表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第1階層―始まりの街―
37/171

ニートな女神と初めてのドラゴン

タイトルネタバレ注意。ダンジョンボスはドラゴンです。

ただ、モンスター名を何にどうするかすごく悩みました。

グリーンドラゴン、ファイアドラゴン、ビッグドラゴン……どうしようかな。

あ、いいや。どうせボスはここしか出ないんだしただのドラゴンにしよっと。


ええ、まあこの先の階層ではちゃんと別のドラゴンも名前付きで出てくるんですけどもね。

 ナイトアーマーを倒したことで私は350の経験値と800のゴールドを手に入れた。

 そしてそこで私のレベルが上がりレベル16となった。


 レベル15→16


 HP:170→175 MP:102→106

 STR:38→40

 VIT:38→40

 AGI:34→36

 ING:30→32

 DEX:20→21

 LUX:21→23


 そしておそらく、これがダンジョンのボス戦前の最後のレベルアップになるのは間違いない。

 すなわち私はレベル16でボスにソロで挑むということだ。

 この能力値で大丈夫なんだろうか?


 もちろんこれに装備中の装備品の補正とスキル等の効果を合わせた数値が私の能力値となるわけだが。

 私にはまだ依然として1ポイントも割り振っていないスキルポイントが39ポイントもある。


「VITに全部つぎこむか。それともINGに振って魔法攻撃を強化するべきか……」


 私は色々と悩んだ。そうして出た結果はもちろん保留。

 きっと私は考えるふりをしながらも最終的にはスキルポイントを割り振る気はないのだ。

 でも、どこかで何かの能力値が決定的に足りないと思う瞬間がきたらその時は迷わず使うんだろうけど。


 というかこの話、前にもしたっけ?


