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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての調合

今回調合スキルが成長したのでこのタイトルをつけました。

調合自体は初めてでもなんでもないですが、そうですね。

麻痺消し薬の調合が初めてです。(じゃあ初めてのの麻痺消し薬でいいじゃんって言わないで。)

 少しの後、パス太は私の元へ戻ってきた。仲間2人を連れて。


「すみません。えと、僕が聞いて話すより直接言った方が早いってことになって」

「いえ、それで大丈夫ですよ」


 小柄で鉄製の鎧を着ている金髪ショートのリーダーがパス太。軽装で動きやすそうな恰好をしているけど赤い髪を長くのばして後ろで一本に編み込んでいるのがパーティの紅一点、ナポリたんさん。ちょび髭で大柄、あとは真面目そうでいかつい顔の男がペペロンチーノさん。うん、やっぱ面白いな。


「こんにちわ。えっと、まずはお名前を聞いてもいいですか?」

「あ、はい。玲愛です」

「ドラゴンを倒した時の銀の宝箱の中身だったわよね。大丈夫、そういうのは全部メモしてあるから。だけどその前に1つ聞いてもいいかな?」


 私にそう聞いてきたのはナポリたんさん。

 いや、もう面倒なんでナポリさんでいいか。


「どうしてそんなこと知りたいの?、あなたもここにいるってことは少なくともあなただってドラゴンを倒したんでしょう?」

「あ、それは……」


 と私が答えようとした時にそれをさえぎって言葉を発したのはペペロンチーノさん。これも面倒だから私はペペさんと呼ぶけど。


「ナポリ、それは別にいいんじゃないか?」

「え?」

「この子はフォレストベアの情報を教えてくれたんだろう。しかもかなり詳しく。それで見返りに少なくともそれよりは価値の低いであろう情報の提供に関して、俺たちがどうこう言うことはないだろう」

「でも、だって気になったから」

「それは俺も同じだよ。でも、そこまで詮索するのは悪いだろう、さすがに」

「そうね。ごめんなさいね」


 いや、別に答えてもいいですけどそのくらい。

 でもここであえて言う必要もないか。正直どうしても知りたいっていう情報でもないし。


「えと、それじゃあ言うわね。銀の宝箱の中身は……ドラゴンの腕輪っていう装飾品アイテムそれと素材アイテムね。竜の鱗が20個、竜の爪が5個、竜の牙が5個、竜の角が2個。これで全部よ」

「え!?……あ、そうだったんですね。あはははは」

「ねぇ、本当にこれだけでいいの?、モンスターの対処法に対する見返りの情報としては安すぎるくらいだと思うんだけど」

「いえ、全然。今のが確認できただけで十分です」


 なんと、金から銀になっただけでドラゴンシリーズの装備品がほぼすべて消えていた。

 残っていたのはドラゴンの腕輪と素材アイテムだけ。素材アイテムの数も、私が入手したのよりそれぞれ数が減っていたけど。ドラゴンハウリングの巻物もなかった、と。

 でもこれは、やはり宝箱のグレードというのは相当差があるということだ。

 銀でこれならさらにその下の銅や赤の宝箱ではいったいどれだけのものが入っているというのか。


「あれ、ていうか君も腕につけてるじゃない。腕輪」

「本当だ。それドラゴンの腕輪でしょ?」


 そう言って私の装備に気づいたナポリさんとパス太。まあ、そりゃ気づくよね。

 でもそれでナポリさんは改めて私のつけてる装備品を全体的に見て、ちょっと驚いたような顔をした。


「ちょっと待って。……ねぇ、あのこれ間違ってたらっていうか、答えたくなかったら答えてくれなくてもいいんだけど。玲愛ちゃんってまさかドラゴンを初回戦闘でソロで倒しちゃったりした?」

「ええ!?」

「!?」


 ナポリの質問に驚いたような顔をするパス太とペペさん。

 ああ、ちなみにパス太だけさんをつけていないのは特に理由はない。ただなんとなく、だ。


「あ、いやー。まあ、そうです」

「やっぱり。だっておかしいもんね。玲愛ちゃんのその装備今まで見たことなかったし、でも先の階層に進んでる人がたまたまここに戻ってきてるって風にも見えなかったから。だから、つまりそれは金の宝箱に入ってたってことなのよね。ドラゴンの」

