ニートな女神と初めてのお誘い
第3階層編のラストがログアウトしてからのところで終わっていたので、ドラマパートからスタートしていますが次回からまたゲーム攻略パートになるのであしからず。
その日はそれから夕方まで私は特にすることもなく、スマホで動画を見たりとか無料のアプリゲームをいくつかやってみたりとかして時間を潰した。
途中で軽く寝たりもして起きたのが午後6時前だったんで、私はそろそろ夕飯にしようかなと思い支度をしてから部屋の外に出た。
そうしてまたコンビニか、スーパーか、ファミレスにでも行こうかと思っていた私は202号室の前を通りかかった時にあることを思い出した。
「そうだ、スクルド。今度一緒に食事でもどうかって聞いてみるか」
私はスクルドの抱えている視線恐怖症が実際にはどのくらいのものなのかということは知らなかったし、まだ引っ越して来たばかりでそういうのは早いかもしれないとも思ったけど。
でも、一応ちょっと聞いてみるだけなら問題ないだろうか。
私は202号室の玄関チャイムを押そうとしたが、ボタンを押す直前で手を止めた。
「ああー、ノックの方がいいかな」
視線恐怖症に限らず、精神的にちょっと参ってる人って、普通ならなんでもないような日常の大きな音とかでも気になって、ストレスになることもあるそうだし。
なによりスクルドは、恐怖症以前に自分の正体が元人気アイドルのスクルドだっていうことが誰かにばれて騒ぎになることを恐れている。
そしてこのアパートのこの部屋にスクルドが住んでいるってことはスクルド本人とその両親、あとはラケシスと私くらいしかたぶん知らされてないと思うから。
つまり、そんな状況で自分の部屋を尋ねてくる神がいればそれだけで警戒されてしまうというか。
私でも、誰にも住所教えてないはずなのに友達が家に遊びに来たとしたら、やっぱりちょっと怖いというか、まあ不審には思うしね。
私はそれでチャイムのボタンを押さずに扉を3回ほどノックしてみた。
するとやっぱり中にいたらしいスクルドがまたびっくりしたのか部屋の中からどさりという何かが落ちるような音が聞こえた。
私はそれでもう1度ノックをしてからスクルドに話しかけた。
「スクル……ああ、えっと。ケルダ~!、隣の部屋のアストレアだけど」
「え!?、アストレアさん?」
私が間違ってスクルドの名前を呼んでしまいそうになり、それを慌てて訂正して最初にスクルドが名乗っていた偽名、ケルダと名前を呼ぶと中からスクルドの驚いたような声が。
いや、下の階にはヤリーロがいるからね。ここで本名を大声では呼べないよ。
それからちょっとの後、玄関先に移動してきたスクルドはまたガチャガチャとチェーンロックをかけてから扉を少しだけ開けて顔を見せてくれた。もちろん顔には例のガスマスクみたいなのを装着して。
「あ、アストレアさん。え、どうしたんですか?」
「ああ、ごめん。いや、本当はメールで聞いても良かったと思うんだけど。えっと、もしもスクルドが良かったら今度、その、一緒に食事でもどうかなって思って」
私が扉の隙間越しにスクルドにそう伝えるとそこでスクルドは一瞬だけ硬直したように見えた。
「え?……あの、それはその、外食ってことですか?」
「ああ、やっぱり無理、かな?」
「……は、はい。すみません。その、今は……ちょっと、無理かもです」
私はやっぱり外食の誘いはダメだったかと内心で思いつつも、そこでふとあることが気になったのでスクルドに聞いてみた。
「ああ、でもそういえば。それじゃあスクルドはいつもは、あっと、視線恐怖症になってあんまり外を出歩けなくなってからは普段は何を食べてるの?」
私がそう尋ねるとスクルドはそこでちょっとだけ身をよじらせるとこう答えた。
「あの、その、あんまり……食べてません」
「は?」
「いえ、あの。もちろんまったく何も食べてないって意味ではなくてですね。その……たまに夜中にコンビニに出かけた時に多めに保存の利く食べ物を買ったりとか」
スクルドはなんだ言いづらそうにしていたそう答えたけど。
スクルドの言う保存の利く食べ物というのはいったいなんなのだろうか。
まず、弁当やおにぎり、惣菜の類はコンビニに売ってるものなら消費期限などはせいぜいが3日先くらいだし、それらを大量に買い込むというのは考えづらい。すごい目立つし。
