ニートな女神と初めての村
村にはついたけど村の探索は次回。理由は本編を見ればわかる。
それで、その後の戦闘についてだけどもね、5分で終了した。
まずは私がファイアーボールとファイアーアローの火属性魔法を2発撃ち込んで、でもそれで与えられたダメージが2割ほどだったんだけど。
私は火魔法最強のスキル効果で火属性の魔法攻撃で与えるダメージが2倍になっていて、さらにクイーンビーにとっても弱点の属性のはずなのに思ったよりダメージが少なかったことを見て、やはり女王は賢くないとなれないんだなということを思い知った。
ゲーム的に言うならクイーンビーはINGの値が高いんだろう。私も雷落とし攻撃で大ダメージ受けたし。
それでクイーンビーの反撃だったけど、尻尾のミサイル針攻撃ね。体力が減ったことでそれが3連発で放たれたけど実はこの針にも個別にフィールドにあるオブジェクトにもある耐久値が設定されていて。
「ライトアロー、ダークアロー、アイスアロー!」
このクイーンビーの針、プレイヤーが攻撃して耐久値を0にすれば消すことができる。
物理攻撃でもできるんだろうけど、クイーンビーの針は飛んでくるスピードが速い上に追尾性能もあるからここは安全策で魔法を使って撃ち落としたけど。
そして続く雷落とし攻撃だが、もちろんこれも体力の変化にともない強化されていたんだろう。
仮定形なのはもちろん私が、キラービーという身代わり兵がいなくなったクイーンビーにわざわざその攻撃を発動させてやるほどの暇を与えるわけもなく。
「火炎斬り!」
私は雷落とし攻撃が来る前にクイーンビーに火炎斬りを叩きこんだ。すると驚くべきことにそれでクイーンビーのHPは一気に5割も削れて、私はびっくりしたよ。
まず弱点である火属性であったこと。クイーンビーは耐久がそれほど高くはなかったこと。
さらに私が装備中の剣、ドラゴンソードは物理攻撃で与えるダメージが20%上昇するという効果があるため物理攻撃が強い。
さらにさらに私は、昆虫殺しのスキルの効果で昆虫族のモンスターに物理攻撃で与えるダメージが25%上昇しているのだ。
以上のことをすべて加味した上でのそのダメージ量だったんだろうけど。
「なんだ、身代わりのキラービーがいないだけで簡単に倒せるんじゃん」
クイーンビーの残り体力は1割で、ここまでくるともうクイーンビーは疲れてばてたような感じになっていたから後は楽勝だろう。
「まさに虫の息ってやつだな。ファイアーボール、ファイアーアロー!」
こうしてクイーンビーは倒された。けどもあまり達成感というか、倒した実感がなかったのはやはりドラゴンを召喚したせいだろうか。
「やっぱり自分の力だけで倒せるようになりたいよね。さしあたってキラービーをもっと速く倒せるようにならなきゃ」
と、私が言っている間にクイーンビーは地面に落ちて倒れこみ体を光の粒子に変えて砕け散った。
ちなみにこの戦闘の最中に倒したキラービーに関しては経験値とゴールドは得られなかった。
ほぼ無限に出現しつけて攻撃もしてこないキラービーの分までそれがもらえたならずっとここでクイーンビー戦をしてるだけで無限にレベルが上げられてしまうからそれも当然か。
まあもっともそれができたとしても私はやらないし、人にオススメもしないけど。
そんなの本当にただの作業ゲームだからね。
<倒したモンスター>
クイーンビー×1
獲得経験値:750ポイント 獲得ゴールド:3000G
次のレベルまで残り5654ポイント
「おおお、すごい高いな。やっぱりダンジョンのボスは違うね。っていうかお金が1体で3000って、これすごいぞ!」
まあフォレストベアもそうだったけど簡単には倒せない分報酬はいいということか。
それでだ。まずはクイーンビーからもスキルがもちろんもらえたのだけど。
<新しいスキルを入手しました>
魔法:パラライズ
〇パラライズ
雷属性の初級特殊魔法。電撃の塊を生み出して敵に向かって飛ばす。電撃の塊を受けた敵は確率で状態異常、麻痺(小)にする。
消費MP:8 リキャストタイム:15秒
「なーんだ。あの雷落とし魔法じゃないんだ。ていうか、クイーンビーこの魔法使ってきてたか?」
必ずしも倒したモンスターからそのモンスターが持っていたスキルや使ってきた魔法が得られるってわけではないとは思うけど。
あるいは最初は使ってなかったけど途中でHPが減ってきてから使ってくる魔法だったのかもしれない。もう倒しちゃったからまた今度戦う時までわからないけど。
ダンジョンのボスについてだが、迷宮以外のダンジョンのボスについては復活する。
