ニートな女神と初めての吸収
皆さん、食中毒にはくれぐれもお気をつけて。
出現したポイズンスライムは3体だった。
そしてそのレベルは2体がレベル22で1体がレベル23となっていたけど、攻略推奨レベルが25となっていたこのダンジョンだとザコモンスターのレベルもだいたいそこらへんなのか。
でも、そういえば前にちょっと攻略サイトを見てた時に、たしか第1階層の攻略で最後の迷宮でも攻略のおすすめレベルは10前後になってたはず。
それを考えると、やっぱり隠しダンジョン内のモンスターってその隠しダンジョンのある階層の、フィールドやダンジョンに出現するモンスターに比べたらかなり強めなわけだ。
もっとも、さっきも言ったけどこの隠しダンジョンの中に入るためには、間接的な条件の1つに始まりの街の冒険者ギルドの住人クエストをすべてクリアしている必要がある。
それにはあのゴミ山クエストのヤタガラス退治も含まれているから、ヤタガラスだってこの階層を攻略中のプレイヤーじゃ勝つのはほぼ不可能って呼ばれてたくらいだしな。
「だけどレベル25前後のモンスターが出るなら、私みたいに第3階層くらいまで進んでいるプレイヤーならもういけるんじゃないか?」
私はそんなことを1人でつぶやきながらポイズンスライム3体はなんなく倒すことができた。
レベルは高いみたいだったけど、まあ言ってもスライムだったしね。能力値は低かったから。
でも、驚いたのはポイズンスライムがなんとポイズンの魔法を使用して攻撃してきたことだ。
私は、もう毒無効のスキルあるんでポイズンの毒液受けてもダメージもないし、毒の状態異常にもならなかったのだけど。でも、スライムが魔法を使用したという事実にちょっとだけ感動したりしてね。
ちなみに、ポイズンスライムの攻撃方法はそのポイズンの魔法と、あとはレッドスライムと同じでただの体当たりの物理攻撃だけだったんだけど。
「やっぱりどんな種類のモンスターでも強い奴は強いんだろうな」
3体目のポイズンスライムが消滅した直後に私はそう言った。
そして、先にドロップアイテムの方を教えるけど。ポイズンスライムはスライムの雫(紫)というアイテムをドロップした。
たしかにポイズンスライムは紫色のスライムだったけど、これ、この先たとえば紫色の階層とかって呼ばれてる階層ああればそこで普通に紫色の、パープルスライム的な名前のスライムが出てきたらそいつも同じものをドロップするのかね。
いやでも、ポイズンスライムからスライムの雫(毒)なんていうアイテムがドロップしなかったのは良かったのかも。それもうただの毒液の塊だしね。
<新しいスキルを入手しました>
スキル:毒回復(微小)
「おお!!、なんかポイズンスライムからスキルもらえたぞ。隠しダンジョンの中に出現するモンスターからも倒したらスキルとかもらえるんだ!」
私は戦闘終了後、リザルト画面を閉じた後で新しいスキルを手に入れたという通知画面が眼前に開かれたことでちょっとテンションが上がった。
もしかすると隠しダンジョンに出現するモンスターは、倒してもスキルとか魔法とかもらえないんじゃないかって不安に思ってたところあったから、いやー、ほんとに嬉しいよ。
「うん?、でも……毒回復ってなに?」
私は改めて通知画面に表示されている毒回復(微小)というスキル名を見て、首をかしげつつもいつものようにスキル名の部分を手でタッチしてスキルの詳細画面を開いた。
それで毒回復(微小)というのは、パッシヴスキルだったんだけどさ。
〇毒回復(微小)
効果:毒攻撃によってダメージを受けた時、受けたダメージの3%の数値、自身のMPが回復する。
そのスキルの説明を見た私の反応はというと。
「…………え?」
この一言に尽きる。
よし、いったんここで落ち着こうか。うん、深呼吸しよう。
それで深呼吸したら考えてみようか。いや、スキルの説明に書かれていること自体は単純だし、もちろん内容も理解できているのだけど。
「まず、3%ってなっているのはいつもみたいに3体倒したからだよな」
ブルースライムを倒してもらえたスキル、水魔法耐性(微小)も、グリーンスライムとレッドスライムからもらえた風魔法耐性(微小)と火魔法耐性(微小)については、それぞれの属性の魔法攻撃で受けるダメージをスライム1体倒すごとに1%ずつカットしてくれる割合が増えて行った。
それでその種類のスライムを倒していくうちに耐性スキルは(微小)から(小)、(中)、(大)、とスキルが進化していく。そしてその種類のスライムを累計して100体倒すと、ダメージのカット率も100%となりスキル名が〇〇耐性から〇〇無効という名前に変化してそこでスキルの成長は終わる。
だから、今回の毒回復(微小)も耐性スキルと同じ要領であればポイズンスライムを100体、今もう3体倒したんであと残り97体倒せばスキルの名前が変わる?
