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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第3階層―RED―
133/171

ニートな女神と初めての色

赤と青を混ぜると紫色になるのは誰もが知っている。

じゃあ、赤と緑を混ぜたら何色になるか知ってる?

答えは、なんと茶色です。(←つい最近知った事実)

 迷宮に挑むのは今日の夜だから午前中はまたフィールドでモンスターを倒して経験値を稼いでレベルをもう少し上げたいということもあったけど、先にまたいくつかクエストの方を片付けておきたかったので私は冒険者ギルドへとやってきた。

 この階層ではあとギルドクエストが8件、住人クエストが20件残っていたけどギルクエの方は迷宮ダンジョンで受けられるものだから今はパス。

 となると私が受けるのはもちろん住人クエストの方なのだが。


 20件あるうちの1件はまたヤタガラス、エリュマントスと同じレベルのボスと戦うボスクエストで、さらに2件はソロでは受けられないクエストなので今受けられるのは実質17件。

 私は住人掲示板に貼り出されている依頼書を一枚一枚確認していくと、時間がかかりそうなものを中心にまずは5件受けた。それでお昼の1時前までに頑張って13件の住人クエストをクリアした。

 毎度のことでその全部を紹介はしないけど、報酬が良かったクエストについてまたいくつか紹介しておこう。


 ①クエスト名:『風の歌が聞こえる』


 依頼主:ベティ(見た目10歳くらいの少女)


 クエスト内容:シルフを倒して風の結晶を10個手に入れる。ただし、クエスト中にシルフを50体以上倒してはならない。倒してしまった場合はクエスト失敗となる。

 手に入れた風の結晶を10個ベティに渡せばクエストクリア。


 報酬:風の護符[装飾品]


 私の感想:モンスターを倒してドロップアイテムを手に入れなければいけないクエストなのに、倒しすぎるとクエスト失敗になるという意外と難易度高めのクエスト。

 シルフの風の結晶のドロップ率はそこまで低くはないんだろうけど、50体倒す中で10個手に入るかどうかはプレイヤーの運によるところが大きい。

 まあ私はアイテムドロップ率が100%なんで楽勝だったんだけど。


 〇風の護符

 VIT+2、ING+3

 特殊効果:土属性の魔法攻撃によって受けるダメージを10%減少させる。


 報酬が装備品だったのはいいんだけどそれの効果は微妙だった。

 風の護符という名前だから風属性の攻撃のダメージを減らしてくれるのかなと思っていたら、まさかの土属性で。属性の相性では風属性は土属性に対して有利であり、逆に土属性は風属性に不利。

 つまり風の防壁みたいなのを張って土属性の攻撃を防ぐみたいなノリのアイテムなんだと思う。


 ②クエスト名:『モグラとピアス』


 依頼主:シャロア(30代前半くらいの美人)


 クエスト内容:洞窟で落としたピアスをモールに取られてしまったので、ピアスを取ったモールを見つけてそれを倒し、ピアスを取り返す。


 報酬:ピコピコハンマー[槌]


 私の感想:モグラ叩きはやっぱり爽快感があるね。


 〇ピコピコハンマー

 STR+23

 特殊効果:ダメージを与えた敵を20%の確率で混乱(小)の状態異常にする。


 ピアスを取ったモールを見つけるのに30分くらいかかったし。

 洞窟でモンスターサーチのスキルを使用してモールを見つけ出しては倒すを延々と繰り返して、でも途中で武器を槌に変えて、モグラ叩きを楽しみ始めたらあっという間だったけど。

 今度またクエスト関係なしにやりにいこうかな、なんて。

 クエストの報酬については突っ込まないでおいた。これ完全になめられてるよな。


 ③クエスト名:『素敵なカクテルを作るために』


 依頼主:アンディ(バーのバーテンダーの男性)


 クエスト内容:ハルピュイアを倒して手に入るハルピュイアの羽を5つ渡す。


 報酬:レモンジュース[調合レシピ]


 私の感想:なんかカクテルを混ぜる道具に丈夫な素材の羽が必要だったらしいけど、まさか報酬がレモンのジュースのレシピだとはね。


 〇レモンジュース

 レシピ:レモン(2)+砂糖+水


 報酬をもらった私はさっそく果物屋でレモンをたくさん買ってから街の広場のベンチで50個ほど作ってみたんだけども。


 〇レモンジュース☆

 HPとMPを30回復し、状態異常:混乱(中)を治す。


 なんとなく予想はしていたんだけど想像通りの効果だったよ。

 この前のぶどうジュースはやけどの状態異常を治して今回のレモンジュースが混乱の状態異常を治すアイテムだというのは、やっぱりあれなのかな。


 第2階層では新しく麻痺の状態異常が登場してさ、その麻痺の状態異常を治すアイテムとしてオレンジジュースのレシピが住人クエストの報酬で手に入ったじゃん?

