ニートな女神と初めての商売
ブックマーク登録をしていただいた方、とても励みになっています。
また感想で誤字脱字の指摘をしていただいた方も該当箇所については修正させていただきました。
たいへん貴重な意見をありがとうございました。
私自身もたまに見直して気づいた箇所があればその都度修正はしていき、また書いていく際も誤字脱字に関しては最新の注意を払っていく所存ですので、以降も温かい目で見守っていただけると幸いです。
……まあ、それでも自分で気づかないうちにミスをしてしまうのが人間なんだけど。
さて、私の手に入れた新たなレシピとはいったいどのようなものなのか。
そのレシピを手に入れたクエストの内容を軽く説明しておくと、依頼主は商店街通りにある野菜屋さんの主人で依頼内容は高品質のポーションを5つ用意するというもの。
私はその場でアイテムボックスの中からポーション☆を5つ用意して店の主人に渡すと即クエストクリアになったけど。
はたしてあの主人はなぜ高品質のポーションを欲しがったのか理由は最後まで明かされなかった。
クエストの報酬としてレシピと、そしてそのレシピの材料となるアイテムをセットで受け取ったのだが。
スキル:調合Ⅱ
〇ポーション
〇毒消し薬
〇麻痺消し薬
〇野菜ジュース(オレンジ)
ああ、うん。見ての通りである。
つまり野菜屋さんからいただいたレシピは野菜ジュースと。
私は色々言いたいことはあったけど、1つだけ。
野菜ジュースって薬品の扱いになってるんだ、このゲーム。
そして肝心のレシピ内容はと言うと……
〇野菜ジュース(オレンジ)
薬草+ニンジン+パプリカ+リンゴ+オレンジ+水
「ああ、まじで野菜ジュースじゃないか。しかも一応薬草が材料に入っているあたり、体力回復系のアイテムなのか」
この野菜ジュース、さらには括弧書きでオレンジと記されているあたり他にも種類がありそうだ。
この街のクエストを全部見ても調合のレシピが報酬のクエストは他になかったようだけど、でも先の階層で絶対に色違いの野菜ジュースのレシピが手に入ることは予想できる。
「まあ、名前はともかくとして効果だよな」
というわけで私はクエストの報酬でもらった分とは別に街の商店街にある野菜屋さんと果物屋さんでレシピの材料となるアイテムを50個ずつ買うとギルドへ戻ってクエスト達成の手続きを終わらせた後で薬屋へと向かったのだ。
そして現在、私はもう何度目の訪問なのかもわからなくなった薬屋に来て、イケメンの店員がさっき言ってくれた通りに店の奥のスペースをまた使わせてもらっていた。
ついでに水の方も買っておき、これでレシピの材料はそろった。
薬草は前のポーション作りの時にだいぶ使ってしまっていたと思うけど、確認してみたらアイテムボックス内には77個もあった。
そうだ、森林エリアでたくさん拾ってたんだった。上の森の方で。
「よーし、それじゃあさっそく作ってみますかね」
ちなみに野菜ジュースというアイテムはこの街では売ってはいない。
野菜屋にも果物屋にも薬屋にも置いなかったし他の店でもないようだった。
私が作ったものは全部、最高品質のものになってしまうから普通の野菜ジュースの効果は知ることはできないのだがそれでも構わないだろう。
ようは最高品質のものでどのくらいの効果のものなのかが重要なのだから。
「調合、レシピで……野菜ジュース(オレンジ)を作成っと。うーん、どうでもいいけどこれ、1個ずつじゃなくて何個かまとめて作りたいな」
私がそう言いながら作成ボタンを押すと、野菜ジュースはどうやらポーションと同じで30秒で完成するらしい。
もしもこの世界が現実であったなら、全部の材料をミキサーにかけるだけで作れるだろうに。
30秒後、完成したアイテムを確認するとそこには野菜ジュース(オレンジ)☆と書かれていた。
いや、野菜ジュースに高品質とかちょっと意味がわからない気もするんだけどね。
そして効果の方はというと……
「お、おおお!」
