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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第3階層―RED―
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ニートな女神と初めての虫

本当は爬虫類族っていう種族も作ろうとは思ったけどやめました。

別に爬虫類が嫌いってわけでもないんですけど、生物学的にあまり細かい区分でくくるとゲーム内でその種族のモンスターだけ極端に種類が少なくなってしまうのを防ぐためです。

 洞窟ダンジョンはプレイヤーがゲームで2番目に挑戦することになるだろう通常ダンジョンだ。

 プレイヤーによってはこの洞窟を無視して先に鉱山の方へ挑戦するやつもいるかもしれないけど、でも多くのプレイヤーは基本全部のフィールドとダンジョンに1度は挑戦するはずだ。

 第2階層のゲーム内最初の通常ダンジョンである森と比べると、森には恐ろしく強いフォレストベアが存在していてけどこの洞窟にはそういった強いザコモンスターは出現しない。

 だから難易度でいうならこの洞窟の方がむしろ低いと私は思っていた。


 さらに言うと、ダンジョンのボスモンスターとの戦いについても、少なくとも私はジャイアントワーム戦よりはクイーンビー戦の方が苦戦させられたと思う。

 クイーンビー戦と違ってジャイアントワームとは1対1で戦うからそう感じただけかもしれないけど。

 ジャイアントワームにはクイーンビー戦で同時に出現したキラービー×10みたいな攻撃を替わりに受ける盾要員の取り巻きのモンスターはいなかったから。


 ただ、それで簡単に倒せたのかと聞かれるともちろんそうではなかった。


「でかいし体力も多いな」


 ジャイアントワームのHPは250%と大ケージ2本と半分というところ。

 ちなみにHPケージって実は1本でどのくらいとか決められているわけではないみたい。

 たとえばあの大ケージ1本でモンスターのHPを500だとか1000だとか決まってはおらず、モンスターのステータスの値は正式なところは知らないがあのHPケージはあくまで目安とのこと。

 だから同じ長さのHPケージを持つモンスターでも実際の体力の数値は違っていたりすることもあるのだとか。


 ジャイアントワームの見た目はピンクと紫色が交互に合わさったような1本の長いミミズで頭部にはぱっくりと開かれた口と、あと閉じられているが目のようなものもあった。

 ただ何よりもこいつは直径5メートルはあるかという太さに体の長さが30メートルはあって、とにかくでかかった。


「攻撃は簡単に当てられそうだけど、昆虫族なら昆虫殺し(インセクトキラー)のスキル効果で物理攻撃もある程度は効果がある、か?」


 このゲーム内では虫の姿かたちをしたモンスターはおおよそすべて昆虫族という種族に分類される。

 厳密に言うなら昆虫というのは節足動物という分類の昆虫類という細かな区分けであって、他にも多足類や甲殻類などの区分けもあるの。だけどこのゲーム内ではそれらを全部まとめて昆虫族としている。

 クモもムカデも蝉もトンボも、果てにサソリのモンスターでさえも昆虫族らしい。


 あと、このゲーム内には両生類族とか、爬虫類族などという種族もない。

 だから現実の生き物図鑑などでそれらの種族に分類される生物の姿かたちをしたモンスターもこのゲーム内では別の種族(水族や獣族)に分類されている。

 この洞窟内でも出現するブルーリザードなんて、見た目はトカゲであってトカゲっていうのは本当は爬虫類なんだけどゲーム内では獣族に分類されてたし。


 コウモリの姿をしたバットも、コウモリは現実だと哺乳類だけど翼があって飛行するタイプのモンスターはだいたいが鳥族に分類されるらしいし。


「そういやモンスターの種族って全部でいくつあるんだろう。まだ私が1度も出会ってない種族のモンスターとかも、まだまだいそうだな」


 昨日私が遭遇した巨人族のモンスター、アースジャイアントのように。


「っと、言ってる場合じゃなかったな」


 そして私とジャイアントワームの戦いが始まった。

 先に言っておくとジャイアントワームも私の読み通り昆虫族のモンスターで、だから私の持っている昆虫殺しのスキル効果が適応された。

 昆虫殺しの効果は、まあもう知っていると思うけど私が昆虫族のモンスターに対して物理攻撃で与えるダメージが25%上昇するというもの。


「スラッシュ!」


 そして剣先から衝撃波を飛ばすスラッシュの技も物理攻撃。

 さらに装備しているドラゴンソードの効果で私は物理攻撃で与えるダメージが20%上昇しているので結果からいうとジャイアントワームに対しては私は物理攻撃でかなりのダメージを与えられるのだ。

