表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第3階層―RED―
120/171

ニートな女神と初めての銅

 フレイムデビルを倒すとボス部屋の閉じられていた入口の扉が開いたが、ボス部屋内に青色のワープゲートも出現した。

 青は一方通行のワープゲートなのでつまりそれに入ってダンジョンの入り口まで一瞬で戻るか、あるいは扉から出てまだ鉱山の地下の探索を続けるのか選べるということらしい。

 ちなみに鉱山の地下にはボス部屋直前のルームにダンジョン入口まで行き来できるような緑色のワープゲートはなかったけど、これは鉱山地上よりも地下の方が階層が少なくて狭いからなんだろう。


 フレイムデビルからドロップしたものについてだけど、まずは素材アイテムとして炎の玉という中に炎が煌いて見えるガラス玉が8個手に入った。

 これはあれだな。炎の剣とか作るのに使いそうな素材だ。ゲーム内にそんな武器あるのか知らないし、まだ鍛冶のスキル持ってないからわからんけど。


 そして装備品と武器が1つずつドロップと、結構豪華だった。

 装備品の方はフレイムデビルも着ていたあの赤いフード付きのローブで体に装備する防具。


 〇炎魔えんまのローブ

 VIT+28 ING+25

 特殊効果:火属性の攻撃で受けるダメージが50%減少する。火属性の魔法攻撃で与えるダメージが50%上昇する。


「ふーん、まあ使えるかな」


 防御面においては火属性の攻撃となっているからこれは魔法攻撃だけでなく火属性の物理攻撃によるダメージも半減してくれるということなのだろう。

 さらに火属性の魔法攻撃の威力も1.5倍になるというのはなかなか良い効果だ。

 というかこれを装備していれば他のプレイヤーでもフレイムデビルを安全に倒せそうだな。

 もっとも、フレイムデビルに火属性の魔法攻撃は効かないんだろうけど。


 ただ、私は火魔法最強のスキルでもう火属性の魔法攻撃は威力100%上昇になってるし、火魔法無効の効果で火属性の魔法攻撃についてはダメージ無効になってるんで、このローブは装備する意味はほぼない。

 だからこれも欲しいという人がいれば譲って上げようかな。デザインは悪くないから売りはしない。

 まあ仮に売ってもまた簡単に手に入れられるのだけども。


「で、こっちはやつが使ってた杖か。名前は……青蛇の杖。そのまんまじゃないか」


 フレイムデビルが装備していた先端に蛇の装飾がついている長くて青い杖。

 名前もまんま青蛇の杖だったけどこの杖の特殊効果はまたちょっとすごかった。


 〇青蛇の杖

 STR+14 ING+32

 特殊効果:戦闘中、同じ攻撃魔法を連続で使用すると威力が上昇する。→(詳細表示)


「ん?、詳細表示?」


 私はアイテムの説明欄に書かれた詳細表示という部分をタッチした。するとその通りに青蛇の杖の特殊効果の詳細が表示される画面に切り替わった。

 そこに書かれていた詳細を簡単にまとめると、だ。


 まず、青蛇の杖を装備したプレイヤーは戦闘中に同じ攻撃魔法を連続で使用すると、連続で使用したその攻撃魔法の威力が上昇する。

 この連続の定義については、その前に使用した魔法(攻撃以外のものも含む)と同じ魔法というだけであり、時間的な制限はない。


 だからたとえばファイアーボールの魔法を撃ってから、1分後でも3分後でも5分後であっても同じ戦闘中であれば次に使用した魔法がファイアーボールであればファイアーボールの威力は上がるということ。

 ただしファイアーボールの後に他の種類の魔法を一度でも使用すると効果はリセットされるし、その戦闘が終了するたびにそれまで上がっていたその攻撃魔法の威力も元に戻る。

 さらに、使用した攻撃魔法が敵に命中しなかった場合でも効果はリセットされる。


 それで肝心の威力の上げ幅についてなんだけど。


「前回使った時の1.15倍か」


 前回使った時の1.15倍の威力になる、ということはだ。

 仮にファイアーボールの威力を数値化して10だと仮定すると。

 1発目のファイアーボールの威力はもちろん10だが、2発目はその10の1.15倍であり、数値は11.5だがこの場合は四捨五入されるらしいので威力は12。

 それに留まらずさらに3発目のファイアーボールの威力はその12の1.15倍で13.8(=14)という威力になり、4発目5発目もファイアーボールを連続して使い続ける限り威力はほぼ無限に上がっていく。