 それで一緒に手に入れたレシピで作れるリンゴジュースの方は毒の状態異常を治すアイテムであって、毒の状態異常は第1階層でもう登場してたんだけども。


 この第3階層で新たに登場した状態異常は2つで、混乱とやけど。

 それで混乱とやけどの状態異常を治すことのできるアイテムのレシピが、同じ階層の街の住人クエストの報酬でそれぞれ手に入ったというのは偶然ではないだろう。


「それもこれも第1階層で調合のスキルを手に入れてないと、この階層でレシピだけもらっても意味はないんだけど」


 でも仮に第1階層であの『薬屋の試験』の住人クエストを受けず、調合のスキルを手に入れていないプレイヤーがこの階層でその調合スキルのレシピであるぶどうジュースと、レモンジュースのレシピを手に入れたとしても、わざわざ第1階層に戻って調合スキルを手に入れようとは思わないだろうな。


「ぶどうジュースとレモンジュースって、名前だけならそんなに大したアイテムに思えないし」


 もしもそれで手に入るレシピ、アイテムの名前が上やけど治し薬とか、上混乱治し薬とかだったなら話は違っていただろうけど。

 まさかぶどうジュースとかレモンジュースに状態異常を治す効果があるとか想像もつかないだろうし、実際に作成してみないとアイテムの効果はわからないからな。


 第4階層でもまた新たな状態異常が登場したとして。その状態異常を治すアイテムのレシピが住人クエストの報酬になっているという可能性はこれで高まったと思うけど。

 果たして次は何の果物のジュースなのか、それとも野菜ジュースの色違いか。


「ああ、でもやっぱり私はイチゴジュースが飲みたいな。早くレシピ欲しいな。絶対あるよな、イチゴジュースって。マスカットジュースはないかもだけど」


 私は公園のベンチでレモンジュースを飲みながら1人そうつぶやいた。

 レモンジュースは、もちろんレモンジュースの味だったよ。私はあんまり酸っぱすぎる飲み物は苦手だけど、このレモンジュースはまだ飲めるレベル。


 そして私は1時過ぎにいったんログアウトして現実に帰還した。

 お昼ご飯としてカップ麺を1個食べてから、しばらくスマホをいじったりして休憩を挟んだのちに2時にはまたゲームを再開した。この後、夜まではレベル上げにいそしむつもりだったのだけど、私はそこで少しだけ考えた。


「きっと迷宮でもモンスターを倒しまくったらそれでレベル上がるだろうし、今そんなに無理してレベル上げしなくても大丈夫かな」


 私の今のレベルは33だけど、迷宮ボス戦はレベル35くらいあれば問題はないと思う。

 アイリッシュは、最低でもレベル30はないと厳しいって言ってたけど。

 アイリッシュに聞いた迷宮ボスの情報、攻撃方法なんかはたしかに厄介そうでアイリッシュがソロじゃ絶対に勝てないと言っていたのもわかるけど、対策がないわけでもなさそうだったし。

