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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第3階層―RED―
149/171

ニートな女神と初めての蛇女

蛇女≠メデゥーサ。

メデゥーサ=蛇髪女。

 レッドスネークを10体倒した後、部屋8から私たちは通路9を通って部屋9へと移動した。

 そして部屋9ではレッドスネーク×20体と戦闘、勝利。続く部屋10ではレッドスネーク×30にポイズンスネーク×20の合計50体の蛇と戦闘になり、ここでちょっと苦戦させられたけどなんとか勝利することができた。

 そして部屋11ではレッドスネーク×40と戦闘に。レッドスネークは敏捷と賢さがそこそこ高くてファイアーボールでのダメージも一発で結構あるようで。

 まあ力と耐久は低いんでこっちから攻撃すれば私とリリムちゃんの槌での物理攻撃であれば一撃か二撃で倒せるからそれで数が減ってからは楽だったんだけど。

 私の装備してるギガントロックハンマーとは違ってリリムちゃんが装備している巨人のこん棒には攻撃速度上昇の効果はついてないから、戦闘が終わってここでまた休憩をしている時にリリムちゃんに言われた。


「ねぇ、お姉さん。お姉さんがこの先の階層に行ってまた装備変えたらさ、今お姉さんが使ってるそのハンマー、私に貸してもらえない?」


「え?、貸し出しでいいの?」


「うん。ああ、いや、本当はくれるんならすごく嬉しいんだけど」


 このゲーム内、プレイヤー間で装備アイテムの譲渡は可能だし、一度譲渡したアイテムを相手から返してもらうこともできるのだけど、そこには強制力がないんだよね。

 つまりアイテムは貸したとしても(譲渡したとしても)その後で貸した側のプレイヤーが返してと言ったところで相手に拒否されればそれまで。持ち逃げされる可能性があるのだ。


「そのハンマーって迷宮ボスの報酬の一番良い宝箱に入ってた武器なんでしょ?、もしかしたらこの先2度と手に入らないものかもしれないし、さすがにそれをちょうだいとは言えないよ」


 リリムちゃんは頬を指でかきながらそう言った。

 だけど私は、まあ別にそれも誰かにあげるっていうことに抵抗とかは特にない。

 たしかに強力な武器だし、リリムちゃんの言うようにもしかすると一度手放したらこの先もう2度と手に入らないようなアイテムという可能性もあるんだけど。

 別にハンマーカテゴリの武器っていうだけならアイテムボックス内に私も巨人のこん棒を持っているし、たぶんギガントロックハンマーについてる攻撃速度上昇の特殊効果がついた槌というなら、きっとこの先の階層にもあると思う。火属性の魔法攻撃で追加ダメージを与える効果がついた槌は、もしかしたらギガントロックハンマーだけなのかもしれないけど。


「うーん、わかった。いいよ。この先私がまた武器変える機会があったら、その時にはこのギガントロックハンマーはリリムちゃんにあげるよ」


 私には今のところ他にメイン武器が槌のプレイヤーの知り合いはいないし、それにこれはまだ予想でしかないけどたぶん私、第4階層でもまた装備変えると思うんだよね。

 ほら、第4階層の迷宮ボスをさ、またソロで撃破して金の宝箱出したらきっと、その中に入ってるだろう装備に変えると思うんだよ。あくまで予想なんだけど。


「本当に!?、っていうかもらっちゃっていいの!?」


「うん、いいよ別に。私は、今はまだ使い始めたばっかりだけど、そこまでハンマーっていう武器にこだわりがあるわけでもないし」


 両手持ちの武器は装備枠がそれで2個分埋まっちゃうからちょっとね。

 やっぱり私は右手と左手で別々に何かを装備していたいと思うのだ。それも盾と武器か、ダブル武器かの二択くらいしかないのだが。


「やったぁ~!、お姉さん、約束だからね」


「う、うん。わかってるよ」


 私はリリムちゃんと装備譲渡の約束を交わした。

 ちなみに今のやり取りを見ていたリリアちゃんはというと。


「良かったね、お姉ちゃん」


「ああ、これでまた私強くなっちゃうぜ」


 純粋にお姉ちゃんのことを祝福しているようだった。

 本当はリリアちゃんの方にも何かあげる約束してあげられたら良いんだけども、リリアちゃんの武器は杖で、私はまだ杖は装備できないしな。

 ああ、でも装備はできないけどいくつか持ってはいるな、杖。このクエストが終わった後にでもリリアちゃんにいるかどうか聞いてみようかな。それでいるって言ったらもうあげちゃおうか。