 スラッシュの一撃によってジャイアントワームのHPは20%ほど削れた。


「見た目やわらかそうだけど意外に耐久が高い?」


 ミミズの体はグネグネと動きやわらかいのでダンジョンのボスモンスターといえど耐久は低いのかと思っていたら案外そうでもなかったというか、正直今の一撃でももう少し削れるかと思っていたんだけどね。


「うわ、あっぶな!」


 そしてジャイアントワームの攻撃。

 まずは長いしっぽをこちらに向けて振り回してくる攻撃。

 ただこの攻撃、こちらの胴体を薙ぐようにしかけてくるので地面に伏せれば簡単に回避できる。

 しかし、もしもそこで地面にふせてしまうとその後すぐに戻ってきたしっぽが今度は上から下に振り下ろされて地面にいるプレイヤーを押しつぶそうとしてくる。


「ドッジロール!、ギリギリだったな。速度はそんなでもないけど体がでかいから回避がむずい」


 私はなんとかドッジロールで緊急回避に成功し押しつぶし攻撃も回避したけど、これ怖いわ。


「ファイアーボール!……火が効かないのか?」


 続く私の反撃でファイアーボールを胴体に撃ち込んだけどダメージは軽微だった。

 そして逆にジャイアントワームはそれで口からこっちに向かってファイアーボールを放ってきた。

 私はまさかの魔法攻撃にも驚いたけど何よりもそのファイアーボールが1度に口から5発も放たれてしかも通常のファイアーボールよりも高速でこちらに飛んできたことに驚かされた。


「ミミズが火を吹いたっていうか速い!!」


 私はとっさのことで判断が遅れそれで放たれた5発のファイアーボールのうち3発を食らってしまった。さらにはこの火の玉、なんか普通のファイアーボールよりも盛大に爆発したんだけど。

 ただ、たしかに爆発したはずなのに私にはダメージはなかった。理由はもうわかってると思うけど。


「第3階層が赤の階層って呼ばれてて良かった。レッドスライムにはもう本当に感謝だよ」


 レッドスライムからいただいたスキル、火魔法耐性(現:火魔法無効)のおかげで私は火属性の魔法攻撃によってはもうダメージを受けない。

 まあ別にレッドスライムが出現するからこの階層の通称が赤の階層って呼ばれてるわけじゃないんだろうけどもね。むしろ逆なのかもしれないし。


「ミミズだし土属性にも耐性ありそうだな。いいや、全部1回ずつ試そう」


 私はウィンドステップで敏捷を強化するとボス部屋をぐるぐると回りながら隙を見てジャイアントワームに各種属性の魔法を撃ち込んでいった。

 結果、どうやら水属性が弱点みたい。火と土、闇属性に耐性ありってところかな。


「なら、攻め方は決まったな。ファイアーステップ!、水流斬り!」


 ファイアーステップによって力を強化してからの弱点属性である水属性での物理攻撃。

 それが見事に決まるとジャイアントワームのHPを一気に40%ほど削れた。

 そしてこの時点でジャイアントワームの残りHPは150%を切っていた。


 蝶々の短剣を投げつけて何度も命中させているけど一向に何の状態異常にもならなかったのでジャイアントワームは少なくとも毒と麻痺と眠りにも耐性があるらしい。

 やっぱりボスモンスターには基本的に状態異常は効かないのか。


 でも、第1階層の迷宮のドラゴンは毒の状態異常になったと思うんだけど。

 あれは私のポイズンの魔法で放った毒液がちょうどドラゴンの顔というか、口の中に奇跡的に入り込むような形で命中したせいなのかもしれないけど。


「ならちょっと、試しみようか」


 私はジャイアントワームからいったん距離をおいた。

 離れた位置にいるプレイヤーに対してはジャイアントワームはさっきの口を大きく開けて高速5連弾ファイアーボールの魔法攻撃をしかけてくる確率が高いということを私はすでに学習済みだった。

 だからジャイアントワームが口を開けようとした瞬間に即座にまた接近してポイズンの魔法による毒液を口の中に命中させたらなんと本当に毒(小)の状態異常にすることに成功した。


「体の中までは防げないってか?」


 ドラゴンもそうだったけど、ボスモンスターで特に体が大きいものは体の部分によってそれぞれ能力値が個別に設定されていることがある。

 ビッグポイズンスパイダーもクイーンビーも、ゴーレム系のモンスターも昨日戦ったアースジャイアントもそうだった。ジャイアントワームに関してはおそらく頭部、胴部、尾部の3か所で微妙に能力値にばらつきがあるんだろう。


 胴部がもっとも攻撃を当てやすいのだが最も耐久が高く物理攻撃の効きが悪い。

 逆に頭部は耐久は低いが賢さが高いので魔法攻撃が効きにくい。まあ頭部の賢さが高いというのはある意味で納得できる部分もあるんだけど、ミミズって脳とかあるのかな?


