表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第3階層―RED―
106/171

ニートな女神と初めての採掘

玲愛はゲーム内でストレス解消手段を手に入れる。

 それから私は冒険者ギルドを出ると洞窟へ戻る前にこの街の武器屋さんによって売るものを売ってしまおうと考えた。

 グランガンの街には武器屋が3つあったけど冒険者ギルドからもっとも近い武器屋さんまで私はやってきた。そして店の中に入ると店内には男性プレイヤーが2人いて、店員さんのNPCと何かを話してる様子だった。だから私は2人の話が終わるまでは店内を見て回ることに。


 第3階層の街の武器屋で売っている武器はもちろん第1階層の武器屋で売っているアイテムよりも性能が良いものも売っていて値段も高かった。

 そうだな、たとえば片手剣のカテゴリだけで1つ例にあげておくと。


<第1階層の普通の武器屋の品ぞろえ>

 鉄の剣・銅の剣・鋼の剣 


<第1階層の隠れた名店の品ぞろえ>

 鉄の剣・銅の剣・鋼の剣・銀の剣


<第2階層の普通の武器屋の品ぞろえ>

 銅の剣・鋼の剣・銀の剣


<第3階層の普通の武器屋の品ぞろえ>

 鋼の剣・銀の剣・金の剣


 以上の情報からいくつかのことが推察できる。

 まず、その階層のその街にある隠れた名店というお店でのみ売っている、他の普通のお店にはないちょっと性能のいい武器や防具も、次の階層にある普通の武器屋で売られているらしいということ。


 たとえば上記の銀の剣という武器。私も第1階層の始まりの街にあるあの隠れた名店で買って、序盤の方で使っていたものだが、それは第1階層の普通の武器屋には売られていなかった。

 しかし第2階層のフローリアの街の武器屋には普通に売られていた。


 私はフローリアの街では隠れた名店は探してもいないけど、もしもフローリアの街にもそれがあったならおそらくその店では金の剣が売られていたのだろう。


「それなら隠れた名店とか、あんまり探す意味もなさそうだけど」


 でも、その階層を攻略する上で少しでも良い性能の武器や防具が手に入るというならそういうのを探すプレイヤーも多いとは思う。たとえそれが次の階層にある街で普通に売られているものなのだとしても。


 そして、武器の名前と性能を見ていてもう1つだけ思ったことがあった。


 銀の剣 STR+20 特殊効果なし 600G

 金の剣 STR+24 特殊効果なし 850G


 この店で売っている最も性能の良い片手剣は金の剣だ。

 そしてこのお店は街のマップにも最初から記されている普通のお店であり隠れた名店ではない。

 では、もし仮にこの街にも隠れた名店があったとしたらそこで売っている武器は、もっというなら金の剣よりも少しだけ性能の良い片手剣とはどんなものなのか?


「あ、もしかして金シリーズの次って……」


 私はなんだかんだでまだ売らずに取っておいたアイテムボックス内にあったとある武器の詳細を確認してみた。


 〇白金の剣

 STR+28

 特殊効果:なし


 ……間違いない。金の剣の次に性能が良い片手剣は白金の剣だな。

 もっというなら金シリーズの次に性能がいいシリーズものの武器防具は白金シリーズだということ。


 私はもう白金シリーズの武器と防具類は一式すべて持っている。

 いや、もう忘れている人もいるかもしれないけどあれだよ。第1階層のあの洋館クエストで、クエストクリア後のおまけの謎ときでさ、洋館の地下室でボスゴキブリ3体と戦ったじゃん?

 それでボスゴキブリたちを全部倒したらその後で洋館の地下室においてあった宝箱の中に入ってたんだよ。どうだろうか、思い出した?