別に消費期限とか、たとえ何日過ぎたものを食べようと神様はせいぜいが腹痛になるくらいで死にはしないんだけどもさ。消費期限の切れた食べ物を保存の利く食べ物とは間違っても言わないだろう。
となるとアイスクリームのように消費期限がないものか消費期限が長めの食べ物、つまりは……
「もしかして、お菓子とかばっかり食べてる?」
「ううっ!…………は、はい」
「…………そっか」
私はそう言いながらもあるいは今の質問は聞いちゃダメだったかもしれないなと今さらながら後悔することになったのだけど。
「太ったりしないの?」
「ううっ!!」
神様の肉体は不死であることを除けば下界の人間の肉体と大差ないと前にも言ったことがあるけど。
それはたとえばお酒に対する耐性というか、酔い安さとかも神様毎に違っていたりだとか。
あとは代謝もそう。神様だって食べてばかりで運動しないと太ることもあるし、だから逆にダイエットしている神もいる。もちろん食べたものの種類や量にもよるけど。それも人間と同じでいくら物食べてもまったく太らない神もいればちょっと食べただけでブクブク太る神もいてさ。
アイドル時代のスクルドは、まあアイドルなんだからスタイルはすごくよかったんだけど。それはアイドルだからこその食事制限とか他にも色々あったからなんだと思うし。
今はアイドルやめて理由はどうであれほとんど部屋に引きこもって、それで食事はお菓子類がメインでっていうならきっと誰だって太ると思うのだけど。
私の視線が思わずスクルドのお腹のあたりにいきそうになったところでスクルドは私の質問に答えてくれた。
「……ここ数か月で、5キロ太りました」
「だよねぇ~!」
うん。やっぱり元アイドルと言えどもそうなるよな。
むしろ今までやってた食事制限とか、運動とかしなくなったせいでその分の反動で余計に太っちゃったりすることもありそうだから。
今まで頑張ってダイエットしててやっとこさ体重落として、それで安心して食事とかダイエットする前のものに戻したら1週間もせずにリバウンドしたとか言う話もよく聞くくらいだしな。
「スクルドは自炊とかはできるの?、もっと言うと料理は得意?」
「い、いえ。私そういうのは全然。お菓子ならたまに作ったりしますけど料理は、はっきり言って下手くそです」
「そっか。……なるほど」
私はそれを聞いて少しの間どうしたものかと考えていると、そこでスクルドが。
「あの、アストレアさん」
「うん?、なに?」
「えっと、その。私のこと、相談に乗ってくれて色々と考えてくれるのは嬉しいんですけど。あんまり無理しなくてもいいですからね。元はと言えばそれは私自身の問題で、それこそアストレアさんには何の関係もないことなんですから」
「え?……ああ、うん。そうだね。別に無理してるつもりもなかったけど、おせっかいだった?」
「い、いえ。そういうわけじゃないんですけど。ただ、やっぱりあまり迷惑かけるのもどうかと思って」
なるほどね。スクルドは、これはもうあれかな。
他人から優しくされたり、何かをしてもらったりすると、もちろん感謝もするんだろうけどそれ以上に自分のために他人の手を煩わせたことに対して申し訳ない気持ちになる。自意識過剰なのかも。
あと今のスクルドの言葉も実際に言ってはいなかったものの言外にある言葉が隠れていると感じた。
『ただ、やっぱり(私なんかのために)あまり迷惑かけるのもどうかと思って』
どうして私がそう感じたのかと言うと理由は簡単だ。
私も同じところあるからね。いや、もっと簡単に言うと私とスクルドってそういうところちょっと似てるんだと思う。自分に自信がないっていうか、自己評価が低めなんだよね。
そして、それがわかった時に私にはもう1つわかったことがあった。
それは今のスクルドの本当の気持ちというか、心の中の叫びのようなもので。
「……スクルド」
私は偽名で呼ぶことも忘れてスクルドの名前を呼んだ。
「は、はい」
「やっぱり今度さ。一緒に飯食おうよ。スクルドの部屋でさ。みんなで鍋とか、どう?」
「え?」
「ラケシスとか他にも知り合いたくさん呼んでさ。とにかく大勢でわいわい騒ぎまくるの。大丈夫だよ。このアパートの住人ならそんなことでいちいち文句言ってくる人いないから」
まあ、もしかするとヤヌスあたりは何か言ってくるかもしれないが。
それならもういっそのことヤヌスも一緒に誘っちゃうか。スクルドは別に男性恐怖症ってわけじゃないし、あくまで同じアパートの住人として誘うだけだからね。私もいるんだし。
