ニートな女神と初めての集中攻撃
ギガントロックウォールの魔法を使うときの注意点。
特に女性や虫が苦手な方は、昆虫族のモンスターとの戦闘では使わないほうがいいよ。
3分間まったく身動きのとれないあなたに虫が……いやぁぁぁぁ~!!
ギガントロックウォールの魔法は使用すると、その時に戦闘状態だった敵のあらゆる攻撃が私を対象にとることになる。連続攻撃や本来であれば誰に当たるかわからないようなランダムに対象を取る攻撃もすべてが私に向かってくるようになる。
例外的に、非常に広範囲を1度に攻撃する範囲攻撃やそれ以外の決められた特殊な条件をもとに攻撃対象が決まる攻撃なんかはさすがにカバーできないけど、それ以外の攻撃であれば3分間はすべての攻撃が私に向けられ、つまりその間は私以外のパーティメンバーは一切攻撃されないわけだ。
だからソロプレイでは絶対に使えない魔法なんだろうけどパーティプレイでは壁役のプレイヤーがこの魔法を覚えているだけでボス戦での勝率がぐっと上がるとさえ私は考えていた。
そして今回の場合はウロボロスの攻撃がすべて私を対象にしたものになるということだ。そうなったとしたら何が起きるか?
まず縦回転アタックの攻撃対象は常に私になる。
本来であればそれは強力な物理攻撃で、ギガントロックウォールの魔法の効果で私は一切の移動も行えないために攻撃を回避することもできないのだが。
物理攻撃によるダメージが5分の1になるという効果もあるおかげで私は縦回転アタックを直撃したとしても受けるダメージは10ダメージもないという、まさに鉄壁だったわけで。
横回転アタックの場合は、本来であればプレイヤー全員を攻撃する攻撃方法なのだが、ギガントロックウォールの効果によってウロボロスはまず1番最初に私に向かって飛んでくる。
そして私はもちろん回避はできずにその攻撃を食らってしまうのだけど、これも物理攻撃であるためダメージは軽微。
さらに横回転アタックは攻撃の最中にプレイヤーの誰かに攻撃が命中したらその時点で攻撃は終了となるため、実質これも私以外(ようはリリアちゃんとリリムちゃんの2人)は攻撃対象にならない。
それでギガントロックウォールの魔法は物理攻撃によるダメージを5分の1にしてくれるけど魔法攻撃のダメージは一切軽減してくれずにそのまま受けることになる。
だから敵が物理攻撃と魔法攻撃の両方の攻撃方法を持っていた場合、この魔法を使用するプレイヤーは賢さの値もある程度ないと厳しいわけだ。
しかし、しかしである。それにはもちろん例外というのが存在しているわけで。
たとえばファイアーボールが15発。
それが全弾私に飛んできて全弾命中したとしよう。それでどうなるか?
「効かーーーーん!!」
そう。火魔法無効のスキルを持つ私にはダメージはゼロなのだ。
ではウィンドエッジが7発飛んできたとしよう。それでどうなるか?
「効かーーーーん!!」
そう。風魔法無効のスキルを持つ私にはダメージはゼロなのだ。
では炎のリングが飛んできたとしたらどうだろう。
「だから、効かーーーーん!!」
そう。炎のリングも火属性の魔法攻撃であり、ファイアーボールとおなじく私にダメージはない。
そして炎のリングも横回転アタックと同じ軌道でボス部屋内にいる全てのプレイヤーを対象に取る攻撃だったが、だから横回転アタックと同様にまず1番最初は私に向かって飛んできて、そして私に命中した時点で炎のリングは消滅する。このことが意味することは大きい。
ファイアーボールと炎のリング。この2つの攻撃方法が祭壇の炎を活性化させてしまい、ウロボロスの分離を邪魔するのだが、その2つの攻撃方法は私のギガントロックウォールの発動により封じられた。
だって全部の攻撃が私に来るから祭壇の方に火が飛んでいくことがなくなったんだ。
そしてこのことで、魔法の効果時間である3分間はプレイヤーは炎が復活することを恐れずに祭壇の炎を消すことに専念できるわけだ。
「ウォーターボール!、アクアバレット!、ウォーターアロー!」
ボス部屋内で響き渡るリリアちゃんが祭壇の炎に向かって水属性の魔法を放ち続ける声。
私が火消し要員から抜けた分火消しの効率は幾分か落ちたけど、それよりも炎が復活しなくなったということの方がリカバリーとしては十分であり、祭壇の炎はみるみるうちに小さく弱まってきている。
たださっきの1回目よりも今回の方がちょっと炎の勢いが強いというか、さっきよりも多く水をぶっかけないと炎を消せなくなってたみたいだけど。
「あ、やばい。電撃ビームくるわ」
……うん。それともう1個だけね、私の作戦には重大な問題もあって。
ウロボロスの6つの攻撃方法のうち5つについては、もう説明したように完全にダメージ無効か、ダメージを極限まで減少させて防げるんだけども。
1個だけ、電撃ビームについてだけはね。それも絶対に私が対象になって、それでいて私は雷属性の魔法攻撃であるそれに関してはダメージを無効化も軽減もできずに食らったら一気にHPが削られるわけで。そうなった時はどうするのかというと。