基本は1度そのダンジョンを出てから再びダンジョンに入りなおすか、あるいは倒してから1日が経過するか。ただ、これはあくまで同じプレイヤーに限った話であり、たとえば私がこのボス部屋を出た後で私がまだ森の中にいるうちに別のプレイヤーがここに来て場合、そのプレイヤーはクイーンビーと戦うことはできるそう。
私が森を出る前に他のプレイヤーと遭遇し、そいつとパーティを組んでまたここに来た場合にどうなるのかはわからないけども。
「パラライズ!……ふーん、ま、こんなもんか」
私はこの場でパラライズの魔法を使用してみたが、サンダーボールよりは一回り大きい電気の塊のようなものがサンダーボールよりもやや遅いスピードで射出された。
ああそうか、これ言っちゃえばポイズンの麻痺版なんだな。
「ポイズンでさえそんなに使う機会ないのに。あ、でもまだパラライズの方が使えるか?」
たとえばだがこの先、魔法を連発してくるようなモンスターが出てきた場合。麻痺にすれば途中でしびれがきて魔法の発動が中断されるため隙が出来る。
魔法を使おうとしていきなりびりびりと舌がしびれて魔法が不発に終わることの悲しさと苛立ちについては私はもう経験済みなのでこの魔法の有用性はよくわかってるつもりだ。
それにパラライズの魔法では相手がかかる状態異常の麻痺は(小)と、キラービーから受ける(微小)のものよりも上だったし。
(小)レベルより上の麻痺の状態異常の効果については後書きにでも書いておくよ。毒の状態異常の時もそうだったし。
え、後書きっていったいなんのことかって?、それはほら、あれだよ。ごめん、今のは忘れて。
「それで、と。ドロップアイテムも大漁だな。いや、まじで大量に落ちてるよ」
まずは装飾品だが、耐麻痺の指輪というのが4つ落ちていた。
効果は麻痺の状態異常になるのを50%の確率で防ぐという耐毒の指輪の麻痺版だったけど。
「なんか、第1階層のビッグポイズンスパイダーと共通する部分が多いな」
さっきのパラライズの魔法も。よく思い出せばポイズンの魔法はビッグポイズンスパイダーからもらったものだし。なんだろう、この微妙な共通点は。
「んでまあ、やっぱり落ちてたか。杖も」
クイーンビーが手に持っていた銀の杖、でもこれ杖っていうか錫杖だな。あ、それも杖か。
私はまだ、杖は装備できないっていうか片手剣しか武器は装備できないんだけど一応確認しておく。
〇女王の錫杖
ING+27
特殊効果:雷属性の魔法攻撃によって敵に与えるダメージが20%上昇する。
「へえ、じゃああの雷落とし攻撃のダメージも、こいつの効果が適応されてたのかね」
まあこれがかなり強力な装備だということはわかったので、これはまだ1個しか持ってないから売らずに取っておくか。
この先私が杖を装備できるようななるか、あるいは誰か欲しいって言う人がいたらそいつに売ってやってもいいけど。
「でも杖だけか。あの頭について冠は、あれ結構好きなデザインだったから欲しかったんだけど」
クイーンビーの頭についてた銀の冠。私はむしろ杖よりもそっちが欲しかった。
けれども私が倒してドロップしてないところを見ると、どうやらあの冠はクイーンビーからは手に入れられないみたいだ。残念。
「そして素材アイテム。うわー、クイーンビーの針って、予想通り」
クイーンビーの針というアイテムが5個落ちていたけど、これはもう説明いらないよね。
というか私が一番驚いたのはそれこそ大量にドロップしたはつみつの方にあった。
はちみつは、一応調味料というカテゴリのアイテムに分類されているのだが小さな小瓶に入っている。
その小瓶がもう大量に部屋の床に散乱していた。全部拾ったらなんと30個もあった。
「はつみつ多すぎねぇか?、いや、わかる。わかるんだけどね……あれ?」
ただ私ははちみつを拾っていく最中に1個だけ他とは違う小瓶を発見した。
他のはちみつの瓶は、もちろん中に黄色いはちみつが見えているのだけどその小瓶の中身はなんというか、ちょっと白かった。
〇ローヤルゼリー
栄養価がすごく高いはちみつ。高級食材の1種。
「おおお、高級食材。さすが女王様、いいもの食べてるじゃないか」
ローヤルゼリーは1個しかドロップしてなかったからこれは本当に希少な素材アイテムなんだろう。
うん、これも絶対に売らずに取っておこう。でも、もう1回クイーンビー倒してまたこれを手に入れたら1個は食べてみたいな。
プレイヤーが食べられるアイテムに関しては少しでもかじったり飲んだりすると、もうアイテム的には消滅した扱いになってしまうのだ。花畑ではちみつ食べてる時に気がついたんだけど。