 ナイトアーマーからドロップしたアイテムは鋼鉄の斧というアイテムで、まあもうわかってるよね。


 それと、ナイトアーマーからスキルを1ついただきました。


 〇ハードアーマー

 [鎧]を装備している時、VITの値が25%アップする。


「なんと、これはまた凄いのがもらえたな。……いや、本当に」


 私は現在、白金の鎧というアイテムを装備しているのでこのスキルの発動条件は満たしている。

 きっと私が鎧以外のカテゴリの装備をつけた場合はこのスキルは自動でオフになるんだろうけど。

 だけどこのスキル、頑丈Ⅹのスキルと重複してセットできている。

 なので私のVITの値は実質的に75%も上がっているということに。


 私の先ほどレベルアップした後のVITの値は40。

 その値がまずスキルの効果で30上がって70になった。

 さらに装備品の補正効果を合計して加えると136という数値に。

 VITが136となればきっと、ストーンゴーレムの一撃もダメージ一桁くらいにまで減少させられるのではないだろうか。


「まあ、それはここをクリアした後にでも確かめてみるとして。よし、そろそろ先に進むか」


 私は立ち上がると地下3階へと繋がる階段をおりて行った。


 そうしてやってきた第1階層迷宮地下3階は、地下2階までとはまた違う雰囲気を醸し出していた。

 まず地下1階と地下2階は、ルームもルートも壁や地面は茶色で、壁には松明がかけられているだけだったのだが。

 地下3階はなんと石造りで、壁も地面も灰色の石で舗装されていた。壁にかけられた松明の方は特に変わりはなかったけど。


 そして、地下3階の変化はそれだけでは終わらなかった。

 まさかの新しいモンスターの登場だった。


「なにあれ、なんか……影?」


 地下3階へ下りた初戦闘からそいつの姿は確認することが出来た。

 そいつの姿は人型で、でもそれほど大きくなくてせいぜい人間の大人くらい。

 全身が黒一色で染められていてまるで影のような、というか影だった。


 シャドーマン。このダンジョンの地下3階から出現するモンスター。

 影の中に潜んでこちらに急速接近してきては影の中から飛び出して両腕の先の爪のような部分でひっかき攻撃を繰り出してくる。

 そして攻撃終了後また影のなかに隠れてどこかへ消えていく。

 しばらくするとまた現れて攻撃、逃走を繰り返してくるやっかいなモンスター。

 ただ、このモンスターの最もやっかいな点はそこではない。

 シャドーマンが移動中、つまり影の中に潜んでいる状態の時は一切の物理攻撃が効かないのだ。

 一応魔法攻撃は効くようだがシャドーマンは敏捷の値が飛びぬけて高いため移動中は魔法を撃ってもまず当たらない。


 攻撃のチャンスは接近してきて影の中から飛び出してきた時だがそれも素早いためなかなか攻撃を当てることは難しい。そう、普通であれば。


「でも、まだ遅いよ君。私の方が速い」


 私はシャドーマンが接近してきた瞬間にすかさず魔法で迎撃した。

 シャドーは影、だからきっと光属性の魔法が弱点に違いないという私の読みはどうやら当たっていたようで、シャドーマンはライトボール一発で倒すことができた。

 私はそのことに満足しつつも心の中で思った。


 だけどこいつ、面倒くさいな。


 1体だけならなんの問題もなく倒せるのだが、一度にたくさん出現すると本当に面倒くさい。

 まあ、シャドーマンのひっかき攻撃も私はくらっても0ダメージなんだけどね。

 何が面倒ってもう、こっちに近づいてひっかいてきてすぐに逃げるっていうやつ。

 ダメージがなくても戦闘中にちょくちょくそんなことされてたら正直うっとうしいっていうか、気が散るんだよね。

 もしかしてゲーム運営はそういうことを想定したうえでのこのモンスターだったのかもしれないけど、私にとってはただの嫌がらせモンスターでしかない。


 シャドーマンからもスキルをいただきました。

 うん、というかもうスキルをいただくって表現の方がどうかしてる気もするけど、実際のところその通りなのだから仕方ない。


 〇影遁えいとん

 フィールド上で建物やオブジェクトの影の中にいる時に使用可能。使用中は一切の攻撃行動ができなくなるが、モンスターに気づかれなくなる。

 影の中から出ると効果は自動で解除される。

 消費MP:使用中5秒経過ごとに1消費。 再使用可能までの時間:――


「ふーん。つまり影の中に隠れてモンスターをやり過ごすことが出来るんだ。なんか擬態と似てるな」


 ただ、擬態の方はあくまで気づかれにくくなるのに対しこちらの影遁は気づかれないと断言している。

 だからモンスターに見破られるなんてこともないんだろうけど。


 でもこのスキル。もちろん戦闘中は使えない上に何よりもここはフィールドではなくダンジョンだ。

 だからつまりは今はまったく使えないスキルなんだけど。


「というか、これ使う機会あるのかね。覚えたもんはしょうがないけど」


 この先、影遁のスキルを使う機会があるのかどうか微妙なところだったけど、でもまあ決して使えないスキルってわけじゃないしね。

 だけど私は手に入れた影遁のスキルを今はオフにしておいた。ちなみに擬態のスキルも私は平常時からオフにしている。

 だって使わないし、それに私は物陰からコソコソと隠れて何かをするというのはあまり好きじゃない。

 なのでまあ、擬態と影遁について使う時が来たら使うってところで。いや全部のスキルや魔法は本来そうなんだけどね。


「ふう、まあいいか」


 あと、どうでもいいけど地下3階ではワイルドボアとマッドプラントが出なくなった。

 うん、それに関しては本当にどうでもいい話だったね。理由もわかんないし。


 そして私は……


「…………ここか」


 ついにやってきた。地下3階の最奥。巨大な両開きの扉の前へ。

 なお、このボス部屋へと通じる直前のルームであるここではモンスターは出現しない。

 ボス戦の前にしっかりと準備を整えることが出来るのは嬉しい話だった。


 私はすでにHPとMPは完全に回復を終えている。

 特に疲労感もないのでここままボス戦に突入してしまいたいところだったがなかなか踏ん切りがつかなかった。

 どうしようか、もう1週くらいしてレベルをあと1つくらい上げておいた方がいいだろうか。

 などという考えが頭の中にちらつくのはきっとボス戦あるあるに違いない。


「……ふう。でも、ここまで来たらもう今さらか。よし、行こう」


 私は覚悟を決めてボス部屋の大扉に手を触れた。

 すると私の視界内に警告画面が表示された。


『―警告―

 この先ではボスとの戦闘が待ち受けています。ボス部屋に入ったらボスを倒すか、部屋に入ったプレイヤーが全員死亡するまでは部屋から出ることはできなくなり、エスケープもできませんが本当に先に進みますか?』