「お姉さん!」
「ヒール!」
私が電撃ビームを食らってHPを減らした場合に限りリリアちゃんは私に回復魔法をかけてくれる。
ギガントロックウォールの魔法を使用する前、私はリリアちゃんにそれだけお願いしていたんだ。
「電撃ビームだけは私、防げずに大ダメージ食らうと思うんで。その時だけ回復お願い。魔法の使用中は私一切の行動ができなくてポーションとかも飲めないと思うから、そこはマジで頼むよ」
リリアちゃんは基本は祭壇の炎を消すことに集中しているので、私が電撃ビームを食らってHPが大幅に削られた場合にはリリムちゃんが叫ぶことで、リリアちゃんに回復の指示を送ってもらうことに。
いや、魔法を使用する前は一切の行動ができなくなるっていうのが声も出せなくなるものだと思ってたから念のためにリリムちゃんにもちょっとお願いしておいたんだ。
実際にはギガントロックウォールの魔法を使用中でも声を出すことはできるというか、ぶっちゃっけ首から上は割と動かせる。目玉を動かす感じで視点もちょっとは動かせるしね。
あとは、まあ3分間リリムちゃんに何もさせてあげないのも退屈だろうと思って。
「す、すごい。すごいよお姉さん!」
まあ、当の本人は私の使ったギガントロックウォールの魔法の効果、つまりウロボロスの攻撃が全部私に向かってきてさらに私がそれでほとんどダメージを受けていないのを見てなんていうか、ものすごく感動してたみたいだったんで私の配慮はあんまり意味なかったかもしれないけど。
「玲愛さん!、たぶんあと1発で祭壇の炎が消えそうなんですけど!」
「ちょっと待って。私の魔法の効果があと20秒ほどで切れるから、その直前くらいにお願い」
「は、はい!」
「よし!、じゃあ私がカウントダウンやりたい!、あと何秒?」
ギガントロックウォールの魔法使用中は、プレイヤーの視界右上に魔法の効果時間を示すタイムカウンターが見えていて、それがあと20秒ほどで切れる。
いや別にさっさと祭壇の炎消してくれてもいいんだけど、それでまた分離したウロボロスたちが新しい私がまだ無効化できないタイプの強力な攻撃を2体同時に私を対象に放ってきたりとかしたら嫌だし、たぶんそうなことになったら私死ぬと思うから。念には念を入れてもらうことにした。
リリムちゃんに残り時間を伝えて、リリムちゃんは嬉々としてカウントダウンを始める。
「あと10秒、9、8、7、6…………」
カウントダウンするリリムちゃん。最後の水魔法を準備しているリリアちゃん。
そしてそれをただ見守っているだけの私。……ああ、今1番働いてないの私だ。
「3!、2!……」
「ウォーターボール!!」
「1!」
「あ、効果切れた」
「炎が消えました!!」
私の魔法の効果が切れたのと同時、祭壇の炎もまた完全に消えた。
そしてウロボロスはまた叫び声をあげると金ウロボロスと銀ウロボロスに分かれた。
「役割分担はさっきと一緒で。たたみかけるよ!」
「はい!」
「よっしゃー、任せとけ!」
リリムちゃんは、(それでもやっぱり3分間とくに何もしてなかったことで退屈してたのか)私の呼びかけに元気よく応じると銀ウロボロスめがけて駆けだした。
一応、この分離後のウロボロスたちも攻撃が強化されてるから注意してねって言おうと思ったけど、まあリリアちゃんが回復役でついていったんで大丈夫だろう。
「さて、じゃあ私も金ピカの方をやっつけるとしよう」
私は金ウロボロスの方へと向き直った。
金ウロボロスのHPは9割5分、向こうの銀ウロボロスの方は9割ってところ。
私は、まさかさらにこの上でもう1度合体して祭壇の炎復活とかしないよなと思いながら、いや、願いながら金ウロボロスとの戦闘を開始した。
それで、まあ先に言っちゃうとウロボロスがもう1度合体することはなかった。
いや、本当にこれでさらにもう1回合体したりとかしたらさすがに私もキレてたと思うよ。
あの第1階層のヤタガラス戦の時に出てきたなんかよくらん能力値が大幅に上がる光のオーラがまた出たと思うし、もしかしたらカラスの大群を一掃してヤタガラスにトドメをさしたっていうあの例の必殺技なら合体状態のウロボロスさえ瞬殺できたかもしれないけど。
「っていうか私さ。恩恵の効果も確認したんだけど結局あの、ヤタガラス戦の時に出した必殺技みたいなやつの正体、実はまだ何なのかわかってないんだよね」
なにせ私自身、その時の記憶がないのだ。
それを実際に見たのはマロンちゃんたち4人であって、一応その時の状況とか詳しく聞いたりもしたけど私には全然ピンとこなかったし。
むしろ、ああそうなんだって半ば他人事みたいに思ってた節もある。
だってその必殺技、その後でまだ1度も発動してないし、その前のパワーアップの光についても発動条件もわからず謎が多い。
これまでは、まあこのままゲームを攻略してたらいつかまた出るだろうとか思ってたけど、それでもう第3階層の終わりまで来ちゃってるし。
ほんと、あれっていったいなんだったんだろう。もしかしてそれこそ何かのバグだったとか?