「よーし、これで全部拾ったな」
このボス部屋っていうかハチの巣の内部からの脱出についてだけどクイーンビーを倒したのと同時に部屋の中に青色のワープゲートが現れた。迷宮のボス部屋と同じでそれに入れば自動でボス部屋の外へ出られるんだろう。青色だから一方通行で、入ったらまたここに戻ってはこられないんだろうけど。
そのワープゲートに入ったらハチの巣の前に戻ってきた。
ハチの巣自体はまだあったけどボス部屋に入る時に開いていた穴とそこへつながる蜜蝋の階段が消えていたのでやはり1度ダンジョンに入りなおすかしないと再びあのボス部屋へはいけず、クイーンビーとは戦えないようだ。
もっとも、またすぐに挑むつもりもないけど。
「よし、じゃあ村に行こうか」
この場所に入った時に木々によって塞がれた道ももちろん通れるようになっていたので私はまた森の中に戻っていくとマップを見ながらさっき確認した村へとつながる道を目指して歩き始めた。
クイーンビー戦で減ったHPとMPももちろん回復アイテムを使って回復させておいた。
まあHPについては最後のあのクイーンビーの体力を5割も削った火炎斬りが命中した時に、HPドレインのスキル効果が発動して与えたダメージの半分の体力を回復したためほぼ全快してたけど。
MPに関してはかなり、というか戦闘が終わった時点でもう底をつきかけていた。
ドラゴンの召喚もしてファイアーブレス使っちゃったからそれも仕方ないとは思うけど、でも危なかったな。
「大体、HPは180もあるのにMPが110しかないってのが少ない。いや、私はそもそも物理攻撃メインで本来魔法はそこまで多用はしないんだけども。うーん、やっぱMP最大値が上がる装備が欲しいところだよな。このままレベルアップを重ねてちまちま上げてても埒が明かないし」
私はそうつぶやきながらも道中のモンスターを蹴散らしながら村へと向かった。
<第2階層:草花の村アルベール>
ゴッドワールド・オンラインはもちろんソロでも楽しめるようにはなってはいる。
しかし当然のことだがソロプレイはたった1人でゲームを攻略するという都合上ゲーム攻略の速度は遅くなりがちになる。
だから大体のプレイヤーは最低でも2人(実際は2人パーティは珍しいんだが)から4人でパーティを組むことが多い。
1つのパーティは最大で6人まで組むことができるが、6人で組むことは逆に少ないとも聞く。
リアルで知り合いならともかく6人の人間が時間を合わせてログインするというのは難しいし、何より人数が多いと争い事も増える。
私が森を抜けて向かった先の村で出会ったのも、例にもれず3人組のパーティだった。
出会ったというか、私が村に入って割とすぐに話しかけられて、質問に答えただけなんだけどね。
一応話しかけられる前に彼らが話してた会話も聞こえてはいた。
盗み聞きじゃないよ。彼らの話し声が大きかったんだ。
「…………へぇ、ここが村か。思ってたより広いな」
私は村に入って最初に抱いた感想はそれだった。
普通RPGでは村っていうと、建物の数もそこに住んでる住人の数もかろうじて2桁いるかどうかというようなもので、お前らどうやって生活してたんだよ。とか、あと数年後にはなくなるんだろうなとかいう感想を抱くことが多いのだけど。
少なくとも建物の数は10以上はありそうだし村の入り口からもすでに何人かこの村の村民の姿を確認できるからやはりVR世界の村は現実ほどではないかもしれないが人間的な生活を送る上で矛盾がない程度には発展してるっぽい。
「村の名前は、アルベールか。ま、この階層は村はここ1個だけだし村でいいか」
フローリアのことも、基本は街ってしか呼ばないからね。
私はメニュー画面で現在地を確認し、村の名前を知るとすぐに画面を閉じて歩き出した。
とりあえず村の中を一通りぐるっと回って見ようと思って。
そして私がこの村の中心にある広場的な場所に来た時に件の彼らの会話が聞こえてきた。
彼らは3人組で、男2に女1だったけどその組み合わせはこのゲーム内では別に珍しくもない。
このゲーム内では決闘以外ではプレイヤー間の暴力行為などはシステム的に禁止されているので女性プレイヤーも安心して男性プレイヤーが多いパーティに加入できるのだ。
ただし言葉によるセクハラなど、規制できない問題もあるけど。
「なあ、やっぱりやめとこうぜ?」
「そうですよ。私たちにはまだ無理ですよ」
「大丈夫だって。なにもエリアボス倒しに行くんじゃないんだぜ?」
3人はどうやら何か揉めているみたいだったけどこの時点では私はまだ無関係なプレイヤーの1人だった。