 それまで私が使っていた銀シリーズの装備よりもかなり性能が良かったんでドラゴン倒すまでは装備してたんだけどもさ。

 でも、この先の階層の店でも普通に買える装備品だったのなら売ってしまってもいいかな。


「うーん…………お、あの2人がいなくなってる」」


 というところで私はグランガンの街の武器屋の店員さんに話しかけた。

 この店の店員さんは若い男の人だったけどこの街の住人の男性NPCにしては細身だった。

 いや、そんなことはどうでもいいか。とりあえず装備の売却を済ませないと。


「あの、いくつか装備品を売りたいんですけど」

「はい」


 私はゴブリンたちからいただいた木製の武器や、コボルトサーベルが落とした鉄のサーベルなどをまとめて全部売り払った。

 そして最後に私はジャイアントワームがドロップした例の盾、ワームシールドを売ろうとしたんだけど。


「え、この盾ってまさか」

「ワームシールド。売ったらいくらになります?」

「お、お、お客さん。でもこの盾って、え、あれ?」


 ああ、そうか。この店員さんもワームシールドという盾は洞窟のボスモンスターであるジャイアントワームから低確率でドロップするレアアイテムだということを知っているんだな。

 そういや第1階層の隠れた名店の店主のおじいさん、バイロンさんって言ったっけ?

 バイロンさんも私が狼のストラップとか売りに行ったらそれがレッドウルフからドロップするアイテムだって知ってたし。


「もちろんジャイアントワームからドロップしたんですよ。でも、私の趣味じゃないから売ろうと思って」

「しゅ、趣味じゃない、ですか」

「性能がいいのはわかってるんですけどデザインが気に入らないっていうか」

「え、そんな理由で?」

「だからとっとと値段つけて買い取ってよ。私この後も予定詰まってるんだけど」

「あ、は、はい。えっと、それじゃあワームシールドをお1つですね」


 まあ私がこのお店にワームシールドを売ったら、このお店にはワームシールドが1個だけ売りに出されることになるんだろうけど。欲しいプレイヤーがいたら買うんだろうな。いくらで売られることになるのかは知らないけどもさ。

 だけど、普通はモンスターからドロップしたレアアイテムって店で売ったりしないんだろうな。そもそもすごく低確率で落とすレアアイテムだろうから普通に倒して手に入れること自体稀なんだろうし。

 私は倒せば100%の確率で手に入るから忘れがちなんだけど。


 それで、気になるワームシールドのお値段はなんと5800Gだった。うん、まあいいところかな。


「じゃあそれで売ります」


 私はそれで5800Gと引き換えにワームシールドを売った。

 まあまた後で欲しくなったり、必要になったら面倒だけどジャイアントワームをもう1回倒しにいけば手に入るんだし別にいいだろう。


「ありがとうございました!」


 店を出るときに店員さんがなんか全力でありがとうございましたって言ってきたよ。

 うん、まあレアなアイテムを売ってもらえて店側としても大喜びだってことなんだろう。


 ちなみに詳しいことは私も知らないんだけどもさ。


 なにもお店は、プレイヤーの売ったアイテムが全部在庫というか、それ以降そのお店で以前にプレイヤーが売ったアイテムが商品として売りに出されるわけではないのだと思う。

 第1階層のあの隠れた名店で、私はゴブリンたちから手に入れた木製シリーズの武器をいくつも売ったんだけど、その次に店に訪れた時に店内にそれらが飾られてる様子はなかったし。たぶん置いても売れないと思ったんだろう。木製の武器って本当に使えないからね。


 だってたとえばゴブリンソードが落とした木の剣ってアイテムあったじゃん?

 あれもちろん武器で片手剣だったんだけどもさ。


 〇木の剣

 STR+5

 特殊効果:なし


 でもゲーム開始時にプレイヤーが初期武器で片手剣を選んでいたら最初は鉄の剣っていうアイテムを初期装備で持ってたでしょ?


 〇鉄の剣

 STR+10

 特殊効果:なし


 これでわかったよな?


 つまりは木の〇〇っていう武器はどれもプレイヤーの初期装備以下の性能しかないんだ。

 いや、もうそのカテゴリの武器の中で最弱の装備だと言ってもいいかもしれない。

 たぶんだけど私以外のプレイヤーも全員ゴブリンたちを倒してこれらの木の〇〇っていうアイテム手に入れたら迷わず武器屋で売っていると思うんだ。持ってても使わないし、アイテムボックスの容量を圧迫してるだけでしょう、こんなの。

 木の〇〇って武器を装備して戦ってるのなんて某動画サイトとかにこのゲームの実況動画で最弱装備でゲームを攻略してみた、とか俗にいう縛りプレイをやってるやつくらいだと思うよ。