 武器に限らずアイテムはそれを必要としている人が持つのが一番だろうし。


 2度目の休憩を終えた私たちは部屋11から通路12を通って部屋12へと移動した。

 そして先に結論から言うと、中心にある部屋の周囲にある部屋はここで最後だった。

 もちろんモンスターも出現したよ。最後の部屋だからか今までの集大成って感じでさ。


「グリーンが20、ポイズンが20、レッドが20の合計60体か。じゃあまあ、私が手っ取り早く先にレッドを全部倒せば後はもう楽勝か」


 ここまでの部屋で出現したモンスター3種が各20体ずつのセット。

 私は宣言通りにレッドスネークを優先的に倒して回った。レッドスネークは火属性に耐性があるっぽかったから、私のハンマーの追加の爆発によるダメージはもしかしたら無効になってかもしれないけど。

 さっきも言ったけどそれ以前に純粋に通常の物理攻撃による、つまりは普通に殴ったことで与えられたダメージだけで倒せるからね、レッドスネークは。

 レッドスネークを全滅させたら後はもう簡単だった。というかその時点でリリムちゃんとリリアちゃんの2人も残ったグリーンとポイズンのスネークを倒して回ってたから、さっきのレッドスネークが40体出てきた部屋11よりも簡単に戦闘は終わった。

 そして部屋12で新たに開いた通路13の先にはダンジョンの最初の部屋である部屋1が。

 つまりは最初に部屋1での戦闘を終わらせた後に開かなかった2つの扉のうちの1つもこれで開いたとうことになるんだけど。


「あれ?、ここって最初の部屋?、じゃあこれで一周したんだね」


「うん。だけど……中心の部屋へ繋がる扉はまだ開いてないみたい」


 私はそれでやっぱり何か別に仕掛けか何かを作動させないと中心にある部屋にはいけないのかなと思ったんだけど、そこでふとリリアちゃんの方を見てみると。

 リリアちゃんはなにか考え事でもしてるようにうつむいて何か一人でブツブツつぶやいてた。

 それで私がリリアちゃんに呼びかけようとしたら、そこでリリムちゃんが止めてきた。


「ああ、待ってお姉さん。大丈夫だよ。あれはリリアがすごく集中してる証拠だから」


「集中?」


「うん。リリアは昔っからなんかわかんないことあるとああして考え込んじゃうクセがあってさ。でもその後でちゃんと解決策思いつくから今はそっとしておいて」


 リリムちゃんがそう言ったので私も、それでしばらくリリアちゃんの方を見ていたんだけど。

 5分くらい後かな、そこでリリアちゃんがようやく顔を上げて、それは何かを閃いたという顔で。


「お、リリア、何かわかったのか?」


「あ、うん。たぶん、なんだけども。もう1度この部屋を一周すればいいんだと思う。今度は逆に」


「え、どういうこと?」


「えっと、時間が惜しいんで説明は歩きながらでもいいですか?」


「あ、うん」


 そうしてリリアちゃんは部屋1から通路13へ戻り、そこからさらに部屋12、通路11とこれまで来た道をひたすら逆走し始めた。

 もちろんこれにはちゃんとした意味と理由があって。


 リリアちゃんはこれまで、途中の通路にあった壁画を1つ1つ見て回っていたんだけど。

 リリアちゃん曰く、やっぱりそこにダンジョンの謎を解く仕掛けがあったんだとか。


「壁画には何が描かれていたの?」


「えっとですね、簡単に説明しますとこの遺跡は、もともとこの階層に遥か昔にいた人々がその当時信仰していた宗教みたいものの神殿というか、集会場みたいな場所として作ったもので、その宗教で神聖な生き物として扱われていたのが蛇だったと」


 なるほど、だからこのダンジョンには蛇系のモンスターが出現するのか。


「それで、まあ途中の壁画にその宗教の教えとか、由来とか、当時の人々の生活風景とか描かれていたと思うんですけど。それで重要だと思ったのは通路8の壁画で」


 と、そこでちょうど私たちは通路8にさしかかったのでそこでいったん足を止めて壁の壁画を見た。

 するとよく見ると壁画には絵だけではなく文字のようなものが描かれているのが見えて、普通に見ただけじゃその文字は読めなかったんだけど、足を止めて文字の部分を凝視してみるとその文字が判読可能な文字として頭に直接意味が浮かんできた。ちょっと感覚として気持ち悪かったんだけどね。