 つまりボスか自分たちのどちらかが倒れるまでは出られないと。


「上等だよ」


 私は警告画面を閉じた後で再度ボス部屋の扉に手をつき奥へと押し開けた。

 そうして大きな音を立てながらゆっくりと開いたその巨大な扉の先へ、私は歩んでいく。

 そこにはもう何の迷いもなかった。ただボスを倒すという強い思いだけが胸の内にあった。


 <第1階層:始まりの街>


 私たちは今、始まりの街の冒険者ギルドの2階、歓談スペースにいた。

 大きな丸テーブルを囲んで私、李ちゃん、ラフィアちゃん、そしてローズが椅子に座って話をしていた。


「ん、マロン。どうかした?」

「あ、ううん。なんでもない。ちょっと、考え事してた」

「ふうん。そっか」


 私は左隣に座る李ちゃんにそう答えるとみんなの方へ向き直る。


「それじゃあ、今日は岩場の方へ行ってみるということで。皆もそれでいい?」


 私の正面に座るパーティーリーダーのローズが、今日のこれからの予定を皆に確認した。

 私たちは全員それぞれ返事をした。もちろん皆賛成だった。

 けれども私は、そこでふとあることを思い呟いてしまった。


「玲愛お姉さんは、今どこまで進んでるんだろう……」


 私が言ったその言葉は、でも他の皆はちゃんと聞こえていたみたいで。


「あー、それなー。私も気になってた」

「ええ、私も。でも、もしかしたらもうダンジョンもクリアして第2階層まで行ってたり?」


 李ちゃんとラフィアちゃんがそう言うと最後、ローズは腕を組んでうなりつつもこう言った。


「そうですね。少なくともダンジョンまでは行っているはずです。案外、今まさに攻略中だったりするかも」

「あー、今ちょうどボスと戦ってるとかな?」

「なるほど、たしかにそれもありそうですね」


 皆はそれぞれに自分の考えを話していたけど私は何も言えなかった。

 代わりに私は、ローズ、いや皆に対してこう聞いた。


「あのさ、皆。ちょっと、皆に聞いたんだけど」


 私が真剣な表情をしてそう言うとそれまで笑いあっていた3人も静かになって私の方を見た。

 それで私は、ずっと思っていたけれど言えなかったことを勇気を出して言ってみた。


「あの、玲愛お姉さんのことなんだけど。この先、もしもお姉さんがソロプレイをやめてどこかのパーティに入るってなった時に、本当にうちに誘うの?」


 私がそう聞くと、3人はそれを聞いて私の質問の真意を悟ってくれた。


「マロン。それってつまりあれだよな。お姉さんと私たちじゃ、その、実力的に釣り合わないんじゃないかって話だよな?」

「……うん、そう」


 私は思っていた。いや、たぶん私以外の皆もうすうす感じてはいたはずだ。

 お姉さんは強い。それはレベル的なこともそうだし、何よりも実力が今の私たちとは違いすぎる。

 きっと、今の私たちが4人かかりでお姉さんと戦ったとしても、もしかしたら私たちの方が負けちゃうんじゃないかって思えるくらいには。


「マロンちゃん。あの、それはお姉さんがもし私たちのパーティに入ったら、私たちがその、足手まといになってしまうんじゃないかって、そういうこと?」

「……うん」


 こういうRPGで誰かとパーティを組む時は、パーティメンバーの実力は大体同じくらいであった方がいいというのは割と当たり前のことだ。

 なぜならメンバーの実力に大きな開きがあると、まず間違いなく実力が上の方のプレイヤーの負担が大きくなってしまう。

 さらには、戦いに行くフィールドやダンジョンなどは、実力が下の方のプレイヤーに合わせることになるだろうから、そうなった場合実力が上の方のプレイヤーはつまらない。

 自分以外のメンバーが苦戦している中で自分だけは簡単というのではストレスも溜まるはずだ。


「ですが、かと言って。私たちが玲愛さんのレベルに合わせるわけにも行きませんしね」

「……そうだな。それだとお姉さんの負担がさらに大きくなっちゃいそうだし」

「ですね。どちらにせよお姉さんは大変でしょう」


 ローズも、李ちゃんも、ラフィアちゃんもなんだか暗い顔で悩みこんでしまったので、私は慌てて謝罪した。


「あああ、ごめん皆。私別に、ただ、ちょっと気になっただけで」


 でも、私がそう言うと皆は私の方を見てこう言ってくれた。


「いえ、実は私も同じことを思ってて」

「そうだよ。マロンが言ってなかったら私が言ってたと思うし」

「いつかはそのことについて話し合う必要があるとは思ってました。それが今だったというだけです」

「え……でも……」


 私は皆の言葉を聞いて何か言おうと思った。けど何て言えばいいのかわからなかった。

 そのうちにラフィアちゃんが私に向かってこう言った。


「私は、マロンちゃんのいいたいことは良くわかる。けど、それでもお姉さんがこのパーティに入ってくれたらいいなって思うよ?」


 それを聞いてさらに李ちゃんも。


「そうだよ。それにもしも実力に差がありすぎてきついっていうなら、その分私たちが頑張ればいい話じゃん。……まあ、あんま無茶なことは出来ないし、それでもたぶんお姉さんの方が強いんだろうけどさ」


 そしてローズも皆の意見を聞いたうえでこう言った。


「……そうね。たしかに李の言うことも一理あると思う。けど、それはまた本人を交えた上で話をするのでもいいんじゃないかな。だって玲愛さんがいつソロプレイをやめてパーティに入ろうって考えるのかもわからないんだし」