「中級とか上級とかの元々の威力が高い魔法なら脅威だけど、そういう魔法はリキャストタイムが長いからな」


 もしもそのリキャストタイム中に別の魔法を使ってしまったらこの威力上昇の効果は発動しない。

 思うにこの青蛇の杖という武器は、リキャストタイムが短いが威力が低めの初級攻撃魔法の威力を底上げするための武器なのだろう。


「フレイムデビルのやつの、最後の方ファイアーボール7連続とか、もしかしなくてもあれ全部受けてたらダメージやばかったってことか」


 いや、モンスターが見た目で装備しているだけでこの青蛇の杖の効果がそれを装備しているっぽいモンスターにも適応されているのかは謎だけど。

 そういえば第2階層のクイーンビーも、倒したらドロップした女王の錫杖は雷属性の魔法攻撃のダメージ増加の特殊効果がついてて、クイーンビーもその錫杖を見た目装備しているっぽかったんであの回避不能の雷落とし攻撃の威力も上がっていたのかなって思ってたけど。実際のところどうなんだろうか。


「確認する手段もないこともないけど、まあ別にそれはどうでもいいか」


 仮にモンスターが見た目装備しているっぽい武器や防具の効果が適応されているのだとしても、ようはその上で勝てれば何も問題はないのだしね。


「……さて、じゃあまあいったん出るか」


 私はドロップアイテムの回収&確認を終えたのでボス部屋内の青色のワープゲートに入った。

 すると私は一瞬のうちに鉱山の地上1階、地下1階へとつながる階段の前までワープで戻ってきた。

 ただ、この1分後私はちょっとだけ衝撃を受けたのだけど。


「あれ?、フレイムデビルもう復活してね?」


 私が採掘場の中に戻ってきた時、なんとその採掘場の道具屋の横、木箱の上に赤いローブを着たおじいさんのNPCもといフレイムデビルさんがいたのだ。


「え?、え?……でもさっき私倒したばっかじゃん。え?」


 私はそれでいてもたってもいられなくなり道具屋の横まで歩いてくると、そこにはたしかに昨日会ってというか、さっきも会ったおじいさんが木箱の上に座っていた。


「あのー、すみません」


 私がおそるおそるそのおじいさんに話しかけてみると、おじいさんは私の方を見て首をかしげた。


「はて、わしのことかのう?」


 どうやらフレイムデビルを倒しても採掘場のおじいさんはいなくなったりしないようだが。

 そもそもこのおじいさんがフレイムデビルと同一人物というか、正体である保証はそういえばどこにもないことに今気づいた。

 そう、もしかするとフレイムデビルのやつが採掘場にいたこのおじいさんNPCの姿を借りていただけという可能性もあるのだ。

 だから私は気になっておじいさんにちょっと聞いてみた。


「あの、おじいさん。フレイムデビルっていうモンスターのこと、知ってますか?」


 私も、ここでおじいさんが知らないと答えてくれれば疑うことなく今の仮説を信じられたのだけど。


「な!?、な、な、なんのことかなお嬢さん。わしはそんなモンスターのことなど知らんぞ」


 どうやら私の仮説は大外れだったみたい。

 どう考えてもこの反応はこのおじいさん=フレイムデビルということなんだろう。

 だけどそう考えるとフレイムデビルはさっき私に倒されたばかりだというのにもう復活してこの採掘場にまた人間として紛れ込んでいるということになるのだけど。

 というかフレイムデビルはそもそもなぜ人間のふりをしてここにいるのだろう。なんかさっき戦いが終わった後でそのことについて言ってた気もするけど、私あんまり楽勝だったんでちょっとため息とかついてその話聞き流しちゃってからな。