「だけどあの熊、下手したらエリアボスより強いって噂だぜ?」
3人いるうちの大柄な方の男が小柄な方の男にそう言った。
小柄といってもそれは大人にしてはというところでおそらく3人とも社会人ではある、ような気がする。あくまで見た目的なことを信用すればの話だが。
それにしても熊とは、もしかしなくてもフォレストベアのことだろうか。
「でもHPはそんなに多くなさそうだったし。それにこっちから手出ししなきゃ攻撃もしてこないんだぜ?」
「馬鹿。だから危ないんだろうが。普段温厚な人ほどキレると怖いんだぞ?」
「課長だってそうでしょ?」
「僕がいつキレたりしたんだ?」
「しかも自覚なしときてる。まったく……」
どうやらパーティのリーダーは小柄な男みたいだ。
それにしても課長っていうのは、リアルじゃ同じ会社に勤めてる上司部下とかいう?
「せめて挑むにしてももっと情報をだな……」
「わかったよ。聞けばいいんだろう、聞けば。えっと、じゃあ……あ、なんか凄そうな装備つけた人がいるぞ」
「おお、本当だ。あんな装備見たことない」
「ちょっとあの人に聞いてみよう」
「そうだな」
ふうん、どんな凄い装備つけたやつがいるのか。どこにいるんだろう。
「すみませ~ん!」
「……え、私!?」
「あの、今時間ちょっとよろしいでしょうか。あ、パーティの勧誘とかじゃないです。ちょっとお聞きしたいことがあって」
「はぁ、えと。いいですけど」
これはまあ私も感じてたことだけど、第1階層と第2階層の街やフィールドで他のプレイヤーの装備など見てると結構被ってることが多い。
まったく同じ装備をつけるてる人が視界内に3人いることもあるくらいだ。
それもそのはずで第1、2階層でのプレイヤーの装備は基本店で買うもので店売りの商品は同じ街の中では基本どこでも同じだ。
隠れた名店というのもあってその店は他よりも良い装備が売ってるけどそれにしても、だ。
だから皆それぞれの装備の名称や効果も、覚えようと思えば覚えられる。
そして私の今つけてるドラゴンシリーズの装備は、第1階層の迷宮のボスであるドラゴンをソロで倒すというとんでもない偉業(という名の無茶)をやらかした者だけがつけているようなものなのでとにかく目立つのだ。
そんな無茶やらかすプレイヤーはまずいないし、ソロで挑んで一度でもボスに負けると次からは初回戦闘で倒すという報酬のグレードを決める条件を満たせないため、倒しても報酬の宝箱のグレードは下がってしまう。
「(あ、でも。私は最上の金の宝箱だったけど銀以下の宝箱の中身って知らないな。そういや)」
少なくとも金よりは豪華なアイテムがないというか、中身はしょぼいはずだけど。
そうだな、これは良い機会かもしれない。
「それで聞きたいことってなんですか?」
「ああ。えっと、実は僕たちこれから森の熊、フォレストベアを倒しに行こうと思ってるんですけど。あの、戦ったことあります?」
「はい、ありますよ」
「良かった。あ、あの。でしたらもしよろしければフォレストベアの攻撃の方法とか、弱点とかわかる範囲で教えてくれませんか?」
「いいですけど。えと、確認なんですけどあなたたちは3人パーティですよね?」
「はい!、僕がリーダーのパス太って言います。剣士です」
ふーん、まあ3人で挑むならフォレストベアは、油断しなければ倒せると思うけど。
でもパス太って、なんだお前。それはウケ狙いか?、それともリアルで好きなのかパスタ。
これはネットゲームでもありがちな話だがプレイヤー名でウケを狙う人間というのがいる。
このゲームのプレイヤー名は自由に変更できる。プレイヤー名には公序良俗に反する言葉や個人を非難するような言葉は設定できないもののほぼ自由に決めることができる。
馬鹿丸出し、とか、ペロペロ侍の助とか、完全にプレイヤー名を見たプレイヤーを笑わせる気まんまんのやつというのがどのゲームにも一定数いるのだ。ちなみにこのゲームではプレイヤー名は人と被っていても問題はない。格好いい名前とかは被りまくってるだろうな。
「えと、他のお二方のことも聞いてもいいですか?」
「はい。えと、あっちの赤い髪の女性がナポリたん、弓使いです。それでおっきいのが大剣使いのペペロンチーノです」
「片手剣に、弓と、大剣か。魔法使いはいないんですね?」
「ええ。勧誘はしているんですけどもなかなか」
「ああ、そうでしたか」
いやいやいや、ナポリたんって!、言葉で聞いたら普通はナポリタンだろうけどわざわざタンの部分がそれっぽく聞こえたから間違いないぞ。マジでか?