私は意外にもかなり使えそうな効果を持った野菜ジュースに驚きの声を上げた。
〇野菜ジュース(オレンジ)☆
使用してから5分間、10秒おきにHPを10回復し続ける。
「つまりこれって、HP自動回復ってやつ?……ただの野菜ジュースじゃないな、これは」
自動回復とは読んで字のごとくHPが自動で回復してくれるということだ。
今回の場合は、野菜ジュースを飲んだらそこから10秒が経過するごとにHPが10回復される。
もちろん自分の体力の最大値をこえて回復することはないだろう。
けれども、あらかじめこのジュースを飲んでおくと私は10ダメージまでなら受けてもわずか10秒でなかったことに出来る。
これはすごい効果だ。とくに私はまだ回復魔法というのを覚えていないからありがたい。
「しかも5分間ってことは、えーと、最大で300も回復すんの!?」
私はこの野菜ジュースというアイテムがいかにすごいのかということに気づいた。
正直もうこれ、他のプレイヤーに高値で売れること必須である。
とくにこの第1階層のプレイヤーの間では。
材料も薬草以外はこの街で買える物ばかりだし、これはやってみる価値があるか。
――30分後――
私はとりあえず野菜ジュースを持っていた材料の限界、50個ほど作ってみた。
そしてそれの作成が終わると立ち上がり、店のカウンターの前まで行って店員に聞いてみた。
「すみません。またちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「ああ、君か。いいよ。なに?」
「あの、作ったものを売りたいんですけど。あ、えっとお店じゃなくて他のプレイヤーに」
「うん」
「それって、どうやればいいんでしょうか?」
「うん?」
「えっと、何かお店みたいな感じでなるべく多くのプレイヤーに売りたいんですけど」
「それは、君もここみたいに店を構えたいっていうこと?」
ああ、そういうこともできなくはないのか。
たしか始まりの街にも、不動産屋というものはあった。
入ったことはないけどきっと始まりの街の中にある土地やら空き家やらを買って、自分の家、ホームにすることができるんだろう。
でも私が今欲しいのはそういうのではなく……
「あの、いや。外で自由に開く、露天商みたいな?」
「この階層で手に入る生産系のスキルって調合だけだしさ、君みたいにそうやって外でお店開くなんて人は他にはいないと思うけど」
「はい、だからやってみたいんです」
「ああ、そういう。……んーとね、たしか道具屋さんに売ってたんじゃないかな。お店キットみたいなやつ」
「お店キット?」
「うん。ようは大きめのシーツと立て看板のセットなんだけど。シーツの上に自分の作ったアイテムを置くとそれが商品となって店に並んでるって扱いになってね。商品ごとに自分で値段を決めておけるんだよ。立て看板の方はまあ店の名前とか、何を売ってる店なのかとか書いて置けるっていう」
「なるほど。それはいいですね。じゃあ、道具屋に行ってみます」
「うん、行って買ってあげなよ。たぶん誰も買わないからたくさん売れ残ってるはずだよ」
「はい」
こうして私は店員にお礼を言うと薬屋を出た。
そして私の行きつけの道具屋の前へとやってきたのだったが。
「いらっしゃいませ」
「えっと、あの。すみません、ここでお店キットというか、外でお店を開けるようになるアイテムを売っていると聞いたのですが」
「え?…………ああ、はいはいあれね。創業以来まだ1個も売れてないやつ。え、まさか買ってくれるの?」
「え?、はい、まあ」
「ほんとに!?、うそ、え?……ごめんなさい、ちょっと待っててね。お父さーん、大変だよ!」
お店の店員であったお姉さんは、私との会話を切り上げると店の奥に向かってそう声をかけた。
この店、家族経営だったんだ。いつもお姉さんしかカウンターにいないからここはお姉さんの店なのかと思っていたけれど。
父親がいるということは店は父親のものなのだろうか?
