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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第3階層―RED―
135/171

ニートな女神と初めての岩石

今回、第3階層迷宮ボスで没案になったモンスターを1つ紹介。

マシンセンチピード(機械族・機械製の大型のムカデ)

没になった理由:資料として見てみたムカデの画像が想像以上に気持ち悪かったから。


<第3階層:迷宮地下3階>


 ミノタウルス戦を終え、MPの回復と休憩を挟んだ私は迷宮の地下3階へと下りてきた。

 この迷宮はどうやらこの地下3階からが本番というか、階層の最終ダンジョンとしての本領を発揮してくるというか、とにかく攻略難易度が上がる。

 マップの広さ自体はそんなでもないんだけど、モンスターがね。


 まずデザートウルフ、グリーンスネーク、スモールロックと、ビッグレッドスライムの4種類のモンスターは出現しなくなった。

 ブルーリザードとコボルトピッケル、さらにフレイムバグの出現率が低下。

 ここまではいいのだけど。


 この地下3階からは新たにスケルトンとレッドシャドー、そしてなんとレッドキャップも出現するようになってもう無茶苦茶だった。

 とくに迷宮ダンジョン内では大きなルームだとレッドキャップが同時に5体とか出現するようになったりして、もう確実にプレイヤーたちを全滅させにかかってきている。


「でも落ち着いて連携をとれば何とか出来るレベルなんだろう、これでもまだ」


 だって実際には、この迷宮を突破したプレイヤーが大勢いるのだから。


「いやでも、さすがに難易度高すぎじゃない!?、これだから迷宮はさ」


 思えば、第2階層の迷宮で初めてバトルボアに遭遇した時も感じたな。

 あ、やっぱり階層の最後のダンジョンはそう簡単に攻略というか、先に進ませてくれないんだなって。

 いやそれは当然と言えば当然の話なんだけど、改めてね。


「しかも、ここに来てさらに新モンスターとか。頭イカレてるとしか思えないよ」


 この地下3階から新たに2体のモンスターが出現するようになった。

 どっちも完全に初見というわけではなく、既存のモンスターの強化版となるモンスターだったのだけど。


「あれ、ちょっと待って。あのスケルトン、なんかやばいの持ってない?」


 1体目はボムスケルトン。

 その名の通り爆弾を装備したスケルトンであり、爆弾を投げつけて攻撃してくる。

 爆弾は何かにぶつかると大爆発し、プレイヤーに大ダメージを与える。

 ただし、爆弾を一度投げつけた後はモンスター名はそのままだが通常のスケルトンと同じになり、つまり最初に装備していた1個をどうにかすれば後は特に問題ない。


 でもこの爆弾、驚くべきことに私にも普通にダメージを通してきてさ。

 だから火属性の魔法攻撃ではなく、あくまで爆弾という武器の攻撃扱いということらしいのだが。


「アイスボール!」


 何回目かの時、私が投げられた爆弾に氷属性の魔法攻撃を命中させたら爆弾は凍りついて地面にポトリと落ちた。それによって爆弾の爆発を阻止することができるのだ。

 いや、何か試しにやってみたら上手いこといったんだよね。


 さらに面白いことにこの爆弾の爆発、プレイヤーだけでなくモンスターたちにも大ダメージを与えるようで、ボムスケルトンが爆弾を投げて、その爆発に巻き込まれたモンスターたちが勝手に死んでいくということもけっこう多かった。


「それで死んだモンスターは経験値もお金もくれないし、ドロップアイテムもなくなっちゃうんだけど」


 でも、私はそこでようやく理解した。


「ああ、そうか。レッドキャップとか他の強いモンスターも、このボムスケルトンの爆発を当てて弱らせれば簡単に倒せる。このモンスターはモンスターであると同時に、この迷宮の攻略難易度を少し下げてくれる装置みたいな?」


 なので戦闘開始の前にボムスケルトンの有無を確認し、もしもいた場合は。

 そのボムスケルトンをうまいこと誘導して爆弾を投げさせて他のモンスターを倒すと、どうやらそういうことらしい。

 さっきは難易度が高すぎるとか言っちゃったけど、これを利用すればそこまでモンスターとの戦いで苦戦させられることもないんじゃないか。

 もちろん、ボムスケルトンが毎回の戦闘で絶対に出現するわけではないし。プレイヤーも爆弾の爆発に巻き込まれたらただじゃ済まされないからまだ安心とまでは行かないけど。

 少なくとも絶対に攻略不可能だと絶望しなくてもいい程度には攻略難易度が下げられた気がする。


「あれだな。爆弾を投げたボムスケルトン自身も爆発で死んでるから、どっちかというとスモールロックの自爆に近いのかも」


 スモールロックが出現しなくなった代わりのモンスターがボムスケルトン。

 そう考えると納得できたよ。最初は本当にふざけんなって思ったけど。


 ああ、そうそうちなみにね。

 いったん氷属性の魔法を当てて凍らせた爆弾は、その状態で一定時間が経過すると勝手に砕け散って消滅しちゃうんだけど、プレイヤーやモンスターが凍った爆弾に火属性の攻撃を当てちゃうとそこでまた大爆発するんだよね。