 通路8の壁画にはこの遺跡内部でのルールというか、その当時信仰していた宗教の教えの一つみたいなのが描かれていて。

 この遺跡の中心にある部屋は、遺跡の中でも特に神聖な場所で軽々しく入ってはいけず、入れるのは神官とか、司祭の人たちだけだったと。

 でも年に1度、村でお祭りがある日だけはそれ以外の一般の人もある手順を踏めばその中心にある部屋に入ることができるのだとか。

 その手順というのが何なのかという肝心の部分についてだけが、いじわるなことになんとその部分だけが壁が崩れていて文字が消えてしまっていた。


「ふざけんなし、それじゃあ結局何もわかんないんじゃん!」


 私と一緒に壁画の文字を追っていたリリムちゃんもそれには不満を爆発させた。

 そりゃあ私もそんな大事な部分だけピンポイントで崩れてるとか、ちょっとどうかと思ったけど、でももしかすると昔の人たちが、何かあってこの遺跡の中心の部屋に誰も入れないようにするためにわざと入り方がかかれた部分を壊したという可能性はないだろうか?


 リリアちゃんはそれからまた歩き出した。

 通路8から部屋7、通路7とまた今までの道を逆順に辿っていく。

 そして今度は通路5で足を止めて壁画を見るように言った。

 私とリリムちゃんはそれで、まあ言われた通り壁画を見たんだけど。


 そこには当時この階層にあった人間の住む村の掟みたいなことが書かれていて、その中で重要だと思われたのは当時信仰されていた宗教は右を神聖視していて、何をするにもまずは右からという教えがあったこと。そして右で始めたことは左で終わるようにすること。

 右手で扉を開けたら、扉を閉じるのは左手。そして当時の人たちの利き手はほぼすべて右利きであり、左利きの人間は右利きに直された。それで右利きに直さなかった場合、村を追い出されることもあったとか。割と厳しめの戒律だな。左利きってだけで追放されるの?

 ああ、でも下界の歴史でもたしか、国によっては似たような歴史ある国もあるんだろうな。というか現在進行形でこういうのが残ってる地域も探せば見つかりそうだ。


「えっと、だからこの宗教では右が神聖とされていて、まずは何をするにも右。それで終わるときは左で終わると。……ああ、なるほどそうか」


 そこまで口にして私はようやくリリアちゃんが気づいたことを理解した。

 ただリリムちゃんの方はまだわかっていなかったみたいだったから詳しく教えてあげた。


「このダンジョンに入ってさ、入口から見て最初の部屋の通路2って右手側にあったじゃん。だからまずは遺跡の周囲の部屋をそこから順に右回りして一周する。でもそこで終わったらダメなんだよね?」


「はい。終わるときは左ですから、一周した後で今度は来た道を戻って左回りに1週すれば、神官や司祭以外の人でも中心の部屋に入れると、私は解釈しました。だけど仮に壁画を見てこの謎にプレイヤーが気づかなかったとしても、右回りで1週した後に誰かが道を引き返してみようと言った場合でも、問題はないというか」


「まあ逆に言えばそれでずっと右回りでグルグル回ってたら一生この先へは進めないってことなんだろうけどもね」


「ですね」


 そうしてリリムちゃんもそれでようやく納得したのか、それからは最初の部屋まで立ち止まることもなくずっと来た道を戻った。

 ちなみにリリアちゃんに、どうして周囲の部屋を回る回数が1週なのかと聞いてみたんだけど。ほら、2週以上しなきゃダメって場合も考えられるから。


「そうですね、そこは実は私も何も考えてないんですけど。2週以上だと大変じゃないですか?、あ、大変というのは私たちがじゃなくてですね。その、当時の村にもお年寄りとか、子供とか、病気の人とか純粋に体力ない人とかもいたと思うんですよ」


「なるほどね。たしかにそんな人たちまで一緒にこの広い遺跡の中を何周もさせてたんじゃさすがに酷すぎるか。そもそも普通の人は年に一回しか中心の部屋には入れないんだし」


 私はリリアちゃんの意見を聞いて納得した。

 というか、ゲーム内のフィクションの話なのによくそこまで考えられるな。当時の人たちの中にもお年寄りとか体の弱い人もいたって。たしかにその通りなんだろうけど、なんていうかそれってさ。