 それは実際に今夜、迷宮に行ってボスと対峙してみる時までわからないんだけど、勝率はゼロではないと私は思っている。


「うーん、でもクエストはもう大半終わったし、あとやることって言えば何があるかな」


 色々考えた末に私が思いついたのはやはりモンスター退治だった。

 でも単にモンスターを倒すというのではなくもちろんそこにちゃんと目的を見出した上での戦闘。


「職業だな。短剣使いの職業になるためには短剣の物理攻撃でモンスターを2000体倒せばいいんだったっけ?」


 私は自分の転職可能な職業の種類を増やすことに決めた。

 この前私はレベル30に上がったことでゲーム内での職業の変更が可能になって、この街の教会で冒険者から剣士という職業へジョブチェンジした。

 そして私は剣士の他にも、盗賊と商人という2つの職業に今の段階で転職可能だったんだけど。

 私は別にすべての職業に転職可能になりたいとか、そういうわけでは決してない。


 でも少なくとも自分に関わりのありそうな、この先のゲーム攻略でもしかしたらその職業に転職することがあるかもしれない職業には、転職可能にしておきたいなとは思うのだ。

 その第一歩目として私はまず短剣使いという職業に転職できるようにしたい。


 それぞれの職業に転職するためには、職業ごとに定められた条件を満たす必要がある。

 これは前にも言ったからわかってると思うけど。

 短剣使いという職業に転職可能になるための条件は、短剣を装備した上で短剣による物理攻撃によってモンスターを2000体倒すこと。


「でも、今の時点で短剣の物理攻撃でどのくらいの数のモンスターを倒したのかわかんないんだよね」


 これも前に言ったが、私は短剣は基本的に牽制けんせいなどに使って、あまりそれで止めを指すということはしていない。

 これには私の装備している蝶々の短剣の特殊効果が優れているからって理由もあるんだけど。


「ああ、そうだ。ならレッドキャップからドロップしたアレを使おう」


 私は装備パッドを開くと、右手に装備中だったドラゴンソードをまず外した。

 そして左手に装備していた蝶々の短剣も外すと、右手に鉄のマチェットを装備した。

 鉄のマチェットは渓谷のレッドキャップからドロップする武器で、装備カテゴリは[短剣]に属しているものの、他の短剣に比べるとリーチが長めの武器だ。

 短剣という武器は、普通に手にもって敵を斬って攻撃することももちろんできるけど、基本は投げることで遠くにいる敵にダメージを与えるという使い方の方が主流であって、事実として私も今まで蝶々の短剣を投げつけて敵を攻撃していた。

 だが鉄のマチェットはむしろ投げずに、手にもって普通に斬る方に特化したタイプの短剣だった。


「それでも片手剣よりは短いんだけどね。でもこれならいつもみたいに普通に斬ってモンスターを倒していけば確実だし、頑張れば2000体くらいやれるだろう」


 鉄のマチェットは装備補正もそこまで高くはなく特殊効果は何もついていない武器だったけど今の私のステータスであればそれも問題にはならないだろう。

 それでフィールドについては荒野を選んだ。荒野はこの階層で最も広いフィールドでモンスターは弱くて出現する数は多いから。モンスターをある条件に沿ってとにかく数を倒したい場合にはうってつけのフィールドだろう。

 モンスター1体あたりの経験値やお金は少ないけど別にレベル上げが目的なわけでもないし、それにそうであってもたくさん倒せば少しは足しにもなるだろう。


「よーし、やってやる」


 こうして私はそれからおよそ2時間。

 荒野でただひたすらマチェットを振り回してモンスターを斬り殺しまくった。

 だけど、そこで私は不思議な感覚にとらわれていった気がした。

 なんていうか、こうね。レッドキャップの気持ちが良くわかったというか。

 あれだね、気分は下界で有名なあの映画に出てくる殺人鬼、ジェイ●ンみたいな。

 殺戮と狂気に飲み込まれたみたいにモンスターを見つけては倒し、見つけては倒し。

 しかも鉄のマチェットは近接武器としてはまだリーチが短い方だから、モンスターにかなり接近してから斬りつけて攻撃してさ。

 もしもモンスターが人だったらとか、ちょっとでも考えたらもうアウトだよ。


「この武器は、長時間これだけを装備して戦闘してたら頭がおかしくなってくるな」


 途中でそのことに気づいた私は左手に木の大盾を装備することでなんとか心の平静を保った。

 でも、もしもそうしていなかれば私はどうなっていたかわからない。

 マジで戦闘狂というか、殺戮狂に変貌していたかもしれないのだ。


「これがVRゲームの闇の部分なんだな、きっと」


 特にRPGなどの武器を持って人なりモンスターなりを倒し、殺していくような要素のあるゲームにのめりこむと、現実の人格にも影響を及ぼす可能性があると。

 VRは実際に自分が体を動かしているわけだから特に影響が強くでそうだし。

 でも、私は今までゲームをプレイする中で今回みたいに殺戮衝動に酔いかけるようなことはなかったのだけど、あるいは鉄のマチェットという武器が何かしら呪われているのかもしれない。

 だってそれを落とすモンスターがあのレッドキャップだからね。


「……いや、さすがにそれは関係ないかな。でもこの鉄のマチェットは、なんかもう2度と装備したくはないな」


 私はグランガンの街に戻ってくるなりすぐに装備を元の状態に戻し、ついでに武器屋でアイテムボックス内に残っていた鉄のマチェットを残らず売った。

 それから私は教会に行ってみた。そこでまた神父さんに今の私が転職可能な職業について聞いてみたら、2時間頑張った甲斐もあって短剣使いに転職可能になっていた。

 別に今回の2時間で2000体もモンスター倒したわけじゃなくて、もともと何体か倒していたところに今回倒した分を足して2000体をこえたんだろうけど、なんだかすごく疲れちゃったよ。