 っていうかもうそれをしたい人のためのアイテムって気さえしてくるな。


「わざわざ弱い装備でゲーム攻略なんて、私には理解できないけど」


 私はそんなことを言いながら街の門を目指して歩いて行った。


<第3階層:岩の都グランガン:冒険者ギルド内>


 それで、私はまた洞窟に戻って4件のギルドクエストを達成するとまた街の冒険者ギルドまで戻って来て依頼達成の報告を済ませた。

 時刻は午後2時前、昼食は別にいいか。このまま今日は住人クエストの方をいくつかやっておこう。


「お、ちょうど採掘のスキルが報酬でもらえるクエスト今誰も受けてないじゃん。ならこれ先にやろう」


 この階層にある住人クエストの中だったら、たぶんそのクエスト割と人気ある方だと思うから。

 人気があるっていうのはあれね、つまり多くのプレイヤーが受ける可能性の高いクエストってこと。


 クエスト名は『助手が欲しい!』。


 なんかクエスト名が切実というか、本当に依頼書みたいだったけど。


 クエストを受ける条件は1人であることと、依頼を受けられるのは昼の間だけだということ。

 もしも依頼を引き受けて依頼主に話を聞いた後で依頼達成までの間に夜になってしまったら依頼は失敗となる。第1階層のゴミ山クエストとほぼ同じだな。日没までという制限時間つきのクエスト。

 具体的にどんなことをするクエストなのかは依頼を受けてから依頼主に聞くことになる、と。


「この階層は午後6時で夜だけど、さすがに今から受けて依頼達成に4時間以上かかりはしないだろう」


 ということで私はまず『助手が欲しい!』のクエストを受けることにした。


 それで結果から言うとこのクエストは1時間足らずで終わったよ。採掘のスキルも無事もらえた。

 そしてクエスト内で採掘スキルの使い方についてレクチャーも受けたんでもう完璧。


 クエストの依頼主はこの街に住んでいる男の人で、男の人は採掘士という職業らしい。

 採掘士というのは文字通り地面や岩を掘って採掘をする職業で、採掘した岩などを工場などに売りに行って得た金で生活していると。

 だけども1人で採掘して手に入れられる岩などの量は少なくて稼ぎは少ない。だから日雇いでいいので助手をやとうことにした、と。


 そして驚いたことにこのクエスト、依頼主の人にまずクエスト開始前に採掘スキルとあるアイテムをもらえるのだが、そのまま依頼を達成することで採掘スキルがそのまま報酬としてもらえるという流れのクエストだった。

 おそらく途中でクエストが失敗に終わったらそこで最初にもらった採掘スキルは消滅してしまうんだろうけど。


 〇採掘Ⅰ

 フィールドおよびダンジョン内に存在する採掘ポイントで採掘を行うことができる。

 アイテムカテゴリが[ピッケル]に分類されるアイテムを所持していないとスキルを使用することは出来ない。


 そしてクエスト開始前に渡されたアイテムというのがピッケルだった。


 〇普通のピッケル

 どこにでもある普通のピッケル。採掘スキルを使用するのに必要。

 ITP:10

 使用可能回数:10回


 それで、どこから説明したものかな。


 まず採掘というスキルを使うにはピッケルというアイテムが必要不可欠だということはわかったよね。

 このピッケルというアイテムは主に道具屋さんで売っているのだとか。

 そして[ピッケル]というカテゴリに分類されるアイテムは1プレイヤーにつき1個だけしか持てないのだという。


 プレイヤーがピッケルを所持している状態でフィールドやダンジョンに出ると、そこで赤い▽マークが表示されている場所を見つけることができる。

 その赤い▽マークのある場所こそ採掘ポイントであり、プレイヤーはこの採掘ポイントで採掘のスキルを使用することができる。


 採掘ポイントにたどりついてプレイヤーがそこにある赤い▽マークに手を触れると、プレイヤーの眼前にこのような画面が現れる。


『ここで採掘を行いますか?』

『はいorいいえ』


 そしてここでさらに画面の゛はい゛のボタンをタッチすると採掘がはじまる。

 プレイヤーの両手に装備されていた武器や防具がいったん消え去り、代わりにプレイヤーが所持していたピッケルがプレイヤーの手の中に握られる。

 そして、この採掘スキルを使用している最中はプレイヤーはモンスターに襲われることはない。

 ただしもちろんモンスターと戦闘状態にある時は採掘スキルは使用できず、モンスターと戦闘中は赤い▽マークも視界から消える。


 採掘は、簡単なミニゲームのようなものだった。

 ピッケルを両手で持ってただ採掘ポイントの地面なり岩石に向かってピッケルを何回か振り下ろして当てるだけ。するとそれが終わった後で採掘は終了しプレイヤーの手からはピッケルがなくなり(アイテムボックス内へ移動)代わりに元々装備していた武器や防具が手元に戻ってくる。

