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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての階層

第2階層編開始。新しいモンスターが大量に登場してそれを考えるのと、後書きでそれらのモンスターの説明を考えるのが大変。

それと、もうお気づきの方もおられるでしょうが章管理にて第1階層編と第2階層編をわかりやすく分けてみました。もし不評だったらもとに戻そうかとも考えていますけども。


 ゴッドワールド・オンライン。

 下界の人間たちの間で今流行りのVRMMORPGの中でも3万人というプレイヤー総数を誇るらしいゲームタイトル。

 神々が住む世界、神界で自堕落なニート生活を送っていたアストレアはある時住んでいるアパートの部屋の隣人であるヤヌスにゲーム機ごともらってこのゲームをプレイし始めたのだったが。


 ……まさかここまではまるとは思ってなかったよ。私も。



 ゴッドワールド・オンラインの世界は逆三角すいの形をしているとされている。

 そしてゲームはその世界の最も下にある階層、第1階層からスタートする。

 ゲームを攻略していくと段々と上の階層に上っていくというシステムで、上の階層に行くほど階層は広くなっていく。

 ゲーム公式サイトでの第1階層を突破する平均プレイ時間から類推された平均クリア日数はおよそ2週間ほど。しかし私はそれをわずか10日ほどでクリアしてしまったというのだからこれはもちろん早い方だろう。

 一つの階層の攻略に2週間かかるとしたら単純計算で一月で2階層分。1年だと24階層分進むことになるがもちろんゲームは階層が上がっていくほど難易度も上がっていくわけで、序盤はそれでよくても中盤以降はそうも言っていられないだろう。

 まあ、私は別にそこまでゲーム攻略に必死というか、別にこのゲームを最後までプレイしつくしてやろうだなんて考えてるわけでもないから気長にやろうか。


 と、いうわけで私がやってきたゴッドワールド・オンライン第2階層。

 ちなみにそれぞれの階層にはメインテーマとなる色があるらしい。その色をとってその階層を〇〇の階層と呼ぶこともあるのだとか。(〇〇は色名ね。)

 第1階層の色は無色、まあ始まりの階層だからそれもわからなくはないんだけどね。

 そして来る第2階層のメインカラーは緑という話だった。

 つまり第2階層は別名『緑の階層』とも呼ばれているということだ。


 緑、と聞いたら多くの者はまず何を想像するだろうか?

 おそらくだけど野菜とか草、植物を思い浮かべる人が多いのではないだろうか?


 ええ、植物を思い浮かべた人たちね。それ、正解!



<第2階層:花畑>


 第1階層のダンジョンのボス部屋、そこにあった青色ワープゲートに入った私は少し長い間視界が真っ白になっていたが、それはきっと新しい階層に進んだことでその先のデータを読み込むための時間なのだろう。

 現在データ読み込み中。now lordingというやつだ。

 そしてしばらくしてからまず私が感じたのは風の音だった。

 ビュォォォォって感じで地上を吹き抜けていった風の音。それからすぐに視界に光が満ちて私は思わず目を閉じた。

 光が収まり目を開けた時にはそこにはもう別の景色が広がっていた。


 そこは一面花に囲まれたフィールドだった。


「…………なるほど。花畑、かな?」


 私はメニュー画面を呼び出しマップで自分の現在位置を確認したがそこにも花畑というフィールド名が表示されていた。

 その前に第2階層と表示されていたことからどうやら階層の移動は上手くいったようだ。


 私はメニュー画面を閉じて改めて周囲を見渡す。

 空は青く白い雲がゆっくりと流れている点は第1階層と同じだった。

 地上は赤、白、黄色、紫など色々な色をした花が植えられていてとても綺麗だ。

 そして少し遠くに何やら街の門のようなものが見えた。ああ、あれがこの階層で最初に向うべき街で間違いないだろう。まずはあそこを目指すということだな。


「それにしても綺麗だな。この花、取れるのかな?」


 私は自分の足元に咲いていた赤い花を手で取ろうとしたけどどんなに引っ張ってもびくともしなかったのでこれはフィールド上のオブジェクト、いや背景の一種と考えた方がいいだろう。

 ただ、第1階層では草原と森林のフィールドでは赤い花など、手で抜いて手に入れられる草花の素材アイテムもあったからもしかしたらここの花畑もそういった草花があるのかもしれない。


 そうしてなにはともあれまずは私は遠くに見える街の門へと向けて歩き出すのだった。



 それでもちろんこの花畑もフィールドエリアであるためプレイヤーが移動したり時間経過によってモンスターも出現するわけだが、第2階層ではどんなモンスターが出てくるやら。

 とか思いながら歩いて行くうちにさっそくこの階層最初の戦闘になった。

 ただ、私はどんなモンスターが出てくるのか結構わくわくしていた分そのモンスターとの遭遇はなんていうか、ちょっと残念だったというか。

 なんだお前かよ、みたいな?