 それで、せっかくだし私は職業を短剣使いに変えてみた。剣士のままでもいいかなと思ったけど、私が今装備している蝶々シリーズの装備品の武器は蝶々の短剣だったし、そっちの方が雰囲気でるかと思って。


「4時過ぎか。うーん、さっきのマチェットの闇がまだちょっと残ってるぽいし、ちょっと休憩しようか」


 私はそう言ってここでまたログアウトした。

 そして現実世界に戻ってくるとゲーム機を頭から外してテーブルの上に置いてから、ベッドに横になって少しだけ仮眠を取った。でも、ちょっとだけ寝すぎちゃって結局起きたのは午後9時過ぎ。


「あ、やばい。早く迷宮に行かなきゃ」


 私は目が覚めて時間を確認するなりすぐにゲーム機を頭に被った。

 夕食は食べてないけど、そんなにお腹も減ってなかったし今日はもういいや。


<第3階層:迷宮入口>


 ゲームにログインするなり私はすぐに祭壇から降りると、グランガンの街の北門へと向かった。

 回復アイテムなどの補充はさっき武器屋でマチェットをまとめ売りした後で薬屋にもよって済ませておいたから問題はない。

 そして北門から夜の崖フィールドに出た私は道中のモンスターを蹴散らしつつそそくさと渓谷フィールドへ移動。

 居眠りをしているレッドキャップたちをガン無視して迷宮の入口である神殿までたどり着いた。


 第3階層の迷宮の入口である神殿も、第1と第2階層のものと造りはほぼ同じだった。

 しかし第2階層の神殿の時も思ったのだけど、第3階層の神殿内には床には赤いカーペットが敷かれていて、入って正面の壁には大きな赤いステンドグラスが飾ってあった。


「ああ、やっぱりそうなんだな」


 第2階層の神殿ではカーペットとステンドグラスの色は緑で、第2階層は別名を緑の階層と呼ばれていた。この第3階層は赤の階層と呼ばれていて、だからこの神殿のカーペットとステンドグラスの色も赤色というわけ…………いや、違うな。よく考えたら逆なのかも。


「別名の方は、ゲームをプレイしているプレイヤーが後から勝手につけたんだよね」


 つまりはこの階層が赤の階層と呼ばれているからここに赤いカーペットと赤いステンドグラスが置いてあるんじゃなくて。


「この神殿にあるカーペットとステンドグラスの色から、その階層の色の名前がついてるのかも」


 第3階層が赤の階層と呼ばれている理由は、荒野や崖、鉱山などが赤い地面や赤い岩、赤土で出来ていて実際にフィールドが赤いからというのも間違ってはいないんだろう。

 でも、もしかすると本当の理由はここにあるのかもしれない。

 プレイヤーたちに別名がつけられる前、先に作られたゲームの中のこの場所にある色こそが、その階層の色を表しているんじゃないかな。

 それが偶然にも後からつけられた別名と同じ色だったってだけであって。それか、後からつけられた別名も本当はこの場所にあるカーペットとステンドグラスの色から取ってつけたか。


「でも、ってことは非公式な名前だって話だけどこのゲームの制作・運営サイドもこの第3階層は赤色が似合っているというか、そんな風に思ってるんだな」


 私も第3階層を色で例えるなら、とか聞かれたらもちろん赤色って即答するけどね。

 もしかしたら制作サイドも、最初はこの第3階層を赤の階層って呼んでた可能性もあるし。


「ふー、それはもういいとして、だ。いよいよだな」


 私は神殿内の、迷宮ダンジョンへと繋がる階段の前で深呼吸をした。

 階段の前にはもうおなじみの看板が建てられていたけど、第3階層にもなったらもう別に看板はいらないんじゃないかなとも思う。だって皆もうこの迷宮のルールはわかってるでしょう?