 毒(小)の状態異常になった影響か知らないけどジャイアントワームはそれでなんか怒ったのか体をのたうちながら攻撃速度が全体的に加速した。

 もともとの本体の移動速度はそこまで速くなかったんだけどこれがまあジャイアントワームの第2段階ということなんだろうか。


「水流斬り!、ウォーターランス!」


 胴体に水流斬り、しっぽにウォーターランスを命中させるといよいよジャイアントワームはぶちぎれた。この時点で残り体力は70%程度。私の体力はほぼ減っていなかったけどこれは戦闘中まったくダメージを受けなかったわけではない。

 私だって回避が間に合わずに攻撃を食らってダメージを受けることもあったが、でも直後に物理攻撃で大ダメージを与えることでHPドレインⅩのスキル効果によって受けたダメージのほとんどを回復できる。ジャイアントワームは体が大きいから攻撃して外すなんてことまずないからね。


 私は思う。もしもHPドレインⅩのスキル効果が魔法攻撃にも適応されるようになったとしたらそれで私はもう半分以上無敵になれるだろう、と。あるいは不死と言い換えてもいい。


「怒りで体が赤くなった!」


 ぶちぎれたジャイアントワームは体色を全体的に赤く変えるとそれからなんと地面に大穴を開けて地中にもぐってしまった。ジャイアントワームの巨体が穴の中に消えていきボス部屋の中に1人ポツンと残された私。


「あれ?」


 と、私が不思議に思ったのも束の間。その直後に私の真下の地面から突き上げるようにして飛び出してきたジャイアントワーム。大きく開けた口に私は体を半分以上食われて大ダメージを受けた。さらにその後で口から離して放り投げだされ地面に激突してそこでもダメージ。


「いやいやいや、今のどうやってかわせばいいんだよ。動き続けるしかないわけ?」


 幸いにもジャイアントワームはそれからまたすぐに地面の下にもぐってからの突き上げ攻撃をしてくることはなく、その後でまた地上での攻防が続いたが、しばらくするとまた地面の下に潜っていった。

 そしてこの地面の下に潜る際と、地面から出てきた直後はどうやら一切のダメージが無効のようで、つまりはジャイアントワームにとっての無敵時間。

 私はとにかく地中から捕捉されようにボス部屋内を走り回りながらこう叫んだ。


「またかよ!!、くそ、地面の下に潜ってたんじゃいくら私でもどうにも……ん、待てよ。地面の下?」


 だけども途中で、今の私にはジャイアントワームを攻撃する手段が1つだけあることに気づいた。

 けれどもそれは……いや、もうこの際だし別にいいか。


「召喚:エリュマントス!」


 私がそう叫ぶとすぐに目の前に黒くて大きい魔法陣が描かれ中からあの大きなイノシシ、エリュマントスが現れた。このボス部屋はジャイアントワームが暴れても問題ないようにかなり広く作られていて天井も結構高いんでエリュマントスを召喚しても体が挟まったりとかして召喚できないとかいうことはない。

 ああでも、そういえば巨体のモンスターを狭い部屋の中で召喚することって出来るんだろうか?

 ちょっと今度試しにやってみようかな。


「よし、エリュマントス。グラウンドラインブレイクだ!」


 私は何の躊躇もなくエリュマントスにそう指示を出した。

 グラウンドラインブレイク。それはエリュマントスが使えるスキルの1つで地面をおもいっきり叩きつけてエリュマントスの目の前の地面を爆発させ前方の地面に直線状に亀裂を入れ、そして地面の岩盤を押し上げてフィールドに岩壁を作り出す土属性の物理攻撃。


 さて、それじゃあここで皆に1つクイズを出そう。


 では今、ジャイアントワームはどこにいるでしょうか?