 でも言い換えるとそれは、凍らせて放置しておいて、モンスターが近くに来たらプレイヤーがファイアーボールとか凍った爆弾にあてることでもモンスターを倒せるってことで。ある程度自分の好きなタイミングで爆発させられる。


「ボムスケルトンには本当に感謝しなきゃいけないな」


 もっともボムスケルトンからは倒してもスキルや魔法は手に入らず、爆弾を装備した状態で倒したとしてもドロップアイテムは通常のスケルトンと同じナゾの骨だったんだけど。

 どうせなら手に持ってた爆弾をアイテムとしてドロップしてくれればいいのに。


「そうなったらこの迷宮は楽勝だったのに」


 私はそこがちょっとだけ残念だと思った。


 もう1体の新モンスターからも新たなスキルや魔法は手に入れられなかった。

 もう1体の新モンスターはポイズンスネーク。紫色の蛇のモンスターで、口から毒液を吐いてきたりとか、噛みついてきたりする。

 おそらくグリーンスネークの代わりに登場するようになったモンスターなんだろうけど、私に毒はもう効かないからね。正直に言ってグリーンスネークとそんなに変わらなかったよ。

 ドロップアイテムは毒蛇の抜け殻。あんまり拾いたくないけどちゃんと拾ったよ。


 そして私はモンスターと戦い、時に長い通路で大岩に潰されたりしながらも地下3階を突破すると、いよいよ迷宮ボスの待つ地下4階へとやってきた。

 幸いにも地下4階でまた新たなモンスターが出現してくるなんてことはなかったけど、モンスターの分布に変化はあって。


 ブルーリザードとコボルトピッケル、フレイムバグが完全に出現しなくなった。


 それによってこの地下4階では最終的には以下の10種のモンスターが出現する。

 ゴブリンクレイモア、ゴブリンハンマー、ゴブリンガード、ロックマン、ファイアーリザード、スケルトン、レッドシャドー、レッドキャップ、ボムスケルトン、ポイズンスネーク。


 ゴブリンたちは当然としても何気に地下1階からロックマンはずっと居残りで出現してるんだよね。

 それで改めて並べてみると本当にこの階層で強いザコモンスターのオールスターであり、まさに最終ダンジョンの最下層というにふさわしいラインナップだった。

 そしてそれぞれのモンスターの出現率はだいたいだけどこんな感じかな。


 〇非常に高い

 ゴブリンクレイモア、ゴブリンガード、ゴブリンハンマー


 〇高い

 ロックマン、レッドシャドー、ポイズンスネーク、スケルトン


 〇普通

 ファイアーリザード、ボムスケルトン


 〇やや低い

 レッドキャップ


 地下4階では、地下3階のようにレッドキャップが同時に5体なんて悪夢染みたモンスターパーティを組まれることはなくなって、レッドキャップ自体の出現率も低くなっている。

 でも地下3階よりも出現モンスターの種類が減っていることで相対的に強いザコモンスターが複数同時に現れて戦闘になることも多く。

 また地下4階ではあの大岩ゴロゴロのトラップがしかけられた長い通路はない代わりに、ほぼすべてのルームでモンスターゲート(強制戦闘)のトラップが作動し、ここにきてプレイヤーの疲労はMAXになっていることだろう。


「リアルじゃもう夜の3時過ぎ。とっくに日付も変わってるし」


 だけどもダンジョン内には昼夜によって変化はないからね。

 私はこの地下4階のフロアも隅から隅まで回ってマッピングをし、そして迷宮のボス部屋の前にたどりつく頃には時刻は午前4時過ぎ。もう朝になりつつあった。


 どうでもいいけど皆は何時までを夜、何時からを朝って言う?