「だけど、その時にはまた」

「その時はその時で考えましょう。マロン、私たちは私たちに出来ることを確実に積み重ねていくことしかできないんだし」

「う……そう、だね」


 私はローズのその言葉に何も言い返せずにただうつむいてしまった。

 たしかにその通りだ。今ここで何を話したとしても私たちのやるべきことは変わらない。

 李ちゃんのいったように頑張ってモンスターとかたくさん倒して、レベルを上げていくことくらいしか私たちが出来ることは思い浮かばない。


「だけど、きっとそれも今のうちだけだと私は思う」

「え?」

「まだこのゲームは序盤も序盤だから私も実感がないけれど。でもいつか、きっと私たちも……」


 ローズはあえてその先の言葉を言わなかったけれど、私はそれを聞いて思った。

 たぶんそれはきっとこう言いたかったに違いない。


 私たちは、今はまだ玲愛お姉さんよりも弱くて一緒にパーティを組んでも足を引っ張っちゃうかもしれないけれど、この先いつかきっとそれぞれが何か役に立つ時がくるって。

 もちろん、そんな保障はどこにもないけれど、なぜかローズのその言葉を私は信じられた。


「ま、そのためにももっと頑張らなきゃって話に戻るけどな」

「ふふふ、そうですね。李ちゃんの言う通りだと思います」

「……うん。そうだね」


 私は笑顔でそう答えた。


「あ、そうだ。今度またお姉さんをクエストにでも誘ってみるのはどうかな?」

「え、さすがにそんなにすぐじゃ断られると思うよ?」

「そうですよ。それよりもまずポーションとかのアイテムを売ってもらわないと」

「たしか、13000G分先払いしたんだったっけ?」

「ええ。特に野菜ジュースは。この街ではお姉さんしか売ってないですからね」

「ああ、あの野菜ジュースな。あれ普通に飲んでもおいしいよな?」

「ちょっと李。まさかあなた戦闘中以外でも飲んでるんじゃないでしょうね?」

「え、ダメだった?」

「当たり前でしょう。すごく貴重なアイテムなんだから」

「……ただの野菜ジュースなのにね」


 私たちはついついおかしくなって笑ってしまう。

 うん、まあたしかに私はお姉さんがパーティに入ることにちょっと不安はあったけれど。

 でも、きっと大丈夫なんじゃないかって思った。

 お姉さんだったら、きっと私たちとこんなふうに笑いあいながら一緒に冒険したり、モンスターと戦ったり、他にもいろいろ出来るはず。

 私はまだ、お姉さんのことはほとんど何も知らないけども、それはこれから先ちょっとずつ知っていけばいいと思うしね。


 <第1階層:迷宮地下3階:ボス部屋>


 ボス部屋はダンジョン内で最も広かった。

 円形上で周囲の壁にはところどころに松明があって部屋は明るかった。

 私が部屋の中に入った時点で、入り口の大扉は閉まりこれでもう後戻りはできない。


 しかし、私は剣と盾を構えつつも部屋の中にボスの姿がないことに疑問を抱いていた。


「んー?、あれ?」


 私がさすがにおかしいと思って首をかしげた時だった。


「グギャオォォォォ!」

「上か!」


 私は部屋全体に響き渡るほどの鳴き声を聞いてすぐに視線を頭上に向けた。

 すると部屋の天井、というか部屋は細長い円柱状になっていたようで天井は遥か上にあったのだけどそこからそいつは姿を現した。


 たぶん、そいつの名前ならRPGをやったことのない人でも知ってるんじゃないかな。

 私はそいつの姿を一目みただけでそいつの名前がわかったよ。


 それは、巨大な体躯をしていて翼を持っている。

 それは、口から火を吹いたり、風や雷などを操るともされている。