「いや、バグにしてはタイミング良すぎだったしそれはないか。でも、うーん、やっぱり謎だ」
前にダメもとで攻略サイトで調べてみたけど、わかんなかったしな。サイトにもまだ情報なかったみたいなんだよ。
……え?、「ていうかお前今金ウロボロスと戦闘中じゃなかったの、余裕か」って?
いや、うん。余裕だったよ。
もちろん油断はしてなかったし、今もまだ警戒を解いてないんだけど。
あー、じゃあまあ先にそっち言っておくか。
分離後のウロボロスもHPが減ったことで攻撃方法が変化&強化されていたよ。
私が戦った金ウロボロスの方についてだけど。
まず、②と③のファイアーボールとサンダーボールは、射出する数が5発から8発に増えた上に攻撃動作とボールのスピードそのものも速くなっていた。
でもファイアーボールではダメージ受けないし、サンダーボールも動き回っていれば当たらない。よけられなさそうな時はソイルボールをぶつけて相殺すればいいんだしね。
④の電撃ビームについては、こっちもビームの攻撃速度が速くなっていたのと攻撃時間がちょっとだけ伸びてたっぽいけど、相変わらず直線的な攻撃だったんで横に飛びのけば簡単によけれる。
⑤の尻尾振り回し攻撃に関しては一切の変化なし。
⑥の鱗を針にして飛ばす攻撃は針の数が4~5枚だったのが5~6枚になって。これも飛んでくるスピードが速くなってたけど風属性の魔法で吹き飛ばせるしね。
まあさすがに6枚全部直撃したりしたら私でも、貫通攻撃なんで死んでたかもしれないけどさすがにここまできてそんなヘマはしないよ。
攻撃方法が変化したのが1つ。いや、変化というか1個減って新しいのが1個追加されたのか。
①の直線的な炎ブレス攻撃がね。あの、鉱山の地下のダンジョンボスだったフレイムデビル(もう既にちょっと懐かしい)が使ってきた螺旋状に割と広範囲に広がるタイプの炎を放つ攻撃に変わって、それを口から放ってくるようになったんだけど。
今回の話の中でもう何度目になるかわからないけどさ、というか今までももうさんざん言ってきたことだからもうこれ以降この説明いらないと思うんだけど言っておくよ。
私はもう火属性の魔法攻撃は効かなかいんだって。
はい。もうこれでおしまい。これ以降は無効化スキルがあるからダメージはないとか、もういちいち言わないからね。ダメージ無効の一言で片づけるよ。よし、そうしよう。
ああ、でも一応最後に、さっきもあれだけ連呼してたしこれを言っておくか。
「効かーーーーん!!」
…………あぁ、すっきりした。
さてと、ウロボロスはそれ以外は特に攻撃方法に変化はなかったよ。
いやほかのプレイヤーならこの変化でも結構苦戦させられそうなものだけど、少なくともまったく新しい見たこともない新技が追加されなかっただけ良い方だろう。
追加されてたらされてたで、ちょっとそれも見てみたいとなと思ったことは内緒ね。
誰にって、それは…………あれ、誰にだろう?