いや、そんなことは別にどうでもいいか。まずは効果の内容についてだな。
「えっと、だからたとえばポイズンの魔法で私が100のHPダメージを受けるとしたら、今の段階だと100のHPダメージを受けたと同時にMPは3回復するってことなんだよね?」
私はそう問いかけたものの、もちろん今この場にいるのは私一人なので答える声はなかった。
これは自分で自分の考えをまとめ、確認する作業のようなものだから。
でも、おそらくは私の今言った通りの効果なのだと思う。
仮にポイズンスライムをこれからあと97体倒してスキルの名前が何かしらに変わったとして。
それでスキルに書かれている数値が3%から100%になったのだとしたら、それはつまり。
「つまり、100%なら自分の受けたHPダメージの数値がそのままMPの回復値になると」
そうなれば私は、毒攻撃を持つ相手との戦闘ではもうMPの残りを気にすることなく魔法やスキルをバンバン使い放題ということになって、聖水代が浮くな。
いやそうじゃなくて、でも、だから、えっと……あれ、でもさ。
「……あれ?、でも私はもう毒無効のスキル持ってるんだけど」
私の持つ毒無効のスキルは、毒攻撃によって受けるダメージを0にしてしまう。
そうなれば、この毒回復系のスキルって意味なくなるんじゃないか?
だってHPダメージが0になるんだから、それでMPの回復値も当然0ってことになるんじゃないか?
毒回復系のスキルでMPを回復したい場合、その前にHPにダメージを受ける必要があるのだし、そうなると私は毒無効のパッシブスキルをオフにする必要が……いや、まだそうと決まったわけではないか?
「とりあえずちょっと先に進んでみよう。それでポイズンスライムでもなんでもいいから毒攻撃してくるモンスターがいたらわざと食らってみよう」
私はそういうと目の前に開かれた画面をすべて閉じた。
そうしてまたダンジョンの探索を始めたのだけど。
これについてはもう結論を先に言っておこう。その後の戦闘の中で判明したことについてだ。
毒回復系のスキルは、どうやら毒無効のスキルよりも優先度が高いみたいだった。
それはどういうことかと言うとだ。
たとえば、私がまたポイズンスライムからポイズンの魔法を受けたとしよう。
この時、私は毒無効のスキルと毒回復(微小)のスキルの両方がオンの状態だったとする。
その場合には毒回復(微小)の効果が先に発動する。
私が毒無効のスキルによってポイズンのダメージを受ける前に、毒無効のスキルをオフにしていた場合に私に発生するはずだったHPダメージの数%の数値だけ私のMPが先に回復される。その直後に、その発生するはずだったHPダメージが、後から発動した毒無効のスキルの効果によって0になる。
つまり、最終的には私にはHPダメージは0だけど、MPだけは回復するという結果に。
もっと言ってしまうと、敵から受ける毒攻撃のすべては、私のMPを回復してくれる攻撃に変わったと言ってもいい。
そして、私が累計して100体目のポイズンスライムを倒した時だった。
それまでの経過はポイズンスライムを25体倒したところで毒回復(微小)のスキルの(微小)の部分が(小)へと変わり、50体倒したところで(中)、75体倒したところで(大)へと変わったことで私も鹿〇〇回復というスキルは〇〇耐性と同じようにスキルが成長・変化していくスキルだということはもう理解していたのだけど。
<スキルが成長しました>
スキル:毒回復(大)→毒吸収
〇毒吸収
効果:毒攻撃によってダメージを受けた時、受けたダメージと同じ数値、自身のMPが回復する。
「なるほど。……吸収と来たか。いや、強いわ!」
無効化スキルによってHPダメージを0にするだけでは飽き足りず、さらにその上で毒を吸収して自分のMPの糧にしてしまうとか。それはいったいどんな化け物だよ。
しかもこれ、私の予想が間違っていなければさ……