「スライムだ。しかも緑色の」


 モンスター名はグリーンスライム。第1階層で最初に登場しプレイヤーが一番最初に倒すザコモンスターであるブルースライム。そのブルースライムをそのまま緑色にしただけのモンスターだった。


「いや、油断は禁物だ。きっと同じスライムとみせかけてあいつもそこそこやる敵に違いない」


 事実としてグリーンスライムはブルースライムとは違った動きを見せていた。

 ブルースライムが出現した場所から一切の移動をせず攻撃もしてこないただの的だったのに対し、グリーンスライムは非常にゆっくりとではあるが移動をしている。

 ……のだったが、それだけだった。うん、それだけ。攻撃は相変わらずしてこなかったよ。


「あれ?」


 私は歩いてグリーンスライムに近づくと剣でちょいちょいとつついてみたが、それでスライムは倒されたのでどうやら本当に動くようになっただけらしい。

 経験値もわずかに3しかもらえなかったし。だけどどういうわけかこいつからもスキルがもらえたのだ。しかも割と私が望んでいたタイプのスキルがね。


<新しいスキルを入手しました>

 スキル:風魔法耐性(微小)


 〇風魔法耐性(微小)

 風属性の魔法攻撃によって敵から受けるダメージを1%減少させる。


 私は目の前に開かれた画面を静かに閉じると一言こうつぶやいた。


「…………マジで?」


 え、これ本気で言ってるの?

 だとしたら私は、いったいどのような反応をすればいいというのだろうか。

 とりあえずは、グリーンスライムも100体倒せばスキルが進化して風魔法無効に、つまり風属性の魔法攻撃によるダメージを100%減少、ダメージ0にしてくれるのだろうということは容易に想像できる。できるのだけれども、本当にそれでいいのだろうか?


 ドロップアイテムについてだがこれはもうわかるよね?

 そう、スライムの雫である。ただ今回のはスライムの雫(緑)というアイテムだったけど。

 うん、あのね。もうこの先きっとレッドスライムとか出てきたらそいつもスライムの雫(赤)を落とすんだろうなってことはほぼ確定したよね。今回の例を見るに。


 というか、もしかしてこの先の階層とかでもスライム系統って全部こんな感じ?

 誰でも割と簡単にさくっと倒せてさ。でも私の場合それはきっと喜ぶべきことなんだよね。


「……うーん。でもまあ今は街を目指すか。スライム狩りは後でもいいし。意外と時間かかるんだよね。特定のモンスターを100体見つけて倒すっての」


 そうして私は歩き出した。

 花畑フィールドには第1階層では見かけなかったものが花畑以外にもう1つあった。

 それは川だ。といっても小川と呼ぶにふさわしいだろうけどフィールド内に川が流れているのを発見した。その川の先をたどっていくとどうやら川は街へと続いているらしい。


 第1階層にある始まりの街は、基本地下水というか、井戸水とか利用してたけど。この階層では川が流れてるからそれを生活に利用してるってことかね。

 そこらへんはまあ、現実の地理的な話でわからなくもないけど。


「ふーん。やっぱり階層が違うとそこにあるあれやこれも結構変わってくるんだな」


 私はそう言ってさらに歩みを進めた。

 階層を移動したからといってそれまでの階層に出現していたモンスターが一切出てこなくなるということはなくちゃんと第2階層でも引き続き登場する第1階層のモンスターもいた。