 私は午前3時まではまだ夜で、午前4時過ぎたあたりから朝かな。

 ……ごめん。この話本当にどうでもいいな。


 そして、この時点での私のレベルは35。ステータスは以下の通りだ。


 レベル35


 HP:270/270 MP:182/182


 STR:78

 VIT:78

 AGI:74

 ING:67

 DEX:35

 LUX:34


 まだ使っていないスキルポイント:89ポイント


「もう1、2レベルあった方がいいか……いや、ここまで来たらそんなに変わらないか」


 私は35レベルのまま迷宮ボスに挑むことに決めた。

 そして今はボス部屋の手前、扉の前で休憩しているところだったんだけど。

 実は、まだ迷宮ボスの攻略法について不安があるというか。アイリッシュに詳しく教えてもらってその情報が正しければ大丈夫だとは思うんだけど。話聞いてから私が考えた作戦だからな。


「結局、事前にどれだけ情報収集したところでボス戦じゃ出たとこ勝負みたいところあるからな、このゲームって」


 だからこそ常に不測の事態に対応できてこそ一流のゲーマーと呼ばれるんだろう。

 もちろん、それでも事前の情報収集もゲーム攻略の上で大切だと私は思うし、理解もしている。

 まあ中には一切そういうことをせずに常に行きあたりばったりでなんとかやってきたというプレイヤーもいるにはいr……あ、主に私がそれなんだけど。今回はちゃんと事前に情報収集したからね。


「でも私の今のやり方もいつまで通用するかわからないしな。この先やっていけるのか不安」


 ベテランプレイヤーの皐月さんたちが攻略中の第56階層とか、どんなフィールド、どんなモンスターが現れるのか。

 きっと皐月さんたちでさえ苦戦を強いられるようなモンスターもいるんだろうけど、今の私からしたらそんなの想像もできないからな。ウルトラダイアモンドゴーレムとか、出てきてそう。

 もっというなら今の攻略最前線とか、本当にどんな感じなんだろうか。


「はぁ~あ……よし!、休憩終わり。それじゃあ……行くか」


 私は気合いを入れなおしてから迷宮のボス部屋の扉を開いた。

 そしてボス部屋に入ると扉は閉じられ、ボスを倒すか私が殺られるかしない限りここから出ることはもうできなくなった。


 それで、肝心の第3階層の迷宮ボスについてなんだけどね。


 第1階層の迷宮ボスのドラゴンは、上空からボス部屋に現れて。

 第2階層の迷宮ボスのマダムバタフライも同じく上空から飛んで地上まで降りて姿を現した。

 でも今回の迷宮ボスはそもそも翼がないし、飛べもしないので登場の演出もまた違った形になった。


 ボス部屋中央にまるで宇宙基地のロケット発射口みたいなシャッターがあってさ。

 それが開いたかと思えば下から床がせりあがってきて、そのせりあがった床の上にそいつはいた。


「まあ、なんていうかさ。この第3階層ってどんな階層だったって誰かに聞かれたら、とりあえず私はこう答えるよ。ゴーレムが強いってことがよくわかる階層だって」


 そう、まさか最後の最後までそれと戦うことになるとは。

 きっとこの第3階層を設計した人はゴーレムというモンスターにすごい愛着でもあったんだろうな。

 まさか迷宮のボスまでゴーレムだとは思わなかった。


 アイリッシュが、迷宮のボスは鉱山のダンジョンボスであるロックゴーレムの3倍は強いと言っていたけど、そう言えたのもこの迷宮のボスもまた同じ、ゴーレムだったからなんだろう。

 私もアイリッシュに迷宮ボスの名前を聞かされた時は最初耳を疑ったし、でも今実際に目の前にそいつが姿を現したときに思ったね。その情報に間違いはなかったと。


「ギガント……ロックゴーレム」


 それがこの第3階層迷宮のボスモンスターの名前だ。

 ギガントというのは下界のとある神話に登場する巨人族の名前らしい。


 体色は全体的に黄土色で、見た目はあのロックゴーレムをまんま大きくさせただけ。

 いつもならそこでまたモンスターデザイン手抜きかよって悪態の一つでもついてやるところだけど、さすがに元から巨大なモンスターがさらに巨大化となると本当にもう、ね。

 威圧感がすごすぎて私は何も言えずに口を開けて見ているだけで精一杯だったし。


 ギガントロックゴーレムの(長いので略してGRGの)HPケージは長いので5本分。

 わかりやすく数値化して言うと500%と、ものすごい高い。


「……ああ、なんか絶対に負ける気がしてきたぞ」


 床が完全にせりあがると、それまでロックゴーレムと同じようにただの岩の塊だったGRGの頭部の目に当たる部分が緑色の光を放ってGRGは起動した。

 そうして私とGRGの戦いは始まったのだけど。


 まず、先に言っておこう。

 GRGは迷宮ボスであり、それ故に全能力値が高く隙はほぼないと言っていい。

 でもこれまでのゴーレム系のモンスターと同じで特に力と耐久の値が高いので物理攻撃は何がなんでもかわさないとHP全快状態からの即死も十分にありえる。


 GRGの攻撃方法についてだけどGRGはロックゴーレムと同じで近距離・中距離・遠距離にいるすべてのプレイヤーに対して物理と魔法のそれぞれの攻撃技を最低1個は持っている。