「そうです。だから私、他の……あの、それよりもグレードが下の宝箱にどれだけのものが入っているのか、気になって」

「なーるほど。それで納得だわ」


 ナポリさんは私の事情を知って納得してくれたようだが他2名はそれよりも驚愕の方が大きかったようで。


「な、なあ。君本当にあのドラゴンを1人で倒したのか?、パーティも組まずに?」

「ええ。そうです」

「まじで!?、そんな人本当にいたんだ!?」

「ちょっと課長、興奮しすぎですよ。あ、ごめんね、玲愛ちゃん」

「いえ、まあ。私も慣れてますので」


 いや、今までも、あのダンジョンをクリアしてからは私の見たこともない装備を見て周囲のプレイヤーがひそひそ話してたりすることを見かけることはあったし。

 何より私はダンジョン攻略後に街に戻った時に1人のプレイヤーさんにちょろっと宝箱のことを聞いて、そしてその人には私が金の宝箱を出したことを言っちゃったからもうすでに他のプレイヤー間に噂が広まっている可能性もあった。というかまず確実に噂になってるんだろうなぁ。

 だけどこうして面と向かってそのことを指摘されたのは今回が初めてだ。

 うん?……ああいや、初めてではないか。李ちゃんとローズにも言われたな、たしか。

 まあ2人の場合はドラゴンを倒す前にも面識があって、それで前会った時と装備が変わっていることについて聞かれて、その話の流れで教えたんだけど。


「だけど凄いな。俺たちだってなんとかギリギリで初見撃破したっていうのに、それを1人でなんて」


 ペペさんも驚いていたけど、どちらかというと驚きよりも興味の方が大きそうだった。


「運が良かっただけですよ。本当に」


 実際にドラゴン戦では私は負けていたはずだった。

 ボスゴキブリから根性のスキルを入手していなければ確実に負けていたのだ。

 だから今の言葉は嘘ではなかったのだけど3人はそれを謙遜か何かだと勘違いしたらしく。


「そ、そうか。それはまあ、そうなんだろうな」


 若干顔が引きつっているぞペペさん。パス太は私の言葉を聞いてなんか感心してるし、ナポリさんも。


「えと、あ、駄目ね。これ以上は本当に聞けないわ」


 きっと本当ならもっと私の武器とかレベルとか聞きたいことはあったとは思うけど。

 さすがに初対面の相手にそこまで聞くのもどうかと思ったのかそれは控えてくれた。

 別に聞かれたら答えてもいいと私は思うけど、自慢か嫌味に聞こえそうだしな。


「ああ、皆。そろそろ熊を退治しに行かないか?」

「え、ええそうね。そうしましょう」

「ああ、そうだな」

「じゃあ、玲愛……さん。フォレストベアの情報ありがとう。またどこかで会ったらよろしくね」

「あ、はい。こちらこそ?」


 なんか微妙な空気になっちゃったけどお互いの情報交換は終わったことだしね。私的には別にもう3人に用はなかったけど、最後に1つだけ聞いてみた。


「あ、そうだ。ちなみになんですけど。皆さんのプレイヤー名ってどうして全部麺系の食べ物の名前なんですか?」


 そう、私が3人のことで一番気になっていたことを聞いてみた。そしたら……


「ああ、えっとね。私たち3人ともリアルじゃ同じ食品会社に勤めてるんだけど。あ、パス太さんが課長ね。その、うちの会社は主に麺系の製品を扱っているから少しでも宣伝になればと思って」