「そうですか。それならいいんですけど。あ、じゃあ私はこれで」

「お、おお」


 そしてどうやら、復活したフレイムデビルにはついさっき鉱山の地下で私に手も足もでずに倒されたという記憶はないようだった。あったら私の姿を見た時点でもっと動揺してるはずだし。


「まあよく考えてみれば通常ダンジョンのボスは復活するから、フレイムデビルがなりすましてるあのおじいさんのNPCが復活してるのもおかしくはないけど」


 それはあくまでゲームシステム的にはおかしくはないという話であって。

 私的にはついさっき倒したはずのボスがダンジョン出てすぐに復活してる姿を目の当たりにさせられてちょっと複雑な気分になった。

 いや、これもしかすると今採掘場にいるおじいさんが本物のフレイムデビルであってさっき私が地下のボス部屋で話して戦って倒したフレイムデビルはダミーだったという可能性も……ないかな?


「この後またすぐに鉱山の地下に潜ってボス部屋まで行ったらどうなるんだろう?」


 とかちょっと気になったりもしたけど、さすがにそれはやめておいた。面倒だったし。

 とにかく私は採掘場を出ると、荒野を抜けてまたグランガンの街へと帰ったのだった。


 ああ、それと道中の荒野で一応デザートウルフ相手にフレイムバーンの魔法を試してみたんだけど、やけど(小)の状態異常にはなったんだ。

 でもやけどの状態異常って、物理攻撃で敵にダメージを与えた時に発動する効果だからそもそも私がダメージを受けない限りデザートウルフにやけどによるダメージも発生しないわけで。だからフレイムバーンの魔法は思ったより使えない魔法だということがわかった。まあ別にいいけどね。


<第3階層:岩の都グランガン>


 さて、私がグランガンの街に戻ってきた時に時刻はちょうど午後2時過ぎだった。

 たしか朝の9時30分くらいにログインしてすぐに鉱山の地下に向かったからだいたい4時間30分くらいで鉱山の地下を攻略しちゃった計算になるな。

 それがソロプレイヤーが攻略するのに早いのか遅いのかは知らないけど、まあ早いほうだろう。

 なにせダンジョンボスを10分かからずに倒したからね、私。

 むしろ地下の入り組んだ道の探索、マッピングが1番大変だった気がするよ。


「うーん、そうだなぁ。鉱山のギルドクエストと採掘をやっておくか」


 ということで私は冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドの中に入り迷わずギルド掲示板の方に歩みを進めた私。

 その掲示板に張り出されたギルドクエスト一覧のうち鉱山で受けられるクエストは8件、そのうちの2件はロックゴーレムの討伐とフレイムデビルの討伐なわけで、それを後回しすると6件。


「うーん、ファイアーリザードを10体倒すクエストは後回しでいいか」


 フレイムデビル討伐のクエストを受けるときに一緒に受けることにすれば効率が良さそうだ。

 なので私はそのファイアーリザード×10を倒すクエストと先の2件を除いた5件のギルドクエストを受けることに決め、その依頼書を手に取ってギルドの受付へ。

 そして依頼を受け付けてもらった後で銀行によると、また所持金を5万ゴールドほど預けた。

 実は冒険者ギルドに来る前に武器屋によってまたドロップした武器とか売ってたんだよね。ほら、ギルクエで倒した2体目のジャイアントワームから手に入れたワームシールドとか。

 ああ、前にワームシールドを売った武器屋さんとは違う武器屋さんだったけど売値は一緒だったよ。ワームシールドは5800Gで売れた。ただその武器屋の店員さんにも驚かれたけどね。本当にこれ売っちゃっていいんですかって。もちろん迷わず売ってやったよ。

 前にも言ったけど性能うんぬんよりもデザインが気に入らないから。

 フレイムデビルがドロップした炎魔のローブと青蛇の杖は売らずに取っておいたけど。


 それで、それに加えてダンジョン攻略でザコモンスターたくさん倒して、ボスとかを倒した時に手に入る何千くらいかのお金も合わせてこの階層でなら5万くらいすぐに溜められるんだよね。


「これで預金額はちょうど50万、か」


 このゲーム内におけるお金の価値が、現実、つまり神界でのお金の価値とどのくらいの等価であるのかはわからんけど、仮に1:1だとしたなら50万あれば現実では何が買えるのだろうか。


「いや、たぶん現実で50万あったところで私は何も買わないな。生活費の足しにするくらいだ」


 きっとその倍の100万でも変わらないだろう。

 そうだな、せめて500万あればもう少しだけ良い物件に引っ越しするくらいかな?