ああ、それと後はウロボロスの弱点についてだけど。
これはさっき伝えようと思ったんだけど雷属性が弱点だった。
銀ウロボロスの方は魔法攻撃効かないんでわからないけど、たぶんそっちも同じだと思う。
見た目は金と銀で出来てるっぽい蛇だしね。金も銀も(あとついで言うと銅も)金属の中では電気をよく通す物質として有名だからまず確実に雷属性が弱点だろうと思っていたら案の定その通りだったよ。
それとウロボロスが合体している時に金ウロボロスの方に私がギガントロックハンマーで殴って、それで物理攻撃ダメージは無効化されたんだけど、その後の追加攻撃の爆発、火属性の魔法攻撃でも金ウロボロスにダメージはなかったから、おそらく火属性に耐性有りというか完全にダメージ無効なんだろう。
炎の中から出現したくらいだしそれも当然かなと思うけど。
でももしもギガントロックハンマーの特殊効果による追加攻撃が雷属性の魔法攻撃だったなら、私は合体時でもウロボロスにダメージを与えられたのだろうか?
「でもこのゲームに登場するモンスターって割と見た目とか名前から弱点の属性とか、推理しやすい奴が多いよな、今のところ」
第3階層の洞窟のダンジョンボスであるジャイアントワームとかは、ちょっと見た目や名前からは弱点わかりにくかったけど。
「でも全部の属性で1度ずつ攻撃してみればだいたいわかるから別にいいか」
だから1番嫌なのは耐性となる属性はめちゃくちゃ多いくせに弱点属性はないっていうモンスターね。
なんかどんなRPGのラストボスにもたいていそのゲーム内で弱点となる属性とかあるから、むしろそういう弱点とかまったくないボスとかって逆に珍しい気もするんだけど。
「このゲーム、まだ最上層まで作られてないけどそれ作られたらゲームのラスボスは絶対にあれだよな。ウロボロスみたいな普通に戦ったら絶対に勝てないタイプの……いや、やめとくか」
ウロボロスでさえ倒すのにめっちゃ苦労したんだ。そんなこと冗談でも口にしない方がいいな。
と、私が思っていたらそこでいつの間にかリリアちゃんが私のそばまでやってきていて。
「あの、玲愛さん」
「お、あっちはどんな感じ……って、あともうちょっとってとこか」
その時点で金ウロボロスのHPは10%以下、銀ウロボロスの方も同じくらいのHPだった。
「ああ、ごめん。それでリリアちゃん、なに?」
「あの、ウロボロスなんですけど。片方だけ先に倒しちゃっても問題ないのかなって思って」
「え、どゆこと?」
「あの、よくRPGだと2体でセットのボスとかって、先にどっちかだけ集中攻撃して倒しても、生き残ったほうが後から復活させちゃったりとかあるんですよ」
「ああ、なるほど。じゃあ念のためにトドメさすタイミングも合わせた方がいいってことだ」
「はい、その。完全に同時である必要はないと思うんですけどできれば……」
うーむ、リリアちゃんは最後までしっかりしてるな。
私はそんなこと心配すらしてなかったけど、たしかにどっちか片方だけ先に倒しちゃってそれで後から復活されても面倒だしね。
「わかった。じゃあこっちはもうあと1、2発でトドメだと思うから」
「あ、お姉ちゃんの方も同じです」
「じゃあ集合しようか」
そういうわけで私たちは3人また集合した。
私はボス部屋の外周を上手くまわって金ウロボロスを誘導しながら、金ウロボロスと銀ウロボロスも合流するような形でリリムちゃんのところに移動して。
「お姉さん、最後は一緒に攻撃しよう!」
「ああ、うん。いいよ」
そうして最後、私とリリムちゃんの2人はそれぞれ銀ウロボロスと金ウロボロスに、リリムちゃんはスーパージャンプからの槌での物理攻撃で銀ウロボロスの頭部を上からガツンと殴り、私は金ウロボロスの懐に入り込むと金ウロボロスの頭部を下顎から頭上に突き抜ける形でサンダーランスを一撃お見舞いした。これによりウロボロスたちのHPはほぼ同時に0になり、ウロボロスはそれで断末魔の叫びをあげるとやがてどちらも地面に倒れこんだ。
それからすぐにウロボロスの体が光の粒子状になって砕け散ると、戦闘が終了した。
ちなみに後から聞いた話でリリムちゃんは、2回目の分離後の戦いの中でアメノタヂカラオの恩恵の②の効果がもう1回発動したそうで力の値が30%上昇していたらしい。
2回目の分離後の銀ウロボロスの攻撃方法の変化についてはもういいだろう。基本は金ウロボロスと同じような変化だよ。どうしても気になるなら自分でプレイして確認しておいて。