 というよりも、そのほとんどがロックゴーレムの使用してきた技の強化版とも呼べる技であり、そのどれもがもう本当に無茶苦茶で、ザコモンスターなら1個使用してくるだけでも十分警戒するレベル。


 ①ストーンガトリング(仮)

 ストーンバレットの強化版となる技。遠距離・魔法攻撃。

 ストーンバレットは、ロックゴーレムの両腕、指の先から小さな石の塊を高速で射出する技だったけど、GRGも指先から小石を射出するという点では同じだった。

 ただ、ストーンバレットが1回の攻撃で1発の小石を射出していたのに対しGRGの奴は……


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ


 なんと1度に20発の小石を雨あられのように高速で射出してくる。

 両腕の手首から先がガトリング銃のように回転して、指先から石の弾丸が射出されるのだ。

 つまりはストーンバレットを1度に20回連続で使用してくるような、そんな技だ。


 ストーンバレットは射程が長く、攻撃速度が速い半面で威力はそれほどでもない魔法だけど、それも1度に20発も食らえば大ダメージを受けることは確実だろう。


 だけど幸いにもこのストーンガトリングは遠距離の位置にプレイヤーが1人もいない状況ではほとんど使用してこない技なので、GRGと接近していればソロプレイヤーはそんなに気にする必要もない。


「私の敏捷ならかわすのはまだいけるけど、足の遅いプレイヤーはこれで狙い撃ちされて終わりだな」


 だって1発でも食らったらおそらく残りも全弾食らうだろうし。

 そうなったらHPが低ければまず絶対に生き残れないだろう。あるいは魔法攻撃だから賢さを上げていればなんとか生き残れるかというところ。


 問題なのはこの技がボスの体力が減ってから使用してくるというような技ではなく、あくまで戦闘開始時から使用してくる通常技だということの方で。

 つまり、GRGにはHPが減ってきた際にもっと恐ろしい技を使用してくる可能性が高い。

 あるいはHPが減ってきたらこの技も何らかの強化がされると。

 いや、最初の段階でもう十分脅威なんですけど。


「でも、事前に知らされてなかったら私も初っ端で全弾食らってたかも」


 しかし、パーティプレイでGRGに挑む場合この攻撃については実は対処は比較的楽な方だという。


 ストーンガトリングは、GRGの両腕を使った攻撃で、片方の腕から弾丸が10発ずつ発射される。

 なので、遠距離の位置にプレイヤーが1人しかいなかった場合は両腕がそちらの方へ向き、狙われたプレイヤーは合計20発の弾丸の雨にさらされることになるのだけど、逆に言えば遠距離の位置にプレイヤーが2人以上いれば攻撃は分散される。

 GRGから見て右と左の位置に分かれていれば、両腕は左右のプレイヤーをそれぞれターゲットにするため、結果として1人に降り注ぐ弾丸は10発となる。

 いや、10発でも運が悪ければ死ぬと思うけど、でも3人以上のパーティならそういう作戦も取れないことはないってことだ。


 え?、なぜ3人以上なのかって?


 だって2人が遠距離で攻撃を引きつけている間にGRG本体を攻撃する役が必要じゃん?

 GRGは同時に2つの攻撃技を使用とか、そこまで器用なまねはしてこないからさ。


 ②ロックストライクブレイク(仮)

 ロックストライクの強化版となる技。中距離・魔法攻撃。

 ストーンガトリングの脅威から逃れようとGRGに接近したプレイヤーが食らうのがこれ。

 ロックストライクは大きめの岩の塊を1個投げつける魔法攻撃だけど、GRGのこれも投げつける岩は1個である点は同じ。


 ただし、ロックストライクの岩が地面にぶつかった際に割れて広範囲に岩の破片を飛び散らせてプレイヤーにダメージを与えてくる技だったのに対し、GRGの使用してくるこの岩は地面にぶつからなくても勝手に爆発して周囲に破片をまき散らす。