「これ、まさか水魔法吸収とか、他の魔法攻撃にも同じ感じのスキルがあったりして。そうなってくると私は、無効化スキルだけでなく吸収スキルも全種類集めてやりたい気持ちになるんだけど」
もしも無効化スキルだけでなく吸収スキルもすべて集めたとしたら、私はどうなるんだろうか。
きっとあれだな。決闘した時も私に魔法攻撃を放つプレイヤーは確実にいなくなるな。いやもう無効化スキルだけでも、すべての属性の魔法攻撃を無効化した時点で私に魔法攻撃を放つことの意味が完全に失われているんだろうけど。これはさらにそれがより確実になるというか。
「……よし、もうこの際だしそういうのは考えようにしよう。うん。だってそうなっちゃうのってまだまだずっと先の話なんだろうし。今はね、考えないようにしてこのダンジョンの攻略を進めよう」
私はそう自分に言い聞かせ、それからまたダンジョンの攻略を再開したのだが。
やっぱりそれでもたまに考えちゃうよね。これこのまま行くと本当に私、無敵になっちゃうんじゃないだろうかって。
さて、それでダンジョン攻略の話に戻ろうか。
この毒沼の洞窟というダンジョン、もちろん本命のダンジョンとなるのは洞窟の中に入ってからだったのだけど、その前の森でも私は意外と苦労する場面があったりもした。
隠しダンジョンの中に出現するモンスターも、なにもそのすべてが初見のモンスターというわけではもちろんなくて、私が知っているモンスターもたくさん出現したんだけど。
まずね、やっぱりゴブリンたちはどこにでもいるよね。
ゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、ゴブリンランサー、ゴブリンガードと、第1から第3階層までで出現したゴブリンたちが出現する層を無視してこの隠しダンジョン内に集結してたよ。
それでゴブリンアーチャーに関してはなんか先端が紫色に光っている矢、おそらくは食らうとプレイヤーが毒の状態異常になるんであろう毒の矢を使用してきたりとか。
あと1番すごかったのはゴブリンメイジね。このダンジョン内で出現したゴブリンメイジはなんと4種類の魔法(ファイアーボール、サンダーボール、アイスボール、ポイズン)を使用してくる。私はサンダーボールとアイスボールに関してはまだ食らうと普通にダメージ通るんで森での戦闘ではまず速攻でこのゴブリンメイジを倒さないと、放っておくと大変なことになるからさ。
とにかく、今まで登場してたモンスターもレベルが高いのもそうだけど攻撃方法とかも強化されているみたいだった。
「さすが隠しダンジョン。隠されてるだけあって上級者向けだな」
今の私の異常な強さの前ではそのセリフの信憑性も薄れそうではあるが、おそらくは第3階層を攻略中の普通のプレイヤーたちならパーティ組んでても洞窟にたどり着く前のこの森ですでに大苦戦を強いられるであろうことは間違いないと思った。
「あ、でもそういや私はソロだったから1人でこのダンジョンに入ってきたけど。複数人のプレイヤーでパーティ組んで隠しダンジョンには入れないのかな?」
私は少し考えて、そんなことはないだろうと思った。
ただ、複数人でパーティ組んで隠しダンジョンに入る時に、鍵の問題がちょっとね。
隠しダンジョンに入る予定のプレイヤー全員があの秘密の鍵を所有していないといけないのか、それともパーティのうちの誰か1人だけでも秘密の鍵を持っていれば。たとえば鍵を持ってるプレイヤーとパーティ組んでいる誰かは鍵を持っていなくてもダンジョンに入る前にそいつに扉の鍵だけ開けてもらえばそいつと一緒に隠しダンジョンに入れるのか。
「なんとなく後者な気もするけど、どうかな。さすがに、全員が鍵持ってないと入れないっていうのは厳しすぎる気がするし」
でも、だとするなら隠しダンジョンって実はもうすでに秘密の鍵を持ってるプレイヤーに頼み込めば、それで誰でも簡単に行くことができるのではないだろうか?