『倒したモンスター』
ウロボロス×1
獲得経験値:8000 獲得ゴールド:10000
次のレベルまで残り72385ポイント
『レベルが上がりました』
レベル35→36
HP:270→275 MP:182→186
STR:78→80
VIT:78→80
AGI:74→76
ING:67→70
DEX:35
LUX:34→35
ウロボロスを倒したことで私はレベルが上がった。
第3階層での最後のレベルアップだろうし、それでSTRとVITの値がちょうど80というキリのいい数字で終わったのはちょっと嬉しい。INGも70ちょうどだし。
なんかDEXとLUXの値は並んじゃったけど、そもそも私にとって上がりにくい能力値だったしね。まさか他とここまで差が開くとは思ってもみなかったけど。
「やったー、レベルアップだー!」
「うん。私もレベルアップしたよ」
そしてどうやらリリムちゃんとリリアちゃんの2人もこのタイミングでレベルアップしたみたい。
ボス戦までに蛇もたくさん倒したし、前哨戦のラミアもけっこう経験値くれたからね。
「えっと、それでこれでこの遺跡のモンスターは全滅。マッピングの方も……うん、100%だね」
「はい。あ、でも一応念のために、最後にまた中を一周しておきませんか?」
「ああ、万が一にも倒し損ねたモンスターとかいないかってことね。うん、それでいいよ。だけどその前にさ、あれ……開けてみようよ」
私がそう言って指さした先にはボス部屋の祭壇があった。
ウロボロスを倒した時点でボス部屋に繋がる扉はすべて開かれ、ついで祭壇で燃えていた炎は消えたのだけど。その祭壇の消えた炎の中に大きな赤い宝箱が出現していた。
まず間違いなくこの今回のクエストの報酬が入ってるんだろうけど、まさかここで宝箱を開けたらウロボロス3体と戦闘に……なんてことはないよね?
ほら、洋館クエストのボスゴキブリの時みたいにさ。
「はい、開けてみましょう」
リリアちゃんはそう言ったけど、その後で宝箱を開けたのはリリムちゃんの方だった。
別に誰が開けても中身が変化するわけじゃないと思うけど、私はさておき今回のウロボロス戦、銀ウロボロスを1人で倒したリリムちゃんも大活躍だったからね。
あとリリムちゃんが私が開けたいってめっちゃ言ってきたからっていうのもあるけど。
「いいよ、お姉ちゃん」
「よし、じゃあ開けまーす!」
そうして開かれた宝箱の中にはまたとんでもないアイテムが入っていたんだ。
どのくらいとんでもなかったのかと言うと、ギガントロックハンマーと同じくらいかな?
うん、そう。……とんでもないでしょ?
私は、ある意味今回のクエストの中で1番驚いた瞬間はその報酬の宝箱の中に入っていたアイテムの性能を知った時だったと思うよ。割と本気で。
<モンスター辞典>
〇ウロボロス
まあ本編内ではああ書きましたけども、一応。
2回目の分離後の銀ウロボロスの攻撃の変化についてもここで書いておきます。
①螺旋状の衝撃波
金ウロボロスと同じく、1回目の分離後の銀ウロボロスの衝撃波攻撃が螺旋状になり、より広範囲に攻撃できる技に変化。リリムちゃんは最初回避できずに直撃し大ダメージを受けたが、すぐにリリアちゃんが回復してから2回目以降はなんとかよけれるようになった。
②ウィンドボール×8
③サンダーボール×8
攻撃の数が5発から8発に変化、攻撃動作が高速化。ボールのスピードも上昇。
リリムちゃんはこれに関しては余裕で対処。
④電撃ビーム
⑥銀色の針飛ばし攻撃
本編内、金ウロボロスのものと同じ変化。リリムちゃんはたまに攻撃を食らいつつも徐々に慣れてきて、最後の方は割と余裕で対処可能になった。
⑤尻尾振り回し攻撃
……特に変化なし。
あと、前回の後書きでも書きましたが金ウロボロスと銀ウロボロスの弱点と耐性は同じで、弱点は雷属性です。銀ウロボロスは魔法攻撃が一切効かないですが、片手剣の稲妻斬りなどの雷属性の物理攻撃であれば大ダメージを狙えます。
ただ、本編内でリリムちゃんは最初から最後まで槌での通常攻撃によって倒しましたが(笑)
次回、クエスト終了。報酬の宝箱に入っていたとんでもないアイテムとは?
あと、もうなんとなくわかってると思うんでネタバレ書いておきます。
玲愛は召喚:ウロボロスのスキルを手に入れます。いつものパターンです。