え?、ヤリーロが何か言ってきたらどうするのかって?、そんなもん無視だ。構うことはない。
「え、あの。アストレアさん?」
「うん。なに?」
「あの…………いえ、なんでもない、です」
スクルドは私の突然の鍋パーティー宣言に驚いて、それで何か言おうとしてきたんだろうけど言葉が出てこなかったのか最後は諦めたようにそう言った。
まあ別にそれが鍋である必要はないのだ。寿司やピザでもいい。とにかく大人数でスクルドを囲ってわいわいやるのだ。
きっとスクルドは、自分じゃそんなことはないと思っているのかもしれないけどなんだかんだでアイドルをやめてしまったことを後悔してるのだと思ったから。
いや、違うか。スクルドはSORSが解散して、メンバーがバラバラになることが嫌だったんだろう。
それまでの自分の居場所がある時突然になくなってしまった喪失感というか、寂しさ。
多くの人はそれでも次の、自分の新しい居場所を探したり作ったりできるんだろうけど、それができない人も世の中にはいるから。
そういう人たちは過去にあった自分の居場所を懐かしみ、ずっと引きずってしまうのだ。。
そして新しい居場所を見つけられずに寂しさだけを抱えて生きている。
私は、別にそれが悪いことだとは思わない。
そもそも生き方なんていうのはそれこそ人の数、神の数だけあるのだから他人の生き方を否定することなど本来は誰にもできはしないのだから。
だけど、もしもそれで本人が苦しんでいるのだというのならそこで周囲の人間がそっと手を差し伸べてあげることは別に悪いことじゃないはずだ。
そしてスクルドに今1番必要なことはとにかく寂しさを紛らわせることだと私は思った。
そのために1番良い方法はやっぱり大人数で集まってわいわい騒ぐことだから。
「…………スクルド?」
「え?、あ、はい。なんですか?」
「それでどうかな、鍋。いや、別に鍋でなくてもなんでもいいんだけどさ。スクルドが嫌なら無理にとは言わないし」
「あぅ……その、やりたいです。けども、ラケシスちゃんは忙しいと思うし、たぶん誘ってもこれないんじゃないかと」
「そんなん誘ってみないとわかんないじゃん。ああ、ごめん。でも一応、聞くだけ聞いてみたらどう?」
「そ、そうですね。それじゃあ聞いてることにします。……一応」
「うん」
私はラケシスよ、どうか暇であってくれと心から願った。
「それじゃあスクルド、もしもラケシスに聞いてあいつが予定空いてる日があったらまたメールで教えて。その日に鍋パーティーしよう」
おそらくその鍋パーティーをやるにあたって参加メンバーの中で1番忙しくて予定が空いてなさそうなのがラケシスだからっていうのもあるし。それ以前にスクルドにとって1番仲の良い友達はやっぱりラケシスなのだろうから。
「わかりました。でも当日、もしもラケシスちゃんがこれたとして、それで私とラケシスちゃんとアストレアさんの3人で鍋、ですか?」
「ああ、さすがにそれじゃあ人数が少ないか。でも、うーん……そうだなぁ」
いや、これが普通の一般神たちの寄り集まった鍋パーティーであったなら参加メンバーを集めるのに苦労などしないのだろうけど。
今回は、だってまずスクルドとラケシスっていう今超人気の現役アイドルと元アイドルの2人がいるからな。そんな2人と一緒に鍋パーティーするとか、下手なやつ呼べないよね。
だから呼ぶなら同じアイドルか、元アイドルとかだけど。うん、それならもういっそのこと。
「アトロポスとクロートー、それにウルドとヴェルダンディにも声をかけて見たら?」
それはつまり解散したSORSのメンバー全員ということなのだが。
「ええ!?、アストレアさんそれ本気で言ってるんですか?」
「う、うん。いやだって、そんなアイドルだらけの鍋パーティーに一般神とか気軽に呼べないでしょ。そもそも私も友達少ないからこういう時声かけれるやつなんてほぼいないし」
「でも私、ラケシスちゃんとアポちゃんの連絡先は知ってるけど、それ以外の人のは……」
「え、どうして?、だって同じグループだったんでしょ?」
「そうなんですけど。アイドルをやめた時に連絡先も消しちゃって。ラケシスちゃんとアポちゃんのだけは残してたんですけど」
その2人の連絡先だけ消せずに残しちゃってるあたり、スクルドらしいなと私は思った。