もちろん、頼まれた方の鍵を持ってるプレイヤーがパーティを組んでくれたらの話になるけど。
「私も、誰か誘ってみようかな……なんてね。それで一緒に来た人が高レベルで厄介なモンスターに手も足も出ずにやられて死んじゃったら私の目覚めが悪いし、やっぱり隠しダンジョンはソロでないと無理か」
なんていうことも言ってたりもしたんだけど。
おっと、また少し話が脱線したな。戻さなきゃ。
それでゴブリン4種以外にも森では既存のモンスターがいくつか出現したよ。
第1階層:森林フィールドからポイズンスパイダー。
第2階層:沼地フィールドからポイズンバタフライ。
第3階層:迷宮ダンジョンからポイズンスネーク。
と、まあ見事にすべてがポイズン系統のモンスターだったわけで、これらのモンスターについては特に攻撃方法等が変わっていたことはなかったんだけど。
「この森、っていうかたぶんこの先の洞窟もなんだろうけど。毒の状態異常対策を万全にしておかないと普通のプレイヤーに攻略は厳しいだろうな」
特にポイズンスライムとゴブリンメイジが使用するポイズンの魔法攻撃は、食らうとプレイヤーは毒(小)の状態異常になるけど。始まりの街の薬屋なんかで売られてる市販の毒消し薬は毒(微小)しか治せないから。毒(小)の状態異常になった時にそれを治す方法が何かしらないと厳しいだろう。
それは第1階層のあのビッグポイズンスパイダー戦などにも同じことが言えるんだけども。
あとはそのビッグポイズンスパイダーを倒した時のレアドロップアイテム、耐毒の指輪のようにそもそも毒の状態異常になること自体を防いでくれる装備とか?
「調合スキルを手に入れて、それで+以上の効果の毒消し薬を大量に作っておけばいけるか。でも調合のスキルは人気ないみたいだからな」
それに、先の階層では上毒消し薬という毒(小)の状態異常も治せる毒消し薬の上位互換となる回復アイテムが普通に街の薬屋で市販されてるって話も聞いたし、それが具体的には何階層からなのかは知らないけどこの隠しダンジョンを安全に攻略したいならそれが買える階層に到達してからでも遅くはないだろう。
もっとも、そもそもこの隠しダンジョンもギルドのクエストと同じで、プレイヤーは絶対に挑まなくてはならないわけでもないから。もしも挑もうと考えている奴がいたら、の話なんだけども。
ここまでで既存のモンスターについては7種類紹介した。
それでここからがこの隠しダンジョンで新たに出現したモンスターの紹介になる。
まずポイズンスライムについてはもうさっき説明したからいいよね。
ポイズンスライム以外にも4種類、新モンスターが出現したんだ。
まず1体目だが、ポイズンフロッグ。
こいつは第2階層の沼地に出現したブルーフロッグ、そして第4階層で出現するらしいグリーンフロッグの色違いとなるカエルのモンスターで、大きさも同じで移動方法も同じくピョンピョン飛び跳ねながらというカエルらしい移動方法。体色はやや薄い紫色だった。
こいつはグリーンフロッグのように歌を歌って自分の敏捷を上げてくるという技は使用してこなかったのだけど。体当たり攻撃の他にポイズンの魔法と、もう1つ別の魔法を使用してきた。
その魔法についてはこいつを倒した時に手に入ったんでその説明を書いておくよ。
〇ポイズンバブル
効果:水属性の初級攻撃魔法。大きな毒の泡を生み出す。毒の泡は3分間空中を漂い何かが触れると破裂して周囲に毒水をまき散らしてダメージを与える。ダメージを与えた相手を毒(小)の状態異常にする。3分が経過すると生み出した毒の泡は自然消滅する。
消費MP:10 リキャストタイム:10秒
つまりはブルーフロッグの使用してきたアクアバブルの強化版みたいな魔法。
アクアバブルの魔法に毒の状態異常にする効果を付与しただけなのだけど、それで消費MPがアクアバブルの2倍になっている。リキャストタイムは同じだったんだけど。
「微妙なところだな。単純にアクアバブルとポイズンを分けて使用するよりはこっちの方が効果がまとめてあって便利そうだけど。まずアクアバブルとポイズンを一緒に使う機会がないしな」
この魔法を使う必要のある状況が想像しにくいのだ。
そういうの、これまでもけっこうあったから別にいいんだけど。でも使えない魔法っていうわけでもないんだよね、これ。ほんと、こういう魔法が1番困っちゃうよ。