 あ、でも。そうしたらヤヌスとは離れ離れになっちゃうのか。


 ……ん?、それは別に問題ないか。もうお互いの連絡先交換したしね。


「さて、それじゃあまた鉱山行くか」


 私は銀行で金を預け終わった後で冒険者ギルドを出た。


 それから夜になるまでの間のことについてのことは簡単に説明しよう。

 グランガンの街を出て、荒野を駆け抜けまた採掘場に行き、鉱山の地上ルートに入ってまずは引き受けた5件のギルドクエストを早々に片づけると、金のピッケル片手に鉱山の地上ルートで50回採掘を行った。

 なるだけ幅広い場所で採掘ポイントを見つけては採掘していたのだけど、どうやら鉱山の地上部分では鉄鉱石よりも赤鉄鉱という素材アイテムが高確率でたくさん採れるようだ。

 そして鉄鉱石と赤鉄鉱の他に岩石というアイテムも手に入ったけど、これってロックゴーレムがドロップした巨岩石の下位互換的な素材アイテムなのか。

 洞窟での採掘で採れた磁石鉄はここでは一切採れなかったのでどうやらこの鉱山の岩には磁気はないということがわかった。


 で、地上ルートで採掘を50回終えて金のピッケル(3代目)をぶっ壊した私は採掘場の道具屋さんで4代目となる金のピッケルを1800Gで購入。

 それから今度は鉱山の地下に向かいそこでモンスターも倒しつつ採掘を行っていたのだけど。


 鉱山の地下では鉄鉱石、赤鉄鉱、岩石の他に低確率だが銅鉱床という素材アイテムも手に入った。

 たしかグランガンの街にあったストーンショップに売っている素材アイテムの中では最も高価なものだったと思うのだけど、まあつまりは銅の塊だった。

 おそらく鍛冶のスキルを手に入れたらそれを使って銅シリーズの武器なり防具なりを作れるようになるのだろうけど。地下で50回採掘を行って銅鉱床は24個しか手に入らなかった。


「うーん、銅鉱床はもっと集めておいた方がいいんだろうか。でもな、採掘してもなかなか手に入らないし金のピッケル代も馬鹿にならないんだよな」


 ということでとりあえず鉱山の地下でも採掘は50回行ったところで買ったばかりの4代目金のピッケルをまた壊すと、地下から地上へと戻り採掘場の道具屋で5代目金のピッケルを買った。

 その時点で時刻は午後4時30分過ぎ。この階層の日没まであと1時間30分というところ。

 それから私は採掘場を出てまた街へと戻り、冒険者ギルドで引き受けたギルドクエスト5件の報告を済ませて報酬をもらうと、その後で一旦ログアウトした。


 現実世界で目が覚めた私は、今日はちょっと早めに夕食を取ろうとベッドから起きて服を着替えると、近所のファミレスへと向かった。

 そしてファミレスで料理を注文し、待っている間に私は鞄からスマホを取り出してメールのチェックやここ最近のニュースなどを確認していたのだけど。


「……ん?、SORSの元メンバーであるスクルドを見た?」


 検索ニュースサイトのかなり下の方にその記事を見つけた私。

 記事の内容は神界にかつてあったアイドルグループ、SORSの元メンバーで唯一行方がわからなくなっていたメンバーのスクルドを偶然にも発見したというもの。

 記事には写真も添付されていたが、どうにも画質が悪くさらにスクルドだと言い張るその女神も変装していたのかそれがスクルド本人なのかどうか判別はつかなかった。

 だからネット上ではその記事は8割ガセネタだと言われているようだがSORSのファンたちのうち何人かは間違いなくスクルド本人だと言う者もいてちょっとだけにぎわっていた。