SORSが結成する前、最初はスクルドとラケシスとアトロポスの3人でユニット組んでアイドル活動やってて、スクルドはSORSになってからも特にその2人とは親しかったみたいだし。
アトロポスの方は知らないけどラケシスとは今でも普通にメールや電話でやりとりしてるっていうのがその最たる証拠だから。
私も中学時代は仲が良かったけど高校はお互いに別のところ行ってそれで疎遠になっちゃって、もうほとんど連絡取ってない友達の連絡先を消すときとか、ちょっと勇気いるもんな。
なんか連絡先を消すと、そいつとの思い出も一緒に消えちゃいそうでさ。
「うーん、じゃあ他のメンバーについてはラケシス経由で誘ってもらえば?」
「そうですね。……いや、そうじゃなくてですね。あの、だから、せめて鍋パーティーやるならもっと他の、そういう専門のお店とかでやった方が良いんじゃないかって。どうして私の部屋なんですか!?」
「え、いやだって。スクルドは視線恐怖症で外出られないし、外食はまだ無理ってさっき自分で言ったんじゃん」
「あ、ああああぁぁぁぁ~」
いや、そんな絶望したような声あげなくても。
「え、何?、スクルドは自分の部屋に昔の仲間を呼ぶのが嫌なの?」
「い、嫌っていうわけじゃないですよ。でも、ほら、私の部屋狭いですし」
「いや、家具とかどかせば十分入れるでしょう」
「で、でもほら。私、アイドル時代のポスターとか貼ってるし」
「当日だけ剥がしとけばいいんじゃね?」
「で、で、でも……」
スクルドはいったいどうしたと言うのだろうか。
むしろ自分の部屋にSORSのメンバーが久々に集結してくれるのだから、スクルドからしたら喜ばしいことのはずなのに。誰か呼びたくないやつがいるのか?
いや、待てよ。でもこの反応ってもしかして……
「あ、もしかしてスクルドってさ。自分の家とか部屋に友達とか呼んだこと、なかったりする?」
「!?」
「ああ、それでこの前私がスクルドの部屋に入っていったのが実はそういうの初めてだった、とか?」
「!!?」
あ、図星だな。これは。
それにしてもマジか。いや、マジなんだろうな。
えー、そっか。それならちょっと、スクルドの部屋で鍋パーティーするのはハードル高いかな。
でも、かといって私の部屋でやるのもなんか違う気がするしな。
「大丈夫だよ。スクルドの部屋は普通だって。むしろ今どきの女の子の部屋って感じですごく可愛いというか、私の部屋とは大違いだし」
「そ、そうなんですか?」
「うん。あ、なんなら今私の部屋来て見てみる?、自分で言うのも何だけどすごく汚いし散らかってるよ?」
「い、いえ。大丈夫です。あと、それならちゃんと掃除とか片付けした方がいいと思います」
うん、私もそれはわかってるつもりなんだけどね。それがなかなかね。
「とにかく、まずは誘うだけ誘ってみなよ。話はそれからだね。あと、私はこれから外で飯食ってくるけどスクルドはなんか食べたいものとかある?、あるなら帰りにコンビニよって買ってくるけど?」
私はスクルドをなだめすかすようにそう言うとスクルドはそれに特にないと答えた。
私はスクルドにあんまりお菓子ばっかり食うのは体に悪いよと言おうとしたけど、そのセリフを言えるほど私もちゃんとした食生活を送ってるとは言えないからな。そこは言わなかったよ。
だからそれでいったんは話はそれまでということにして、後はスクルドからラケシスの予定を聞いてみてその返事が来てから考えようということで。
「あ、スクルド。でも部屋うんぬんより、昔の仲間を呼ぶならその、少しダイエットとかしておいた方がいいんじゃないかな?」
「え!?」
「いやその、ごめん。やっぱりなんでもないわ。それじゃあ、またね」
私はまた余計なこと言っちゃったかなと思いつつもスクルドに別れを告げると、アパートの階段を下りていき、そうしてちょっと歩いたところにあるお蕎麦屋さんに向かった。
それでざる蕎麦を1つ食べ終わるとまた歩いてアパートまで帰って来たのだけど。
自分の部屋に帰ってきて鞄の中からスマホを取り出すと、なんとさっそくスクルドからメールが1件だけ来ていた。どうやらさっき私と別れてからすぐにスクルドはラケシスに予定を聞いたらしい。
『大変です、アストレアさん。
ラケシスちゃん、6日後の夜なら空いてるって言ってきました。しかもなんとアポちゃんもその日はフリーで、2人で食事に行く約束してたそうなんですけど。
いったいなんて返信すればいいですか?』
いや、それなら普通に誘えばいいんじゃね?