お姉さんが店の奥に向かって声をかけると店の奥から返事があった。
そして少ししてからやけにがたいのいい男が店の奥から現れた。お姉さんの父親だな。
「おいおい、どうしたんだよいったい」
「このお客さんがね、あれを買いたいんだって」
「あれって、まさかあれか?、創業以来まだ1個も売れてないあの?」
「そう、おじいちゃんのそのまたおじいちゃんの代から店に置いてあるけどまだ1つも売れていないっていうあの」
「倉庫で今もほこりかぼってるあの?」
「うん。そろそろいい加減に在庫処理しようと考えてたあれだよ」
2人とも何やら話し込んでいたとうだけどその会話は丸聞こえだった。
というか私は一応客の立場なんだが、その客を無視して2人の世界に入っていくのはやめてほしい。
さらに今から買おうと思っている商品に、倉庫でほこりかぶってるとかいう情報は聞きたくなかったよ。そんなこと聞かされたら買う気が失せるだろう、こいつら商売の素人かよ。
「あの、それで商品の方は?」
「え、ああごめんなさい。えっと、今持ってきますから」
私がしびれを切らせてそう言うとお姉さんがそこで慌てたようで店を出ていった。
ああ、倉庫に向かったのか。
「お嬢ちゃん、本当にあれ買ってくれるのかい?」
お姉さんがいなくなった後で店の中に取り残された私は、そこで父親の方から質問を受けた。
「ええまあ。ちょっとこの街でお店を開きたいなって思って」
「ほう、そいつはなんでまた」
「いや、理由はまあ……やってみたかったから?、別に商品が売れなくてもいいんです。趣味みたいなものなので」
「そうかい。なら大丈夫そうだな」
「大丈夫って、何がですか?」
「いや、何を売るつもりなのか知らないがうちの商売敵にはならないんだろう?」
「……ええ、おそらくは」
そしてお姉さんが倉庫から持ってきたと思しき商品を抱えて店に帰ってきた。
その手に抱えられているのたのは私の目が間違っていなければただのブルーシートだった。そして折り畳み式だと思われる木で出来た看板。
「はい、持ってきたよ。これ、露天商キットです」
「え?……ああうん、そう、ですか」
いや、さすがの私もそれには何も言えなかったよ。
ただ、ちょっとなんか想像してたようなやつとは違ってただけで、薬屋の店員さんが教えてくれた通りのものだったわけだし。
「えっと、使い方なんだけど」
「あ、それはもうだいたい聞いてます。えと、このシーツを敷いてその上に自分が作ったアイテムを置くだけでいいんですよね?」
「うん、それで合ってるよ。あとこっちの看板には自分の好きなこと書いて立てておいてね。ただ、あんまり変なことは書いたら駄目だよ」
「変なこと?」
「だからその、他人の悪口とかそういうやつだよ。あとは性的な……もう、いいでしょ」
「あ、はい」
まあ、不特定多数のプレイヤーが見るかもしれないものに関しては、そういうことになるだろう。
他のゲームとかでもたとえば自分のプロフィール欄の紹介文にエッチなこと書いたらそのゲームの運営元が削除したり、場合によっては逮捕されることもあるらしいし。
ていうか店の看板なんだから常識的に考えてそんな変なこと書くやつなんていないだろう。
……いや、もしかしたら下界の人間たちの中にはいるのだろうか。
「えっと、このシーツと看板はセットなんですよね」
「うん、そうだよ」
「おいくらですか?」
「えっとね、最初は1000Gで売りに出してたんだけど、もう値下げしまくってね。今は120Gで売ってるけど、どうする?」
いやいや、元々が1000だったものが120って。それもう10分の1じゃないか。
さすが創業以来まだ1度も売れてない商品というだけのことはある。
というよりも最初の1000という値段もどうかと思うんだけど。
「100Gで買えませんか?」
私はそこでさらに値引き交渉してみた。するとお姉さんは私に驚きの一言を放った。
「え?……ああうん、そうだね。いやもうこの際ただでいいよ」
「え、ただでいいの!?」
お姉さんのその発言には父親の方も驚いてた。けどすぐに頷き返したところを見ると本当にいいみたいだ。いいのかそれで?
