、もちろん私にはそんな気はなく、ヤヌスはただのアパートの隣人兼友達ということはわかっているのだけど。だけどやっぱり……断ろうかな。

 あ、でもそしたらヤヌスのやつ悲しむかな。……まあここはもう覚悟を決めて行くことにしよう。

 ゲームの中でも自分の恩恵を確認するぞって覚悟を決めたんだし。


「パン買いに行こう」


 私はベッドから起き上がるとシャワーを浴び、支度をしてから部屋を出る。

 もちろんヘスティアちゃんのいるパン屋へ向かった。ヘスティアちゃんに挨拶するとやっぱり祭りが明日から始まるねという会話をすることになった。


「お姉ちゃんも祭りに来るんだよね?」

「うん。行く。2日目だけね」

「そう。もしかしてMOIRAIのライブを見に行くの?」

「え、そんなのあるの?」

「うん。あれ、知らなかったの?」

「うん。というか私は何日目にどういう催し物があるとか、どんな屋台が出るとか何も知らない」


 当日は全部ヤヌスに任せようと考えていたからそれも当然だ。

 ていうかMOIRAIのライブって、夏祭りだからそういう催し物があるのもわかるけど。

 ……ヤリーロは絶対に行くな。あいつMOIRAIのラケシス命だから。


「あ、じゃあちょっと待ってて」


 そう言ってヘスティアちゃんがいつものように店の奥まで行き、戻ってきた時には手にはまた失敗作のパンが詰まった紙袋と、それと何やらパンフレットのようなものが。


「これ、明日から3日間の夏祭りの日程と、会場の地図が書いてあるパンフレット」

「え?」

「ちなみに私のパン屋はここに屋台を出すの。お客さんの前でパンを焼いて出来立てを売るんだ」

「へ、へぇ~」

「これもあげるよ。無料サービスだから。お姉ちゃんも来てね、絶対おいしいから」

「う、うん。わかった」


 とりあえず祭りに行く当日はヘスティアちゃんのパン屋の出店は回ることが決定した。

 私はパンフレットを鞄の中にしまうとお会計を済ませて買ったパンと、失敗してお店に並べられなかったパンの入った紙袋を抱えながらアパートへ戻った。


 私がアパートに帰ってきた時にそこで私はミナカタさんに遭遇した。

 105号室の住人でキャバクラのオーナーをしているミナカタさん。

 ミナカタさんは自分の部屋の扉を開けっぱなしにしてそこへアパートの表に止まっていたトラックから何かを積み下ろして運び入れてもらっている最中のようだった。


「おはようございます」


 私は一応同じアパートの住人なので挨拶した。するとくるりと振り返ったミナカタさんは一瞬だけキョトンとした顔になった後ですぐに私に気づいて声をかけてくれた。


「あら、おはよう。アストレアちゃん」

「はい。あの、何をしているんですか?」


 私たちがこうして話している間にもトラックの荷台からは大量のビニールに包まれた……あれは服かな。それが降ろされてはミナカタさんの部屋の中へと運ばれていく。


「ああ、ごめんなさいね。ちょっとうちの店で扱ってる衣装をね。古くなったものとかは捨てたんだけどまだ使えそうなものは私のところに持ってきたのよ」

「衣装?」

「うーん、まあお店に来るお客さんにも物好きな神がいてね。うちの子たちも割とノリノリだから色々あるのよ」

「そうなんですか……」


 私はそう言いながらミナカタさんの部屋に運ばれていくお店の衣装とやらを見ていた。

 衣装は、まあビニール袋で包装されてはいたけどちょっと見ただけでも過激なものがあった。

 肌の露出が高そうなやつとか、布が薄くて透けて見えそうなやつとか。

 それを見ていた私を見てミナカタさんは言ってきた。


「なあに、アストレアちゃんも興味あるの?」

「い、い、いえ。ただちょっとどんなのがあるんだろうって、見てただけで」

「そう。私に言ってくれればいつでも着させてあげるわよ。アストレアちゃんはきっとお化粧とかしてお洋服にももっと気を遣えばモテると思うの」

「いえ、私はそんな……」


 私は面と向かってそんなことを言われたのは初めてだったからどう答えればいいのかわからなかった。

 でも、ミナカタさんはどうやら本気だったようで。


「もし本当に就職先に困った時はいつでも言ってちょうだいね。アストレアちゃんならいつでも歓迎するから」

「いえ、それもちょっと……」


 ミナカタさんは出くわすたびに私を自分の経営する店で働かないかと勧誘してくる。別に悪い神でもないんだけど。むしろ私のことを気にかけてくれる分良い神様だとも思う。

 ただ、それとミナカタさんのお店で働くかどうかということはまた別の話だ。


「あ…………」

「あら、どうかした?」


 私はその時、トラックから最後に降ろされてミナカタさんの部屋の中へ運ばれていったとある衣装というか、服を見てつい声をあげてしまった。それは和装、黄色い下地の着物だった。あんなのもあるんだ……


「あの、ミナカタさん」

「うん。なにかしら」

「えっとその、例えばなんですけど……」


 それから私はミナカタに耳を近づけてもらって小声であることを確認してみた。

 するとミナカタさんは私の問いかけにもちろんよと答えてくれた後ですぐに私の言葉の意味を察した。


「ああ、それってもしかして……」

「いやその、もしも迷惑でなければちょっと……お願いできますか?」


 ミナカタさんは私の言葉を聞いてなんかやたらテンションが上がったみたいで。


「もちろんよ。ふふふ、なんだ。そういうことだったの」

「いえ、あの、今回だけですから」

「いいのよいいのよ。私はいつでも可愛い女神の味方なんだから。それでアストレアちゃん、お相手はいるの?」

「相手っていうか……いや、友達と2人で」

「むふふふ。そうなの」


 なにやらミナカタさんは盛大に勘違いをしているっぽかったけど。

 私はミナカタさんに1つだけあることを頼んだのだ。それは、まあもうお分かりの方もいるだろうけどあえてここでは言わない。後からのお楽しみだ。


「いつまでに用意すればいいのかしら?」

「あ、明後日の夜までに。やっぱり無理ですか?」

「いいえやってみせるわ。それじゃあ明後日の夕方に私の部屋に来てね。ふふふ、燃えてきたぁ~!」


 ミナカタさんは最後にそう言うと配達業者の神に受け取りのサインを書くとそそくさと自分の部屋へと入って行き部屋の扉が閉められた。

 そうして配達のトラックが発進してアパートの前にはパン屋の紙袋を抱えた私が1人ポツンと佇んでいたけど。


「だ、大丈夫かな」


 私は自分で頼んでおいてちょっとだけ不安になりつつも、ミナカタさんのことを信じることにして階段を上がってまた自分の部屋へ帰ってきたのだった。



第2階層編、残りは迷宮の攻略とボスクエストの攻略、この2つだけとなっています。

残りのギルドクエストや住人クエストはまたさらっと解決しちゃう予定。

次回は残った2つのボスクエストのうちまだ難易度が低い方に玲愛が挑戦する模様。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