『それなら2人とも部屋に誘って鍋パしたらいいじゃん。あと、他のメンバーは?』
私がその場でそう返信したらそれから数分後にスクルドからの返事が返ってきた。
『他のメンバーについてはラケシスちゃんが聞いてみてくれるそうです。
でも、本当に私の部屋に皆を呼んで鍋パーティーするんですか?』
いや、するかどうか決めるのは私じゃなくてスクルドでしょ。
『スクルドの好きにしたらいいと思うよ。なんなら私は呼ばなくてもいいし。久々にSORSのメンバーで集まって楽しめばいいんじゃない?』
私はスクルドにそう返した。そして、その日はもうスクルドからメールが来ることはなかった。
でもきっと私のメール見て迷ってるんだろうな。たぶん、スクルドはラケシスは忙しいから予定の空いてる日なんてないって言って断られると思ってたんだろうし。
それにしても6日後か。微妙に先だな。まあラケシスもその間にSORSの元メンバーとか同じMOIRAIのメンバー、クロートーにその日の予定とか聞いて、またスクルドに教えてくるんだろうけど。
私がそんな風に考えていたらそこでまたメールが1件届いた。
私はてっきりスクルドからさっきの返事が来たのだと思ったのだけど確認してみるとそれはラケシスからだった。
『なんかスクちゃんから鍋パのお誘いが来たんですけど。
もしかしてアストレアさんが何か言ってくれたんですか?』
私はそのメールを見るなりくすりと笑った。
そしてラケシスにはこう返信しておいた。
『いいや、私は特に何も言っていないけど。鍋パいいじゃん。楽しそう。』
そのメールを送信するなり私はスマホを閉じてテーブルの上へ置いた。
それから今日はもう寝ようと寝巻に着替えると部屋の照明を落としてベッドの中へ。
さて、明日からはまたゲームを進めて行こうか。スクルドが鍋パーティーをするのかしないのかという決断については、本人の気持ち次第だろうからね。
私は私のやるべきことをやっていくのだ。
<重要なお知らせⅠ>
今回の章から、これまでの物語内の表記を2つほど変更したいなと思います。
ストーリー部分の修正ではないのですが、混乱を招かないように予め告知しておこうかな、と。
①ING(賢さ)について。
INGという表記をINTに変更したいな、と。
ええ、今さら過ぎて笑っちゃうんですけども。よくよく調べなおしてみたら普通、RPG内での賢さとか知力とかいう能力値ってINTって表示されてたんですよね。
INTってIntelligenceの略なんですけどどうして筆者は今までINGと書いていたのかは今となっては完全に謎です。たぶん、普通に勘違いしてたんだとは思うのですが。一応Gの文字も入ってはいるんだけどね。
②LUX(運)について。
これはLUXはLuxuryの略で、ゲーム内では運というより豪華さという意味合いで使っていて決して誤植ではない、ということを以前どこかで言った気もするのですが。
わかりにくい、何か違和感があるという声が続出したために変更することに決めました。
変更後はLUKという表記になります。Lucky(運)の略でありこれで違和感も解消されたはず。
以上の2点につきまして、もう別に今さら変えなくってもいいんじゃない、誰も気にしてないよそんなところと仰られる方もいるかと思われますが。まあ変更することにします。
なので以降、表記がING、LUXとなっている部分があればそこは誤字であり、またINT、LUKとなっている部分は誤字ではありませんのでご注意ください。
また、今回の変更に伴って第3階層編までの物語本編内の表記を直すかどうかについてはまだ決めてません。ですがもしも直すとしたら隠しダンジョンに挑戦編が終わったタイミングで一斉に直すと思われますので、それで表記を直したらまたどこかの後書きコーナー内でお知らせしようかと思います。
さて、次回。玲愛は第1階層の隠しダンジョンに挑む。
隠しダンジョンの扉を開けるのに必要な秘密の鍵の入手法も判明しますので。