 ……答えは、空中だよ。


「おお、出た出た。あ、エリュマントスお疲れ。もう帰っていいよ、送還!」


 グラウンドラインブレイクによって地中ごと押し上げられたことでジャイアントワームは地面の下から地上へと飛び出し、その巨体をはるか上方へと浮かせた。

 土属性に耐性があったので今のグラウンドラインブレイクそのものでのダメージはほぼなかったんだけどその後に落ちてきて地面に激突した時に大ダメージが。うわぁ、痛そう。

 そして私はそこでさらに倒れこんだジャイアントワームに接近すると水流斬りと3段斬りを叩きこんで止めを刺した。ジャイアントワームのHPケージを完全に削り切ったことを確認した私はその場で膝をついた。


「……ふう、最後ちょっと危なかったな」


 まあミミズだから地面に潜ることもあるかもしれないなと戦闘開始前に思っていたりもしたけど、まさか終盤で本当に潜ってくるとは。これだからこのゲームはプレイヤーの想像を裏切らないというかね。


 ジャイアントワームの体が光の粒子になって砕け散った後で、私は950ポイントの経験値と3500Gを手に入れた。経験値はジャイアントワームの方が上だけど、お金はアースジャイアントの方が多く落とすな。

 だけども950ポイントか。たしか第1階層のドラゴンが1000ポイントの経験値だったっけ?

 いや、それで言うなら断然ドラゴンの方が強かったと思うんだけど。


「よっと、お?、また新しいスキルをもらえたのか。なんだろう」


 私はポーション&聖水でHPとMPを回復すると立ち上がってさっそくジャイアントワームからいただいたスキルの確認をした。


<新しいスキルを入手しました>

 魔法:ラピッドファイアー


 〇ラピッドファイアー

 火属性の中級攻撃魔法。触れると爆発する火の球を高速で射出する。

 消費MP:10 リキャストタイム:12秒


「あーーーー、これ、あの口から出してた高速のファイアーボールだよな」


 中級攻撃魔法ということで威力も高そうだし、飛んでくる火の玉の速さならもう私は実際に目で見て何度も食らったから知っている。

 いや、どうせダメージ受けないんだしと思って途中からもうよけることもなくなってたんだよね、この魔法攻撃。


「ラピッドファイアー!、ああ、プレイヤーが使ったら1発だけなんだ」


 ジャイアントワームは1度に5発も射出してきたけど、モンスターが使う時とプレイヤーが使った時とでスキルや魔法の効果に違いがあることは別に珍しくもない。

 ただ、やっぱり中級魔法は初級よりも消費MPが多いしリキャストタイムも長いな。

 でも攻撃速度は間違いなく私が今まで覚えたどの攻撃魔法よりも速かったし、これは使えるな。


「でもこの魔法、あー、なんだっけな。ほらあの、下界の有名なゾンビシューティングゲームに出てくる強力な武器……ああ、思い出した、ロケットランチャーだ。それに似てる気がする」


 あるいはミサイル弾頭と言えばわかる人もいるかな。そんな感じの。


「でもジャイアントワームも。できれば召喚使わずに倒せるようにならないとな」


 そのためにはグラウンドラインブレイク以外で地面の下にいる敵を攻撃するスキルか魔法がないとさすがに難しい気もしたけど、でもそれもそのうちどこかで手に入るだろう。


 ジャイアントワームもクイーンビー同様に倒したら大量のドロップアイテムをボス部屋内に散乱させた。巨大ミミズの皮膚というアイテムが30個に、巨大ミミズの体液というアイテムが4個。巨大ミミズのしっぽというアイテムが1個落ちていた。