「まあ、こんなゲームの中でまですることじゃないだろって俺は思うけどな」

「あ、酷ーい。ゲーム始めた時皆で決めたことじゃない」

「ん、そうだったか?」


 おっと、まじで私の想像通りだったのかよ。っていうかお前らすごいな逆に。

 私もペペさんの意見に賛成だよ。名前を麺系でそろえただけでどう宣伝する気なんだ。

 でもリアルの会社名とか、会社の商品名とかはプレイヤー名にはさすがにつけられないか。


「あ、それでこうして私たちの名前の由来を聞いてきた人たちに会社の宣伝してるのよ」

「そうそう、あ、うちの会社は〇〇〇〇って言ってね。たぶんあんまり聞いたことないと思うけど」

「課長、それ自分で言ったらダメですって」

「あ、そっか。それであの、スーパーとかでも商品。麺系のやつ売ってると思うから、もしよかったら今度買ってみて。味は保証するよ」


 いや、買ってねって言われても。神界のスーパーに売ってるかな、それ。


「あとネットでの注文も受け付けてるから、それでも買えるよ」

「あ、はぁ。そうなんですか。じゃあ、今度探して買ってみます」

「うん。よろしくね」


 〇〇〇〇ね、よし、メモしておくか。

 メニューを開いてヘルプのボタンを長押しすると色々な役立つ機能が表示される。

 メモはその1種でゲーム内で覚えておきたいことなどを2000文字まで入力して保存できる。

 私は自分のメモ機能に(ちなみに実際に使うのはこれが初めて)3人の会社名を書き込んでおく。


「それじゃあ僕たちはこれから熊退治に向かうから」

「はい、がんばってください」


 そう言って3人は村の出口、森の入り口へと向かって歩き去って行った。

 まあ、ああいうプレイヤー達もいるってことだな。


「さて、あの3人が熊に勝てるのかどうかも気になるけど私は私の冒険をしよう」


 あの3人もこれからフォレストベアに挑むということはきっと私と同じかその前後くらいにこの階層に来たんだろうし、この階層でまた会うこともあるだろう。その時に熊退治の結果は聞けばいいか。


 それで村を見て回った私だったが、どうやらこの村。本当に森の中に作られた村って感じで周囲を完全に森の木々で囲まれている。

 村の出入口は1か所で、ようは私が通ってきてさっきの3人が向かったあの入り口しかない。

 村の建物の数は全部で19、そのうち16軒が民家。そして2軒が道具屋だった。

 残りの1軒はなんなのかって?、それはまた後でね。


 とにかく私はまず道具屋に行くと真っ先にあれを確認した。

 あれっていうのはフォレストベアを倒した時にドロップした例のアイテムのことだ。


「すみません。アイテムを売りたいんですけど」

「はい。売却ですね」

「あの、これって売れますか?」


 私がアイテムボックスから取り出したそれを道具屋のカウンターの上に置くと、店員のお姉さんがはうなずきながら答えた。


「まあ、それは木彫りの熊ですね。もちろんですよ」

「あ、はい。それで、売ります」


 私はまず木彫りの熊が売ることのできるアイテムと聞いて安心した。

 さあ、それではいったいいくらで売れたのか。


「お1つ350Gになりますがよろしいですか?」

「え?……あ、ああ。それで大丈夫です」


 1個350Gか。え、うーん。それってどうなんだろうか。

 換金アイテムだとしたら銅貨袋の3倍以上の値があるアイテム。

 いや、微妙。それでも決して安くはないんだけど、でもあのフォレストベアの強さから考えるともう少し高くてもいい気もする。

 でも野生の熊から熊の木彫りって、これはゲーム製作者側の遊び心というやつか?


 ……遊びすぎじゃね?


「ではこちら350Gです」

「どうも。あ、あと獣の爪を500個売りたいんですけど」

「ご、500個ですか!?……あ、失礼しました。えと、1個3Gですので合計で1500Gになります、けど。それでよろしいですか?」

「はい」


 獣の爪。ウルフからは1体1個、そしてワイルドウルフからは1体から複数個落とすアイテム。

 それは森の探索を終えた時もうアイテムの数が上限の999個に達していた。

 これ以上はもう持てないし、それに今のところまだ獣の爪の使い道は私はないので売ることにした。

 500個売ったので499個にまで数は減ったが、またすぐに満杯になりそうな気がする。

 どうしよう、もう少し多めに売っとこうかな。でもしばらくはまだ大丈夫だろうから次に満杯になった時に売ろうかな。


 そうして私は獣の爪をやはり500個だけ売ることにして1500Gを入手した。

 1個たったの3Gのアイテムでも500個まとめて売ればそこそこの金になる。

 ああ、下界でもなんかあったな。たしか、塵も積もれば金となる、だったかな?