とりあえずそういうのが使えるってことだけでも頭の片隅に置いておきたいんだけど、あんまりそれもたまっていくと私の頭の片隅が全部こういう使えそうでいまいち使えない微妙なスキルや魔法の知識で埋め尽くされそうで怖い。
新モンスターの2体目はポイズンスラッガー。
もう名前でわかると思うけどね、あの沼地に出現したスラッガーっていうナメクジのモンスターの強化版で、こっちは体色が緑色っぽく、粘液の色が紫色になっていたよ。
攻撃方法はスラッガーと同じく粘液を飛ばす攻撃をしてくるんだけど、この粘液攻撃は食らうと毒の状態異常+敏捷の値低下の効果があったんじゃないかな。ためしに食らってみたら私のMPがちょっとだけど回復したから。
ちなみに私は装備中のギガントロックシューズの特殊効果のおかげでもう敏捷低下の効果も受けつけないんで、この粘液攻撃も完全に無効化できたよ。
倒したらポイズンスラッガーの粘液っていうアイテムをドロップしたけど、実はさらにスキルもまた1つもらった。
〇ポイズンボディ
効果:物理攻撃をしてきた敵が自身に触れた時に20%の確率で敵を毒(小)の状態異常にする。
私は、もしかしてポイズンスラッガーにも物理攻撃をしていたら毒の状態異常をもらっていたのかと後になって思ったわけだが。私はまったく気にせず槌で潰して爆砕してたからな。
もちろんこのスキルは速攻でオフにしたよ。ぬるぬるボディほどではないけど、なんか体の中に毒素をため込んでるみたいでこれもちょっと生理的に気持ち悪かったから。
「なんか、この森。第2階層の沼地を全体的に強化したみたいな感じの場所だな」
カエルとナメクジの強化版となるモンスターが出現したからそう思うのも無理はないだろう。
そして新モンスターの3体目は、ポイズンホーネット。
ホーネットというのは英語でスズメバチのことであり、つまりはハチのモンスターだ。
キラービーの色違いで強化版のモンスターなのだろうか、キラービーの尻尾の針ミサイル攻撃はプレイヤーは食らうと麻痺(微小)の状態異常になるのに対し、ポイズンホーネットの針は食らうと毒の状態異常になるのだろう。程度はわからんけど。
でも、それ以外は基本的にキラービーと一緒だったんで、こいつは特に苦戦することもなかったよ。
ちなみに色はキラービーの黄色と黒のカラーリングの、黄色部分が黄緑色に、黒部分が濃い紫色に変わっていて見た目の気持ち悪さはこっちの方が上だったよ。
ドロップアイテムはポイズンホーネットの針。倒してもスキルや魔法はなかった。
「それにしても、本当にこのダンジョンは……ものすごい毒押してくるな。まだ洞窟にたどりついてさえいないけど、これはダンジョンのボスも絶対に毒使ってくるだろう」
もしそうだったとしたら、毒吸収のスキルを持つ今の私からすると万々歳なんだけど。
でも、まだ油断は禁物だな。毒系の攻撃を無効にしてもこのダンジョン、モンスターのレベルが高いだけあってその能力値もザコのくせに高めなの多いから。
<モンスター辞典>
〇ポイズンスライム
スライム族。紫色のスライムで毒性を持っている。
ポイズンの魔法を使用してくるが、それ以外はレッドスライムと同じである。
実はスライム族の中でも火属性が弱点だという珍しい特性もあるのだが、別にどうでもいいことだろう。
それともちろん、ポイズンスライムには毒の状態異常が完全に無効である。
ドロップ:スライムの雫(紫)
〇ポイズンフロッグ
水族。薄紫色をしたカエルのモンスターで、ブルーフロッグの強化版。
ブルーフロッグと同じように飛び跳ねるように移動しながらの体当たりと、毒性のある泡を飛ばす魔法攻撃、ポイズンバブルを使用してくる。
弱点もブルーフロッグと同じく雷属性であり、毒が無効。水属性に耐性あり。
ドロップ:カエル肉(←今話で本編未記載だけど次話でちょっとだけ触れます。)
〇ポイズンスラッガー
水族。スラッガーの強化版となるモンスターで毒性のある粘液を飛ばしてくるナメクジ。
本編内で玲愛の推察した通り、こいつに物理攻撃をしかけると20%の確率でプレイヤーは毒(小)の状態異常になるので倒すのなら魔法攻撃がおすすめ。
雷属性と火属性が弱点。毒が無効。水属性と土属性に耐性があるぞ。
ドロップ:ポイズンスラッガーの粘液
次回、玲愛は森を抜けてダンジョンの洞窟へと突入する。
今話で紹介しなかった森で出現する新モンスターも1体紹介する他、洞窟でもまた新たに新モンスターが続々出現。中にはこの隠しダンジョンの中だけに出現する玲愛モンスターも?
※ポイズンホーネットについては次回の後書きコーナーにて紹介。