体液はポーションやはちみつと同じように小瓶に入っていて、しっぽの方は本体のものよりも少し小さかった。


「拾いたくないな。でも貴重な素材アイテムであることに違いはない、か」


 私はしぶしぶ落ちていた素材アイテムを全部拾うと最後に落ちていた装備品アイテムを拾った。

 なんで装備品アイテムを拾うのを最後にしたのかって?、だってそれが一番見た目気持ち悪かったから。


 〇ワームシールド

 VIT+52

 特殊効果:昆虫族のモンスターから受けるダメージを30%減少させる。


 それはまさかの盾で、ジャイアントワームと同じようなピンクと紫、それと黒っぽい色でカラーリングされた丸い大きな盾だった。


「でも効果が微妙すぎる。一応は物理攻撃と魔法攻撃の区別なくダメージを減らしてくれるんだろうけど、昆虫族のモンスター限定だし、減らしてくれる割合も30%とか」


 そして何よりも見た目。

 実は盾の中央にそれこそミミズがのたうちまわってるような不思議な文様が入っていてさ。


「売るか。たぶん誰も欲しいっていうやついないだろうし」


 装備補正値は高いので盾としてはまあ良い性能なんだけども。

 でもこれは売却してもいい気がする。街に帰ったら武器屋に寄って売ってしまおう。

 盾ならドラゴンシールドでもう間に合っているし。今は装備してないけども。


 私はそれからボス撃破後にボス部屋内に出来た青色のワープゲートの中に入った。

 すると私は一瞬のうちに洞窟ダンジョンの最初のルームまで転移させられた。

 私はそのまま出口に向かって歩き出し洞窟を出ると、荒野フィールドに出た。


「ふぅー。やっぱり暗い洞窟の中よりも外の方が良いな」


 これは毎回迷宮ダンジョンから出た時も同じ事を思うんだけどね。

 そんなことはないってわかってるんだけどどうしてもダンジョンの中って長時間いると息苦しさを覚えるというかね。

 それが森みたいなまだ外にある、自然の中にあるダンジョンならそうでもないんだけど。


「ゲームの中なのに空気がおいしい気がするな、ほんと」


 こればっかりはもうそうとしか言えないんだよね。


<第3階層:岩の都グランガン>


 グランガンの街まで帰ってきた私は、まずは冒険者ギルドへと向かった。

 そこで荒野で受けた2件と洞窟で受けた3件のギルドクエストの依頼達成の報告をして、報酬をもらうとまたすぐにギルド掲示板の方へと向かい洞窟で受けられるギルドクエストを4件受けた。

 この4件の依頼を達成したら洞窟でのギルドクエストはあと1件のみ。

 つまりはジャイアントワームの討伐だけだったけど、この後でまた洞窟に戻っても今日はもうあいつと戦おうとは思わない。いや、復活してたらの話だけど。

 今のところはまだグラウンドラインブレイクがないとちょっときつい部分もあるからね。負けはしないんだけどそこまで余裕で倒せるほどでもないって話。クイーンビーの時もそうしたし。

 それでもこの階層を攻略中にまたもう1度は倒しに行く予定ではあるよ、アースジャイアントと同じで。


 受けた依頼が4件だけということはあと1件別に住人クエストを受けてもいいかなと思ったけどそれは洞窟から帰って来てからにしよう。とりあえず今は1個ずつ片づけて行く方向で。


「よし、洞窟に戻ろう。またトパーズリザードに出会えるといいな」


 ちなみに洞窟で受けられるクエストの中にトパーズリザードの討伐とか、トパーズの採取とかいうクエストはなかった。そのことからもやっぱりあの綺麗なモンスターはダンジョン内でもすごく低確率で遭遇する、あるいは出現するレアなモンスターなのだということがうかがえた。


「でもトパーズリザード、宝石トパーズを落とすのもすごいけど、倒したら1体で300G落とすんだよね」


 もちろん、それでお金稼ぎすることはできないんだけどもさ。滅多に出会わないから。


<モンスター辞典>

〇トパーズリザード

物質族。ブルーリザードと見た目はよく似ているが実はまったく別種の生き物。

トパーズ色の輝きを放つトカゲでプレイヤーが近づくと全力で逃げ出すため戦闘にはならない。

出現率、遭遇率ともにすごく低いレアモンスターであり、ダンジョン内でこのモンスターに出会えたらその日は運が良いとまで言われるほど。

ちなみに、ブルーリザードが獣族だったのに対しトパーズリザードは物質族であるが、そのことからも2つのモンスターが違う種類のものだということがわかる。

ドロップ:トパーズ


〇ジャイアントワーム

昆虫族。洞窟ダンジョンのダンジョンボスモンスター。

ピンクと紫(ちょっと薄い紫)のボディが交互に合わさったうような色をした巨大なミミズのモンスターであり、頭部には大きな口と常に閉じている小さな目が2つある。

主にしっぽを振り回す攻撃をしてくるが、巨体のため回避が難しい。

力と耐久が高いが敏捷と賢さが低い。ただし体力が減ってくると敏捷も上がって動きが素早くなってくるので注意が必要。

終盤で地中に潜りこみ、そこから地上のプレイヤーに奇襲攻撃をしかけてくることがあるが、複数のプレイヤーで挑んでいた場合はその時もっとも動いていなかったプレイヤーが狙われる。地中にいる際に攻撃を受けてダメージを受けるとその時点で飛び出してくるので、プレイヤーは地中にいる敵に攻撃できるなんらかの手段がないと厳しい戦いになりそう。

弱点は水属性で、火属性・土属性・闇属性に耐性がある。


ドロップ:今話の本編内参照のこと。


次回、玲愛は例のスキルがもらえる住人クエストに挑戦。


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