「ありがとうございました」


 道具屋のお姉さんもまさか500個もまとめて売る客なんて初めてだったろうし若干引いていたな。

 うーん、でもこればかりはしょうがないか。もっと小分けにして複数の店に売りに出すのは面倒だし。


 そうして私は村の道具屋を出ると村の中のある建物へと向かった。

 その建物こそさきほど説明しなかった最後の建物であり、そこは薬局だった。

 薬局と薬屋さんとの違いはわからないけどたぶん名称が違うだけでゲーム的には同じだろう、ということでさっそく中に入る私。


「あら、いらっしゃい」

「どうも、こんにちわ」


 店の中のカウンター越しに挨拶してきたのは結構なお歳のお婆さんだった。


「あの、すみません。ちょっとお聞きしたいんですけど」

「なんだい?」


 良かった。どうやら耳が遠いとかそういうことはなさそうだ。


「えと、店内のどこかで空いてるスペースとかないですか?」

「空いてるスペース?……ああ、それならこの奥が私の休憩室になってるけど」

「あの、そこをちょっと使わせてというか。場所をお借りしてもよろしいでしょうか?」

「ああ、いいよ。でもいったい何に使うんだい?」

「えと、その。薬の調合をしたくて。あまり人目のつかないところでやりたいんですよ」

「なるほど。そういうことなら好きに使ってくれていいよ。ただし!」

「ただし?」


 おっと、これは場所代とか取られるパターンのやつか?


「作って出来た薬をいくつか分けておくれ。どんな薬でもかまわないから」

「え?、ああ、はい。わかりました。いいですよ。でも、どうして?」

「いやあ、この店はほら。ポーションと聖水くらいしか置いてなくてね。それもフローリアの街から卸してもらってるんだけど。私は調合のスキルは持ってなくてね」

「ああ、そうなんですか」


 つまりこの薬局は、言わばフローリアの街の薬屋の支店のような扱いなのか。

 支店だから本店よりは品ぞろえが悪いし、というか最低限のものしか置いてないぞ。

 森の中にある村の薬局なら、せめてあと1個。キラービー対策用の麻痺消し薬でも置いておけばいいのに。


 あ、でも。そもそもこの村ってゲームのストーリー上絶対に通る必要もないし、クエストなどがある可能性もあるけどそうでもない限りプレイヤーはほとんど訪れない場所だろう。

 訪れても1回きりというか、第2階層の攻略は大体がフローリアの街がメインにプレイヤーは進めていくだろうから。

 だからそんな村にそこまでのアイテムを卸す必要はないわけだ。売れる売れない以前に買いに来る人がいないだろうから。


 まあその辺の事情は別にいいか。

 とにかく今は調合の場所を貸してくれるってだけでありがたいし。


 別に調合スキルは、街中ではどこでも自由に使用できるしこの村ならプレイヤーも、何人かいたけどまず見られてどうこういう騒ぎにはならないだろう。

 というか別にもういいんだけどね。他のプレイヤーにそれを見られても。

 よく考えたら調合スキルが使えるってこと自体は、ばれたところでどうにかなるわけでもないし。


 ただ、なんていうかな。もうね、第1階層で調合のスキル使う時ってずっと薬屋さんの奥のスペース借りてやってたから私の中では調合はもうそこでしかやっちゃダメ的な自分ルールが出来てた。

 その薬屋さんの奥のスペースっていう意味じゃなくて、単に薬屋さんの中って意味ね。

 ここも、一応は薬屋さんだし。


 調合スキルはレシピを選択してあとは調合開始のボタン押せば勝手にアイテムが出来上がっていくんだもの。瓶から瓶へ薬を移し替えたりだとか、草をすり潰したりとかいう作業とかないし。