 それがまあゴブリンソードとゴブリンアーチャーだったんだけど、どうやら第2階層からはもう普通のゴブリン、ゴブリンメイスの2体は出てこないっぽい。

 ただ代わりにこのフィールドでも新しいゴブリンが登場してきて。


「ゴブリンランス……今度は槍か」


 木で出来た槍を装備したゴブリン、ゴブリンランスがそれに当たる。

 弓ほどではないが近接では剣よりもリーチが長くしかも意外と敏捷が高く攻撃も素早い。

 うかつに近づいたらいきなり2連続の突き攻撃をしてきて焦った。

 つい盾でそれを防ぐと運よくカウンターが発生してカウンター攻撃が決まり一撃で倒せたけど。

 あいつ、李ちゃんほどではないがそれなりの手練れだな。

 少なくとも剣を装備してるくせに剣術など使えないゴブリンソードよりかは強い。


「ただ、残念だけど君の攻撃ではもう今の時点で私に物理ダメージは与えられないみたいだ」


 なんといっても私はVITの値が高くさらに装備の効果で物理攻撃のダメージが半分になっているのだ。

 ゴブリンランスの攻撃も、きっと盾で防がずに素で受けてもダメージ0だったろう。

 それで、まあゴブリンランスも木の槍っていうアイテムをドロップしたけど。もういいよ。わかってるから。


「ふう。さて、もうちょっとで街につけそうだけど……うん。ちょっと寄り道しても別にいいよね」


 私は街の門が近づいてきたところでしばらくこの辺りを散策でもしようかと思った。

 景色も好きだったし、もうちょっとこの階層、フィールドに出てくる新モンスターとも戦闘をこなしておきたかったしね。


 ということで散策を開始して1時間ほど。

 私はこのフィールドでさらに4体の新モンスターと遭遇し戦闘した。


 1体はマッドフラワーというモンスターで、第1階層に出たマッドプラントの強化版のようなモンスター。

 マッドプラントがただの緑色の植物だったのに対しこちらはほぼ同じデザインだったけど頭部にピンクの可愛らしい花が咲いていた。

 ただ変化はそのくらいで攻撃方法もマッドプラントと同じで弱点も同じ火属性だったので簡単に倒すことが出来た。

 なぜか落としたアイテムも同じでマッドプラントの種というアイテムだったけど、もしかしてマッドプラントが成長した姿がマッドフラワーだったのかもしれない。スキルはなし。


 2体目はホワイトバタフライ。名の通り白いちょうちょの姿をしたモンスターだった。

 私も最初はそれがモンスターだということに気づかなかったのだけど接近した時にモンスター名とHPケージが見えたことで初めて理解した。

 ただ、このモンスター。グリーンスライム同様とくにこちらに攻撃らしい攻撃はしてこなかった。私もそれに関しては不思議に思っていたのだがまあそういうモンスターがいてもおかしくはない。

 体長が50センチほどでモンスターの中でも小柄の方であるためとくに剣での物理攻撃を当てるのが意外と大変だったりする。しかも回避が上手でまともに攻撃を当てようとしたらなかなか当たらずにこちらをイラつかせた。

 でもたまに花の蜜を吸うためか地上の花に向って降りてくる時があり、そこが攻撃のチャンスだとわかってからは倒すのは簡単だった。まあ攻撃をしてこないし無害なのでわざわざ倒す必要もない気がするのだけど。蝶の鱗粉りんぷんというアイテムをドロップ。


「だけど、こいつからもらったスキルがまじでやばい」


 ホワイトバタフライからはスキルがもらえたのだが、それが正直言ってやばかった。


 〇HPドレインⅠ

 敵に物理攻撃でダメージを与えた時に与えたダメージの5%の量自身のHPを回復する。


「いやいやいや。これってつまりあれだよね。こいつも300体倒したらさ。与えたダメージの半分も体力回復できるってわけ?」


 せめてもの救いというか、物理攻撃に限定された効果ではあったがそれを差し引いたとしてもだいぶ凄いスキルだった。このスキルがあるおかげで私はさらに打たれ強くなったと言ってもいい。

 というかもういい加減にしてもらいたい。正直今の状態でももうかなりチート臭がしてきているのにこれはない。


 まあ、ちょうちょが蜜を吸うように攻撃して与えたダメージから体力を回復するという構図は理解できなくもないんだけどさ。


「またどえらいスキルを引き当てたもんだな、まあもうどうしようもないけど」


 さて、それで新モンスターの3体目についてだがこれは苦戦させられた。

 いや、別にモンスターが強かったというわけではないんだよ。ただ、ね。

 きっとモンスター名はRPGをやったことのある人なら聞いたことくらいあると思うんだけど。


 みんな、コボルトって言ってわかる?