これはもしかするとペペロンチーノも、実はペペロンチー野だったりするのか?
「それで、どうでしょうか?」
「あー、そうですね。まあ大丈夫だと思いますよ。フォレストベアについてですよね、あいつは……」
私は話しかけてきたパス太にフォレストベアについてのあれやこれを教えた。とくに氷属性が弱点だと教えた時はすごく感謝された。うん、まあモンスターの情報ってやっぱ弱点のことが一番重要だよね。
「ありがとうございます。これで安心してあいつと戦えます」
「頑張ってくださいね。あ、でも油断は禁物ですよ」
「わかりました。本当にありがとう」
「いえ、あ、そうだ。代わりと言ってはなんですがこっちも1つ聞いてもいいですか?」
「ええ、僕でわかることであれば」
「あなたも、いえ、あなたたち、かな。えっと第1階層のドラゴンを倒したんですよね?」
「もちろんですよ。でなきゃ今ここにいません」
うん、それはわかってるんだよ。今のは確認だよ確認。
「倒した時に出てきた宝箱って何色でした?」
「え、宝箱ですか?……銀でしたけど」
おお、ということは1人で撃破以外の2つの条件をクリアした上で倒したんだな。優秀なパーティじゃないか。
「その銀の宝箱の中身って覚えてますか。入っていたもの全部」
「ええ、全部ですか?、えと、ちょっと待っててもらってもいいですか?」
「はい」
パス太はそう言うと遠くでこちらの様子をうかがっていた仲間2人の元へ走っていった。
きっと仲間に今私が聞いたことを確認しに行ったのだろう。よしよし。
それにしても面白いな。なぜ3人共に麺系の食べ物の名前をつけているんだろう。
さっきの会話で課長とか言ってたし、やっぱり同じ会社に勤めてる3人なのか。
あ、まさかその会社が麺を主に作ってる食品会社だったりして?
「そんなわけないか。ははははは」
しかし私はその後で、もう1度乾いた笑いをすることになった。
主に自分の想像が的中していたことと、その事実に対する呆れから。
<状態異常について②―麻痺―>
今回は麻痺という状態異常についてご紹介。
毒が、一定時間ごとにダメージが発生するというものだったのに対し麻痺は一定時間ごとに体の自由が効かなくなる(行動不能に陥る)状態異常です。
毒と同じで自然治癒はしますが、それは時間ではなくあくまで行動不能が発生した回数によって自然治癒します。実際の効果は以下の通り。
麻痺(微小):10秒毎に1秒間の行動不能。自然治癒までは10回。[実質110秒]
麻痺(小):10秒毎に2秒間の行動不能。自然治癒までは15回。[実質180秒]
麻痺(中):10秒毎に3秒間の行動不能。自然治癒までは20回。[実質260秒]
麻痺(大):10秒毎に5秒間の行動不能。自然治癒までは30回。[実質450秒]
キラービーの針攻撃が麻痺(微小)、クイーンビーの針攻撃が麻痺(中)ですね。
麻痺の際の行動不能は、一切の攻撃、防御、移動ができなくなるというまさに全身がしびれて動けない状態というわけで、麻痺(大)なんてなったらもう地獄ですよ。
もっとも玲愛にはもう麻痺も効かなくなっちゃったんですけども(笑)
あと、すでに麻痺の状態異常になっている時に麻痺攻撃を受けても、効果が上書きされたりはしないのでその点についてはご安心下さい。(これは他の状態異常に関しても同じです)