 もう本当に考古学してるよね?……リリアちゃんに隠れた才能が見つかったかもしれない。


 さて、それでリリアちゃんの立てた仮設というか推理はそれで見事に正解だったようで。

 左回りに1週してまた部屋1へと戻ってきた時、そこで閉ざされていた中心の部屋へとつながる扉が開かれた。

 なんか部屋1だけでなく遺跡内部全体から扉が開いたみたいな音と振動がちょっと伝わってきたんできっと部屋2から部屋12でも中心の部屋へ繋がる扉が開いたに違いない。

 そしてこの時点で時刻は午前0時過ぎ。クエストを開始してから約2時間が経過していた。


「ようやくか。この先の部屋でこのクエストのボスが……いや、もしかするとまだその前に前哨戦みたいなのあるかもだけど」


 とりあえずは遺跡内部のマッピング率100%というクエストクリアの条件の1つについては、もうこれで達成できたと言ってもいいだろう。

 中心にある部屋にさらに地下室へと通じる階段とかがなければの話だけど。


「いよいよボス戦?」


「たぶんね。HPとMPは大丈夫?、あと疲労の方は?」


「大丈夫、全然いけるよ」


「私も、大丈夫です」


 私ももちろん問題はない。ということで私たちは遺跡の中心にある部屋へと向かった。

 ちなみに遺跡の中心にある部屋まで通じる通路の壁には壁画はなかった。

 でもむしろそのことが逆に不気味といえば不気味だったんだけど。


 遺跡の中心にある部屋には、部屋の中央に何か大きな円筒状の祭壇のようなものがあって。

 リリアちゃんいわく、本来はそこで火を焚いてキャンプファイアーみたいな感じにして、その前で司祭さんが神様に祈祷を捧げるらしいけど、今は祭壇に火はついていなかった。

 部屋には12か所の入口があって、それでやっぱりさっき他の部屋の入口も開いていたんだということはわかったんだけど。

 部屋の形は周囲の部屋と同じく円形で、祭壇も円形。そしてその祭壇を囲むようにして6体の化け物の石像が置いてあった。うん、それを見た時にたぶん私たち3人同じことを思っただろうね。


 ああ、これこの後絶対に動き出して襲ってくるパターンのやつじゃねって。


 私たち3人がその部屋に入って1分後に謎の時間差で中心の部屋へ通じる扉はすべて閉じられた。

 そして私たちの読み通りというか、モンスターと戦闘になったんだけど。

 それまで火の気なんてなかったのに突然祭壇に一気に火がついてキャンプファイアーみたいに火がたちのぼってメラメラと燃え始めたと思ったらさ。それで周囲にあった石像が生き物に変わった。

 うーん、もっとわかりやすく言うと石化が解けたって言ったほうがいいかな。

 灰色の石の彫像だったのがみるみるうちに元の色に戻って動き出したわけ。

 もちろんその動き出したのはモンスターで、その時点で私たちの目にはモンスター名とその下にザコモンスターにしては長めのHPケージが見えて。


「ああ、これ私も知ってるわ」


 それはRPGとかでもよく登場するモンスターだった。

 下半身が蛇で、上半身が人間の女性の姿をしたモンスター。

 あの崖のハルピュイアも上半身は女性の裸で、その、乳房とか見えたらアウトな部分は体毛でおおってカバーしてたんだけど、そのモンスターは普通に下着着けてたよ。下着の色?……紫色だよ。


 モンスター名、ラミア。


 名前は短いけどHPケージの長さと、あと広い部屋なのにいたのがたった6体だというだけで、1体でも十分強いだろうということはわかっていたし、実際もうめちゃくちゃ強かったよ。

 いや、それでもザコモンスターの割にはって言えるレベルだったんだろうけど。

 ラミアは、まあとにかく攻撃方法が多かった。


 ①上半身・右手からファイアーボールの魔法攻撃。

 ②上半身・左手からサンダーボールの魔法攻撃。

 ③上半身・口から毒液を噴射。リリムちゃんが食らったところ、案の定毒の状態異常になったけど、レベルはまだ(微小)だった。

 ④上半身・口から電撃を放射。これもリリムちゃんが受け、麻痺(微小)の状態異常に。

 ⑤下半身・蛇部分のしっぽ振り回し。雷属性の物理攻撃。


 プレイヤーを状態異常にしてくる技を2つ(しかも2つ別の種類)持ってるし。

 さらにやっかいなことに、ラミアは自己再生というか、どうやら回復技も1個覚えていて。


 ⑥上半身・両手を合わせて祈ることで自身のHPを回復。回復量はそんなに大きくない。


 それで能力値の方は力と耐久と賢さが高めと来ている。

 敏捷はそれほど高くはなかったんじゃないかな。今現在の私でも攻撃をよけることができたくらいだから。だけど攻撃の方は、特に賢さが高いのかサンダーボールの威力がやばかった。