 うん、そう。多分今皆が想像したのであってると思うけど。



 コボルトっていうのはようは2足歩行の犬のモンスターで、まあ、犬獣人に近いかな。

 ただ、このゲーム内でプレイヤーの種族として犬の獣人も選べるんだけど、それでも顔は人で頭に犬耳がついてるだけなのに対し、コボルトは頭部が完全に犬だった。


「……可愛い」


 問題は、そのコボルトがゴブリンと同じでなんかやたらとデフォルメされた可愛いわんちゃんの頭部を持っていたいうことだった。

 いや、体を含めて全体的に見たら気持ち悪さというか、変態みたいに見えなくもないんだけど。すくなくとも頭部の犬部分に関して言えばそれはとても愛らしい顔立ちをしていた。

 体色は茶色でとくに武器らしきものは持ってはおらず、さらに愛らしい頭部でプレイヤーの多くは油断して近づくことだろう。


 しかしそこはモンスター、たとえ可愛くても油断は禁物だ。

 コボルトは殴りかかり攻撃のほか、まさかの回し蹴りを披露してきた。


「うげぇ!?」


 もちろんその攻撃は油断してた私に直撃した。ダメージはまあなかったんだけどもね。

 でもそのことでちょっとだけ傷ついたというか、ああそういえばゴブリンメイスが最初に襲い掛かって来た時も同じこと思ったっけ。まさかここまで攻撃的だとは思わなかったんだ。


 倒すのは簡単だったよ。剣で2回ほど斬ったら簡単に死んだし。

 でも倒した時にさ、またキューンって蹴り飛ばされた野良犬みたいな悲痛な断末魔を上げてさ。これが精神的にすごくきつい。


「やめてくれよ。もしそれをやるならせめて顔は、もっと悪い感じで気持ち悪い犬みたいなのにしてよ。こんなのって……う、罪悪感が!、罪悪感がぁ~!」


 もしかすると私がこれまで倒して来たモンスターの中で1番苦手なやつかもしれない。

 だってもうこれ、道端に段ボール箱に入れられて捨てられてた子犬を段ボール箱ごと強く蹴っ飛ばしたような気持ちになるんだよ。実際にやったことないけどさ。


 ゴブリンもそうだったけれどあのコボルトというモンスター、そのデザインを考えたやつは同じ人間に違いない。それできっと今の私と同じように倒したら倒したで精神的にショックを与えるような、そんなモンスターでプレイヤーたちが苦悩してる様を見てげらげら笑ってるんだ。

 悪趣味なことこの上ない話だ。天罰でも下ればいいのに。いっそのこと私が落としてやろうかな。


「くそ。負けないぞ。私はこんなことでくじけたりなんて……絶対にしないんだからな!」


 ただ、それからもコボルトに遭遇しそれを倒すたびに私の心は抉られていった。

 裏を返せばそれを乗り越えた時、私は精神的にタフになってるのかもしれないけど。

 あ、ちなみにコボルトは獣の皮というアイテムをドロップした。スキルはゴブリン同様なし。私はあの回し蹴りとかスキルで覚えられるかもとか思ってたんだけどね。



 そして最後に紹介する新モンスターだが、これはハチだった。虫のね。

 ただどうやらそれはスズメバチみたいな攻撃的なハチじゃなくてミツバチだったようで。

 モンスター名はまんまハニービー。デザインも現実のミツバチをそのままでかくしたようなやつだ。


 こいつの1番厄介なところは、なんと回復技を使用してくるんだ。

 ダメージを与えてHPを削ったのになんかハニービーの回りに緑色の光みたいなのが現れてさ、それで次の瞬間与えたダメージの半分ほどHPケージが回復してたんだよ。

 まあどこかのタイミングで出てくるんじゃないかと思ってはいたけどね、ヒーラー系のモンスター。

 ただまさかこんなに早く登場するとは思ってもみなかったけど。


 攻撃は体当たり突撃のみだけど敏捷が高くてよけるのは大変。

 私の場合はよける必要性もない気がするけど、でもたとえダメージ0だったとしても何か大きなものがぶつかった衝撃は感じるんだよ。ドッジボールみたいな感じでさ。

 だから回避できるなら回避するにこしたことはないんだよね。


「それで、倒したわけだけど。なんのスキルももらえなかったことが解せない」


 てっきり私はハニービーからはその使用してきた回復技のスキルか魔法がもらえるものかと思っていたのだけど。それにハニービーはなんとドロップアイテムもなかった。

 今まですべてのモンスターから落ちていたはずのドロップアイテムが、だ。


「んー?」


 だけれども、私がさらに意味がわからなくなったのはその次に倒したハニービーからはアイテムがちゃんとドロップしたということの方だった。ドロップアイテムははちみつ。


「なんでだろう。ハニービーには私のドロップ率100%の効果が適応されてない?……いや、待てよ」


 そこで私は気づいた。1体目と2体目のハニービーの違いに。

 1体目は途中で回復技を使用してきた。しかし2体目については私は出会い頭に火炎斬りで瞬殺したために回復技を使うことはなかった。


 もしも、だ。もしもハニービーの回復技が技ではなかったとしたら?