 そして行った採掘の結果を知らせる画面がプレイヤーの眼前に表示される。


『採掘成功!』

『以下のアイテムを入手しました。』

『鉄鉱石×3』


 あ、もちろん上のは一例だよ。

 採掘の結果もらえるアイテムの種類や数は採掘を行ったポイントと、プレイヤーの運の値、プレイヤーの採掘スキルのスキルレベル。そしてもう1つ採掘する時に使ったピッケルの性能によって決まるらしい。

 ピッケルの性能とは何か、それはさっき普通のピッケルの詳細にも書いてあったITPというものの数値のことだ。


 ITPは、ITemPowerの略でまあ直訳すると道具力というか。

 わかりにくければそのアイテムの性能ってことでいい。ITPの数値が高い=性能が良い。

 そして採掘スキルを使用する時はこのITPの数値が高いピッケルを使うと、採掘終了後に手に入るアイテムが豪華になったりするということ。


「えっと、採掘についてはなんとなくわかりました。つまりピッケルを持っている状態で採掘ポイントに行って、あとは普通にピッケルを振り下ろしていればそれが終わった後でアイテムが手に入ると」

「そういうことだ」


 私はクエスト開始前、依頼主の男性NPCから採掘スキルの簡単な説明を受けた。


「それとあとこの、ピッケルの説明欄にある使用可能回数っていうのはなんですか?」


 もう1つ、採掘というかピッケルというアイテムについて説明しておこう。

 ピッケルにはそれぞれ使用可能回数というのが定められていて、たとえば普通のピッケルであればそれは10回とあった。使用可能回数というのはつまり文字通りの意味でそのアイテムを使うことができる回数のことだ。

 だから普通のピッケルは10回使用するとそれ以上はもう使えなくなるというか、まあ10回使用すると壊れてしまい消滅してしまうのだ。


「消滅したらどうすればいいんですか?」

「また店で新しくピッケルを買う。この繰り返しだ」

「ええぇ~」


 本当に面倒な話だと思った。

 だってピッケルは1つだけしかプレイヤーは所持できないから、原則的に使っているピッケルが壊れたらまた新しいピッケルを手に入れるまでは採掘はできないということになる。

 ああ、使用可能回数が無限とかいうピッケルが欲しいな。きっとゲーム内のどこかにはあるに違いないのだけど、でもそれを手に入れるまでは私は定期的にピッケルを買いなおす必要があるということに。

 でも、よく考えてみたら私、別にそこまで採掘のスキルを使いたいってわけでもないしな。


「それで私は何をすればいいんですか?」

「おう。これから俺と一緒に荒野フィールドに出て採掘だ。あ、言っておくが俺は弱いから道中のモンスターやなんかの相手はお前に任せる」

「え、ええぇぇぇ~」


『助手が欲しい!』のクエストは護衛クエストでもあるようだった。

 でもこのクエストって受けるとき人数1人だけって制限あったと思うんだけど。

 もしかして意外と難易度高めのクエストだったのかな。

 多くのプレイヤーが受けそうなクエストだったからてっきりクエストの難易度も低めなんだろうと思っていたんだけど。いや、1人で護衛クエストって本当に大変だからさ。


 私たち2人はそれから荒野のフィールドにやってきた。

 依頼人の男性は本当に弱くて、というかそもそも戦闘に参加すらしなかった。

 ただフィールドにはちゃんといてモンスターにも襲われるんで私は依頼人を守りながらモンスターをなんとか倒しつつ、荒野にあった採掘ポイントで採掘を行った。


 採掘はなかなか楽しかったよ。ただ無心になってピッケルを振っていてさ。

 地面とか岩石とかにピッケルをガンガンぶつけてさ。ストレス解消にもなったかな。


 それでこのクエスト、先に手渡された普通のピッケルの使用可能回数である10回私が採掘を行えばそこでどうやらクエストはほぼ終わりだったみたい。だから割とすぐ終わったんだけど。短時間で終わるからこそ低難易度のクエストだったのか。