 私は雷属性の魔法攻撃はまだ無効化できないからね。よけるのも必死だったよ。


 ただね、私とリリムちゃんが協力して1体ずつ集中攻撃して確実にモンスターの数を減らしていって、ラミアの数が3体くらいになったらだいぶ余裕が出てきた。

 それまでリリムちゃんがラミアの攻撃を受けてHPを減らしたりもしたけど、そこはすかさずリリアちゃんが回復魔法でリリムちゃんの減ったHPを回復した。


「ヒール!」


「おっと、サンキュー、リリア」


「お姉ちゃん、気を抜かないで!」


「わかってるって」


「……うーん、やっぱりライトヒールよりも普通のヒールの方が回復量は上か」


 私も1個、ライトヒールという回復魔法が使えるのだけど。

 その回復量は本当に微々たるもので、それでも私はけっこうな頻度で使うんだけどもね。

 リリアちゃんはその1個上の、ヒールっていう回復魔法が使えて。

 ライト(軽い)って言葉がない分当然のようにそっちの方が1回での回復量は多い。

 まあその分消費MPやリキャストタイムも大きいんだろうけど。


 ああ、でもそういや私にももう1個、バタフライダンスっていう継続体力回復魔法が使えたな。

 効果はすごいんだけど、リキャストタイム長いし、消費MPも30もあるから、普段のザコ戦とかで使う機会はほとんどないし、ボス戦でも使いどころ難しいんだよね。


 私はHPドレインⅩのスキルで、物理攻撃によって与えたダメージの半分の量のHPをいつでも回復できるから、耐久が高いボス以外との戦闘でHPが大幅に減ることは滅多にないんだけど。というか減ってもすぐに回復できるし。

 でもやっぱりそれとは別に普段使いもできる回復魔法があるといいよな。


 私はそんなことを考えながら5体目のラミアに止めをさした。もう4体倒したし残りはこれで1体。

 6体目のラミアは今、リリムちゃんたちが戦ってるけどもう大丈夫だろう。


 ラミアも経験値とお金はくれたけど、(ちなみに1体で経験値128)ドロップアイテムは今回はなかったし、スキル・魔法もいただけなかった。

 ただこれはこのクエスト内で倒した時はもらえないってだけであって、ラミアが本来出現するはずだった階層で私が倒したらドロップアイテムは確実に落とすとして何かスキルか魔法が手に入るのかもしれない。まさかこのクエストの中でしか登場しないモンスターなんていうことはないだろうしね。

 そう思った理由?、いや、だってラミアだよ?、RPGで頻出のモンスターだし、絶対この先の階層でも普通に出てくるでしょ?


「だけどあれくらいの強さのザコモンスターが普通にフィールドに出現するっていうのは、まだけっこう先なのかな」


 第4、いや第5階層でもまだ出てこないかも。わからんけど。


 ああ、それとさ。ラミアの上半身は人間の女性のものでラミアは割と胸があったんだけど。

 私の見立てではCかDカップくらいかな?

 頭部は黒髪のおかっぱ頭で、目は蛇のように吊り目で瞳の色は金色という。

 上半身の見た目だけなら妖艶な色気を漂わせる少女みたいな。

 きっと一部の男性プレイヤーには人気がありそうなモンスターだな、とか私はちょっと思ったよ。


<モンスター辞典>

〇ラミア

悪魔族。第3階層のクエスト限定ダンジョン、円環の蛇の遺跡に出現するモンスター。

本来は第5階層のダンジョンである遺跡で初出となるはずのモンスターで、第3階層を攻略中のプレイヤーが相手取るにはかなり強めといったところ。

見た目は上半身が人間の女性(胸はCカップ)で下半身は青色の鱗をした蛇のモンスターで、頭部は黒髪でおかっぱ頭であり、目鼻立ちが整っていてなかなか美人。

ただし気性は激しく攻撃性が強いため、吊り目であることも相まってか戦うとけっこう怖い。

能力値は敏捷以外は優秀だが、蛇系のモンスターの割にそこまで敏捷が高くない。

弱点となる属性はない。しかし火属性と雷属性、闇属性の3つの属性に耐性を持つ。

毒と麻痺、2種類の状態異常にしてくる技に加えて自身のHPの回復までこなすという、第5階層で出現するモンスターの中でも厄介なモンスターであるので注意。


ちなみに、ネット上でのモンスター人気投票(可愛い度ランキング)では前回7位のモンスター。

あの高圧的な目線と、まだ幼さの残る顔立ちの割に豊満なバストがたまらないと、男性プレイヤーからは人気だったそう。

ドロップ:第5階層で再登場した際にまたお知らせ♪


次回、今度こそ本当にクエストボスが登場し、ようやくボス戦が開始。

前回の後書き、次回予告で書いたリリムとリリアの神様の恩恵についても明かされます。

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