 そう、たとえばもともと自分が持っていたアイテムを使用したのだとしたら?

 だから回復技を使用した後のハニービーからははちみつが落ちなかった。つまり自分で使って食べちゃった扱いになってるから。

 そしてそのことでハニービーを倒したとしても回復系のスキルや魔法が覚えられなかったことにも説明がついた。それはスキルや魔法ではなかったからだ。


「えっと、つまりハニービーは回復技を使うんじゃなくて回復アイテムを使うモンスターってことか。ああ、なるほどね」


 良く考えればゴブリンソードなども、倒した時にそいつが使ってた装備アイテムを落とすから別にモンスターが自分が持っている回復アイテムなどを使ったとしても不思議ではない。

 ただ、それでも解せないのは私が拾ったはつみつというアイテム。人間というかプレイヤーが食べたところでそれはただのはちみつであり、HP回復の効果はなかったということ。

 はちみつ食ってHPを回復させられるのはハニービーさんの特権らしいよ。


「うーん、でもこのはちみつ。普通に食っても上手いな」


 はちみつは小さな小瓶の中に少量入っているもので1個だったけど食べ物アイテムとして普通においしかった。たぶん料理とかにも使えるアイテムなんだろうけど。


「ま、回復技を覚えられなかったのは残念だったけどこのはちみつに免じて大目に見てやるとするか。…………うまい」


 私は結局、それからもハニービーを倒して手に入れられたはちみつのうち3個を全部食べてしまった。

 いや、それくらいおいしかったんだよ。今なら下界で有名なあの黄色い熊のキャラクターの気持ちがわかる気がする。あのいつもはちみつ食ってる熊ね。


「もうそろそろ街に行くか。日が暮れたらまた面倒だし」


 私はしばらくの散策に満足すると街の門のところまで行きそして街の中へ入った。


<モンスター辞典>

〇グリーンスライム

スライム族。第1階層に出現したブルースライムの色違いで強化版。名の通り緑色のスライム。

強化版とは言ったが、ブルースライムとの違いは移動をするということだけで相変わらず一切の攻撃をしてこないため、プレイヤー間では動く的と呼ばれている。

弱点は氷、雷属性。風属性に耐性があるが物理攻撃で簡単に倒せるのであまり気にしなくてもいい。

ドロップ:スライムの雫(緑)


〇ゴブリンランス

ゴブリン族。槍を持ったゴブリンだが槍の扱いには長けている。

力と敏捷が高く接近してきたプレイヤーに素早い2段突き攻撃をしてくるため油断は禁物。

余談だがこの2段突きという攻撃はプレイヤーも槍術のスキルをⅡにした際に習得できるスキルであるためゴブリンランスも槍術をⅡまで上げて持っているのではと言われている。

対槍使いのプレイヤーのための練習相手にはちょうどいいと言ったプレイヤーがいるとかいないとか。

ドロップ:木の槍


〇マッドフラワー

植物族。第1階層に出現したマッドプラントの強化版だが、能力値が全体的に上がっていることと本体の頭部に花が咲いていること以外これといった変化はない。

玲愛の考えた通りマッドプラントが成長したらマッドフラワーになるのではないかと考えるプレイヤーも多いが2体の関連性についてはまだ解明されていないことが多く真偽は不明。

ドロップ:マッドプラントの種


〇ホワイトバタフライ

昆虫族。白いちょうちょうの姿をしたモンスターで現実のちょうちょより体のサイズが大きいことを除けば本当にただのちょうちょである。

モンスターの中でも珍しく、一切の攻撃をしてこないため倒すことは簡単だが、逆に言えば無害であるためわざわざ倒すプレイヤーも少ない。

女性プレイヤーの多くは昆虫族のモンスターに生理的嫌悪感を抱くことが多いがこのホワイトバタフライに関してはむしろ綺麗だとか、好意的な印象を受けやすい不思議。

ドロップ:蝶の鱗粉


※コボルト、ハニービーについては次回紹介。


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