「でも、それじゃあ商品として」
「うん、そうなんだけどね。さっきも言ったけどもうそろそろ処分しようと思ってた商品だったし、それに初めて買ってくれたお客さんだからいいかなって」
「え……ああ、そうですか。それなら、いただいていきます」
本当にただでくれるとは、私はブルーシーツと立て看板をアイテムボックスに収納すると一応2人にお礼を言っておいた。
「お嬢ちゃん、名前を聞いてもいいかい?」
「え、はい。玲愛、ですけど」
「そうか、玲愛さん。いや本当にありがとう。まさか本当に買ってくれる人がいたなんて思わなかったからさ。ああ、俺はアルムっていうんだ。これからもどうかうちの店をよろしくな」
ああ、そういえば最初にこの店に来た時もお姉さんが店の名前言ってたな。
アルムの道具屋って、そうかアルムとはこの父親の名前だったのか。
「ええ、わかりました。あ、ついでにお姉さんの名前も聞いていいですか?」
「あ、私?、私はジェシーよ。そういや名前は言ってなかったね」
「はい。それじゃあジェシーさんとアルムさん、また来ますね」
「ええ、いつでもどうぞ」
私は初めて聞いた道具屋のお姉さんの名前を頭の中で反芻しながら道具屋を出た。
そうだよな。ゲームの中のキャラクターだと言ってもみんなちゃんと名前はあるんだよな。
ふふ、プレイヤー名と名前被ったりしてるやつとかいたりして?
あ、やめとこ。もしかしたらこの先の街に玲愛っていうキャラがいるかもしれんし。
「さて、これで物は手に入れたけど。そういやどこで店を開くか考えてなかったな」
この始まりの街は狭いようでいて意外と広い。
だけどもプレイヤーが多く集まる場所というのであれば限られてくる。
ゲームにログインした時に最初にプレイヤーが出現する祭壇の近くか。
東西南北にあるフィールドにつながる門の近くか。
いや、クエストを受けに来るプレイヤーが集まる冒険者ギルドの前か。
「うーん、祭壇の前は。ゲームを初めてすぐに物を買おうっていう人は少ないだろうし。門の前だと他の門から別のフィールドに行こうとしている人たちからすると遠くなっちゃうし」
となれば冒険者ギルドの前がオススメのようにも思えるが。
だがそれだともしも万が一私の商品が馬鹿みたいに売れた場合に、店の前に行列が出来てギルドの方に迷惑がかかるかもしれない。
いや、そうなったらなったで場所を変えればいいだけの話なんだろうけど。
でも別に私は商売繁盛の大儲けがしたいわけじゃないのだ。ひっそりと静かに、一部のプレイヤーの間じゃ有名なアイテムくらいに留めておきたい。
そうしないと私が次の階層に進んだ時などに色々と問題が起こりそうだったから。
「今ある分だけ売ったらやめよう。うん、今日だけでもいいし」
そうして結局私が選んだのは街にある噴水のある広場だった。
ここなら人もそれなりに来ると思うし他の店などの迷惑になることもないだろう。
私は噴水の前でブルーシートを広げた。そしてシートの上に座り込むとまずは商品を置こうと思った。
商品は、野菜ジュース(オレンジ)☆だけにしておいた。本当はポーションとか毒消し薬も売りたかったけどそれをすると道具屋さんと薬屋さんに悪い気がして。
そしてその野菜ジュースの値段についてだが、とりあえず1個80Gにしておいた。
材料となる野菜と果物、それと水の購入額の合計よりも高く、かつ高すぎずというところでこの額にしたけれどもしかするとまだちょっと高いかも。
でも、値段に合った効果はあると思うんだけどな、この野菜ジュース。
そして木の立て看板についてだが、20文字以内であれば何でも表示できるようだった。
なのでここは普通に『野菜ジュース、売ってます!』にしておいた。これで問題はないだろう。
私は一旦ここで装備を変更した。
これはまあ、店のイメージ戦略なのだが店員の恰好というのも重要な要素の1つだ。
たとえば綺麗な制服を着た店員のいる店と、汚い制服を着た店員のいる店ならばたとえ店の商品が後者の店の方がいいとしても前者の店に軍配があがるだろう。
それくらい客というものは店員のことを見ているものなのだ、というのは私が神界でバイトしていたコンビニの店長の言葉だった。
だから私も、ゲームの中とはいえ店員としてふさわしい恰好をしようと思ったのだ。
そして実はこの噴水広場に来る前に、この街の洋服屋に立ち寄っていた私は、質素だけど割と目立つ平民が着るような緑のワンピースと白いズボン、革靴を買ってそれを着ていた。
どうでもいいけどこのゲーム、消費アイテムや装備品なんかよりも洋服とかのおしゃれアイテムの方が値段張ってたりするんだよね。だから私は滅多にそういうのは買わないんだけど。
「ああ、これでブルーシートじゃなくてもっといいカーペットみたいなやつだったら完璧だったのに」
噴水広場の一画に敷かれたブルーシート。その上に野菜ジュースを並べて売る見た目女子高生の私。
皆さん想像していただけただろうか?