 なのでプレイヤーはこの岩が飛んできた時点で全力で走ってそれを回避するか、それとも無視して突っ込むか、あるいは爆発する前に岩を破壊してどうにかするかを選ばされる。

 それで私の場合は、まあその時々って感じかな。基本は事前破壊を狙ってるけど。


「ウィンドランス!」


 飛んできた岩に風属性の魔法攻撃を当てれば爆発しても破片がプレイヤーの方へ飛んでくることはない。なので風属性の魔法攻撃を覚えていればプレイヤーはこの攻撃に対処可能だ。

 というか、グランガンの街の魔法屋でウィンドランスの巻物を買って読んでおけばいいのだ。

 だけどこの技が使用される度に対症療法的にウィンドランスの魔法で迎撃していたら、重要な局面でMP切れを起こす危険性もあるのでそこは注意というところ。


 ③目から爆発する緑のレーザー光線を発射

 これは近距離用の魔法攻撃でロックゴーレムの目から赤いレーザー光線攻撃の強化版。

 この攻撃も火属性であるためロックゴーレム戦と同じで私にとってはこのタイミングが最大の攻撃チャンスなんだけど。


 ロックゴーレムの赤レーザーは、地面かプレイヤーに命中するとそこで爆発して終わり。

 でもGRGの緑レーザーはそこでは終わらず、さらに爆発を起こしながら直線状にレーザーが進む。

 と、言葉で書いてもわからないだろうからここも音で表現しておこう。


 ロックゴーレムの赤レーザーの場合。


 ビーーーー(レーザーの照射音)の後にドーン(爆発音)で終わり。


 GRGの緑レーザーの場合。


 ビーーーー(ここは赤いのと一緒)の後に、ドーンドーンドーンドーン(連続する爆発音)。


「つまり、GRGのレーザーは直線状に爆発を引き起こし続けながらプレイヤーに迫ってくる」


 だから実際はこの技、近距離から中距離までにかけてプレイヤーを狙ってくる恐ろしい技なのだ。

 ただ攻撃前にGRGの目が緑色にキラリと光るので、その兆候を見逃さなければ案外かわすことはできるし、私のように火魔法無効のスキルを持っていない他のプレイヤーもGRGが緑レーザーを照射しているこのタイミングが反撃のチャンスとなるだろう。


「というか、レーザーの速度自体もむしろロックゴーレムの赤レーザーより遅いから、照射が始まってからでも真横に素早く飛びのけば回避も間に合う、とは思うけど」


 でもやっぱりそれもプレイヤーの敏捷の値次第かも。

 GRGに限らず、広範囲に攻撃可能な技を持つモンスターとの戦闘では結局、それでも素早くその攻撃範囲から逃れて回避することができるほどの敏捷値があるかどうかで勝敗が決まると言っていい。

 だから私には、蝶々シリーズの装備によって敏捷特化型となっている今の私にとってはGRGの攻撃を回避することはそれほど難しい話ではない。


 ……ここまで紹介した攻撃については、だ。


 決して甘く見てはいけない。

 GRGはこの階層最後のダンジョン、迷宮のボスモンスターなのだ。

 GRGの本当に厄介かつ無茶苦茶な攻撃はまだいっぱいあるんだよ。


<モンスター辞典>

〇ボムスケルトン

アンデッド族。爆弾を抱えたスケルトン。

抱えた爆弾を投げつけて攻撃してくるが、1回こっきりで爆弾は再生せず、爆弾を投げ終えた後はただのスケルトンと同じになる。(モンスター名はそのまま)

ボムスケルトンの爆弾の爆発はプレイヤーだけでなく自身を含む他のモンスターにも大ダメージを与えるのでプレイヤー間ではボムスケルトンのことを3層迷宮のお助けキャラと呼ぶ者もいるという。

ちなみに爆弾は肩に抱えて持っているのだけど、足をよく見ると膝がガクガクしているので爆弾はけっこう重いらしいということがうかがえる。

ドロップ:ナゾの骨


〇ポイズンスネーク

獣族。グリーンスネークの強化版で毒蛇のモンスター。

グリーンスネークと違って名前の通り毒を持っており、口から吐く毒液やかみつき攻撃を受けるとプレイヤーを毒(微小)の状態異常にしてくるので注意。

でも動きはグリーンスネークと同じだからそこまで警戒しなくてもいいかもしれない。

あと、本当は第4階層の最初のフィールドに出す予定だったモンスターである。

ドロップ:毒蛇の抜け殻


※ギガントロックゴーレムについては次回の後書きにて紹介。


次回、玲愛はギガントロックゴーレムの数々の攻撃に苦戦を強いられる。


……今回本編内で紹介した攻撃方法だけでも、かなりヤバいとは思うけどね。筆者も。


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