「だけどもこのスクルドが撮影されたっていう場所、うちの近所じゃね?」


 そう、私が1番注目したのはそこだった。

 そのニュース記事のスクルド(らしき女神)が撮影された写真の場所は、私の住んでいるアパートのすぐ近くの公園だったのだ。撮影日は1週間ほど前とあったが。


「うーん、この写真だけじゃやっぱりわからんよ。でもどっちにしろもう芸能界も引退してるんだし、ほうっておいてやればいいのに」


 というかもうこれ肖像権とかプライバシーの侵害になりそうだな。

 まあスクルドはもうアイドルではなく一般神いっぱんじんで、スクルド本人がこの記事に気づいていないか気づいた上で訴えを起こさない限りは神界では裁判にはならないしな。

 私がそんなことを考えながらスマホの画面とにらめっこしていたらそこで料理が運ばれてきた。


 料理を食べ終えた私は、会計を済ませるとまたアパートへと帰ってきたのだったが、階段を上がったところで私の左隣の部屋、つまり202号室の扉が開いたことには驚かされた。

 だって202号室って空き部屋だったはずだからね。


「あ、大家さん」

「おや、アストレアさん。今お帰りで?」

「は、はい」


 202号室から出てきたのはこのアパート『はしくれ荘』の大家さんである優しいおじさん、ルフタさんだった。ルフタさんは手に箒とちりとりを持っていてどうやら部屋の掃除中だった様子。


「お部屋の掃除ですか?」


 私がそのことを尋ねるとルフタさんはこう答えた。


「ああ、まあね。実は新しい住人が入ることになって」

「え?、202号室にですか?」

「そうだよ。アストレアさんにとってはお隣さんになるから、まあ入ったらよろしく頼むよ」


 なんと、私の隣の空き部屋に新たな住人がやってくるとは。

 まあでもきっとその神も、『はしくれ荘』に住むくらいなんだからマイナーな神に違いない。


「男の人ですか?」

「ううん、違うよ。若い女神。たぶんアストレアさんよりも若いんじゃないかな」

「へえ。いつこっちに引っ越してくるんですか?」

「ああ、5日後だって言ってたよ」

「名前は?」

「それは引っ越して来た時に挨拶にくるだろうから、本人に聞きなよ」


 それもそうか。にしても5日後ってまた急だな。

 しかもこの夏の終わりのタイミングでこんなボロアパートにわざわざ越してくる若い女神って、ちょっとどんな奴なのか気になるところではある。

 でも、5日後に越してきたら隣の部屋の住人である私に挨拶に来るかもしれないからその日はゲームをしないでおくか。VRゲーム中に部屋を尋ねられても応対できないからね。


 それからまた部屋の掃除に戻ったルフタさんに労いの言葉をかけると私は自分の部屋へと戻ってきた。


「うーん、6時過ぎか。ゲーム内ではもう夜になってるけど……シャワーにしよう」


 私はさっき着替えた服をまた脱いでシャワーを浴びてから、寝間着に着替えなおすとベッドの上へ。

 スマホを充電器にぶっさすとゲーム機を頭に装着して電源を入れた。

 夜限定の住人クエストを片づけたら今日はそのまま夜通しプレイでレベル上げでもするかな。


<神様の紹介>

〇ルフタ

下界ではケルト神話に登場する男神で『技術』をつかさどる。

神界ではアストレアたちが住んでいるボロアパート『はしくれ荘』の大家さんでもあり、『はしくれ荘』の他にも実はあと2つほどアパート経営をしている優しいおじさん。

元々はヘルメスの経営するリサイクルショップの商品開発および工場経営を担当していたが今はもう引退し現在はアパート経営と内職によって慎ましやかな生活を送っている。

趣味はビリヤードで週末はよく神界のビリヤード場に顔を出している。ちなみにバツイチ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