うん、それどんな画だよって言った人の感性はおそらく正しいよ。
「まあ、言ってもしょうがないか。あとはお客さんが来るのを待つしかない」
私はそう言ってブルーシートの上で座り込むと、最初の客が訪れるのをただただ待った。
そしてそこから1時間が経過した。
「ああ、やっぱりギルド前にしておいた方が良かったかな」
と、私がいまだ誰一人としてやってこない現状を憂いてそう言った時だった。
「あの、すみません」
「え?、ああ、ごめんなさい。いらっしゃいませ」
空を見上げていた私はそこで店の前、つまり私の前に立っていた女の子に気づくのが遅れた。
女の子はたぶん小学校高学年といったくらいで、魔法使いっぽいローブを着ていた。
私は営業スマイルをしながら女の子に対応した。
「あの、ここってお店、なんですよね?」
「はい。そうですよ。そこの看板に書かれている通り、野菜ジュースを売ってます」
「へぇ、そうなんですか。野菜ジュースっていうのは飲み物のあれですよね?」
「そうですよ。どうです、1本買って行きませんか?」
女の子は栗色の髪をショートボブにしていてなかなか愛らしい顔をしていた。
けど実際のプレイヤーがどうなのかわからないので見た目はあまりあてにしない方がいい。
口調もそれっぽいけどリアルはおっさんという可能性もゼロではないのだ。
「えっと、それじゃあ1つだけ買います。いくらですか?」
「1個80Gですよ」
「うわ、結構高いんですね」
あ、やっぱりまだ高かったかな。
よく考えたらただの水は1Gで買えるし、ポーションも30Gだ。
それに対してただの野菜ジュースが80Gもするというのは暴利だろうか。
「でも、野菜ジュースなんて初めて見るし、ちょっと飲んでみたいから買います」
「はい、まいどあり。それじゃあお1つどうぞ」
私はそこでやり取りが成立したようなので、まずシートの上に置いてあった野菜ジュースを女の子に手渡すと、女の子の方が何やら目の前に現れた画面を操作した。そしてすぐに私の目の前に今渡した商品が売れて80Gを手に入れたことを知らせる画面が出てきた。
なるほど、お店で自分の作ったものを売るとこんな感じなのか。
たぶん、さっき女の子の前に現れた画面にはこんな感じのことが書かれていたんだろう。
<商品名>
野菜ジュース(オレンジ)☆
<値段・購入個数>
80×1=80G
このアイテムを購入しますか? はいorいいえ
プレイヤーがお店でアイテムを買うときにこんな感じの画面が出てくるからたぶんだけど。
女の子は今買った野菜ジュースをその場で取り出すと一気に飲んだ。
うわあ、なかなかに勇気のある子だな。普通はもっとためらうというか、最初の一口はちょっとだけ飲む人が多いだろうに。
「ぷはー、驚きました。これ、すっごくおいしいんですね」
「うん。そうでしょう?」
もちろん私も事前に1本だけ飲んで味は確認してある。
ニンジンやらオレンジやらの味が強いのかと思っていたら意外と普通の野菜ジュースの味だった。
色はアイテム名にも書かれているようにオレンジ色だったけど、結構甘かった。
本当はフィールドに出て戦闘の時に使ってほしかったんだけどまあ売れたんだし別にいいか。
とにかく私の作ったアイテムが今初めて売れた。
それだけで私はもう十分満足だった。
本編で気になった方のためにモヤモヤしないように補足。
野菜屋の主人がなぜ高品質のポーションを欲しがったのか、その理由についての裏設定。
「なぜって、ポーションってなどんな病気にも効くんだろう。それも普通のより良いもんがあるっていうなら欲しがるのは当然だろう。それさえ飲んでおきゃもう病気にはかからないってな。がははははは」
どうやら野菜屋の主人はポーションを万能薬か何かと勘違いしているようだった。