 普通のピッケルは私が10回目の採掘を終えた直後に柄の部分からぽっきりと折れて、壊れてしまい、モンスターと同じように光の粒子となって砕け散ったんだけど。


「どんな理屈でそうなったんだよ、ってね」


 ただそれ以前の話で、私は助手として依頼人の男性についてきたはずなのにこのクエストの最中に依頼人の男性が採掘をしている姿は1度も見かけなかった。いやお前もちゃんと働けよ。何私だけに仕事押しつけて採掘やらせてんだって言いたかった。言わなかったけどさ。


 私は依頼人の男性を守りながらまたグランガンの街まで帰ってくると、門をくぐって街の中に入ったところで私の眼前にクエスト成功の文字が。

 そして私がこのクエスト内の採掘で入手した素材アイテムをすべて依頼人の男性に譲渡する。


「おう、今日はありがとうな。お礼にその採掘スキルはそのままあげるよ」

「あれ?、ピッケルの方は?」

「そいつは道具屋に行って自分で買うんだな」


 いや、うん。それならそれで別に構わなかったんだけどね。

 それでまた依頼人の男性の家の前までやってくるとようやく依頼人の男性とはお別れ。それから私は冒険者ギルドに行って依頼達成の報告を済ませた。


「でも、これで私も採掘スキルが手に入ったぞ。よし、道具屋に行くか。まずピッケル買わないと」


 私は冒険者ギルドを出るとこの街の道具屋に向かうのだった。

 あ、ついでに素材アイテムもいくつか売っておこうかな、この際だし。


 でも、さっきのクエストってなんで1度に1人しか受けられなかったんだろう。

 別に1度に大量に助手を雇っても良かったんじゃないだろうか。

 あと、なんで夜には受けられないクエストだったのかということも謎のままだった。

 単にクエストの難易度を調整するためだったのか、それとももしかして採掘って、昼間にしかできないのかな。採掘のスキルについてあの依頼人に説明された時には、そんなこと言ってなかったと思うけど。


「まあいいか、もう終わったクエストだし」


 でも、やっぱり護衛クエストは人数に制限がない限り誰かとパーティ組んでやった方が安全にクエストを進められるよね。

 さすがの私も依頼人のことを守りながら1人で複数のモンスターを相手取るのは厳しいから。

 そういや第2階層でもライトヒールの魔法が報酬になっていたクエストは護衛クエストだったんだっけ?

 ライトヒールはゲーム序盤では貴重な回復魔法だから、あのクエストを受けるプレイヤーも多かったんだろうけど。


「プレイヤーにとって有用なスキルがもらえるクエストも、難易度が高めってことか」


 もちろんすべてがそうだというわけじゃないんだろうけどね。

 でもこれからこの階層の住人クエストもやっていく中でクエストの難易度を推し量る1つの指標にしてもいいかもしれない。そしてそれはこの先の階層にあるクエストについても言えることだな、きっと。


<街の紹介>

〇グランガン

別名岩の都とも呼ばれておりその名の通り街にある建物は石やレンガ造りの建物が多い。

街全体としては工業が盛んであり、工場などもあるので工場見学などが好きだというプレイヤーは1度覗いてみるといい。

ただ、工場の煙突から黒い煙がもくもくと出ているため他のフィールドに比べると街の空は少しだけ汚いように見える。そんなに酷いわけでもないのだが。

街は工場などが立ち並ぶ工場区と、NPCたちの住んでいる家がある住宅区に分かれていてその分かれ目として街の中央には川が流れていてそこに橋がかかっている。橋の向こう側が工場区、こちら側が住宅区という具合に分かれているよ。

ちなみにその川も、どこかの工場から工業排水が流れているせいかちょっと汚い。

あと街の住人たちも、暗い性格の人もそれなりにいたりしてプレイヤーの間ではこの街はあまり良くない、少なくとも住みたいとは思わないとの評価を得ている。


事実として第1から第5階層にある街の中では、第3階層のこの街にホームを購入したというプレイヤーが第1階層の始まりの街に次いで少ないというデータもあるようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