 ゴッドワールド・オンライン第3階層の迷宮は地下4階構成らしい。

 第1や第2階層の迷宮よりも1階層分深いけど、広さはそうでもないって話だ。


 ただし、この迷宮でも何体か新モンスターは登場し、新たなトラップも登場するらしく。

 さらに地下に進むほど道が複雑に分かれていてまさに迷宮にふさわしいと、事前に他のプレイヤーからは聞いていたし、地下3階へ降りる階段の手前の部屋で戦うことになる中ボスも、アースジャイアントと同じくらいの強さがあるとか誰かが言ってたな。

 まあ、それが本当だとしても中ボスはたぶん問題なく倒せると思う。問題はボスだ。


「でも本当にここのボスもソロで倒したら、アイリッシュのやつがどんな反応するか、見ものだな」


 アイリッシュはもしもここのボスもソロで倒すことができたなら、以降はいつでも私にタダで情報提供してくれると言った。だからここはぜひとも頑張らなくては。

 というわけで、私はもう一度深呼吸して気合いを入れてから迷宮の中へと足を踏み入れていった。


<第3階層:迷宮地下1階>


 迷宮の地下1階は1番広いフロアではあるけどまだ道はわかりやすい方で迷う心配は皆無だった。

 出現するモンスターもほとんどこの階層でもう何度となく倒したザコモンスターが中心で、それほど危険はない。ただし、出現するモンスターの種類が多かったけど。

 デザートウルフ、グリーンスネーク、バット、ブルーリザード、スモールロック、コボルトピッケル、ロックマン、ゴブリンクレイモア、シルフ、ゴブリンガードの10体は既存のモンスター。

 そこにさらに新モンスターが2体加わって地下1階では全部で12種類のモンスターが出現する。


 新たに登場するモンスターについては、1体はもう皆わかってるな?


 そうだよ。ビッグレッドスライムだよ。

 レッドスライムのでかいやつで、レッドスライム同様に攻撃もしかけてくるけど、でも弱い。

 倒したところで当然スキルとか魔法とかくれないし、ドロップアイテムももうわかるよね。

 とにかく通路で現れるとものすごく邪魔だった。それ以上の感想もない。


 それで、もう1体の方はゴブリンね。ゴブリンハンマー。

 木で出来た槌を装備したゴブリンでゴブリンクレイモアよりも力の値が高くて、攻撃を一撃でも食らうとけっこうなダメージを受ける……のだと思うけど。


「攻撃の速度めちゃくちゃ遅いじゃん」


 プレイヤーが装備する場合と同じで、ハンマーを装備したゴブリンの攻撃速度は非常に遅く、また攻撃後の隙も大きいのでむしろただのゴブリンよりも簡単に倒せる。

 でも、たとえば他のモンスターと一緒に出現して、他のモンスターの方ばかりに気をとられて油断していると手痛い一撃をもらうこともあるので、なるだけ先に倒しちゃう方が安全か。

 でも私はゴブリンハンマーの攻撃は一度も食らわなかったけどね。


 そして私は順調にマッピングを終えて次の階へ降りる階段を見つけた。

 ちなみに地下1階を回っている時にレベルが34に上がったんだけど、この後でまたレベルアップする予定なんでスターテスはその時にね。

 でも割とすぐにレベルが上がったのはさっき荒野で鉄のマチェットによる殺戮でモンスターを狩りまくったから、それのおかげだったと思う。

 今思い返してみてもさっきのアレは恐ろしかったな。

 私はそんなことを思いながら階段を下りて地下2階へとやってきた。


 そして地下2階についてすぐ、私はこの迷宮で新たに登場するおなじみのあのトラップを作動させてしまい、見事にそれの餌食となったのだった。


<モンスター辞典>

〇ビッグレッドスライム

スライム族。レッドスライムの強化版であり巨大版。

レッドスライムと同じでプレイヤーを攻撃してくるものの、強化されても能力値がそこまで高いわけでもないので全然へっちゃら。

ただ迷宮内の狭い通路でのおしくらまんじゅうによる圧殺は絶対に回避したいところ。

弱点・耐性についてもレッドスライムと同じだけど、そんなに気にしなくても弱いから誰でも簡単に倒せるよ。

ドロップ:スライムの雫(赤)×3~4


〇ゴブリンハンマー

ゴブリン族。木で出来た槌を装備したゴブリン。

力の値がとても高く、攻撃を受けるとプレイヤーは大ダメージを受けるが攻撃速度が遅いので油断していなければ回避は容易。

力以外の能力値はそんなでもないし、攻撃後の隙も大きいので倒すのも簡単。

ちなみにゴブリンハンマーを混乱の状態異常にすると、ハンマーを振り上げた時に誤って自分の頭の上にハンマーを落として自滅することがあるらしい。あんまり知られてないんだけど。

ドロップ:木の槌


次回、まだまだ迷宮には新モンスターが登場。そして中ボスはRPGでおなじみのあのモンスター。

さらに次々回で、玲愛は迷宮ボスと対決。果たして玲愛は勝てるのか!?


↑って感じで次回予告するとさ、だいたい勝つよね。主人公なら。

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