 それは、下界では想像上の生物としてその名を馳せている。


 つまりそいつの名前は……


「おいおい、あれって……」

「グギャアァァァァ!」


 モンスター名、ドラゴン。

 その単純すぎる名前はしかしそれだけでそのモンスターの強さを現すには十分だった。


 体長は15メートルほど。大きな口、大きな体、大きな手足に太いしっぽ。

 さらにはその巨体を浮かすための大きな翼。


「あ、やばいな。これまじで死ぬかも」


 HPケージはまさかの大ケージ3本分。

 ビッグポイズンスパイダーで大ケージ2本分だったのだけど。

 さすがにこのダンジョンの、いや第1階層のラストボスというだけはありそうだった。


 ドラゴンは空中から部屋の中央に降りてきた。

 そして地面に着地した瞬間にズドーンと部屋全体が揺れたことで私はようやく現状を理解した。


「勝てるかな?」


 私は私の方を見てグルルルと喉をならすドラゴンと相対し、そうつぶやいた。

 こいつを倒すことができれば私は晴れて第1階層を制覇したことになる。

 そしてこいつは、第1階層最強のモンスターでもある。


「出し惜しみはしないよ。ウィンドステップ、ガードアップ!」


 私は支援魔法を二重に使用するとドラゴンへと向かって駆けていった。



<モンスター辞典>

〇ナイトアーマー

物質族。騎士の甲冑がそのまま動き出したような感じのモンスター。

実はこのモンスター、第1階層の迷宮で中ボスとして登場するモンスターだが先の階層では普通にフィールドで出現したりもする。でもそれはまたその時に紹介ということで。


大きな斧を持っておりそれを振り回して攻撃してくる。

力、耐久共に高く敏捷も見た目ほど低くはない。が、賢さは低い。

弱点は雷属性。火属性と水属性に耐性がある。

ドロップ:鉄の斧


筆者は、動く甲冑というイメージでこのモンスターを物質族にするか、あるいはゴースト族にするか非常に頭を悩ませましたが、あくまで甲冑がメインのモンスターなので物質族にしました。

あ、ちなみに甲冑の中には人とか入ってません。そうです、中の人はなしです。本当です。


〇シャドーマン

悪魔族。人型の影のモンスター。

全身が真っ黒であり頭部にも目や鼻、口などは見当たらない。

両手の先が鋭い爪のようになっておりそれで引っかき攻撃をしてくる。


プレイヤー間では、パッと見ただけで光属性が弱点だと分かるモンスターとして有名。

闇属性に耐性があるが、それもまあ見ればなんとなく想像がつくことだろう。


だって影なんだもの。


敏捷が高く、素早くプレイヤーに近づいては攻撃してすぐ逃げる、俗に言うヒットアンドアウェイ戦法を取ってくることからプレイヤーたちからは非常にうざがられている。

ただし敏捷以外の能力値はそんなでもないので倒すのはまあ簡単な方ではある。

ドロップ:黒い塊


なお、本編中にシャドーマンのドロップアイテムの名称及び、回収の描写がありませんが、それは次回以降の話の中で語られる……いや、分からないです。

ただ、玲愛はちゃんとドロップした黒い塊を拾いました。


「なんだこれ、うへぇ、気持ち悪いな。黒い塊って、これもしかしてウ〇コ……いや、考えるのはよそう」


言っておきますが、黒い塊はあくまでシャドーマンの体の一部的なやつで、決してモンスターのウ〇コではないので、そこはご安心ください。

……まあ、第2階層ではそれを落とすモンスターも出てくる予定なんですけども。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