 鍛治とか錬金のスキルにはあるらしいけど何故か調合だけは自動でアイテムが作成されるんだよ。

 これじゃああまりにもつまらない。だからせめて自分は今薬の調合をしてるんだぞっていうことも少しでも感じたくて私はわざわざ薬屋の中で調合をする。


「じゃあ。お借りします」

「ああ。終わったらまた声をかけてね」


 私はお婆さんに言われたように薬局の奥の休憩室に行くと、部屋の中には椅子とテーブルがあったので椅子に座らせてもらいさっそくメニュー画面を開いた。

 ステータス画面のスキル欄から調合をまずタッチして、レシピ選択、そして麻痺消し薬を選択。


 麻痺消し薬の材料はすべてそろっているので試しに1個作ってみた。

 製作時間は毒消し薬と同じで40秒。ポーションが1個30秒だったからきっと難しい薬になるほど時間がかかるのだろうけど。

 40秒後、出来た麻痺消し薬を確認するとやはり最高品質のものが出来上がっていた。


 〇麻痺消し薬☆

 状態異常:麻痺を程度によらず治す薬。


 程度によらずっていうのは最大の麻痺(大)まで治せるということだ。

 まあこれも、毒消し薬と同じで私自身はもう麻痺無効のスキルがあるから私はこの先一生使う機会はない薬だけど。でもとりあえず50個ほど作ってみるか。


 ということで作り始めた私。製作時間が40秒でボタン操作などの時間をかかっても10秒だと仮定して1個作るのに50秒。50個作るのには2500秒、およそ40分くらいかかりそうだが。

 そうして私が麻痺消し薬をちょうど30個作った時だった。調合のスキルレベルが上がった。やはり私の読み通りだったか。


<スキルのレベルが上がりました>

 調合Ⅱ→調合Ⅲ


<新しいスキルを入手しました>

 スキル:まとめて調合


<新しいレシピを入手しました>

 レシピ:聖水

 レシピ:毒薬

 レシピ:麻痺薬

 レシピ:眠り消し薬


「ちょちょちょ、ちょっと待って待って。なんか一気に来たんだけど」


 私は次々に眼前に開かれた通知画面を丁寧に1つずつ確認していく。

 まず調合のスキルレベルがⅢに上がったのはわかった。それで新しいスキルをなんか入手したみたいだ。


 〇まとめて調合

 スキル:調合でアイテムを作成する時、1度に10個まで作成できるようになる。


「おお、これでずいぶん楽になったぞ。今までは1個ずつしか作れなかったから助かる」


 それでも10個までという制約はあったが精神的にはすごく楽になったと言っていい。


「それでレベルが上がったことで増えたレシピは、と」


<調合Ⅲのレシピ>

 〇聖水 

 〇毒薬 

 〇麻痺薬 

 〇眠り消し薬


「お、4つも増えてる。けど、毒薬とか麻痺薬って。まあ効果はなんとなくわかるけどね」


 私はそれぞれのレシピの内容についても確認しておいた。


 〇聖水

 魔力草(2)+水


 〇毒薬

 毒草(2)+ポイズンスパイダーの爪(2)+水


 〇麻痺薬

 麻痺草(2)+キラービーの針(2)+水


 〇眠り消し薬

 眠り消し草+スリープシープの角+水


「ん?、(2)ってなんだ。ああ、同じアイテムが2個必要なのか。うわ、面倒くせ」


 唯一また眠り消し薬というアイテムだけは毒消しや麻痺消しとほぼ同じ流れのアイテムだったけど。

 けどこのスリープシープの角っていうのはつまり、スリープシープっていう名前のモンスターがいて、そいつからドロップするアイテムなのかな。

 きっとこの先のフィールドに出てくるモンスターなんだろうけど第2階層で出現する保証はない。

 現に麻痺消し薬の材料に必要だったキラービーの針、それを落とすキラービーは第2階層に出現した。

 もしもスリープシープが第3階層以降に出現するモンスターだったとしたらまた調合のレベルをⅣに上げられるのはしばらく先ということになる。

 でも、まあそれはいいか。とにかく私がうれしかったのはやっぱり……


「やった。とうとう聖水が作れるようになったぞ。しかも材料も今ある!」


 魔力草は森の中でもう拾っていたし水もまだまだ余裕があるので今すぐに作ることができる。

 私はさっそく聖水を作った。もちろん1度にまとめて10個。

 ほんと、まとめて調合のスキルも手に入って良かったよ。1個ずつ作っていくの面倒だったから。


<村の紹介>

〇草花の村アルベール

第2階層にあるダンジョン、森を突破したした先にある第2階層唯一の村。

草花の村という別名はあるがこれは別に村の特産品が草花というわけではなく、単に村の中で目につくものが何もないから仕方なくそう呼ぶことになっただけである。

(なお最初期案は森の村だったけど、筆者はさすがにそれは安直すぎるということで没にした結果こうなったという経緯がある。)

村内には2軒の道具屋と1軒の薬局があるだけで他には特に施設もないためプレイヤーがこの村を訪れることは少ない。

どうでもいい裏設定だが、アルベールという村の名前は数十年前にこの村を最初に開いた時の村長の名前であり今の村長は子孫にあたるらしい。

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